I.非常事態での行動原則
1.災害対策本部の非常事態宣言が発動された場合,手術部の防災マニュアルに添って行動する.
2.手術部の指揮系統
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手術部部長,副部長。不在あるいは防災本部任務の場合は,以下の者が代行する。
手術部婦(士)長→副婦(士)長→日勤リーダー
- 勤務時間外の場合,上記の者が到着するまで,夜勤者が代行しする。
- 上記の指揮者が負傷等で指揮が不可能である場合,手術室勤務の看護婦が本部の看護部の指名を得て代行する。
- 職員は自主的に登院する。
3.病院防災マニュアルに従い,可能な限り予定手術の延期を伝達する。
4.患者の避難優先
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手術中の患者は,できるだけ速く創閉鎖し,創部を保護して搬送する.その際担当の麻酔科医師,主治医等の指示に従いアンビューバッグ等を使用する。患者の安全がすべての指揮系統の指示よりも優先する。報告等は搬送終了後でもよいが,可能な限り連絡を密に取り合い情報を指揮者に伝達する。
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移動が不可能な場合は,指揮者に連絡する。指揮者はすべてに優先し破損の進行,延焼などをくい止め,救出の努力を指示する。
5.手術部の被災状況の調査,報告と稼働状態の復帰
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指揮者は手術患者,職員の安否を確認し本部に報告する。その際,他への応援を優先するか,手術部の手術施行可能状況の調査を優先するかは本部の指示に従う。
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各手術室の破損状況,備品,手術器材,中央配管などチェックリストに従い調査する。指揮者あるいは,補佐員が本部に手術稼働可能状況を報告する。
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職員は手術施行可能状態の確保に努めるが,本部指揮者が指示する場合は他の応援を行う。
II.診療体制
1.予定手術の延期,緊急手術への対応-
非常事態宣言が解除されるまで予定手術の延期を各科に伝達する。
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緊急手術は,通常の緊急手術申し込みと同様の方法で受け付ける。
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各手術室の破損状況,備品,手術器材や人員などを配慮して,手術部婦(士)長と麻酔担当医が施行を決定する。
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可能な限り24時間体制を維持継続する。
2.手術スペースの運用
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搬送要員や外来診療スペースなどを考慮して,リカバリー室を手術待機室として使用できる。
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緊急(あるいは臨時)手術を考慮して,2件の手術スペースを確保するよう努める。
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必要であれは,同室で2件同時に手術行うなどの弾力的な運用に努める。
3.人員の確保
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緊急手術などの場合本部の応援要請により派遣している職員については,看護婦(士)長が必要と判断した時には呼び戻すことがある。
III.ライフラインと物資の補給
1.手術器材(別表(1))
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別表のコンテナセットは,破損や取り出し困難な状況にない限り使用可能である。
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電気,水の供給があり,中央材料部の業務が正常に稼働している時は,通常の洗浄,滅菌処理サイクルをできるかぎり維持する。
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材料部のサイクルが不可能となっている場合は,病院防災マニュアルに従い,血液や体液をぺ一パー等で拭き取った後,マスキンWに5分間またはステリハイドに30分間浸漬し,手洗い用蒸留水で洗浄し再利用する。
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手洗い用蒸留水が精製されない場合は,注射用蒸留水のボトル,ICUの濾過滅菌水,水道水の順に使用する。水道水等の供給がない場合は配給の水やペットボトルの水を使用する。
2.手術消耗品(別表(2)、(3))
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縫合糸類は,1本の糸で何回も縫合するなど,供給可能になるまで節約を医師に依頼する。
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不織布類は,可能であれば再生利用する。また,供給可能になるまで節約に努める。
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本部等に供給可能な縫合糸・不織布の量を報告し,供給・供出を行い,積極的に病院防災運用に協力する。
3.手術用薬剤(別表(4))
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薬剤部と連絡を取り,供給可能な薬剤から使用するように努める。
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院内での過不足の状況を薬剤部と相談し,供給・供出を行い,積極的に病院防災運用に協力する。
4.手術用手洗い水
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電力,水共に供給され,装置に損傷がない限り,毎時240LのRO無菌水の供給が可能である。製造された無菌水は積極的に院内に供給し,病院防災運用に協力する。
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電力,水のいずれか,あるいは共に供給が停止した場合は,貯水残量分(最大400L)が使用可能である。この場合の水は手術器材の洗浄に優先的に使用する。
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無菌水の供給が止まった後の手洗いは,病院防災マニュアルに従い,ウェルパスなどで擦式消毒し,二重手袋をする。