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青森県の四大夏祭り会場の禁煙化についての要望とその回答(→印刷用:MS-WORD 48K

報道発表資料

平成17年(2005年)7月20日
追補 7月25日
追補 7月26日
青森県タバコ問題懇談会

青森県の四大夏祭り会場の禁煙化要望とその回答について

【経緯】

 当会では、青森県の貴重な文化的財産であり観光資源でもある夏祭り会場において、子どもや妊婦を含む観光客が受動喫煙や火傷の事故などの被害を受けずに祭りを楽しむことができるように、7月1日付けで四大夏祭り(青森ねぶた祭・八戸三社大祭・弘前ねぷたまつり・五所川原立佞武多)主催者に対して、下記の5項目の要望を送付いたしました。
 7月26日までにお送りいただいた回答をまとめてここに発表させていただき、県民および全国に情報を発信していきたいと思います。ご回答いただいた関係者の皆様にはお手数をおかけしたことに篤く御礼申し上げます。しかしながら、現在までの対策は未だ不十分と言わざるを得ず、本年度および来年以降の夏祭り会場の禁煙化について更なる進展を強く望むものです。
 また、今回要望を出すことができなかった県内の全ての祭り・イベント関係者の皆様にも、同様の対策を早急に進めていただきたく、この場を借りてお願い申し上げます。

【要望】 (要望書全文およびその根拠と解説については別紙4・5をご覧下さい)

  1. 観覧席・桟敷席については、健康増進法にのっとり全面禁煙にして下さい
  2. それ以外の祭り会場の路上・広場なども大きな混雑が予想されることから、受動喫煙および火傷等を防止するためには全面禁煙にして下さい
  3. もし喫煙所を設ける場合には、人混みから最低でも20m以上離れていて、風向き等も考慮して通行人に受動喫煙の被害が及ばないところに限定して下さい
  4. 喫煙所として、日本たばこ産業(JT)の街宣喫煙車「スモーカー」や、フィリップ・モリスなどのタバコ会社が設置した喫煙コーナーを用いないで下さい
  5. 以上のような対策については、メディアや旅行会社等を通じて事前に周知徹底し、当日も会場における禁煙表示だけでなくチラシ配布などで観光客の理解と協力を求めて下さい

【回答の概要】

青森ねぶた祭   観覧席・桟敷席は全面禁煙(別紙1
八戸三社大祭   当初の回答に、観覧席禁煙呼びかけや沿道の禁煙表示等の対策が追加(別紙2−1・2
弘前ねぷたまつり 7月26日に回答あり、観覧席や沿道で放送・広報車による禁煙の呼びかけを行う(別紙3
五所川原立佞武多 返答未(7月25日現在)…観覧席・桟敷席は全面禁煙の予定

【新聞掲載記事】
県内の夏祭りに禁煙の動き広がる(2005年7月23日 東奥日報)
「4大夏祭り、禁煙を」 有志の会が要望 (2005年7月25日 朝日新聞)

【本会からのコメントと更なる要望】

 青森ねぶた祭では、健康増進法にのっとり観覧席・桟敷席の全面禁煙を既に実施しているとのご回答をいただき、深く敬意を表します。しかしながら、このことは青森市内の当会会員の間でも知られておらず、昨年までの経験で観覧席における受動喫煙の被害例も報告されていることから、今後はより徹底した対策をお願いしたいと思います。今回の発表を機に「タバコの煙害や火傷の被害のない安全・安心なねぶた祭」を全国に強くアピールしていくべきと考え、当会としても協力を惜しまないつもりです。

 要望2については残念ながらご回答いただけませんでしたが、要望書にも書いたとおり、受動喫煙や火傷の被害の可能性は、観覧席よりもむしろ混雑する路上の方が高いものと考えられます。想定される対策としては、禁煙の表示およびチラシ配布や、直接の呼びかけによって理解を求めることで十分可能であり、違反者の注意や摘発などの必要性はほとんどなく、すぐにでも実施可能なものと考えられます。実行委員会のみならず、市民や観光客の意見を把握されることを強く望みます。観光客の圧倒的多数は、祭り会場における路上禁煙に賛成するはずです。現状のまま放置して火傷などの被害が生じた場合には、主催者の責任が問われる事態も想定されます。早急なる対策を望みます。

