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2006年弘前市長選タバコ問題アンケート →印刷用WORDファイル

2006年 弘前市長選挙候補者 タバコ問題アンケート回答結果

1.現在、東京都千代田区のみならず全国の自治体に路上喫煙禁止条例制定の動きが広がっています。弘前市でも路上喫煙禁止条例を制定してほしいという声があがっておりますが、どのようにお考えでしょうか。

(1) 弘前市でも路上喫煙禁止条例を制定すべき・・・下田候補、須藤候補(各自治体の禁止条例を積み上げたうえで法制化を検討してもよい)、相馬候補
(2) 国内で法制化すべき・・・金澤候補
(3) 現状のまま喫煙者のマナーにまかせる
(4) その他

2.下のグラフに示しますように中南地域の公立小中学校の敷地内禁煙の達成率の低さが際立っています。学校の敷地内禁煙は、子どもに対して「タバコを吸うのはそのヒトの自由だ」ということではなく、「タバコは絶対にダメ」ということを、親や教師が教えていく上で必要不可欠なことだと考えられますが、どのようにお考えでしょうか。

(1) 公立小中学校の敷地内禁煙を推進する・・・金澤候補、下田候補、須藤候補、相馬候補
(2) 各学校の自主性にまかせる
(3) その他


県内小・中学校の敷地内全面禁煙達成率 (平成17年 調査:文部科学省 資料提供:青森県教育庁スポーツ健康課)

3.現在、市内の屋外タバコ自動販売機の多くは店員の目が行き届かない位置にあるなど未成年喫煙禁止法に違反した状態にあり、未成年の喫煙防止のために緊急の対策が必要と考えられます。どのような対策をとるべきとお考えですか。

(1) 屋外のタバコ自販機は全て撤去するか店内に移動させる・・・須藤候補、下田候補
(2) 違法状態の屋外自販機のみ撤去するか店内に移動させる・・・相馬候補
(3) 成人識別カード対応自販機の普及を待つ・・・金澤候補
(4) 現状のままで対策をとる必要はない
(5) その他

4.平成15年5月に健康増進法が施行され施設の管理者に受動喫煙防止の努力義務が課せられましたが、飲食店などにおける禁煙・分煙対策は遅々として進んでいないのが実情です。これに対して、どのような対策をとるべきとお考えですか。

(1) 健康増進法を改正して罰則規定を設ける・・・下田候補
(2) 健康増進法は改正せず、禁煙・分煙対策のために国や県などから資金援助をする・・・須藤候補(「禁煙の店」「分煙の店」の表示を奨励する)、相馬候補
(3) 現状のまま業界の自主規制にまかせる・・・金澤候補
(4) その他

5.未成年の喫煙防止対策および成人の禁煙対策としてタバコ税の大幅増税が最も有効であることはすでに世界各国で実証されており、喫煙率・死亡率減少、医療費減少、税収増、未成年喫煙大幅減、タバコ税の逆進性解消の「一石五鳥」の政策として医療団体や禁煙推進団体から早急なる実施を求めているところです。

(a) タバコ税をどうすべきとお考えですか。
(1) 段階的・継続的な大幅増税を実施する・・・金澤候補、下田候補
(2) 単発または大幅でない増税を実施する・・・相馬候補
(3) タバコ税を増税する必要はない
(4) その他・・・須藤候補(タバコのCMを禁止。タバコの害を政府広報で放送する。併せて葉タバコ農家へ他作物への転作を奨励する)

(b) タバコの価格は最終的に1箱何円くらいにすべきとお考えですか。
   (参考:ニューヨーク約900円、イギリス約800円)
(1) 1000円またはそれ以上・・・下田候補
(2) 800 - 900円
(3) 600 - 700円
(4) 400 - 500円・・・金澤候補、相馬候補
(5) 300円
(6) その他・・・須藤候補(わからない)

6.あなたはタバコ会社やタバコ耕作団体・販売者団体などから政治献金を受けていますか。

(1) 受けている
(2) 受けたことがある
(3) 現在も過去も受けていない・・・金澤候補、下田候補、須藤候補、相馬候補

7.選挙事務所の禁煙対策はどうなっていますか。

(1) 完全禁煙(屋内あるいは敷地内に喫煙できるスペースが1か所もない)・・・須藤候補
(2) 完全分煙(喫煙室から禁煙エリアに煙が流れてこない)・・・下田候補、相馬候補
(3) 不完全分煙(仕切りのない喫煙コーナーや換気扇など)・・・金澤候補
(4) 禁煙・分煙対策をとっていない


2006年4月6日
青森県タバコ問題懇談会

2006年 弘前市長選挙候補者 タバコ問題アンケートの回答について

アンケート調査
 2006年3月14日発送 2006年3月31日 回答締切

回答状況(あいうえお順)
 金澤 隆 候補 ・・・回答あり
 下田 肇 候補 ・・・回答あり
 須藤 宏 候補 ・・・回答あり
 相馬しょう一 候補 ・回答あり(「しょう」は金へんに昌)

