【あ】
Date: Thu, 22 Apr 1999 21:10:19 JST From: "Kousi Irie" Subject: [SEML:366] 気道閉塞関連 皆さん今晩は。鳥取県西部消防の入江です。 今回の気道異物の話とは少し話がずれますが、嘔吐物による気道閉塞に関連して、 私の経験した事を聞いて下さい。現場到着時に、心停止、呼吸停止の患者で、観察を すると、口腔内が嘔吐物でいっぱいでした。嘔吐物を掻き出し、喉頭鏡を使用しでさ らに咽頭部の吸引をし喉頭部入り口までおかゆ状の嘔吐物を吸引しました。きれいに 吸引し、そのとき声門までよく見えていましたが、さらに気管の中までおかゆ状の嘔 吐物が入っていると考え、側胸下部圧迫法(ハイムリック変法)を隊員に実施させまし た。喉頭鏡で声門部を見ていると、1回の圧迫で親指の頭大のお粥状の固まりが飛び 出してきましたので、それを吸引し、さらに数回圧迫を行いましたが、それ以上は何 も出て来ませんでした。 嘔吐物で口腔内がいっぱいになって倒れているひとの場合、口腔や喉頭部の吸引を し、人工呼吸を行う前にさらに、ハイムリック法により気道内の嘔吐物を確認する必 要があるのではないかと考えています。 皆さんは、どうお考えでしょうか。
【い】
Date: Fri, 23 Apr 1999 18:01:21 JST From: "真誠会" Subject: [SEML:375] Re [SEML:366] 気道閉塞関連 米子真誠会小田です。 非常に有意義な発言にいままでResがなかったのでとりあえず私が感想を述べます。 非常に的確な処置だったと思います。喉頭鏡で声門まできちんと見られたので技術 もかなりあると思います。 さてこのような症例に普遍的にハイムリック法をするかどうかは、全く応用編であ り、今回出来たからといって、必ずしも喉頭鏡使用技術が未熟な人に出来るわけで はありません、そしてそれにより時間をロスするようであれば、体内の酸素はどん どん低下して行きます。ですからやはり一般論としては口腔内の異物をきれいにし て声門が確認できるほどになればとりあえずアンビューで人工呼吸を数回行い、心 マッサージを開始してもう一度吸引を行うなり、ハイムリック法を行えば良いので は無いでしょうか。 酸素動脈血の飽和度は心臓が動いている患者さんでもアンビューバッグで押しはじ めてから2ー3分してやっと上がってきます。逆にある処置をしてからバッグで人工 呼吸を開始しても同じぐらいの時間酸素飽和度は低下を続けます。とにかく作業作 業の間で細かく人工呼吸を行う事です。 ところでこの方は蘇生に成功されたのですか。 小田 貢 Mail : hos19328@orange.ocn.ne.jp URL : http://www2.sanmedia.or.jp/hosp/ (毎週月曜夜ホームページを更新しています)
【う】
Date: Sat, 24 Apr 1999 00:33:51 JST From: "Kousi Irie" Subject: [SEML:378] Re:気道異物関連 西部の入江です、小田さん、ご指摘ありがとうございます。 残念ながら蘇生に成功しませんでした。まことに残念です。 ご指摘の蘇生開始までにに費やす時間のことですが、私も気になっております。 蘇生の手順としてA,B,Cで行うことに、そのころ私は疑問を持っていませんでし た。 ですから、気道を確保し、人口呼吸をし、心マッサージを行ったのですが。 現在この手順に疑問を持っています。 つまり、口腔や咽頭部に嘔吐物があふれている場合、人口呼吸を実施するの は、好ましくないのは、当然ご指摘の通りだとと思います、しかし、またご指摘のと おり、脳の酸素不足はどんどん進行しているでしょう。 そこで考えたのですが、この場合に、ハイムリックの代わりに、心臓マッサージを 人工呼吸より先に実施してはいかがでしょうか。胸骨を圧迫することにより、気道内 圧は上昇するはずですし、そのことにより、気道内の異物が出てくるのではないで しょうか。とりあえずは、脳に血液が、十分に酸素化されてはいない血液かもしれま せんがとりあえず循環 をはじめるのではないでしょうか。後で、こんなふうに考えるようになりました。 なぜ気道確保にこだわったかといいますと、この出動より前の事ですが、 (クモ 膜下出血が原因であると後で知りましたが)心停止、呼吸停止の患者が発生し、現場 に到着したとき同じように患者は、仰臥位にさ れており、この人も口腔内が嘔吐物で一杯になっておりました。同様に嘔吐物は取り 除きCPRを実施して搬送したのですが、搬送中心臓マッサージのたびに、嘔吐物が 口腔内まで出て来て、再度吸引を実施した経験が有ります。この吸引処置中に、気道 の奥から心臓マッサージのたびに嘔吐物が出てくるのを見ました。その経験が頭に浮 かびとっさに、ハイムリックを実施してみようと思いつかせたのではないでしょう か。 嘔吐物が蘇生の障害になることは、とても多いと思います。やはり、バイスタン ダーが嘔吐が起きたときに応急手当てが正しくできていると蘇生の可能性がもっと上 がるのではないでしょうか。このような蘇生に出来なかった患者の方を思い出すと、 一層その思いがつのります。 長い文章になりすみませんでした。