 要望3・4・5については残念ながらはっきりとしたご回答をいただけませんでした。関係各位で要望書の趣旨を再度ご確認いただき、きちんとした対策をとられることを望みます。

 八戸三社大祭では、当初運行中の山車組の「経路上での禁煙」以外には、本年度は5項目の要望のいずれも実施できないという残念なご回答でしたが、その後の検討により本年度から観覧席の禁煙呼びかけや路上・会場における禁煙表示の検討など、大変前向きな対策を実施するとのご回答を追加でいただきました。かなり安全・安心な状況に近づきつつあり、大いに評価できるものと考えられます。来年度以降も、より一層徹底した対策をお願いしたいと思います。

 しかしながら、三社大祭ではJTの「スモーカー」が来るという情報は未だないものの、八戸市と八戸市観光協会とJTが共催で、祭り当日に街の清掃を行ってJTグッズがもらえるキャンペーンを実施するという言語道断の事態が発覚しました。これは規制を実施すべき自治体と規制される側の企業との癒着以外のなにものでもなく、ダブルスタンダードと強く非難せざるを得ません。上記の対策の評価を帳消しにして余りある大きな失政であり、早急に中止しない限り八戸三社大祭のタバコ対策は残念ながら評価に値しないことになってしまいます。

 弘前ねぷたまつりでは観覧席や沿道での禁煙を放送や広報車で呼びかけていくとのご回答で、準備期間が短い中で真摯に対応していただけたと思います。要望4のJTとの関わりを明らかに否定したのも弘前だけであり、評価できます。来年度は更なる対応をお願いいたします。

 五所川原立佞武多からは、7月25日現在、残念ながら正式なご回答をいただいておりませんが、新聞社の取材によると観覧席の全面禁煙が予定されているということであり、着実な対策により実質的な効果が上がることを期待したいと思います。

代表世話人 久芳康朗

連絡・問い合わせ先
〒030-0813 青森市松原1丁目2-12 青森県保険医会館内
青森県タバコ問題懇談会事務局
TEL 017-722-5483 FAX 017-774-1326
E-mail kinen-aomori@ahk.gr.jp URL http://aaa.umin.jp/

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(別紙1)

平成17年7月15日

青森県タバコ問題懇談会 様

青森ねぶた祭実行委員会
事務局長 佐藤廣美

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
この度、青森県タバコ問題懇談会様から頂戴いたしましたご要望につきまして、ご回答申し上げます。

 青森ねぶた祭は、お陰様で国指定重要無形民俗文化財の指定を受けて25年という節目を迎えました。
これを契機として全国から訪れる多くの観光客の皆様、県民市民の皆様がより楽しく観覧あるいは参加できるよう、一層の努力を積まなければならないものと考えております。

 青森ねぶた祭を観覧あるいは参加するお客様には、たばこを吸われる方も吸われない方もいらっしゃいます。
双方のお客様が気持ちよく祭を楽しんでいただくために、混雑する観覧席、桟敷席につきましては全面禁煙とさせていただいております。
このことにつきましては、会場内の立て看板、ポスター等で表示するとともに、会場アナウンスでもマナー遵守の呼びかけを行っているところです。
今後もこうした取り組みを継続していくとともに、お客様のご意見や世論の動向等を考慮しながら検討して参りたいと存じますので、何とぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 これからも皆様に愛される青森ねぶた祭を目指して参りますので、引き続きご指導、ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。

敬具

佐藤廣美/Mr.
(社)青森観光コンベンション協会 事務局長
住所 青森市橋本2丁目2番17号 青森県商工会館四階
電話 (017)723−7211 FAX (017)723−7215
URL あおもり案内名人 http://www.atca.info/ ねぶた案内 http://www.nebuta.jp/

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(別紙2−1)

青森県の四大夏祭り会場の禁煙化要望に対する回答について

青森県タバコ問題懇談会 様

平成17年7月1日付け文書での貴会要望について、下記のとおり回答いたします。

 八戸三社大祭協賛会としては、これまで「タバコ問題」に関しては、会場、観覧席、路上等の禁煙ということでは、今回の要望に対するご期待に添えるほどの話し合いがなされていないのが現状でありました。

