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NEJM勉強会2003 第22回03/07/02 実施 Aプリント 担当：蔵野 信（kurano-tky@umin.ac.jp） Case 13-2003: (Volume 348(17))
【患者】14ヶ月の男児 【主訴】肝腫大、左側下垂、前頭部の骨性腫瘤 【現病歴】数ヶ月前から便秘気味で、2〜3日ごとに1回硬い便が出ていた。 3ヶ月前、2〜3日の間、最高39.4℃の発熱が見られた。 2ヶ月前、間欠的に発汗が見られ、熱も見られたが37.8℃を超えたことはほとんどなかった。この頃、肛門周囲には発疹がみられた。皮膚科にて一連の抗生物質の局所投与が行われたが、無効であった。 1ヶ月前、頭蓋に発疹が見られ、また腹部の膨張が見られた。 16日前、肛門周囲の辺縁不明瞭、皮膚垂(ポリープ)、粘液の浸出を伴った裂け目のため、MGHで診察を受けた。便軟化薬を処方され、CFの予約をされた。 1週間前、患者は間欠的に頭をぶつけだし、それとほぼ同時に前頭部に腫瘤が見えた。その腫瘤は痛みもなく、変色もなかった。 5日前、CFで大腸、直腸にとても隆起した結節が見つかった。Lymphoid Hyperplasiaが疑われた。大腸、直腸の粘膜はもろく、触ると容易に出血した。この時点で左側下垂が明確に存在した。CFの生検の結果は大腸の粘膜は構造的には正常で、リンパ球の浸潤は見られたが、肉芽腫や炎症性腸疾患の所見は見られなかった。上部消化管、小腸の検査においても炎症性腸疾患は否定的であった。水様性の便標本からは、原虫、蠕虫の卵は検出されず、また、Clostridium difficile toxin検査陰性、便培養ではNormal Floraであった。肛門周囲病変に対しては酸化アルミニウム、酸化マグネシウムが用いられたが効果はなかった。その後、さらに腹部膨満となり入院。 最近、活力の低下が見られるような気がする。痛みは排便時のみ、体重はここ2週間で1.5kg減少。 【既往歴】昨春に喘鳴が生じ、albuterolをネブライザーで一日2〜3回吸引した。その他特記すべきことはない。 【入院時現症】BH 79cm, BW10.8（身長・体重は年齢相当） 〔一般所見、バイタルサイン〕BT37.1℃、PR136、RR60、BP100/50mmHg 〔外見・印象〕うれしそうに見え、また社会性もあると考えられる。栄養状態もよさそうに見える。 〔頭頸部〕前頭部には半径2cmの圧痛のない結節があり、同部位に怒張した静脈が見える。また、頭部、耳には脂漏性病変が観察される。口唇には水疱性病変があり、両側鼓膜の裏には液体が溜まっているようである。 〔リンパ節〕頚部、鼠径部ともに両側触れる 〔胸部〕心音：��/�� systolic ejection murmur 肺音：N.P. 〔腹部〕膨満はあるが圧痛はない 肝臓は右肋弓下10cm触れ、正中線を2cm越える 脾腫はなし 〔直腸診〕重度の肛門周囲潰瘍 〔神経学的所見〕左眼の下垂・突出。視野・脳神経・筋力・筋緊張・自発運動・痛覚・触覚異常なし。 深部反射は正常だが、左足根関節反射(left ankle jerk)は低下。Babinski, Hoffmanとも陰性。 〔血算〕WBC13,200/μL(Eos1%, Mono1%, Baso1%, Lym25%, Neu64%, Atypical lymphocytes8%), Ht35.3%, MCV69fl, Plt53.5×104/μL, Reticulocyte 2.0%, Microcytes +++ 〔生化学〕glu, electrolytes, Mg, BUN, Cre, Ca, P, T.Bil, D.Bil, Amy norma T.prot 7.1g/dL, Alb 3.0g/dL, Globulin 4.1g/dL, UA 3.3mg/dL, ALP 1324U/L, AST normal, ALT 135U/L, LDH 102U/L, Lipase 1.1U/L. 〔凝固〕PT, PTT normal 〔腹部超音波〕腫大した肝臓が見える。胆管・胆嚢の拡張は無い。肝門部に1〜2cmの数個のリンパ節を認める。脾、膵、腎は正常。腹水なし。 〔CXR〕右肺にslight peribronchial cuffing 〔腹部・骨盤MRI（図１）〕右腎のすぐ前に、肝門部内の浸潤性の腫瘤があり。この腫瘤は門脈に沿って肝左葉・右葉に広がる。上は小網、下は腸骨までで長さは12.2cm。T1ではmuscleとiso, T2ではややhigh. 骨盤内には1cm以下のリンパ節が散在している。T4, 5, 6, L2-5, 左腸骨、坐骨、大腿骨幹近位に多発性異常所見（転移を思わせる） 〔脳MRI（図2）〕多数の転移を思わせる骨病変が見られた。前頭骨には1.4cmX1.5cmの病変部、左側頭骨には頭蓋内に進入しているような腫瘤が見られた。左の蝶形骨、眼窩の外則には眼球突出の原因と見られるhigh areaが見られる。他にも右蝶形骨、頬骨、後頭骨、C3、L3の椎根弓などにもhigh areaが見られた。しかし、神経根の圧迫は見られなかった。 入院後、ある診断的手技が行われた。
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