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青森県保険医協会 タバコに関するアンケート(医師・歯科医師対象)

タバコに関するアンケート集約結果について

 去る1月8日から1月31日まで、本協会・環境部にて行った、会員を対象にした「タバコに関するアンケート」の実施結果を報告する。同アンケートは2001年以来、二度目である。会員1270名に発送し、255名が回答しており、前回の回収率は10.1%であったが、今回は20.2%となっている。アンケートの結果は下記の通りである。 → Download (Excel File 208KB)

回答者概要

 回答者の概要は、20代から80代まで回答しており、年代別で40代が32.2%、50代が31.8%と回答が多くなっている。性別では男性が87.1%、女性は12.5%である。医科は64.7%、歯科は33.7%である。

医師の喫煙は11%、非喫煙は89%

 「吸う」と答えた方は11%、「吸わない」が89%になっている。前回は「吸う」と答えた方は14%でしたので、吸う方が減少している。

(Q1)喫煙、非喫煙の割合・・・院内禁煙化は7割

 70%の医療機関が院内で「禁煙を実施している」と回答しているが、「今後実施予定」は15%、「実施しない」は9%である。

(Q2)禁煙の形態・・・禁煙及び分煙は62%

 院内の禁煙の形態では、「全面禁煙」は15%、「全館禁煙」は33%、「完全空間分煙」は14%である。したがって62%は禁煙もしくは完全分煙と答えている。

 ※院内の禁煙の形態について
  1.全面禁煙(駐車場などを含め、屋外も屋内も敷地内に喫煙可能な場所がない)
  2.全館禁煙(屋内スペースに喫煙可能な場所がない) 
  3.完全空間分煙(屋内閉鎖空間に喫煙室あり、空調を整えている)
  4.不完全分煙(他のスペースと空気がつながった喫煙コーナー、分煙テーブル等で喫煙場所を定めている、患者スペースのみ禁煙で職員は休憩室などで喫煙可能など)

(Q3-1)非喫煙者への質問・・・「以前吸っていた」は58%

 非喫煙者への質問で、「吸ったことがない」が23%、「以前吸っていた」が58%となっており、前回(53%)と比べ医師の禁煙が増加している。

(Q3-2)喫煙者への質問・・・一日に「11〜20本」が52%

 一日にタバコを吸う本数は、「11〜20本」が52%、「6〜10本」が21%、「5本以下」が14%である。

(Q4)医療従事者の禁煙・・・仕事中医師は吸うべきではないと考える人74%

 医療従事者の喫煙について「医師は当然やめるべき」と答えた方は45%、「白衣を着ているときはやめる」は29%となっており、合わせて74%が仕事中医師は吸うべきではないと考えるものと思われる。また「個人の自由」は20%である。

(Q5)禁煙の働きかけ・・・「禁煙を働きかける」は86%

 日頃の診療で喫煙患者に対して「疾病に応じて働きかける」と答えた方は72%、「強く働きかける」は14%となっており、合わせると86%の方が禁煙を働きかけている。また「働きかけない」が11%である。

(Q6)禁煙指導を行っているか・・・「行っている」は22%

 ニコチン代替療法による禁煙指導を「行なう気はない」と答えた方は39%、既に「行っている」と答えた方は22%、「今後行いたい」は27%である。

(Q7)禁煙指導・・・「応じる」が25%(63人)

 禁煙指導を求めている患者さんを紹介した場合、「応じる」が25%、「応じられない」が21%である。

(Q8)禁煙指導講習会・・・県喫煙問題懇談会に参加したい

 禁煙支援を充実するための指導者養成及び禁煙支援医療機関の増加を目的とする、禁煙禁煙指導講習会の開催を検討しているが「日程が合えば参加したい」と答えた方は、56%(142人)、「参加しない」は66%である。

(Q9)青森県喫煙問題懇談会に参加しますか・・「参加する」が27%(70人)

 青森県喫煙問題懇談会に「参加する」と答えた方は27%(70人)である。タバコ問題に関して、医師歯科医師の関心が高くなっていると思われる。

※青森県喫煙問題懇談会

 青森県喫煙問題懇談会は1998年に県内のタバコの害から県民の健康を守るため研究、調査、学習、運動を行うことを目的に発足し、医師や教育関係者、保健士、行政関係者など様々な方々が参加してきた。今後も喫煙問題の解決に向けて幅広く活動していきたい考えている。今後は禁煙外来を実施している医療機関を、本協会ホームページ等での公開を検討している。

