伊豆大島火山爆発時の住民避難

     (森戸正夫. 救急医学 15: 1781-5,担当:三好)


 自然災害に伴う大規模避難では長時間に及ぶ計画的な救護活動、特別な
救急救護体制が要求される。

【島民の避難】
 大島町から東京都を通じ船艇の派遣の要請
 伊豆大島噴火災害支援対策本部設置

【救急救護体制】
1、現場救護所の設置
2、救護対象
   大島で入院していた島民、避難中に発生した傷病者、
   歩行困難な高齢者、身体障害者
3、収容医療機関の受け入れ体制
   東京消防庁支援対策本部から東京都衛生局に対して医療機関の確保
   を要請して東京都立病院が対応

【現場救護活動】
 現場救護所の救護取扱数50人

【避難から全面帰島するまでの約1か月間の救急活動状況】
 341件409人を医療機関などに救急搬送

【応急救護指導】
 避難島民の一時帰島に際し、帰島後救急事故に遭遇した場合に対処でき
  るよう、当庁支援対策本部会議にてこれが決定。
 指導は消防署救急隊員らにより25回1329人に対して実施。
 主な項目
  a)創傷処置:頭、手足の圧迫被覆包帯
  b)固定処置:前腕、上腕、下腿部の骨折固定
  c)心肺蘇生法:呼吸・脈拍の確認から人工呼吸、心マッサージの実施
         要領

【避難島民の全面帰島に伴う救急救護対策】
1、大島町に対する救急資器財の支援
2、全面帰島に伴う救急救護活動
 8000人の全面帰島に対応するため現場救護所を設置。所轄消防署指揮隊
 以下延べ45隊の救急隊、担架隊、防災機動車など消防職員延べ319人によ
 る救護体制。傷病者取扱234人。

【教訓】 1、協力機関との連携    各関係機関との連携対策および情報連絡体制    ヘリコプター、大型船舶などの確保にかかわる事前協定    近隣市町村などとの相互応援協定を確立する必要がある。    事前訓練を実施する必要がある。 2、消防活動    消防・救急にかかわる専門支援隊の早期派遣    地元消防団と連携した消火・避難誘導    島民の避難路確保など災害状況に応じた支援体制を確立する必要    がある。 3、避難者に対する救護体制の確立    医療情報ネットワークなどの整備が必要である。

【伊豆大島噴火災害 時間経過】 1986年 11/15, 17:25  第1回目の噴火 11/21, 16:15  第2回目の噴火     18:00  東京消防庁伊豆大島噴火災害支援対策本部の設置 11/21, 22:50  全島民に離島命令(避難開始) 11/21−11/22  現場救護所開設(竹芝・日の出桟橋、晴美埠頭) 11/30−12/12  避難している島民に対する応急救護指導 12/3−12/7   一時帰島,現場救護所開設(竹芝・日の出桟橋、晴美埠頭) 12/19−12/22  全面帰島,現場救護所開設(竹芝・日の出桟橋、晴美埠頭) 1987年 1/21, 13:00   支援対策本部を廃止、情報連絡室とした。