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2005年八戸市長選挙候補者タバコ問題アンケート ☆ 主なポイントと回答についてのコメント(10/30更新して再掲載)
2005年10月17日 八戸市長選挙候補者 中村寿文 殿 青森県タバコ問題懇談会 代表世話人 山崎照光(青森市) 2005年 八戸市長選挙候補者 タバコ問題アンケート のお願い
紅葉のたよりが県内を駆けめぐる中、八戸市長選挙の準備に大変お忙しい日々をお過ごしのことと思います。ご健康に留意されながらも、私たち有権者が正しい判断を下すことのできるような、有意義な選挙戦を繰り広げていただけますよう期待しております。
現在、国内で毎年11万4千人(八戸市内で約230人)が喫煙による病気で亡くなっている*1のに加えて、およそ2万人(市内で約40人)が受動喫煙による被害で亡くなっていると推計されています。
また、青森県は日本一の短命県であるばかりでなく、県内の20代女性の喫煙率は50%、30代男性の喫煙率は70%を越えているという驚くべき調査結果*2もあり、これらの若い世代がすでに父親・母親となり子どもを産み育てているのが現状です。市内の中学生の65%が家族の中に喫煙者がいるという調査結果*3も判明しております。
県や市でも健康寿命アップのための取り組みを進めているところと存じておりますが、その中でも「単一にして最大の予防可能な疾病の原因」であるタバコの問題を解決するためには、タバコ農家対策やタバコ税の問題など政治・行政レベルでの対策が喫緊の課題となっており、首長や議員の方々のご理解と行動が求められております。
経済的にもタバコ税収などのメリットが約2兆円であるのに対し、医療費や労働力などの社会的損失が約7兆円、差し引きで毎年約5兆円もの損失を社会に与えているのが実態*4であり、税収のために市民の健康が犠牲になってきたこれまでの政策の転換が求められています。付け加えますと、タバコによる「ストレス解消の効用」説は間違いであり、喫煙によってストレスが高じているのを一時的に解消しているに過ぎず、禁煙することでストレスは低下するのです。タバコは文字通り「百害あって一利なし」であることをご認識下さいますようお願いいたします。
私ども青森県タバコ問題懇談会は、タバコの害から県民の健康を守るために、医療、教育関係者、保健・行政関係者など様々な分野の有志が参加して1998年に発足しました。タバコについての様々な問題を解決するためには、医療や教育の場のみならず、社会的、経済的そして政治的なレベルまで幅広く取り組んでいく必要があります。これまで、国政選挙や首長選挙の際にも候補者へのアンケートを実施させていただきました。(2005年衆院選のアンケート結果は当会ホームページ http://aaa.umin.jp/ に掲載しておりますので参考にしてください)
そこで、今回の八戸市長選挙への立候補を前にして、それぞれの候補者がタバコ問題に対してどのように考えておられるのか、当選後にどのような行動をお取りいただけるのかを有権者に広く知ってもらい、投票のための判断の一助とするために、以下の質問をさせていただきますのでご回答の程よろしくお願いいたします。なお、期日が限られておりますので、ご回答は10月22日(土)までに FAX または E-mail にて送付していただければ幸いです。
ご回答はマスコミやインターネットを通じて広く有権者に周知していきたいと考えておりますので、ご了承下さいますようお願いいたします。
a) タバコ税をどうすべきとお考えですか。
b) タバコの価格は最終的に1箱何円くらいにすべきとお考えですか。(参考:ニューヨーク約900円、イギリス約800円)
中村・小林両候補には、選挙戦の忙しい最中ご回答いただいたことに厚く御礼申し上げます。
まず最初に、当会は特定の政党・政治家を支持する組織ではなく、超党派の立場から政治家・首長の方々に、県民の健康のためのタバコ規制政策への理解を深め更に推進していただくことを目的に、主要な選挙においてアンケート調査を実施し、市民へ広く公表して判断の一助とさせていただいていることをお断りしておきます。
八戸市においては、健康増進法施行に伴い(一部市議による抵抗にも関わらず−議事録は拝読しました)学校の敷地内禁煙化と市庁・公民館などの全館禁煙が実現しており、小中学校における喫煙予防教育も未だ不十分ながら始められております。以上2点については、今後の市政の争点としてとりあえげる意義はなく、今回の質問には含めませんでした。
次の重要課題は、質問1の路上喫煙禁止条例と、質問2の葉タバコ農家対策になります。
中村候補からは、より包括的な政策である路上喫煙禁止の「法制化」を支持するご回答をいただきました。路上喫煙禁止の必要性を認めた上で八戸市のみならず全国で実施すべきとのご意見と理解しましたが、法制化を公約とした民主党が議席を減らした現状では、現政権がすぐに法制化を実施する見込みは非常に少なく、私どもも引き続き法制化を求めながらも、それに先行して市政の責任においてすぐにでも実施できる(現実に全国で実施されている)条例の制定を強く求めるものです。