 健康増進法による公共施設での全面禁煙については、祭り会場となる八戸市役所周辺でも喫煙所が設置されるなど、今年に入り徐々に対応がなされてきてはおりますが、祭り会場全域となってきますと、一般観覧客、周辺住民、商店街、祭り参加者等々すべてに行き渡る周知方法等について、考慮されなければなりません。

 実施主管である当会の全体的な会議については、6月中に全て終了していることもあり、また、これから周知するにしても、チラシ媒体が主になると思われますので、それらの締め切りについても、既に校了となっております。

 何分、貴要望書の到着が7月4日ということもあり、今回の祭りでの対応については至難のものと考えております。

 現在参加団体会議が辛うじて1回残されている程度ですが、その場では経路上での禁煙については周知することはできます。

 つきましては、一般観覧客、周辺住民、商店街への周知については、協賛会全体会議等で、来年度開催以降の重要課題として取り上げ、啓蒙活動に取り組んで参る所存でございますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

平成17年7月15日

八戸三社大祭協賛会
会長 天摩 正行

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(別紙2−2)

平成17年7月23日

青森県タバコ問題懇談会
代表世話人 久芳 康朗 様

八戸三社大祭協賛会
会長 天摩 正行

八戸三社大祭会場での禁煙化要望への回答について(補足)

時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、7月15日付で標記要望に関する回答をいたしましたが、その後行われました会議、打ち合わせ会等により、若干、補足事項の提示がありますので、下記のとおりお知らせいたします。

  1. 観覧席上での禁煙呼びかけについて
    八戸観光協会で設置しております指定観覧席に起きましては、特別に観覧席用の灰皿が設置されているわけではありませんので、観覧席現場担当者等を通じ「観覧席内禁煙」を呼びかけます。

  2. 路上・会場での表示について
    路上禁煙を呼びかける表示板のようなものも、キャブシステムのボックス或いは街路灯柱等にも表示できればと思っておりますが、今年度開催までの残された時間の中で市庁舎管理担当部門、商店街事務局、併催行事主管団体と折衝いたします。

  3. チラシ媒体等による周知について
    次年度以降、観覧席チケット・行事用チラシ媒体にも何らかの形で明示し、あらかじめお客さまにも周知できるよう、実施してまいります。

まだまだ、内容としては満足いただける内容ではないと思われますが、回答提示で終わりということではなく、祭り開催までの一週間の中でも若干の動きが出てくることも考えられます。
あらためて申し上げますが、当会といたしましては、本件を重要課題として取り組んでまいりますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

以上

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(別紙3)

平成17年7月25日

青森県タバコ問題懇談会御中

弘前市長                金澤 隆 
  (社)弘前観光コンベンション協会 会長 下山 徳弘
弘前商工会議所 会頭          新渡戸満男

青森県の四大夏祭り会場の禁煙化の要望について(回答)

 初夏の候 貴職にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
 さて、標記の件につきまして、下記のとおり回答いたしますのでよろしくお取り計らい下さるようお願いします。

  1. 観覧席・桟敷席の全面禁煙について
     弘前ねぷたまつりの有料観覧席につきましては、社団法人弘前観光コンベンション協会で設置、運営しております。
     今年度につきましては、事前準備の都合上全面禁煙に関する対応はできませんでしたが、禁煙の協力につきまして、有料観覧席向けの放送設備を利用しながら、祭り会場の禁煙について、お願いしていきたいと考えております。

  2. 祭り会場となる路上・広場などの全面禁煙について
     弘前ねぷたまつりは、市内主要幹線道路を主な運行コースとしており、例年、7日間のまつり期間中約150万人の人出となっております。
     運行コースの沿道はかなり混雑しており、そのような状況の中での喫煙は受動喫煙を始めやけどの危険性が思料されるところであります。
     しかし、祭り会場となる路上・広場などの全面禁煙については、実効性のある対応を検討する必要があり、今年度につきましては、市広報車による禁煙の協力の呼びかけを実施する等対応していきたいと考えております。