主なポイントと当会からのコメント

 金澤候補、下田候補、須藤候補、相馬候補には、選挙戦のお忙しい中ご回答いただき、厚く御礼申し上げます。まず最初に、当会は特定の政党・政治家を支持する組織ではなく、超党派の立場から政治家・首長の方々に、県民の健康のためのタバコ規制政策への理解を深め更に推進していただくことを目的に、主要な選挙においてアンケート調査を実施し、市民へ広く公表して判断の一助とさせていただいていることをお断りしておきます。

1.路上喫煙禁止条例について

 金澤候補は国内の法制化、下田候補、須藤候補、相馬候補は弘前市の条例、と手法は違いますが、いずれも路上喫煙の禁止を支持する回答をいただきましたことは高く評価できます。路上喫煙はポイ捨てにつながり、町を汚す原因となりますが、従来から行われている清掃活動や啓発のみでは十分な対策が得られないとして、「路上喫煙禁止条例」を制定する市町村が増えてきました。さらに路上喫煙は子供や車椅子を使用する方の目線に近く、また、目の不自由な方にとっても極めて危険です。さらに、タバコを吸わない人に対する受動喫煙の被害も及ぼしています。

 観光都市・弘前の美観を守るためにも路上喫煙を禁止するべきですが、桜祭り期間中の弘前公園だけでも早急に敷地内禁煙にするべきです。

 一方「きちんと罰金を取っているのは、東京では千代田と品川の2区だけで、逆に、そこまで徹底しないと効果は上がらない。実際には、看板を掲げる程度で、条例が有名無実化している区がいっぱいです」(総務省関係者の話:2004年7月)とありますように、罰則(罰金)まで定め、より実効性のある路上喫煙禁止条例を制定していただきたく思います。

2.公立小中学校の敷地内禁煙について

 金澤候補、下田候補、須藤候補、相馬候補の皆様方が公立小中学校の敷地内禁煙を支持するとご回答いただきましたことも、高く評価できます。学校敷地内の完全禁煙は、1) 喫煙防止教育の一層の充実を図るため、2) 教職員が喫煙しないという望ましいモデルを示すため、3) 禁煙・施設禁煙化の運動を学校から家庭・地域に広げるため、4) 子どもや教職員の受動喫煙を防止するため、5) 喫煙者の健康リスクを減らすため必要不可欠なことです(日本学校保健学会「タバコのない学校」推進プロジェクト)。また、文部科学省の平成15年4月通知においても、「学校を原則禁煙とすべき」旨が示されています。

 平成17年文部科学省が全国で行った「学校における受動喫煙防止対策実施状況調査」によりますと、全国53,039の学校のうち学校敷地内の全面禁煙措置を講じているのは24,082校(45.4%)に対し、青森県では675の公立学校全体(幼稚園、小・中学校、高校、特殊教育諸学校)のうち全面禁煙は359校(53.2%)と一定の評価はできますが、中南地域の公立小中学校の敷地内禁煙の達成率の低さが際立っています。新市長には今年度中の早期に、公立小中学校の敷地内完全禁煙を達成できるよう要望します。

3.屋外タバコ自動販売機の問題について

 下田候補および須藤候補が、「屋外のタバコ自販機は全て撤去するか店内に移動させる」と選択されたことは高く評価できます。現在日本には約62万台のたばこ自動販売機があり、未成年者のたばこの主要な入手方法となっているため、2005年2月に発効したタバコ規制枠組み条約(FCTC)では、「自動販売機が未成年者によって利用されないこと及びそのような自動販売機によって未成年者に対するたばこ製品の販売が促進されないことを確保すること」と規定されることとなりました。

 そこで財務省や日本たばこ協会では、現在、たばこカードと成人識別装置付き自動販売機の導入を計画していますが、警察庁では、「たとえ成人識別装置を設けている自動販売機であっても、対面による販売と同等以上の効果が期待できない。自動販売機については、その成人識別その他の装置の性能にかかわらず、将来的には、国民的な合意のもと、撤去されることが望ましい」との見解を示しています(日本医師会、禁煙推進委員会プロジェクト2005年12月)。弘前市内においても未成年者の喫煙防止のため、タバコの販売は、自動販売機を撤廃し、対面販売に限定するよう推進していただきたく思います。

4.飲食店の禁煙化について

 2003年施行の健康増進法の第25条では、飲食店を含む公共の場所の受動喫煙防止が定められましたが、特に罰則がない努力規定に過ぎないため、飲食店における禁煙対策は進んでいません。また禁煙席が設けられていても、喫煙席との間に仕切りもなく、不完全な分煙になっている場合も多く見うけられます。今後は下田候補が支持しているように、罰則規定を定めるべきです。