葉タバコ農家対策について明確な回答をしていただけませんでしたが、少なくとも「これまで通り推進する」ことはないとのご意見と理解しました。タバコ産業という“沈みゆくタイタニック号”にとり残されたタバコ農家を救済するために、市長の強いリーダーシップが求められています。
屋外タバコ自動販売機は未成年のタバコ入手の主要経路であり、WHOタバコ規制枠組条約発効に伴い警察庁でも撤去に向けて検討が始められております。質問項目に書いたように市内の自販機のほとんどは違法状態にあり、中村氏がそれらを撤去または屋内に移動すべきと回答したことは高く評価できます。
飲食店の禁煙化は、きちんとした罰則を伴う法規制がなければ進まないことは諸外国で(あるいは日本の現状で)すでに証明されております。
両候補とも非喫煙者であるにも関わらず、選挙事務所は健康増進法に違反した状態でした。小林候補からは『ばたばたと選挙に突入した関係もあり、自分では指示したつもりでしたが、反省しています』とのコメントをいただきましたが、市長室を含めた市庁舎が禁煙なのに、市長になるための選挙事務所でスタッフや一般市民が受動喫煙の害にさらされていることは、全く理に適っておりません。両候補とも即座に改善すべきです。
小林候補からは、質問1〜5の主要な政策課題に対して回答していただけませんでした。そのため、有権者がタバコ問題に関して小林氏を何ら評価することはできず、大変残念な結果と言わざるを得ません。
それについて『問1〜問5の回答を留保させていただいた理由としては、外部不経済と人間の自由意志の問題(※)、他の疾病原因への社会的規制とのバランスの問題(例えば、自動車の排気ガス等―車の運行自体を禁止していない)、皆様のご意見の中にある数値の根拠等について議論の余地があると考えたからです』(※の部分は原文のままですがよく理解できません)とのコメントをいただいておりますが、正直に申しまして小林氏の経歴から判断するとこのご回答内容には驚きを禁じ得ませんでした。続けて『このような重要な問題について、普段から考えていない候補者とのご批判は甘んじで受けざるを得ません』とご自身が申されていることを、大変失礼ながらそのままお返しさせていただきます。
数字については紙面の都合で省略しましたが(下記に掲載)、当然のことながらいずれも根拠の確かなものを元に計算しており、それに対して「批判する根拠」を示さないまま「根拠について議論の余地がある」とおっしゃることは、責任ある立場の方の発言としていかがなものかと考えます。
また、“車の運行自体を禁止していない”などといったあまりにも現状を理解していない、官僚としても政治家としても低レベルな発言には、失望を通り越して呆れ果てるしかありません。そのような“詭弁”と、世界中で毎年500万人ものタバコ病死(このまま放置して増え続ければ年間1000万人に達する)を少しでも抑制するためにWHOや各国政府・医療関係者らが懸命の努力で規制政策をすすめていることとを秤(はかり)にかけて考えること自体がナンセンスだということぐらい、考えなくてもわかりそうなものですが、この程度の判断能力しか持たない方に八戸市の今後4年間をまかせることなど、私には到底想像することはできません。(この部分は、あくまで個人的な感想です−10/24記、10/30公開)
自治体の長として、本年2月に発効し日本も批准済みの「タバコ規制枠組条約(FCTC)」をよくお読みいただきご理解いただく必要があります(must)。その上で、八戸市民に対して新市長として更に同じ発言をされるつもりなのか、是非お伺いしたいものです。この問題に対する政治家の不勉強とその結果としての無作為は、必要な規制を行えば助けられるはずの命を見殺しにすることに等しく、これは水俣病や薬害エイズ、アスベストなどと相似形ではるかに規模の大きな問題であるというご認識をいただきたいと思います。(以上について、八戸市長として同じ回答をするのかどうか、再質問を「市長への手紙」経由で送ってあります)
両候補には「政治家に必要なタバコ問題を理解するための資料集」を送付させていただきました(10/24付)。必要な報道関係者には、パワーポイントのファイルをお送りしますのでメールでご請求下さい。
文責 久芳康朗(代表世話人の一人)
八戸市長選挙候補者 小林 眞 殿
代表世話人 鳴海 晃(弘前市)
代表世話人 久芳康朗(八戸市)
参考文献
*1 MORTALITY FROM SMOKING IN DEVELOPED COUNTRIES 1950-2000, 2nd edition: 2004
*2 平成13年県民健康度調査・青森県
*3 八戸市内4中学調査 2005年(発表準備中)
*4 医療経済研究機構 2002年
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