28)筋ジストロフィーの起き上がりADLとその周辺p161-、日p269

stageXまでは、背臥位から側臥位になり、次いで上肢の支持により起きあがることができる
stageY頃から、上肢の支持に著しい努力を要するようになり、介助でなければ起きあがれなくなる
。(Ap161)

・背臥位から座位への起き上がり動作:
  手を使ったり、いったん腹臥位になってから起き上がる。
 体幹・上肢(肩、上腕)の筋力からみてstageXまでである。

・坐位から背臥位となる寝ころび動作:
  四つ這いの可能な時期(13、14歳まで)である。
  坐位のとき上肢で体幹が支えられないようになると前方にくずれおちるようにうずくまってしまうので介助が必要である。

・臥位からの起き上がり動作:
  発症から12歳ころまでは自力で起き上がることができるも以後は介助を要する。
  すなわち5〜7歳までは側臥位から上肢の支持によりスムーズに起き上がり、
  その後は両上肢の支持力によって著しく努力を要して起き上がる。(日p269)

 

29)四肢麻痺の起き上がり:「ADLとその周辺p78-」「日常生活活動(動作)p187参」

・C4ーC5レベルでは、自力座位は不可能なので、電動ギャッジベッドを操作 して座位を保持する。(Ap78)

起き上がりが自立する上限はC6
 但し、体幹の柔軟性と少なくても一側上肢の伸展機能の獲得が不可欠である。
 狭いベット上ではスリングなどの活用が有効。

・完全自立はC7が一般的。

  C6の起き上がり

1)寝返りの要領で側臥位となる。

2)側臥位のまま体幹を屈曲し「くの字」となる。

3)上側上肢(左)を上側下肢(左)の膝付近に引っかける。

4)左肘を強く屈曲すると同時に右肘の屈伸運動を繰り返し、上半身を引き寄せる。

5)左上肢を下肢からぬき、体幹前屈位となる。

6)肩の下制運動と腕の引きつけ運動をタイミングよく反復し、両肘を伸展位に保持、 長坐位となる。

・C7(坐位姿勢の確保のためには、上肢の支持性-伸展保持-が必要となるため完全自立はC7が一般的である)の場合は両肘を同時に伸展し、背臥位からの起き上がりが可能になる。(日p187)

<参考>寝返りはC6が自立の上限、完全自立はC7(日p186)

 

30)対麻痺の起き上がり:「ADLとその周辺p101-」

・起き上がり(背臥位から長座位)

 両手でベットの縁をつかみ、肘を支点に頭部を持ち上げる。ついで体重を左右の上肢に移しながら、上半身を長座位の位置まで起こす。

 

31)脳性麻痺の起き上がり 「ADLとその周辺p183-」

・腹臥位から四つ這いを経て割り座位となる。回旋は使わないが多くの障害児に とって最も安易な方法。

・体幹の回旋を使って長座位、などへ。

・体幹の回旋ができる場合の起き上がり。

・正常な場合には仰臥位から体幹の回旋を使って坐位となるが、脳性麻痺児では 体幹の回旋は訓練してもできない場合もあるので、
 基本的にどのパターンを使  う事ができるか見きわめて応用動作に結びつけていく。(Ap185)

                             

32)片麻痺の起き上がり姿勢と動作P138,「ADLとその周辺p59-」「日常生活活動(動作)p152

・「背臥位→長坐位」:原則として健側へ寝返る→起きあがる。

患者はまず健足(左)を患側下肢(右)の膝の下に入れてすくい、膝をたてる。
上肢は健手(左)で患手(右)を握り引っ張りながら顔を横に向け側臥位(顔はマットに着いた健手を向く)になり、
ついで健側の肘で上半身を起こす(on elbow)
次に肘に力を入れて腕を伸ばし(この時顔は上方を向く)、起きあがって長坐位になる。(姿勢と動作P138参照)