厚生省「平成11年度 喫煙と健康問題に関する実態調査の概況」

 厚生省では「平成11年度 喫煙と健康問題に関する実態調査の概況」を平成13に発表しており、 医療機関の禁煙や分煙の実施状況は、「診察室・検査室」では「完全禁煙」を行っている割合が約9割となっているが、「待合室」や「病棟・病室」、「食堂」では、「完全禁煙」の割合が約5割に止まっている。
 また喫煙問題に関する取組の重視度等については、「貴施設は喫煙問題に関する取組を重視しているか(取組の重視)」、「喫煙問題に関する取組は社会的責任であるか(社会的責任)」、「公共の場所が原則禁煙が望ましいか(原則禁煙)」、「医療機関には喫煙問題に関する情報発信拠点としての役割が望まれるか(情報発信)」の4つの認識を質問した。公共の場所の原則禁煙については、8割弱が「そう思う」としている一方で、取組の重視、社会的責任、情報発信の3点については、その割合が4〜5割程度にとどまっている。また、実際の禁煙・分煙状況(図1-1)との比較では、公共の場所では原則禁煙と思う医療機関が8割弱あるのに、実際の「待合場所」等の「禁煙」の実施率は約5割にとどまっている。

医療従事者が禁煙化への範を!

 日本医師会、日本看護協会などをはじめ様々な団体で禁煙キャンペーンを実施している。医師や歯科医師、医療関係者が率先して、率先して、禁煙対策に取り組み、禁煙支援を勧めることが重要です。病院、診療所の禁煙化、完全分煙化は当面の緊急課題である。
 医療従事者は、自分の出来る範囲で、積極的に禁煙化または完全分煙化をして、範を示す必要がある。

青森県の喫煙の状況

 ご存じの通り、タバコは肺ガンをはじめとした多くのガンや、虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患、歯周疾患など多くの疾患、更には低出生体重児や流・早産など妊娠に関連した異常の危険因子である。平成11年の喫煙と密接な関係のある本県の肺ガンの死亡数は、692人、虚血性心疾患死亡数は182人、慢性閉塞性肺疾患は122人、である。また本県の肺ガンの死亡率は男性は52.4%で全国で高い順に8位(全国47.5位)、女性は11.9%で高い順に24位(全国12.5)である。成人の喫煙率(平成8年)は、男性57.2%(全国52.7%)、女性7.7%(全国11.6%)である。中でも男女とも20〜40歳代の喫煙率が高くなっている。

本協会のこれまでの活動(青森県、県教育委員会へ要請など)

 本協会ではこれまで、深浦町の「タバコ自販機の撤去」の支援活動や、世界禁煙デーの企画の開催、国政選挙、知事選挙立候補者に対するタバコアンケートの実施など、様々な活動を実施した。
 特に昨年末から今年初めの活動としては、青森県や県教育委員会に対して、健康増進法に基づく受動喫煙禁止と未成年の喫煙防止について、具体的な対策を求める要請をした。
 青森県で策定した「健康あおもり21」では、タバコ問題に関する目標を数字で掲げている。2010年までに「喫煙が及ぼす健康についての知識の普及」を100%実施することにしている。また2010年までに「未成年者と妊婦の喫煙率」を0%に、「防煙・禁煙(喫煙防止教育)支援プログラムの普及」を100%等の目標を掲げている。
 2003年6月に本会で実施した県知事選挙立候補者アンケートで三村申吾氏(現在県知事)からたばこ問題に関する質問に対し、公的機関(役所・学校・病院など)の喫煙について、「全面禁煙」とお答えをいただいています。本協会でもこの「表明」を支持している。これら青森県の目標を達成するために、健康増進法に基づく受動喫煙禁止について、県内学校への周知徹底と、未成年を取り巻く環境の整備、また未成年に対する禁煙指導などの具体的な対策が必要と考えており、以下の要望をした。

◆青森県に対する要請項目は以下の通りである。

1、 学校や公立病院、県の出先機関、公共の場等の全面禁煙及び完全分煙(空間分煙)などの実現
2、未成年の喫煙を防止するため、県内のタバコ自動販売機の屋外撤去条例の施行

◆県教育委員会に対する要請項目は以下の通りある。

1、県内の学校の全面禁煙または完全分煙(空間分煙)を要望します。
2、「健康あおもり21」では、2010年までに「未成年者の喫煙率を0%」にする目標数値を上げていますが、達成までのプログラム作成を要望します。
3、中・高体連など未成年者のスポーツ大会会場や施設等の敷地内全面禁煙を要望します。

 以上の通り、青森県、県教育委員会に対し要請をしたが、いずれも消極的な回答であったが、徐々に禁煙・分煙が進められている。青森県では県立の学校にでは、来年度から敷地内全面禁煙検討するよう県教育委員会から各学校へ伝えており実施の予定である。
 本協会としては、引き続き、行政に対して、喫煙問題についての要請をしていく。

