「健康日本21」に対する意見 その1
団体名:日本フッ素研究会 会長 高橋 晄正
性別:男性
郵便番号:
住所:
電話番号:
意見
1981年創立の日本フッ素研究会(創立者 東京医科歯科大学柳沢文徳教授)は、
フッ素による虫歯予防の効用と害作用に関する研究を開始し、その成果を機関紙「フッ素
研究」No.1〜18に発表し、我が国で予想されるフッ素による健康被害を防止するために問
題を提起し注意をうながしてきた。
当研究会は、虫歯予防へのフッ素応用によって生じるであろう班状歯ならびに全身的
健康被害を危惧しており、特に安全域の狭い、桁違いに高濃度の劇物フッ化ナトリウムの
局所使用を規制することで、予想される被害を未然に防止したいと強く望んでいる。
要望事項1 フッ素入り歯みがき剤について
1.フッ素入り歯みがき剤について、下記の注意書きを入れるよう、歯みがき剤製造会社に
行政指導されたい。
(1)「子供の手の届かない所に置くこと。誤って歯磨きに使うよりも多量の歯みがき剤を
飲み込んだ時には、直ちに医者に行くか中毒管理センターに連絡すること」
(資料1、FDA) FDA 355 . 50 Labelling of Anticaries drug product. 1997
(2)「飲み込まないこと。6歳以下の子供には豆粒大の量で。子供が歯磨きするときには
歯みがき剤を飲み込まないように必ず大人が監視すること」
(資料2、WHO) WHO「テクニカル、レポート846」(1994)の本文1-2頁
要望事項2 フッ素洗口について
1.フッ素洗口については、WHO「テクニカル、レポート846」(1994)
12 . 5(33頁);12 . 6(33頁)で「6歳未満の子供では非推薦、禁忌である」
ことを指針にしていることを、地方自治体を通じ全国民に周知させること。
日本歯科医師会には、この勧告に従うよう指導すること。
2.アメリカのFDA(食品医薬品局)では「誤って洗口で用いられるよりも多量の洗口液を
飲み込んだ時には、直ちに医者に行くか中毒管理センターに連絡すること」という警告
を洗口液のラベルに記載するよう規定されていること(資料1)を製剤関係者に行政指
導をする一方、日本歯科医師会にはこの事実に注意するよう指導し、また洗口を指導す
る歯科医師(我が国では学校当局)はこのことを児童、生徒の家族に知らせた上で同意
を得るよう指導すること(インフォームドコンセント)。
指導要項3 フッ素塗布について
フッ素塗布については、下記3点の情報を、地方自治体を通じ全国民に周知されたい。
また日本歯科医師会等の関連団体に同様の情報を周知徹底されたい。
(1)8歳未満の子供には勧められない。(資料2、WHO)
「注:我が国では、1歳児から実施がのぞまれる、としている」
(2)その適応は、(a)矯正治療をしている子供(b)顎の付近の放射線治療をして唾液の
出にくい子供の二者に限定して使用を可としている。(資料2、WHO)
「注1:現行実施要領では、適応症の規制がない」
(3)「誤って塗布で用いられるよりも多量の塗布液を飲み込んだ時には、直ちに医者に
行くか中毒管理センターに連絡すること」。という警告を塗布液のラベルに記載
するよう規定されていること(資料1)を製剤関係者に行政指導をする一方、
日本歯科医師会にはこの事実に注意するよう指導し、また洗口を指導する
歯科医師(我が国では学校当局)はこのことを児童、生徒の家族に知らせた上で
同意を得るよう指導すること。(インフォームドコンセント)
「健康日本21」に対する意見 その2
氏名:秋庭 賢司
年齢:
職業:歯科医師
性別:男性
住所:
意見:健康日本21の最終委員会報告が昨年11月になされ、それぞれの目標値なるもの
が公表されました。歯科の分野でも齲蝕予防の目標値が出され、フッ素関連の項目では
1)3歳までにフッ化物歯面塗布を受けたことのある者の割合を50%以上とする。
2)学童期におけるフッ化物配合歯磨剤使用者の割合を90%以上とする。
旨の報告がなされております。特に1996年にフッ素塗布が保険導入されてからは、
塗布は日常茶飯事となりました。今一度フッ素の急性中毒量の再検討、及び慢性中毒
(歯のフッ素症)の調査が必要だと言えます。
A:フッ素の急性中毒は厚生省では2〜5mg/kgを採用(2mg:Goldwin.
H.B.1899,Whitford.G.M.1987)していますが、実際はその
1/10以下で悪心、嘔吐、倦怠感、流涎等の症状が出ており、塗布の後でぐったりした
という話は時々耳に入ります。(Eichler 他,Inter national
Journal of Clinical Pharmacology,Therapy
and Toxicology 1982 他多数の文献があります) 又、家庭内での
フッ素製品(洗口液、歯磨剤、錠剤等)による誤飲事故報告はUSAでは毎年3500〜
4000件あります。:米国中毒コントロールセンター協会(AAPCC)によるフッ素
関連事故報告(Annual report of the American
Association of Poison Control Centers
National Data Collection System,American
Journal of Emergency Medicine 1990〜1997)
以上の様にフッ素の中毒量2〜5mg/kgは救急入院処置が必要な量で、その1/10
以下の中毒量を採用すべきです。因に致死量は17.5mg/kgが報告されています。
(Alaska Department of Health and social
Services,Hooper Bay Waterborne Outbreak−
Fluoride, Final Report. April, 12, 1993.)
歯磨剤については日本では1000ppmが市販されています。これについても0.1
mg/kgを中毒量とすれば、10kg(1歳)の子がチューブ40g入り(イチゴ、
メロン味等)1gを飲み込むと、中毒の危険があることになります。
塗布は9000ppm1〜2ml(9〜18mgのフッ素)なので10kg(1歳)の子
が全量飲み込めば0.9〜1.8mg/kgとなり確実に急性中毒になってその1/10
の量でも中毒の可能性があります。以上のことから、何らかの行政的規制が必要です。
1)フッ素塗布の急性中毒事故の調査及び報告の義務付け
2)歯科衛生士による塗布が多いので毒性についての教育の徹底
3)正しい術式で行う:WHO Technical Report Series
847,Fluorides and Oral Health 1994,
p31では、NaF2%ゲルの効果を疑問視しています。
B:慢性中毒である歯のフッ素症は、北米で1980年代中頃から急増しているとの多く
の報告があります。1980年から1991年までの各報告では、フッ素地区で35〜
60%(81%の所もあリます)、非フッ素化地区で20%〜45%の歯牙フッ素症を
確認しています。多くは軽症ですが重症も増加しています。これらは飲料水以外の洗口、
歯磨剤、歯科治療剤等からの吸収を示唆しています。(文献D.Christopher
Clark.Community Dentistry and Oral Epid−
emiology1994他多数)日本でも中立的な立場からの学校の検診が必要です。
以上の意見は全て入手可能な資料によるものであり、evidence based
medicine (dentistry)の観点からも検討すべきです。