5.タバコ税の増税について

 金澤候補、下田候補は、「段階的・継続的な大幅増税を実施する」としており評価できます。世界保健機関(WHO)の2001年のまとめでは、マールボロ1箱が、日本280円に対し、フランス375円、米国440円、英国750円、ノルウェー775円と数倍高くなっています(円レートは当時)。その差は税額の違いですが、平均10%値上げすると世界中で4000万人が禁煙し、たばこによる死者が1000万人減ると、世界銀行では試算しています(たばこ流行の抑制、世界銀行、1999)。

6.政治献金

 四人の候補者全員がタバコ会社やタバコ耕作団体・販売者団体などから政治献金を受けていないことは高く評価できます。

7.選挙事務所の禁煙対策

 市長になるための選挙事務所ですので、スタッフや一般市民が受動喫煙の害にさらされないようにするべきです。四人の候補者全ての選挙事務所で、何らかの禁煙・分煙対策がとられておりますが、特に選挙事務所を完全禁煙にしている須藤候補の姿勢はたいへん評価できます。


2006年3月14日

弘前市長選挙候補者 金澤 隆 殿
弘前市長選挙候補者 下田 肇 殿
弘前市長選挙候補者 須藤 宏 殿
弘前市長選挙候補者 相馬 しょう一 殿

青森県タバコ問題懇談会 代表世話人 山崎照光(青森市)
代表世話人 鳴海 晃(弘前市)
代表世話人 久芳康朗(八戸市)

2006年 弘前市長選挙候補者 タバコ問題アンケート のお願い

 早春の雪解けの中、弘前市長選挙の準備に大変お忙しい日々をお過ごしのことと思います。ご健康に留意されながらも、私たち有権者が正しい判断を下すことのできるような、有意義な選挙戦を繰り広げていただけますよう期待しております。

 現在、国内で毎年11万4千人が喫煙による病気で亡くなっていることに加えて(*1)、およそ2万人が受動喫煙による被害で亡くなっていると推計されています。また、青森県は日本一の短命県であるばかりでなく、県内の20代女性の喫煙率は50%、30代男性の喫煙率は70%を越えているという驚くべき調査結果もあり(*2)、これらの若い世代が父親・母親となり子どもを産み育てているのが現状です。弘前市内の小学生・中学生の60-70%が家族の中に喫煙者がいるという調査結果(*3)も判明しております。

  経済的にもタバコ税収などのメリットが約2兆円であるのに対し、医療費や労働力などの社会的損失が約7兆円、差し引きで毎年約5兆円もの損失を社会に与えているのが実態(*4)であり、税収のために市民の健康が犠牲になってきたこれまでの政策の転換が求められています。そこで厚生労働省は医師による禁煙指導を「ニコチン依存症の治療」と位置づけ、2006年4月から公的医療保険の給付対象とする方針です。禁煙指導の促進により、喫煙率は今後15年間で最大、男性26%(03年は47%)、女性9%(同11%)程度まで下がると同省研究班は試算し、肺癌をはじめ、心筋梗塞や脳卒中などの生活習慣病を引き起こすとされる喫煙を減らすことで、15年後の医療費は少なくとも約1846億円抑制できるとみられています。

 弘前市でも健康寿命アップのための取り組みを進めているところと存じておりますが、その中でも「単一にして最大の予防可能な疾病の原因」であるタバコの問題を解決するためには、タバコ税の問題、自動販売機の撤去、学校における禁煙教育など政治・行政レベルでの対策が喫緊の課題となっており、首長や議員の方々のご理解と行動が求められております。

 私ども青森県タバコ問題懇談会は、タバコの害から県民の健康を守るために、医療、教育関係者、保健・行政関係者など様々な分野の有志が参加して1998年に発足しました。タバコについての様々な問題を解決するためには、医療や教育の場のみならず、社会的、経済的そして政治的なレベルまで幅広く取り組んでいく必要があります。(これまで、国政選挙や首長選挙の際にも候補者へのアンケートを実施させていただきました。2005年の衆議院選挙や八戸市長選挙のアンケート結果は当会ホームページ (http://aaa.umin.jp/)に掲載しておりますので参考にしてください。)

 そこで、今回の弘前市長選挙への立候補を前にして、それぞれの候補者がタバコ問題に対してどのように考えておられるのか、当選後にどのような行動をお取りいただけるのかを有権者に広く知ってもらい、投票のための判断の一助とするために、以下の質問をさせていただきますのでご回答の程よろしくお願いいたします。なお、期日が限られておりますので、ご回答は3月31日(金)までに FAXにて送付していただければ幸いです。  ご回答はマスコミやインターネットを通じて広く有権者に周知していきたいと考えておりますので、ご了承下さいますようお願いいたします。

参考文献

*1 MORTALITY FROM SMOKING IN DEVELOPED COUNTRIES 1950-2000, 2nd edition: 2004
*2 平成13年県民健康度調査、青森県健康医療課、2002
*3 弘前市内小学・中学アンケート調査 2005年
*4 油谷由美子、「たばこ税増税の効果・影響等に関する調査研究」、医療経済研究機構、2002

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