【e】
Date: Wed, 28 Apr 1999 21:36:30 +0900 Subject: [eml-9: 02329] 研修所でのシミュレーション みなさんこんにちは。益崎@救急救命九州研修所です。 研修生に対するシミュレーションが話題になっているようですので初めて投稿しま す。 竹川さんも書かれていたように,本来救急II過程or標準過程でマスターしておかなけ ればならない 一次救命処置も満足にできないまま入校する研修生を相手に指導しています。 円山さんが書かれた通り,入校前の意識の改革,教育体制の見直しが必要であること は間違いありません。 しかし,成人の一回換気量が500ml程度であることを知識として知ってはいても入校 直後に実習をさせてみると, 十分な気道確保もしないまま思いっきりバッグを揉んで1000ml近くも送気してしまう 者が多数いるのが現状です。 (もちろん入校当初より優秀な研修生もいます。) 彼らにわずか半年で救命士としての技術を修得させようとして検討を重ねていった結 果,現在研修所で行っているシミュレーション の形ができました。さらにシミュレーションの方法を,現在進行形で改良しておりま す。 円山さんが書かれていた, >学生が観察している時、観察項目に関する患者の状態を教えていけば 可能です。学生が血圧を測定している時、血圧60、触診、瞳孔を観察 中であれば、6/6mm、対光反射(+/+)、アニソコリ(-)、呼吸音を 聞いているとき、喘鳴(+)、起座呼吸というように観察している時 に、状況を加えて行けば現場に則した訓練ができるはずです。 >当然最初に教えるのは、50歳、男性が卒倒した。この程度でしょう。 >あとは、指令課員を入れ、情報収集をさせたり、自分で確認したりす ればよいと思います。その時間は5-6分です(平均現着時間)。 >また、当然現場では邪魔をする第3者、警察官、指示要請時の医師の 対応の悪さ、看護婦等の取次の悪さも活動の中にいれても良いと思い ます。 現場に即した状況設定(我々は想定付与といいます)は当然すでに取り入れており ます。 研修所でのシミュレーションは,最初の一ヶ月半ぐらいでバッグマスク,心マといっ た基本訓練をみっちりたたき込み,その後 想定実習(いろんな病態(状況)を想定して訓練する)を行っています。現在行って いるやり方がベストとは決して思っていません。 さらに良いシミュレーションを目指し会議ごとに討論を重ねております。 まだ十分に考えがまとまらないうちについ投稿してしまいました。乱文お許し下さ い。いずれまた発言させていただきます。 最後に,最所さんも書かれましたが,是非一度我々の研修所に見学に来られて下さ い。お待ちしております。
【f】
Date: Wed, 28 Apr 1999 22:45:43 +0900 [eml-9: 02332] Re:蘇生の手順・消防のシミュレーシ ョン 皆さん、こんにちは、守田@尼崎です。 救急のシュミレーションですが、 私は、ELSTA東京の13期でした。 東京の研修所でも九州と同じく観察からCPR着手までは、ほぼ同じ様な手順で やっていました。 入所当初、シュミレーションで「意識なし、口腔内確認」なんて、 市民指導と同じ様な感覚のシュミレーションにはかなり反発もし、 「現場ではこんなことできるか」とつっかっかたこともありました。 しかし、研修所では「一つ一つの手技を大切に確実に」ということで 基本を叩き込まれ、今では感謝しております。 また後半には、時間経過、観察をしたかどうか、手技は正確かなどによって 刻々と患者の様態が変化し、活動がよければCPAにならずに医療機関到着、 活動が悪ければ心静止になる、といったシュミレーションも取り入れられており、 結構スリリングな現場に近いシュミレーションでした。 養成所でのシュミレーションはおおむね今のような基本を叩き込む シュミレーションでよいのではないのでしょうか。 むしろ問題なのは、救命士の資格を取り、現場にでてからも いつまでも基本のシュミレーションを行っていることが問題だと思います。 