災害対策−『国際防災の10年』における保険医療の役割−

     (上原鳴夫. 救急医学 15: 1737-43, 1991,担当:村上)


災害について

定義=被災地域の対応能力を超えた生態系の破壊。

災害のサイクル

災害時の保険−処理能力を超える死亡者、傷害者の多発。

医療上の問題−施設、医療スタッフの損害や需要拡大による通常医療や保険活動の機能低下。感染症、衛生上の問題の発生。特異な状況下での心理的、精神的損傷のケア,避難民仮設キャンプでの保険衛生管理。

 災害時にはこのような多くの問題が生じるが、それに対する保険医療の役割(対処)と更に災害に備えての対策を以下にまとめる。

1.災害時の役割

2.災害に備えての対策
 建築、治水、砂防、予知などの本質的な災害予防対策と異なり,主に災害が発生してからの役割が期待される保険医療分野は,普段からの計画準備と教育訓練など『災害への備え』を必要とする。主なものは
  危険因子分析
  国や自治体の災害対策機構
  災害時の法的な臨時措置の整備
  地域や病院の災害計画及びその実地訓練
  医療資材の備蓄管理と被災時の補給体制の確立
  被災時に必要な基本情報の整備
   (道路地図、地域内医療施設の情報など)
  救急医療やトリアージの方法の標準化と保険医療
  スタッフへのトレーニング
  地域住民への捜索活動、応急処置の教育
  ニーズの迅速評価の方法と実施の計画
 などである。