概要

ごあいさつ

機構長
長谷川寿一
総合文化研究科
長谷川壽一

 現代は、少子高齢社会を担っていく子どものこころの健やかな成長や、若者が希望を持って生きられる社会の構築がいっそう求められています。こころの発達の過程における問題は横断面による理解だけでは不十分です。家族や学校や仲間など周囲との相互作用を通じて本人のこころに取り込まれたものが発達に寄与してさらに周囲との関係を変化させるということを繰り返すうちに、こころの問題が悪化することもあります。このような本人と周囲との相互作用の連鎖が発達に寄与することは子ども期について強調されがちですが、思春期・青年期でも重要です。

 さらには、自我や価値観などの人間性が成熟するライフステージとしての長い思春期・青年期は、人に特有であることが知られている一方、人類史上まれに見るスピードで変化する社会・人工環境のなかで、人間の脳とこころがどのように適応していくのかを解明するには、系統発生・進化心理学的視点も必要になってきています。

 個人の脳とこころが乳幼児期から成人期までの段階を経て多様性をもつにいたり、社会との相互作用のなかで適応していくという総合人間科学的視点からのこころの理解は、その重要性にもかかわらず実際には十分に行われてきませんでした。

 このような背景から、東京大学では、総合文化研究科、医学系研究科、人文社会系研究科、教育学研究科、法学政治学研究科の緊密な連携により、ここに「こころの多様性と適応の統合的研究機構」を設置致しました。

 本機構は、心理学、実験社会科学等の人文社会科学と精神医学等の医学の融合、および基礎と臨床研究の融合を目指します。さらには、学内関連部門との連携により、こころの発達と障害に関する総合人間科学的教育を学生、若手研究者、若手実践家に提供することによって、領域横断的な人材の育成にも取り組んで参ります。

Concept

図

キックオフシンポジウム報告

2015.06.13当機構のキックオフシンポジウムを開催しました

学生からポスドク、教員、一般の方まで幅広く、のべ120人を超すご参加をいただき、非常に盛会でした。ご参加くださった皆様、ありがとうございます。
アンケートでもこれからの機構の活動への期待や貴重なご意見を多数いただき、改めて活動の充実を誓う船出となりました。

日  時
2015年6月13日(土) 13:30~16:30
開催場所
医学部教育研究棟13階 第6セミナー室
司  会
加藤淳子(法学政治学研究科)/能智正博(教育学研究科)

機構長の長谷川寿一による設立趣旨・機構概要の説明に続き、保立和夫先生・宮園浩平先生・小川桂一郎先生・熊野純彦先生からのご祝辞をいただきました。「こころ」の領域について分野横断・統合的な研究がよりいっそう推進されることへの、期待の声をいただきました。続いて当機構に参加する研究者からの研究発表が行われました。

プログラム

開会ご挨拶・機構の概要
機構長 長谷川寿一(総合文化研究科)
ご祝辞
東京大学理事・副学長 保立和夫先生
医学系研究科長 宮園浩平先生
総合文化研究科長 小川桂一郎先生
人文社会系研究科長 熊野純彦先生
閉会ご挨拶
加藤淳子・能智正博

研究者からの発表

岡ノ谷一夫 《総合文化研究科》
前適応説にもとづき言葉の起源を考察する「言葉の発生の3要因」という発表が行われ、言葉が発生するために必要な前適応として、 ①発声の学習 ②文法の生成 ③意味の文節化の3要素ついての研究成果が発表されました。
笠井清登 《医学系研究科》
「総合人間科学としての思春期学」では、精神疾患に関する科学研究の知見と、精神科医としての臨床経験を統合的に述べられました。思春期が、子どもから成人への生物・心理・社会的な移行期であること、またヒトのライフコース全般に影響をおよぼす重要な価値形成期であることが強調されました。
亀田達也 《人文社会系研究科》
「実験社会科学と人文の知のつながりを考える」という発表が行われました。公正に関するマキシミン・ルール(ジョン・ロールズ)を実験心理学的に実証しつつ、その脳神経基盤に迫るという内容で、人間の社会認知や行動についての、規範的理論と記述的理論を融合させる試みでした。
金生由紀子 《医学系研究科》
児童精神医学を例にしながら、基礎・臨床をつなぐ人材育成モデル
(http://plaza.umin.ac.jp/~UTIDAHM/training.html)についての提案を発表されました。
  • 長谷川寿一

    長谷川寿一(総合文化研究科)

  • 保立和夫先生

    保立和夫先生(東京大学理事・副学長)

  • 宮園浩平先生

    宮園浩平先生(医学系研究科長)

  • 小川桂一郎先生

    小川桂一郎先生(総合文化研究科長)

  • 熊野純彦先生

    熊野純彦先生(人文社会系研究科長)

  • 岡ノ谷一夫

    岡ノ谷一夫(総合文化研究科)

  • 笠井清登

    笠井清登(医学系研究科)

  • 亀田達

    亀田達也(人文社会系研究科)

  • 金生由紀子

    金生由紀子(医学系研究科)

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