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JTディライトフォーラムの主催・後援中止要請

2005年10月27日

青森県教育委員会
教育委員長 殿
(同じものを東奥日報にも送付)

青森県タバコ問題懇談会
代表世話人 山崎照光
代表世話人 鳴海 晃
代表世話人 久芳康朗

JTディライトフォーラムの後援中止をお願いします

前略 私たちはタバコの害から県民を守ることを目的として活動している青森県タバコ問題懇談会です。1998年10月結成以来、会員は58名に達しております。会員は代表世話人である山崎照光、久芳康朗、鳴海晃をはじめ、医療・教育・報道関係者など多種多様で、会員の多くは長年禁煙推進活動に携わってきています。すべての県民の命と健康を守るため、喫煙問題の解決に向けて研究、調査、講演、啓発など視野を広く持ちながら活動しています。詳しくは、本会のホームページ http://aaa.umin.jp/ をご覧いただければ、幸いです。

 世界中では毎日6秒間に1人が喫煙の害で亡くなっています。世界保健機関(WHO)でもタバコに関しては「単一にして最大のガンの原因」、または「今世紀最大の疫病」としており、喫煙を今世紀最大の公衆衛生上の脅威と捉え、タバコの撲滅を最大の目標に掲げています。そこで、世界中でタバコをなくしていくための包括的な国際健康条約である「タバコ規制枠組み条約(FCTC)」が今年2月に発効しました。日本は既に批准国となっています。条約ではタバコのパッケージの明確な危険表示や表示の拡大、受動喫煙を避けるための公共の場の禁煙化、タバコ広告や自動販売機の規制などを求めていますが、日本では喫煙により11万人、受動喫煙により2〜3万人が毎年死亡していると概算されています。非喫煙者が受ける受動喫煙も、ガンや心臓病また喘息などの呼吸器病、更には胎児や乳幼児の健康被害など、多くの慢性または致死的な病気を起こす危険があることはいまや世界の常識となっています。

 このタバコ規制枠組み条約の中にも、受動喫煙対策及び、未成年者にタバコを吸わせないための対策が掲げられています。子ども達の将来にタバコによって悲劇が起きないよう、私たち大人が、全力で取り組まねばなりません。

 学校の敷地内禁煙、喫煙予防教育など、教育委員会で取り組んで下さっているさまざまなタバコ対策への御尽力には心から感謝いたします。しかし、他方で、日本各地の教育委員会が、子ども達によかれと思って、タバコ対策も観点から大きな過ちを犯しておられることに関して指摘させていただきたいと思います。

 JTなどのタバコ会社の関わっているイベントの主催後援をしないでください。

 JTなどのタバコ会社は、社会的に容認されることを意図して、世界的に、さまざまな似非文化、スポーツイベント、音楽イベントを行っています。日本では、JTいきいきフォーラム、JTバレーボール教室、JT将棋大会などがそれにあたります。タバコ会社の本音は、アメリカで、タバコ会社のモデルをやっていたデイブ・ゲーリッツさんの内部告発のコメントによって明らかです。「タバコを吸う権利なんざあ、貧乏人と黒人とばかにくれてやれ。肺がんで死ぬ喫煙者の欠員補充だ。中学生くらいをねらえ」と、タバコ会社の重役達は言っているそうです(文献:悪魔のマーケティング「タバコ産業が語った真実」日経BP社、著者 ASH-Action on Smoking and Health, 2005年)。事実、タバコを売るために展開している低価格販売、さまざまな景品や懸賞キャンペーン、自販機によるタバコ販売は、子どもたちにタバコを売るための戦略であることが世界的に問題視されています。そんな本音をもつ企業がなぜ、このような似非文化活動や、スポーツ、音楽イベントを行うのかというと、「社会的によいことをしている」というイメージを植えつけ、タバコ会社の社会的認知度を高めるため、さらに、タバコ会社がターゲットにしている子ども達に、タバコ会社の良いイメージを植え付けるためと分析されています。このようなイベントに教育委員会が主催、後援などを行うことは、子どもたちに、タバコに対する良いイメージを植え付けてようとするタバコ会社にお墨付きを与えタバコ会社の宣伝活動に加担することになってしまいます。

 このようなイベントが行われたことに対して、実際、さまざまな地域で問題が指摘されています。山形県ではタバコ販売業者による「ちびっこすもうキング(ちびっこSMOKINGというネーミング)」というイベントが行われていましたが、これは地元の産婦人科医の努力で、タバコ業者の手を離れた健全な相撲大会になりました。また、兵庫県の西宮市では、JTバレーボール大会が開かれ、それを市の教育委員会が主催しました。それに対して兵庫県喫煙問題研究会が中止要請をしましたが、教育委員会は問題点を認識せず、「そんなことを言っていたら、予算のない中何もできない」という返事で、中止要請文に対する文書回答もありませんでした。その後、西宮市教育委員会のこの問題は、臨床スポーツ医学誌で、指摘されていました(資料参照)。

 日本各地で、このような宣伝活動が展開され、教育委員会の認識がないまま、継続されています。先に御紹介したFCTCの中では、タバコ規制対策にタバコ会社を入れてはいけないことをしっかり掲げています。未成年者の喫煙予防に取り組む教育委員会がこのような活動でタバコ会社に協力することは、FCTCのこの項目に明らかに違反しています。

 青森県は、深浦町のニコチンパッチの公費助成制度や、屋外タバコ自販機撤去条例を日本で最初に施行したこと、禁煙教育に早期から取り組んできたこと、学校の敷地内禁煙を早い時期に宣言したことなど、タバコ対策に関しては、先進的な県です。子どもを守りたいという故平沢町長の遺志を継ぎ、日本に先駆けて、青森県の教育委員会には、この問題に気づき、過ちを訂正していただきたいと思います。どうか、11月1日に予定されているJTディライトフォーラムの後援を取り消し、今後このような会には、一切組しないで下さい。

 本会は、地域、職場学校などの禁煙化についての実践や、職員や児童生徒の禁煙支援、タバコ問題の啓発などに専門的に取り組んでいる人材も多数在籍しております。連携を取りながら教育委員会のタバコ対策にご協力できると思います。今後も、敷地内禁煙のルールを徹底し、タバコ問題の啓発に取り組み、子ども達がタバコと縁のない人生を歩めるよう、御尽力くださることを心よりお願い申し上げます。

草々

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