・物を引っ張って体を起こす方法(痙性強い場合異常姿勢パターンがでやすい:注1)
 よりも自分の手で体を押し上げて起きる方がより有効な方法である。

・腰掛け座位になるとき・・・健側足関節で患側下腿をすくい上げて両側下腿をベッド端から外側に下ろしながら起き上がる

・長座位になるとき・・・膝を屈曲し膝屈筋を弛緩させて、健側下の側臥位を取り、次いで頸と体幹を前屈・回旋させながら起き上がる

・起き上がりは、ベットから離れるために欠かすことのできない動作である。

・PTが介助する場合は、健側肩と臀部を軽く押す程度にする。(日p153)

注1:全てのADLでpullingを避けてpushingへ誘導する事はリハビリテーションの原則である(日p160)。

 

33)慢性関節リウマチの起き上がり:「ADLとその周辺p115-」日p253

・両足をベットの外に垂らして、肘の伸展を利用して起きる。

・ベットの柵やマットのしたに差し込んだ棒に足をひっかけての起き上がり。

・ひもを使っての起き上がり。(Ap116)

・上肢の疼痛や変形のため片麻痺のようなひもを使っての動作は不可能。
 両足を上げて反動で起きることは環軸関節の亜脱臼があると頸前屈位で亜脱臼が悪化するので勧められない
 このような患者はマットレスの下から突出させた棒に足を引っかけて起きる習慣をつけると良い(日p253)

・<マット上>

中等度進んだRA患者の多くは両上肢の各関節に疼痛を有するため、
 患者は臥位より体幹の回旋を使い一側上肢だけを使っての起き上がりを避ける。  

 多くのRA患者は肩関節伸展と腹筋とが保たれているので、患者はまず頭を上げ、わずかに一側上肢へ体幹を回旋しながら同側の肘を着くと同時に対側の手を着き、起きあがってくる。このときできるだけ腹筋を使い、両上肢の各関節への体重負荷を分散させ関節への負担を軽減させる。

 ・<ベット上>

1)腹筋でゆっくりと、(腹筋が保たれている患者は前記のように)起きあがる。

2)下肢の重みを利用して、(股関節等下肢に疼痛の少ない患者は、)まず曲げた両下腿をベットサイドに下ろしながら側臥位になり、同時に両下腿の重さを利用して起きあがる。

3)背筋で(この方法をとる患者は腹筋の筋力が弱いか体幹の回旋が十分に保たれており)、側臥位になりつつ両下腿をベットサイドに下ろす。そしてさらに体幹を回旋して両上肢で支持しながら、背筋を使って起きあがる。

4)ベットの下端に紐を巻き、それに足を引っかけて起きあがる。

 

34)筋ジストロフィーのかぶりシャツの着脱:「ADLとその周辺p167-」日p273

かぶりシャツの着方(stageZ):「ADLとその周辺p167-」

・身体を前かがみにして頭を入れる。袖をたくし上げる。裾が肩を越えるまで手 指で送る。裾を降ろす。

かぶりシャツの脱ぎ方(stageZ):「ADLとその周辺p167-」

・襟首から頭を抜く。襟首の後ろを持って前に引っ張りながら頭を抜く。

 

<参考>更衣

衣服の着脱は上肢および体幹の複雑な運動構成で、手指把握と両手または片手でな協調動作が加わっている。装具起立での上肢水平挙上(上肢stage4)が出来るとシャツ、上着の着脱が可能である。四肢関節拘縮、体幹変形の少ないものでは上肢動作がしやすいため自力での更衣動作の努力と工夫が見られる。一般に更衣には握力5kg以上、ピンチ力1kg以上が必要とされている。(日p273)

・更衣動作

更衣が完全に自立可能なのはstageXまでである。stageYーZでも長時間を要するが更衣が可能になるものもいる(Ap167)

更衣動作は起居・立位動作能力の影響を大きく受け9歳頃までは自立している。10歳頃に上肢挙上が困難となりシャツのボタン掛けが難しく、12〜13歳頃には更衣は全介助となる。

 

