【医学生理学豆知識 第2回】 ネコは甘いものが嫌い?


(このコラムは、PQJ2017公式facebookに以前投稿されたコラムの再録です)

ネコちゃんに甘そうなどら焼きをあげてみたら…

https://m.youtube.com/watch?v=JjMFwPltjHc

なぜネコは甘いものに興味がないのでしょう?

動物は味覚を主に舌で感じます。味覚には、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味があり、それぞれを感じるセンサーである味覚受容体が舌に存在します。

このうち、甘味、苦味、うま味は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)で知覚され、特にうま味と甘みは、3種類あるT1Rファミリー受容体により感知されます。
T1R1とT1R3がペアを組んだときはうま味を感知し、T1R2とT1R3がペアを組んだときは甘みを感知するのです。
https://goo.gl/cDpGna
(参考画像 百珈園 コーヒー科学研究室様)

ところがイエネコ、チーター、トラなどのネコ科の動物では、甘み感知に必要なT1R2受容体遺伝子が機能していません。
そういう訳でネコは甘いものを知覚することができず、甘い食べ物を好まないのです。
動物の行動は、このようにちょっとした体のつくりの違いにより決まってしまうことが多いのです。この点は我々ヒトも例外ではありえません。

ヒトの味覚障害の多くはT1R、T2Rファミリーの味覚受容体の異常が原因です。さらに、ヒトの味覚受容体は20代ではまだ未成熟であり、壮年期になるまで味覚受容体の数は増え続けます。言い換えれば、あなたの味覚はこれからもドンドン変わって行く可能性が高いのです。
今は味オンチで食事は質より量というあなたも、今後歳をとるとグルメになるかもしれませんね。

『このシリーズではこれからも医学、生理学の面白い話を紹介していきます。ご感想やリクエストがありましたらぜひコメントやメッセージでお寄せください。』

(文責 中居薫花 構成 井上鐘哲 初投稿 2016/6/7)

【参考文献】
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/味覚受容体
https://sites.google.com/…/coffe…/physiology/taste/receptors
http://ci.nii.ac.jp/els/110004999293.pdf

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