■小児の救命処置における主な変更点
小児一次救命処置-
市民救助者の場合、または専門的な救助者が1人でいるときに小児の心停止を目撃したかそこに立ち会った場合、CPRを圧迫30回
に換気2回で行なう。最初に5回の救助呼吸を行い、続けて成人の一次救命処置で学んだように(as taught in adult BLS)圧迫30回に換気2回を続ける。
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緊急対応の義務がある救助者が2人以上の場合は、思春期の始まりまでの小児に対しては、CPRを圧迫15回に換気2回で行なう。児が思春期に達しているかどうかを立証することは適切でなく、その必要もない。救助者が患者は小児であると信じるならば、小児のガイドラインに従うべきである。
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乳児(1歳未満)における圧迫手技は以前と同じである。すなわち救助者が1人の場合には2本の指による圧迫法を適用し、2人以上の場合には胸郭包込み両母指圧迫法を適用する。1歳以上には片手法か両手法かの別はない。片手法あるいは両手法のどちらを用いるかは救助者が選択する。
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AEDは1歳以上の小児に使用する。1〜8歳の小児の場合、電気出力の減衰器の使用を推奨する。
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異物による気道閉塞への対処では、意識のない児の場合5回のレスキュー呼吸を試み、なお反応がないなら循環の評価を行わずに胸骨圧迫を行う。
小児に対する二次救命処置
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ラリンジアルマスク(LMA)は、使用方法を習熟している救助者には最初の気道確保用器具として容認できる。院内では、状況によってはカフ付きの気管チューブが有用なことがある。例えば、肺コンプライアンスが小さい場合、気道抵抗が高い場合、あるいは声門に大きなエアリークがある場合などである。定期的にカフ内圧をモニターするべきであり、その値を20cmH2O未満に維持しなければならない。
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過換気は心停止中には有害である。理想的な一回換気量は胸壁が適度に上昇する程度である。
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手動式除細動器を使用する場合は、初回通電時およびそれ以降も 4J Kg-1(二相性、単相性波形とも)でショックを与える。
心静止、無脈性電気活動(PEA)
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アドレナリンは10μg kg-1の用量で静脈注射(IV)あるいは骨髄内投与(IO)し、その後3〜5分ごとに繰り返す。血管は確保できないが
気管挿管中の場合、IV/IOラインが確保できるまでの間、アドレナリンを100μg kg-1の用量で気管内投与してもよい。
除細動の方策(Defibrillation Strategy)
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心室細動/無脈性心室頻拍(VF/VT)に対しては、ショックを1回実施した後、直ちにCPR (圧迫15回と換気2回)を繰り返す。波形を再評価したり、脈拍を探ったりしないこと。CPRを2分間行った後に波形を確認し、(必要ならば)再度除細動を行なう。
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2度目のショック後もVF/VTが持続する場合は、アドレナリン10μg kg-1を静注投与する。
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その後もVF/VTが持続する場合には、アドレナリンを3〜5分ごとに繰り返し投与する。
温度調節
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心停止後は積極的に解熱をはかる
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心停止後に自発的な循環を回復しているが昏睡状態の小児の場合、核心温32〜34℃で12〜24時間低体温を維持すると有効な場合がある。一定時間の中等度低体温の後、児を一時間に0.25〜0.5℃の割合でゆっくりと復温させる。
新生児の蘇生法
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新生児を体熱の損失から守ること。未熟児の場合には出生児の身体を拭いて乾燥させずに、プラスチック製のラップ(覆い)で頭部と体幹(顔は除く)を覆う。その上でラジアントウォーマーの下に横たえる。
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換気:肺の膨張を助けるため、最初の数回の送気(inflation)は2〜3秒かけて行うこと。
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アドレナリンの気管内投与は推奨しない。気管内投与を行う必要がある場合は、投与量は100μg kg-1とする。
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新生児が胸まで娩出されるより前に鼻や口から胎便吸引をすること (娩出前吸引(intrapartum suctioning))は有用でなく、今後は推奨されない。
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分娩室での標準的蘇生は100%の酸素下で行われるべきであるが、もっと低い濃度も容認される。
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