■ 講 師 : 旭山動物園 副園長 坂東 元 先生
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■ 演 題 : 伝えるのは命の輝き |
■ 会 場 : 札幌コンベンションセンター 特別会議場 (第15回 日本臨床工学会 第1会場) |
■ 日 時 : 平成17年5月21日(土曜日) |
■ 司 会 : 市立旭川病院 鷹橋 浩 |
【聴講にあたっての予備知識】 記) 旭川市在住 臨床工学技士 K.W
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日本最北の動物園が、これほどまでに注目される理由は何なのか?
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全国各地で動物園が相次いで閉園する中、旭山動物園(旭川市、小菅正夫園長)が快進撃を続けている。パンダのような集客の目玉になる珍しい動物がいるわけではない。どこの動物園にもいるような動物ばかりである。しかし、動物本来の野生の能力を引き出すユニークな展示手法が人気を集め、昨年7月の入園者数は東京・上野動物園を抜いて日本一に輝き、昨年は過去最高の集客数を記録した。地元経済への波及効果も大きく、日本最北の動物園が地域再生モデルとして日本のみならず世界から注目を集めているのだ。
その理由のひとつは斬新な施設づくりにある。既に訪れた方々も多いと思うが、水中トンネルで360度からペンギンの泳ぐ姿を展望できる「ペンギン館」、羽を拡げて悠然と泳ぐ姿は鳥類であることを誇示しているかのようである。
地上17メートルの高さでオランウータンが綱渡りを繰り広げる「空中運動場」。見ているとハラハラ・ドキドキさせられる。
去年出来たばかりの「ホッキョクグマ館」は、ホッキョクグマが泳ぐ迫力ある姿を水族館のようにして見るという類のない手法が、爆発的な人気を呼んだ。皆さんはホッキョクグマの足の裏を見たことがあるだろうか?ここでは白い毛が水中でゆらゆらなびく様子や足の裏までもが観察できるのである。
また、右の写真のようにアザラシが円柱のガラスの中を上下に移動する様子もその魅力を大いに引き出すアイディアで人気が高い。まるでアザラシが人間達を観察しに来ているかのようである。
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「行動展示」と呼ばれる独自の展示アイデアが素晴らしい。動物は人間に見られるとストレスを感じるといわれるが、「本来は好奇心が強く、隠れる場所さえあれば自ら人間に近寄ってくる」(小菅園長のお話)。こうした習性を引き出すことで臨場感あふれる展示を考案し、復活の原動力となったのだ。これだけ脚光を浴びても、まだ目標とするところの35%程度しか達成できていないという。旭山動物園はまだまだ進化し続けるのである。
いつも一緒にいる飼育員にしか分からない動物本来の魅力や驚くような行動を「是非、お客様にも見て頂きたい」というスタッフの思いが観客の心を揺さぶったのである。地道にコツコツと努力を続けられ、日本一、いや世界一とも言える素晴らしい動物園をつくりあげている旭山動物園のスタッフの皆様には心から「おめでとうございます」と絶賛を贈りたい。
著者も旭川市在住だが、今まで「旭川でお薦めのスポットは?」と聞かれても困ったのだが、今は胸を張って「旭山動物園」と言えるのだ。私も誇りに思うのである。
こんな素晴らしい旭山動物園の副園長、そして獣医師としてご活躍されている坂東 元 先生に、ご多忙な中にもかかわらず、ご講演を頂くこととなった。
魅力ある病院をつくる上でもいろいろな部分で参考になるような気がする。自分の病院の魅力は何なのか?それを患者様に感じてもらいたいというスタッフ一同の「思い」を高めることは大切であろう。「行動展示」されるのは患者様…いや、我々スタッフであろうか。観客は一般市民であろうか…。
病院を豊かにするのではなく、患者様の生活を豊かにすることを目標にしていけば自ずと魅力ある病院へ進化することが出来るような気がする。「発想の転換」という意味では、この旭山動物園の快進撃は医療界においても大いに参考になるだろう。「患者様のニーズが何なのか?」という視点で物事を考えなければ満足な医療を実践することはできないわけである。
この企画は市民公開講座で聴講は無料です。ご自由にご聴講下さい。市民の皆様は奮ってご参加下さいますようお願い申し上げます。
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