東北保険医団体連絡会
「タバコのない社会を目指して」禁煙運動推進アピール

 東北6県の保険医協会で構成する東北保険医連絡会は、2003年7月に行われた保団連東北ブロック第23回医療研究会において、「禁煙運動推進アピール」を発表した。地域で患者さんと日常的に接触する開業医の団体として、国民の命と健康を守り未来に向かって、より健康な社会をつくるために世界保健機構(WHO)の提唱する「タバコのない社会」に貢献したいと考えている。

禁煙運動推進アピール
〜「タバコのない社会」を目指して〜

 東北保険医団体連絡会は、地域で患者さんと日常的に接触する開業医の団体として、国民のいのちと健康を守り、未来に向かってより健康な社会をつくるために、世界保健機構(WHO)の提唱する「タバコのない社会」に貢献したいと考えております。
 すでに、禁煙問題については各種の学会や団体等が、禁煙に向けての宣言、提言、勧告等を発表しておりますが、東北保険医団体連絡会は、開業医の団体としての立場から「禁煙運動推進アピール」を発表することとしました。
  1. 健康増進法に基づき、公共の場所、公共機関は禁煙または完全分煙とするよう行政機関などに働きかける。
  2. タバコの広告、販売規制について、保健所、医師会、教育委員会、自治会等と連携して活動を進め、関係省庁、行政機関等自治体への働きかけを行う。
  3. 上記について保険医協会としての提案、提言等を行い、実際の活動にも積極的に協力していく。

2003年7月27日

東北保険医団体連絡会
青森県保険医協会
岩手県保険医協会
秋田県保険医協会
宮城県保険医協会
山形県保険医協会
福島県保険医協会



青森県保険医協会【2004年たばこ会員アンケートに寄せられた主な自由意見】

【医科】

○ 私自身タバコは身体に悪いと思っているし、他人のタバコの煙に嫌な思いをすることが多いので全く吸わない姿勢でいます。周囲(従業員など)とも禁煙を呼びかけてはいますが喫煙は個人の自由なので病院は、全面禁煙ですがプライベートに立ち入ることはしないので自由にさせています。

○ 教育現場での啓蒙活動に力を入れることが必要と考えています。(特に小中学校で)

○ 個人で楽しむなら(他人に迷惑をかけないなら)規制する必要はないと思います。

○ そもそも公共施設(道路や講演なども含む)全面的に禁煙にすべきである。このような身体に非常に悪い物が自動販売機で売られていること事態が規制できない?タバコは1本1000円、1箱2万円位にすべきです。

○ 禁煙推進活動は行きたいが講習会や喫煙問題懇談会団体に参加して行う気持ちはなく、あくまで個人レベルで。しかし毎日多くの患者さんに接するので、個人の力は浸透していくと思う。

○ 喫煙の危険性については充分に説明する義務があると考えます。医療従事者、看護師の喫煙率の高さは驚くべきことです。まず身の周りから解決すべきと考えます。危険性を十分に説明しても喫煙するものは必ずいるので分煙を行うのが現実的です。喫煙意志を有する人の援助は是非必要と考えます。院内全面禁煙が理想であると思いますが、非常に困難と考えます。

○ なぜ未だにタバコを売っているのかが疑問。禁煙運動が盛んに行われたにもかかわらず、日本の喫煙率は下がっていない。行政が手を打つべき。20本1箱1000円にするべきだ。

○ 禁煙指導について大いに関心があるが、適当な指導マニュアル、パンフレット等がない。情報提供を希望します。タバコについてビデオはないでしょうか。産業医活動にも利用したいので。

○ 禁煙は「吸わない」意志があればニコチンシールなど不要。

○ 禁煙指導は禁煙の経験がある先生の方がいいのかもしれない。当方は喫煙経験がない。ニコチンパッチの処方を行っているが、長期経過を把握できない。8週以降に受診してくれる患者さんは稀。

○ 禁煙運動に力の入っている人々禁煙指導に熱くなっている人々の「私達は正しい!私達と一緒に運動しない中途半端な人々、喫煙は自由だという人々は間違っている」というような、自分たち以外の考えを否定するらしい気が大嫌いです。どんなに熱心に禁煙を説いても本人が自覚しないことには無駄です。禁煙運動家の自己満足の場になっている面も大きいと思っています。

○ 精神科に長期入院している人達は、禁煙に導くことが難しく、本人のそのような意志も確認できず、いわば無法地帯と化していることが多い。スタッフにもニコチン依存が多く受動喫煙となっており、精神科医をしても、また産業医としても職場の快適づくりが必要と常日頃から考えています。

