UTIDAHMとは

機構長のごあいさつ Greetings from the Director

機構長
四本裕子 総合文化研究科

人類がこれまで経験したことのない感染症により、半ば強制的に「新しい生活様式」での生活が始まりました。対面での人的交流が減る一方で、オンラインでの情報交換は飛躍的に増えました。世界情勢も動的に変化する中で、こころについての研究はより重要性を増しています。また、多様性と包括性が求められる中、多様な「こころ」をいかにして科学的に検証するかについても、深い議論が必要です。こころの一側面だけにとらわれるのではなく、その多次元な性質を理解するためには、学問分野の枠を超えた協調が欠かせません。

「こころの多様性と適応の統合的研究機構(UTokyo Institute for Diversity and Adaptation of Human Mind: UTIDAHM)」は、2015年6月に設立されました。その目的は、東京大学が豊富に有するこころの理解にかかわる研究者を結集して、こころの多様性と適応の統合的研究の発展を図り、総合人間科学の国際的拠点形成を目指すとともに、学融合的な分野の若手研究者を育成することにより、人と人が共感し協力しあうこころの健康社会の創成に貢献することです。

設立以後、各部局の支援のもと順調に活動を行うことができ、専任教員2名の配置、新たな共同研究の開始、参加部局の拡充など、大きく成長することができました。2021年度にはUTIDAHMを改組し、2017年に連携研究推進を目的として設立された「人間行動科学研究拠点(CiSHuB)」の活動を今後はUTIDAHMで行うことになりました。また、2018年度に採択された世界トップレベル研究拠点プログラム・ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI IRCN)とも密に連携し、今後全部局の融合を目指した共同教育研究体制の構築を目指しております。

教育面でも、2016年度より東京大学部局横断型プログラム「こころの総合人間科学教育プログラム(Program for Human Integrative Science and Education of Mind: PHISEM)」の運営を開始しました。東京大学に在学する学生が、部局の枠を超えて多様な視点から人のこころについて学ぶ環境を提供することを目的としたプログラムです。メイン講義である「こころの総合人間科学概論」は100名近い履修者を数え、MRIの原理から計画立案、実際の計測、解析までを学習できる「脳認知科学実習」、医学部以外の学生にさまざまな精神科医療保健福祉現場を体験させる「臨床発達精神医学実習」など、バラエティに富んだ講義や実習があり、学生の認知度も高まってまいりました。

今後も、これらの研究と教育体制を基盤に、大学院教育、若手研究者育成、産学連携、国際化対応を強化し、本機構がこころの科学教育・研究における世界トップクラスの地位を占めるよう、取り組んで参ります。

全体構想

全体構想

シンポジウム報告

2019年度以降、CiSHuB公開講義「人間研究のための基礎知識」を共催

CiSHuBとの統合

人間行動科学研究拠点準備室(Center for Integrative Science of Human Behavior; CiSHuB)は、文理を越えた融合領域の形成を目的として、2017年に開設されました。2022年4月よりUTIDAHMと統合し、メンバーを拡充して活動を行っています。