35)四肢麻痺の更衣::「ADLとその周辺p86-」「日p212」

・C4ー5レベル:衣服の着脱は全面介助

上着の着脱は、座位を安定して保持するために車椅子上でおこなうほうがよい。

衣服の操作には手背部や母指(引っかけの機能)を用いる。また脱衣時には手指で衣服がつかめないので口を利用し歯で噛んで行うことも多い

・ズボンや下着、靴下の着脱動作は、長座位で下腿の下に前腕を入れて踵をベットから浮かしたり、ズボンを引き上げやすいように側臥位で交互にとりながら動作を行う。(Ap87)

・一般的にはC7であれば自立可能となるが、C6でもかぶり型やボタン操作がないもので有れば自立可能となる。

着脱を容易にするためにファスナーやマジックテープを使用したり、上着ならば肩口や袖口に、ズボン類なら腰や膝の部分にループを取り付けたりの工夫をする。

袖口などの操作に口を使用する事も多い。ズボン等の脱衣では体幹の安定性と柔軟性が必要となる。(日p212)

・肩関節の可動域と筋力が不足すると自立は困難。自助具も使用して介助下で訓 練する。

 

36)上肢切断の更衣:「ADLとその周辺p140-」「日常生活活動(動作)p232参」

・一側上肢切断では残存上肢を中心とした代償機能で行える。

・自助具の利用、衣服の工夫、環境改善、足や口の使用等

・両側切断では代償機能のみでは不可能。Krukenberg術や義手あるいは足の使用 により総合的な代償を考える。具体例?

 

37)脳性麻痺の更衣:「ADLとその周辺p189-」日p294

・床上での更衣は、坐位、臥位などの組み合わせで行う。1人で着替えする場合、姿勢の安定をいかにはかるかが重要である。更衣のように四肢末梢まで動かさなければならない場合、坐位の安定を保てないので様々な姿勢の組み合わせで行っていることが多い。より機能の悪い上肢の方から先に袖を通すなど動作そのものの工夫や衣服に対する工夫をする。(Ap189)

・両手の協調運動、手と目の協調運動、手指の巧緻運動が阻害され、さらに体幹を起立位や座位に保持できないCP児もおり、個々の患者でいろいろの工夫が必要となる。・・・ボタンの代わりにマジックテープを用いたり、ファスナーのつまみを大きくしたり、パンツやズボンは腰回りに伸縮性のあるもの、シャツや上着は大きめで袖はゆったりしたもの等工夫する。(日p294)

・更衣動作に必要とされる機能

  1)ズボンの着脱:立位の安定、股・膝関節の筋力と可動域

 2)上着の着脱:手先が反対側の肩・背中に届くこと

 3)ボタンはめ:手指の巧緻性と筋力、協調性(ジャンパーのファスナー始動に  はかなりな両手協調性が必要。)

  4)自分の手、足、体幹の位置関係を認識できる知覚認知機能

 

38)片麻痺の更衣:「ADLとその周辺p66-」日p162

患側から着て健側から脱ぐ。更衣動作の練習を行うには座位バランスが良好なことが必要。開閉方法はベルクロかジッパーが使いやすい。

ズボンの着脱:患側下肢を健側下肢の上に交差して組ませ、患側下肢からズボンを通す。ズボンの着脱には立位バランスが必要だが背臥位でも可能(日p162)

 

39)RAの更衣:「ADLとその周辺p120-」日p252

・前開きシャツ、ブラウスなど通常は動きの悪い側の袖を先に通し、つぎに動きのよい手を後方に回して他方の袖を体側近く引き寄せ袖を通す。肩があげにくい場合はリーチャーを利用する。肩甲骨の動きを利用した前開き上衣の着衣もある。(Ap120)

・肩・肘関節の可動域低下と手指の変形でセーターの着脱は棒や自助具を使う。 前あきシャツは上のボタン掛けが困難なのでマジックテープを貼ると良い。

 ボタンをはめる自助具(ボタンエイド)も便利。靴下の着脱には先に鈎のついた竹の 棒や孫の手が利用される。(日p99、252)

慢性関節リューマチで肩と肘の可動域制限有ればリーチャーが有用である。

 

40)上肢切断の更衣

・36項に同じ