○ 具体的なデータを載せたポスター(発ガン率等の健康に対する影響)を作って欲しい。

○ 禁煙したのは30年前でそれまではヘビースモーカーでした。今はタバコを飲みたいと思わないので、隣で人が吸っていても気にならない。国で売っているのだから喫煙者が自分の責任で喫煙すれば良い。患者には常識的に有害性を説明するが、うるさく言わない。納得して止める人はいないと思う。

○ 15年位前に某中学校に禁煙教育に行った事がある。その際に先生方も校内では禁煙した方が良いと述べたら、そのためかどうか不明であるがその後依頼がない。

○ タバコを吸う(特に人前で)という行為はもう時代遅れで、人前で尿をしたらセックスするのと同じである。害(人体への)もあるが、人前でやることをさせない事が大切である。

○ アンケートに答える医師は、タバコを吸わない医師が殆どでタバコを吸う人はアンケートにも答えないと思う。

○ 家族全員が禁煙している。外来患者も禁煙にしている。

○ 大学医学部、岩手医科大学の学生にタバコを吸わせない教育、当然教職員の禁煙、学園内の無煙化を保険医協会から発信すべき。医師の喫煙に対する無知、無学あるいは患者の近縁の前に、すべき事である。同業者は公然と喫煙しているのは恥ずべき事。

○ 時間が無くきちんとした禁煙指導が出来ているとは思えません。しかし色々な機会に禁煙の必要性を話しています。

○ 医学部関連領域の先生方、保健大学の先生方にも理解と協力、全面禁煙の申し入れもご検討下さい。可能なら「愛ちゃん」のような禁煙マスコットガールがあれば。

○ 我々医療に携わる者は、健康を害する喫煙習慣が、無くなるように日々努力すべきである。タバコは嗜好品というよりは、麻薬と同じ様な、精神的、肉体的依存を生じさせる。ということをもっと住民に啓蒙すべきである。

○ 他人に迷惑や不快感を与えないなら、個人の自由の問題と考えます。

○ 喫煙者は薬物中毒患者としての取扱が必要と考える。

○ 禁酒についても同等の講演会がございましたらお知らせ下さい。

○ タバコ税を上げてタバコ農家の転作を助けては?喫煙者は税金をよけいに払っているとか個人の自由だとかいいますので、たばこ税以上に医療に税金がかかること、また受動喫煙で他人に害を及ぼしていることをもっと認識させるべきだと思う。また飲食店の従業員は逃げようがない。その人達の受動喫煙をもっと認識させるべきと思う。

○ 昨年から禁煙を実施しているが、酒の席ではどうしても手持無沙汰となり普段全然吸わなくてもついつい吸ってしまう。そういうときは一気に吸ってしまうので本数が増えて禁煙の逆効果ではないかと思ってしまう。それゆえ患者様にも、スタッフにも強く禁煙を勧められないでいる自分が情けない。

○ 矯正する必要はないと思う。待合室に灰皿は置いていないので理解していただいていると思う。自分の身体は自分がよく分かるので、自分で家庭を守る責任があるから。

○ 妻が切実に禁煙を願っているのだが、なかなか禁煙できずに悩んでいる。僕はやめて良かったと思っている。

【歯科】

○ 歯周病の原因はタバコにあると言われている。4000種類以上の化学物質など身体に良いわけがない。

○ 患者さんには私としては意見できかねます。診療室内では皆さん吸わないので、吸っているか少しの方はわかりません。ニコチンがついていると分かりますが、また口臭でも分かりますが意見できずにいるのが現状です。

○ 保健所等で強力に強調していますが、「タバコは肺を壊すもと」と考え、全面禁煙が理想的と考えます。タバコの味は経験していないので、分かりませんが、最初から良くない物として、タッチしませんでした。身体に良くない物は止めるべきです。

○ 現在禁煙して2年程になりますが、動機は別に健康上の理由ではなく、ただ喫煙者として生きていきにくい世の中になってきたので、止めました。喫煙そのものは法を犯しているわけもなく、個人の問題と考えますが、他人との関わりでやはりマナーは絶対必要と思いますので、完全分煙は今後不可欠と考えます。

○ 煙草を止めるということはごく簡単です。ただ隣りに吸っている人に止めてとはなかなか言えない現状です。時々頭が痛くなります。(以前吸っていたのですが・・・)

○ 私は日本禁煙推進医師歯科医師連盟の会員でありますが、歯科医師の立場でいろんな活動をしたいのですが、保険点数があるわけでもなく、チュアータイムが必要でなかなか難しいです。できれば保険医協会としても点数化、またニコチン代替療法等が出来るよう働きかけていただければ幸いです。三戸町はタバコ農業が盛んな町でそんなバックグランドでの指導もやりにくい面もあります。

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