NEJM勉強会2003 第15回 03/05/14実施 Aプリント 担当:藤田 大司 Case 5-2000 A 35-Year-Old Man with a Painful Abdominal Mass and Fever (Volume 342:493-500)
【現病歴】 35才の男性が圧痛を伴う腹部腫瘤と発熱のため入院した。 患者は西アフリカ出身であり、過去3年間の間に何度もアメリカへ旅行していた。5年前に腸チフス、数年にわたり何回かマラリア熱にかかったことがあるが、それ以外は概ね健康であった(最近では3ヵ月前にマラリア熱があった)。入院30日前にアメリカにやってきた。3、4日すると39.4℃の発熱があり、悪寒や頭痛、左下腹部の持続性の痛みが出現してきた。マラリアの再燃だと思い、 sulfadoxine-pyrimethamine とアセトアミノフェンを飲みはじめたが、1週間しても痛みは増すばかりであったので、近医を受診した。便検査では、虫卵はなく、その他の消化管寄生虫を示唆する所見は得られなかった。血液塗沫標本ではマラリア原虫は見られなかった。腹部CTでは公汎にわたる腹部リンパ節腫脹と隣接小腸壁の肥厚が認められた。当院入院となる。 患者はもともとは農業を営んでいたが、最近は教職にあった。 Unprotected heterosexual intercourse が5年前に一回あったと言う。食欲低下があり、このエピソードの経過中に10Kg痩せた。飲酒や薬物を使用したことはなく、結核やそれへの暴露、盗汗、咳、喀血、同性愛、STI、漢方薬の使用の既往もない。 【現症】admission on foot <vital> BT 37.0℃, PR 80, RR 20, BP 130/70mmHg <general appearance>appeared well <skin> コロっとしたリンパ節を submental , cervical , axillary, inguinal に触れるが、これはかなり前からあったものらしい <head> 鷲口瘡はない <heart> grade 2 systolic murmur (LSB+Apex) <lung> clear <abdomen> 辺縁がやや不明瞭なφ8cmの腫瘤を臍の左に触れる。可動性なく、圧痛あり、小房化していた <便潜血> negative <urine> ウロビリノーゲン(+)、タンパク(+) <血算> Ht 34.3%, MCV 76.0, WBC 4,800 (Band 17, Seg 76, Lym 2 Mono 4, Eos 1 ), Plt 47.5, <生化> UA 正常、Cre 正常、TP 7.4 g/dl、Alb 2.4 g/dl、Glb 5.0 g/dl、 Na 133 mEq/l、K 3.9 mEq/l、 Cl 98 mEq/l、CO2 25.5mmol/l、 Ca 8.1 mg/dl、P 2.5 mg/dl、Glu 163 mg/dl(随時)、TB 正常、DB 正常、LDH 350 U/l、ALP 正常、GOT 82U/l、GPT 正常、Fe 16 μg/dl、 TIBC 280 μg/dl、 Fer 449 <凝固> PT:normal, aPPT:normal, <CXR> 異常なし(figure 1)。 <腹部CT> 複数の腫大した腸間リンパ節を認め、中心部が低信号になっているものもあった。Mild-to-moderate な小腸壁の肥厚を認めたが、閉塞には至っていないようであった(figure 2)。 ある診断的手技が施行された。 Figure 1. Radiograph of the Chest Showing Normal Findings. Figure 2. Abdominal CT Scan Showing an Enlarged Mesenteric Lymph Node with Low Attenuation at Its Center (Arrow). |