  3. 喫煙所の設置について
     喫煙所につきましては、現段階では設置の予定はありませんのでご了承下さい。

  4. 街宣喫煙車の設置について
     街宣喫煙車の設置につきましては、現段階では予定しておりませんのでご了承下さい。

  5. 禁煙表示及びチラシの配布について
     主催者といたしましても、喫煙は生活習慣病の最も大きな危険因子であり、受動喫煙による危険性も高いと考えられることから、個人の喫煙習慣にとどまらない健康問題として取り組む必要があると考えており、今後、弘前ねぷたまつり期間中の禁煙、分煙についてどのような対応が可能かも含め、関係者等と共に研究してみたいと考えております。

以上

担当:〒036−8551
弘前市上白銀町1番地1
弘前ねぷたまつり本部担当
弘前市商工観光部観光物産課 高橋
電話 0172-35-1111 内線532

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(別紙4)

平成17年(2005年)7月1日

青森ねぶた祭実行委員会委員長 蝦名文昭 殿
八戸三社大祭協賛会会長    天摩正行 殿
五所川原立佞武多実行委員会委員長 殿
弘前ねぷたまつり実行委員会委員長 殿

青森県の四大夏祭り会場の禁煙化についての要望

青森県タバコ問題懇談会 代表世話人 山崎照光(青森市)
代表世話人 鳴海 晃(弘前市)
代表世話人 久芳康朗(八戸市)

拝啓 例年になく遅い梅雨入りとなりましたが、県民だけでなく全国の観光客が待ち望んでいる「青森県の四大夏祭り」もいよいよ間近に迫り、準備に大変お忙しい日々をお過ごしのことと拝察されます。

 私ども青森県タバコ問題懇談会は、タバコの害のない青森県をつくるために医療、教育、保健、行政、メディア関係者の有志が参集して活動している団体です。

 すでにご存じのことと思われますが、2003年には受動喫煙の防止を施設の管理者に義務づけた「健康増進法」が施行になりました。さらに、世界保健機関(WHO)では、タバコによって毎年500万人もの人が犠牲になりその数が毎年増え続けている現状を踏まえて、世界各国の人々の命をタバコ産業の広告・販売促進活動から守るために「タバコ規制枠組条約(FCTC)」を制定し、日本も2004年に批准して本年2月末には発効となり、ようやくわが国でも世界の流れに沿った本格的なタバコ規制政策が実施されることになりました。

 また、東京都千代田区に始まる「路上喫煙防止条例」の制定は全国各地の自治体に波及し、先日青森市において開催された世界禁煙デー企画『脱タバコ元年−無煙社会を目指して』において、本県でも路上喫煙防止条例を早急に制定する必要があることが、国会議員や行政の担当者らを交えた出席者の共通の認識として確認されました。その中で、青森ねぶた祭をはじめとした県内の祭りやイベント会場における受動喫煙の被害や歩きタバコによる火傷の被害が、届けられないものを含めると相当数発生している現実が浮き彫りになりました。最近の新聞の投書欄に、弘前さくら祭りにおいて受動喫煙の被害を受けたため主催者に対して喫煙の規制を求めるという市民からの要望が掲載されたのもご記憶にあるかと存じます。

 さらに、それぞれの祭り会場ではゴミの持ち帰りなどの協力を呼びかけていると聞き及んでおりますが、その中で実際に各会場において最も目立つのはタバコの吸い殻だということは全国どこでも共通してみられる現象だと思います。

 私たち青森県民の誇りであり、最大の観光資源でもある青森県の四大夏祭り会場において、観光客が受動喫煙や火傷などの被害を受けるような事態は、県内外からの観光客だけでなく、主催者の方々にとってもあってはならないことであり、その予防には最大限の努力が払われるべきと考えます。当会では、タバコ問題についての専門的立場から、夏祭り会場における受動喫煙および火傷予防対策として以下の5項目の要望をさせていただきますので、ご検討下さいますようお願い申し上げます。なお、ご回答につきましてはメディアやインターネット等を通じて全国に発信して、「タバコの害のない健康で安全な青森の夏祭り」をPRしていく所存ですので、ご協力の程よろしくお願いいたします。

