「Resuscitation」誌のILCOR-CoSTR 関連文献

論説4: 心肺蘇生と心血管緊急治療における科学と治療推奨の2005年国際コンセンサス会議中ならびにその前後の利害対立の管理

(Editorial 4: Conflict of interest management before, during, and after the 2005 International Consensus Conference on cardiopulmonary resuscitation and emergency cardiovascular care science with treatment recommendations)

目次
はじめに
COI手順の概要(Summary of COI Procedures)
COIポリシー実施の結果
参考文献


Resuscitation (2005) 67, 171-173 Circulation. 2005;112:III-131 〜 III-132
John E. Billi, David A. Zideman, Brian Eigel, Jerry P. Nolan, William H. Montgomery, Vinay M. Nadkarni
(最終更新 070527)

■はじめに

 一般の信用と国際蘇生連絡協議会(ILCOR)のエビデンス評価プロセスの健全性を維持するため、2004年にILCORは、オープンで効果的な方法によって、あらゆる真実や潜在的な利害の衝突を管理する、利害対立(a conflict of interest;COI)の方針1(以下、COIポリシーとする。
訳者註)を確立した。本エディトリアルでは、2005年エビデンス評価過程期間中の、ILCORとアメリカ心臓協会(AHA)のCOIポリシーとその適用を説明する。ILCORとAHAは、このプロセスに関するの読者からの質問とフィードバックを求める。

 ILCORのエビデンス評価過程の価値は、出版された科学誌の厳しい専門家のチェックに依存する。したがって、あらゆる可能性のある専門的な利害の対立が、エビデンス評価プロセスの計画及び最中に、完全に明らかにされて効果的に管理されることは、特に問題が起こるときに重要である。世界で最も権威ある科学者の多くは、真実のCOIあるいはCOIをもたらした専門の関係があるかもしれないので、そのような人によって全ての関係を避けることは必ずしも可能ではない。しかしながら、可能性のある対立の領域の彼らの関係を制限して、管理することが必要である。そして、特にそのような領域でコンセンサス声明または推薦に対する彼らの影響力を最小にする。ILCORのCOIポリシーは全ての、2005年コンセンサス会議の参加者、オブザーバー、ワークシートの専門家、ワークシート著者、ILCOR 2005年CPR合意文書(本supplementに出版されている)のエディタ、およびILCORプロジェクトに取り組んでいるすべての者に者に適応された。

 2005年コンセンサス会議の主催者として、AHAはAHA COI発表アンケートに記入して、全ての AHA COIポリシーに対応することをあらゆる参加者に要求した。AHAのCOIポリシーと手順2の目的は、AHAの意思決定プロセスとCPRとECCのAHA 2005年Guidelines(いわゆる、AHA G2005)の完全性を保護することだけでなく、AHAとAHAボランティアとスタッフにおける公的な信用を保護することである。

訳者註:「利害対立の方針: a conflict of interest (COI) policy」を「COIポリシー」とした。ポリシーという用語は最近、プライバシーポリシーという用語の定着もあり、却ってカタカナ表示の方が理解しやすいとの観点から、敢えて日本語に訳さないことにした。

■COI手順の概要(Summary of COI Procedures)

 2005年のエビデンス評価過程の各参加者は2005年コンセンサス・カンファレンスに出席する前に、ILCORとAHAのCOI発表書式に記入して提出した3。遅れて登録した人はオンサイト登録時に、COI発表書式に記入しなければならかった。AHAスタッフは、書式を見直して、両方のフォームの完成したバージョンがそれぞれの会議の関係者とワークシート作者によって提出されたことを確認(ensure)。ILCORタスクフォースの共同議長(例えば、Basic Life Support、Advanced Life Support、およびPediatric Resuscitationのタスクフォース)はCOIの可能性があるか、フォームを見直した。COIに関連する質問、関心はILCOR COI共同議長(John BilliとDavid Zideman)に決議のために提出された。修正措置としては、トピックや審議調整者(moderator)の再割り当てをして明かなCOIの無い人を振り当てたり、明かなCOIのある人をエビデンス評価の役割に当てないようにした。後者の例では、COIのないパネリストがすべて、エビデンスに基づく最終判定を作成し、コンセンサス声明や概要を草稿した。AHAとILCORはすべての公開フォームを、取られた行動の記録(written records of actions taken)と共に保有してきた。

 2005年のエビデンス評価プロセスの各々の参加者は出席する前に、ILCORとAHA COI発表書式に記入して提出した。各々のエビデンス評価ワークシート(この補足文書において、エビデンス評価における論説を参照のこと)には、著者がCOIの可能性について開示するための章(COIセクション)も含まれていた。COIセクションが完成されていないワークシートは受理されなかっ た。各々のワークシートのために提出されたCOI情報は、それが正確で一貫したものかどうか、AHAとILCORが持つCOI情報のファイルと相互参照された。

 2005年コンセンサス会議の始めに、各参加者には、各出席者の名前と所属機関がリストされたCOI小冊子と、利害対立の可能性のある、すべての宣言された産学関係(professional relationship)に関する基本的詳細事項(http://circ.ahajournals.org/cgi/content/full/CIRCULATIONAHA.105.166471/DC1参照)が配布された。各参加者には、参加者番号を割り当てられた。各参加者のCOI情報は番号順にCOI小冊子にリストされた。そして、それは遅れて登録した参加者のCOI発表情報があれば、毎日更新された。

 2005年コンセンサス会議を通して、全ての演者(予定あるいは予定外の)に関する継続的なCOI発表は、中断または手続きの遅れなしで提供された。議長、プレゼンター、パネリストまたは誰がフロアーからコメントするかどうかに関係なく、演者はすべて、名前と参加者番号を述べることを要求された。演者の機関とCOI発表情報をリストしているスライドは、演者のコメントの間、指定のスクリーンに投影された。こうすることで、会議参加者はCOI問題を来しうる演者の諸関係に関する情報(any relationships the speaker had that could pose a COI issue)を即座にまた連続的に受け取ることができた。参加者番号は、参加者が会議COI発表小冊子ですぐに発表をクロスチェックするのを可能にした。遅れて登録した者は彼らの情報がスライドに掲示されることができるまで、言葉で発表することを求められた

 すべてのモデレータ付きのセッション、聴衆からの質問、コメント、および声明は後の参考のために録音された。全演者は発言のたびに彼らの参加者番号を述べた、そしてそれによって、記録された演者を識別する作業と、利害の対立の可能性がもたらす影響を評価することが容易になった。

 COIモニター者(COIを監視する者)は、方針に従っていることを保証するためと、どのような不正(irregularity)でも記録するべく、各セッションに割り当てられた。モニターのレポートは再審査されて、AHAのCOI記録ファイル(documentation file)の一部として保持された。会議参加者は、COIモニター、議長または共同司会者とCOI問題を提起することを繰り返し思い出した。参加者はまた、彼らが自分でコメントをしたくないならば、匿名で問題を報告することができるために秘密のCOI電話「ホットライン」の番号を与えられた。参加者が(匿名で)COIの可能性のある問題を提起できるこの方法により、各日に数回、本会議でスクリーン上に示された。

 会議の間、セッション司会者によって解決できなかった新しいCOI問題または疑問はすべて、迅速に解決するためにILCOR COI共同議長に照会された。その問題が重大(sufficiently challenging)だと考えられるならば、それはAd Hoc COI Committee(下で結果を見よ)に委ねられた。Ad Hoc COI Committeeは、2005年コンセンサス会議コーディネーター(Willam Montgomery)、会議共同