第136回
2018年9月19日

学問領域(サブスペシャリティ)としてのAi(オートプシーイメージング)

北海道大学大学院医学研究院
社会医学系部門社会医学分野 法医学教室
兵頭秀樹先生

サブスペシャリティとは、診療科の下に連なる細分化された専門分野のことであり、たとえば循環器内科なら虚血性心疾患、不整脈、心不全、消化器内科なら上部消化管、下部消化管、肝胆膵等といくつもの専門分野にわけられる。診療科トップ(教授もしくは部長等)となるような先生の多くは自分のサブスペシャリティにおいて国内屈指のスペシャリストであり、トップのサブスペシャリティ=その医局が得意とするサブスペシャリティであり、必然的にその医局全体が研究・臨床ともに高いレベルへと導かれることとなる、そうだ(マイナビRESIDENTより一部改変)。

研修医が興味のある学問領域のスペシャリストを探す際にはどのような方法があるだろうか。一つには学会に参加/聴講し、セッションで発表された他研究者(施設)を調べることが考えられる。Ai学会総会(夏開催)やAi症例検討会(冬開催)は絶好の機会と思われる。Ai研修会(医師会主催)や各地で開催される警察医会講演会等で、国内のスペシャリストの話を聞く機会は重要であろう。筆者は、日本医学放射線学会や日本法医学会といった他学会で、Aiに関する研究発表を行っている。Aiに興味があるが研究を行えない“Aiスペシャリスト予備軍”の先生に、Ai領域の学術研究が“面白い・社会に役立つ”ことを紹介している(つもりである)。しかし、残念なことに、日本医学放射線学会では数年前までは大盛況であったAiセッションが、近年発表演題数が激減し、2018年のAiに関する口演発表は筆者しかおらず、カテゴリーも“その他”の扱いであった。放射線科が主導でAiを推進する、という考えに基づくならば、興味のない他放射線科医師も集う学会で、Ai領域の活発な質疑応答が展開され、この学問領域がいまなお“hot”であるとアピールすることが必要なのではないだろうか?(個人的には、法医学会においても同様の傾向を感じている。)加えて言うならば、学会発表はその場限りの瞬間芸であり、最終目標とはならない。研究成果は、ピュアレビューを通じて文字として残す、後世の研究者も研究にアクセスできるようにすること、すなわち論文にすることが、研究者に求められている。Aiの、死亡時の状況を記録として残し、後から検証できるという特徴と同じことである。

PubMedで検索し、Ai研究を行っている研究者/施設に学術研究テーマやディスカッションを求めて若い研究者が集まる、そんな成熟したサブスペシャリティにAiはなれるはず、と筆者は考えている。会員諸兄姉のご意見をお聞かせ願いたい。