 なお、誠に恐縮ながら、祭りまでの期日が限られている関係上、7月15日までにご回答下さいますようお願い申し上げます。

 今年も四大夏祭りが事故もなく盛会の元に開催されますことを心より祈念しております。大変お忙しい中、このような要望を出させていただく失礼をお詫び申し上げます。

敬具

要 望

  1. 観覧席・桟敷席については、健康増進法にのっとり全面禁煙にして下さい

  2. それ以外の祭り会場の路上・広場なども大きな混雑が予想されることから、受動喫煙および火傷等を防止するためには全面禁煙にして下さい

  3. もし喫煙所を設ける場合には、人混みから最低でも20m以上離れていて、風向き等も考慮して通行人に受動喫煙の被害が及ばないところに限定して下さい

  4. 喫煙所として、日本たばこ産業(JT)の街宣喫煙車「スモーカー」や、フィリップ・モリスなどのタバコ会社が設置した喫煙コーナーを用いないで下さい

  5. 以上のような対策については、メディアや旅行会社等を通じて事前に周知徹底し、当日も会場における禁煙表示だけでなくチラシ配布などで観光客の理解と協力を求めて下さい

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(別紙5)

根 拠 および 解 説

  1. 観覧席・桟敷席については、健康増進法にのっとり全面禁煙にして下さい

     現在、国内で毎年11万人以上の喫煙者がタバコによる病気で亡くなっているだけでなく、受動喫煙の被害により毎年2万人もの方が犠牲になっています。健康増進法の第25条では、不特定多数の人が利用する施設の管理者に対して、受動喫煙を防止する措置を講ずることが義務づけられており、施設の中には屋外競技場や娯楽施設等も含まれるとの厚生労働省健康局長通知(2003年4月30日)も出されております。実際にプロ野球や高校野球、Jリーグなどの屋外競技場は現在全て禁煙となっており、祭りにおける観覧席・桟敷席にも当然この法律が適用されることになります。仕切りのない屋外では分煙によって受動喫煙を防ぐことは不可能であり、全面禁煙にすることは法で定められた義務です。

     昨年、当会の会員から青森ねぶた祭実行委員会に出された禁煙の要望に対して「今後は、全面禁煙とまではいきませんが混雑の中での喫煙の危険性を考え、マナーを呼びかける広報活動から実施していけるよう委員会の中でも検討していきたい」という、要望の趣旨をご理解いただけていないお返事が届いておりますが、これは決して観客のマナーの問題ではなく、主催者側が観客の健康を守り法令を遵守するかどうかの問題であり、「禁煙にしない」という選択肢はあり得ないということをご確認下さい。

  2. それ以外の祭り会場の路上・広場なども大きな混雑が予想されることから、受動喫煙および火傷等を防止するためには全面禁煙にして下さい

     混雑するお祭り会場において、路上における受動喫煙や火傷の危険性は観覧席以上に高く、全面禁煙にする必要性が高いと言えます。県内の自治体において路上喫煙禁止条例が制定されていない現状でも、祭りの主催者として適切な禁煙表示と呼びかけを行うことにより、取締りなどを行わなくても禁煙に協力してもらうことは十分に可能であり、また、それが責務であると考えます。非喫煙者のみならず、ほとんどの喫煙者は適切な規制に対して好意的・協力的であり、トラブルが生ずることを案ずるよりも健康で安全な祭りであることを全国にPRしていく方がはるかにイメージアップにつながることをご理解下さい。

  3. もし喫煙所を設ける場合には、人混みから最低でも20m以上離れていて、風向き等も考慮して通行人に受動喫煙の被害が及ばないところに限定して下さい

     観客の中には小児や妊婦のみならず、喘息や狭心症・心筋梗塞などの持病を持つ方、さらにタバコ煙の様々な成分に対する化学物質過敏症の方も少なからずいらっしゃいます。喘息発作や狭心症・心筋梗塞は場合によっては死に直接結びつくこともある病態であり、迷惑やマナーといった問題ではなく命に関わる健康問題であることをご理解下さい。化学物質過敏症の患者さんは通常私たちがタバコの煙を感ずるよりもはるかに低い濃度で様々な苦しい症状が引き起こされるため、もし喫煙所を設ける場合には人混みから20m離しても十分とは言えず、できればそれ以上の距離をとることが望まれます。

     最も優れた対策は、喫煙所などは設けずに路上喫煙禁止条例を制定して祭り会場を含む中心街全体を禁煙エリアに指定することであり、そうなれば祭りの主催者が禁煙対策に頭を悩ます必要もなくなります。今年は間に合わなくても、早期の制定に向けて関係の皆様のご協力をお願いしたいと思います。

  4. 喫煙所として、日本たばこ産業(JT)の街宣喫煙車「スモーカー」や、フィリップ・モリスなどのタバコ会社が設置した喫煙コーナーを用いないで下さい

     「タバコ規制枠組条約(FCTC)」では、喫煙者の2人に1人を死に至らしめるタバコという致死的な商品の広告・宣伝活動に対して、世界中で一律に厳しい規制をかけており、従来みられた電車の車内広告や街頭の広告なども禁止となり撤去されています。

     それにも関わらず、タバコ会社ではマナーアップ広告やタイアップキャンペーン、各種イベントへのスポンサーシップなどの様々な方法で規制から逃れて実質的な販売促進活動を行っているのが実情であり、JTの「スモーカー」も分煙やマナーに名を借りた巨大な街頭広告塔であることはどなたにもご理解いただけるものと思います。また、さほど広くない車内は喫煙者にとっても劣悪な環境であると考えられ、喫煙者の健康を守るという意味でも勧められません。さらに、昨年は青森ねぶた祭においてフィリップ・モリス社の提供で喫煙コーナーを設置したということも実行委員会からご回答いただいております。

     これらの行為は、タバコ規制枠組条約が発効した現在では、全て国際条約に抵触する可能性が高いということを広く知っていただく必要があるとともに、祭りの主催者はタバコ会社と協力して「条約の規制からいかに逃れるか」を探るのではなく、条約の趣旨をご理解いただき、県民や観光客の健康を守るために「タバコの害のない青森の夏祭り」を実現させるよう、率先してご協力いただけますことを強く期待しております。

     参考記事:JTの「スモーカー」お目見え(2004年8月2日 東奥日報)
     http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2004/0802/nto0802_17.asp

  5. 以上のような対策については、メディアや旅行会社等を通じて事前に周知徹底し、当日も会場における禁煙表示だけでなくチラシ配布などで観光客の理解と協力を求めて下さい

     タバコ産業関係者などは、タバコという重大な健康被害を「個々の喫煙者のマナーの問題」にすり替えようとしていますが、実際には喫煙者の大多数は禁煙と定められているエリアでは喫煙せずに我慢することのできる方々です。しかし、同時にその大多数は程度の差はあれ「ニコチン依存症」という米国精神医学会でも定められた薬物依存症の状態にあり、「禁煙」という表示のないところでは、自らのニコチン欲求を満たすために周囲の人が多少の受動喫煙を被っても差し支えないという自己本位とも言える判断を下す傾向にあります。これは本人が悪いのではなく、「ニコチン依存症」という病気そのものによる症状であることをご理解下さい。

     夏祭り会場のような人混みで喫煙することの問題について、あらかじめきちんと情報を周知して禁煙に協力していただくように呼びかければ、正面切って反対する人はいないはずです。千代田区のように広い地域を禁煙に指定している場合でも、トラブルはほとんど起きておりません。しかし、禁煙の周知がなされていない状態で、喫煙している人に直接注意したり退場を指示したりしようとすれば、夏祭りという独特の雰囲気の中でトラブルは避けられません。

 祭りは特別の場だから法律や条約を守らずに済まされるわけではなく、特別の場であり全国から大きな注目を集めるいまこの時だからこそ、地域社会や全国の祭りの範となるよう率先して正しい対策をとっていくことが求められています。その実現のためには当会としてもできる範囲内でのご協力は惜しまないつもりです。この5項目の要望に対するご回答につきましては、全国の禁煙活動関係者だけでなく、マスメディアなどを通じて、青森の夏祭りに行ってみたいと思っている多くの国民や、全国の祭り関係者、街づくり関係者などからも大きな関心を寄せていただけるものと確信しております。

 素晴らしいご回答をお寄せいただけることを信じてお待ちしております。

連絡・回答先
〒030-0813 青森市松原1丁目2-12 青森県保険医会館内
青森県タバコ問題懇談会事務局
TEL 017-722-5483 / FAX 017-774-1326
E-mail kinen-aomori@ahk.gr.jp
http://aaa.umin.jp/

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