現場にでたら、現場のシュミレーションを。 私の所属する、阪神間では毎月1回、阪神間救急医療研究会と いうものを開催していますが、ここでも以前特定行為のシュミレーションを 行いました。しかし、相も変わらず、養成所で学んだシュミレーションのまんま。 いつまでも基本通りです。 現場でのシュミレーションなのですから、現場に則したものをやって欲しいと 研究会の事務担当者に言ったことがあります。 実際、現場では、ぱっと見た瞬間、CPAと判断できる場合も多いですし、 呼吸よりも、脈拍の有無を先に観察することもあります。 バッグマスクが準備できるまでの数秒間、先に心マから開始することもあります。 養成所を卒業したら、シュミレーションも「養成所のシュミレーション(基本)」を 卒業 すべきではないでしょうか。 乱文になってしまいました。お許し下さい。 > が、平成6年にあった神戸での救急隊員シンポジュームでパラメディ ックが行なったシミュレーションです。(確か入江さんもいらっしゃ いましたよね) 神戸消防局さんも同じ想定でシミュレーションを行なわれ、テキパキ とした動きで操法的には良かったんですが、流れからいうとパラメデ ィックはゆっくりやっているようですが無駄な動きが無く、現場到着 から搬送までの時間はパラメディック8分、神戸消防局13分でした。 (パラメディックは2人でやって いたんですけどね)こういう我々が 見ても唸るようなシミュレーションを見てみたいものですね。 どなたか、このビデオをお持ちではないでしょうか。一度見てみたいです。
【g】
Date: Thu, 29 Apr 1999 05:57:46 +0900 [eml-9: 02340] RE: 02328 研修所のシミュレーションの現実 越智さん皆さんこんにちは、竹川@北九州市です。 (中略) semlの方へ転送よろしくお願いします。少しでも研修所が行っている シミュレーションの意義を多くの人に知っていただきたいと思います。 先のメールで、入校してくる研修生が基本手技が出来ていない。と 訴えました。どうして基本手技が出来ていないか、アンケートをとった ことがあります。答えは簡単でした。誰からも正確な指導を受けてことが ないからでした。I課程II課程のシミュレーションではほとんど、時間が とれなく展示だけで終わっている事が多い事もアンケートでわかりました。 九州・東京研修所で行っているシミュレーションの大半は I課程までにできる 基本手技の反復訓練です。どうしてそんなに基本を重視しているかは、 現場では基本がわかっていないのに応用ばかりが幅を利かせているからです。 家を建てる現場にたとえてなら、基礎はいいかげんで、屋根ばかり大きく立派に 作って見た目だけを重視して、少し強い風が来たらすぐに倒れてしまうよう なものです。 研修所においてのシミュレーションで基本手技を指導しなければ、 一生誰からも指導を受けることなく終わってしまいます。その基本手技の 延長が今のシミュレーションの形となっています。本当は、I課程・II課程 のシミュレーションを充実してほしいのが本音ですが、・・・・・ 研修生が、職場に帰っていろいろなところで、救急のシミュレーションを行って いると思います。救急隊員シンポジュームの展示訓練もそうですが、研修所 が指導しているとおりやれば、なんとなく違和感があります。訓練の着眼点が 違うからです。たとえてみると自動車学校でなっらたとりの運転をタクシーの 運転手さんが行えば違和感があるのは当然です。 研修所でのシミュレーションは、救急隊員の一つ一つの基本手技の確認 を連続して行っているのです。 研修所で現場に即応したシミュレーションをと言われますがそれは出来ません。 職場に帰ってから研修所で習得した基本的手技を踏まえて自分たちで 地域にあったシミュレーションを作ってほしいのです。(救急は地場産業だと思いま す。) 最所さん、益崎も言っています、一度研修所に見学にきてください、百聞は一見に にしてわかっていただけると思います。
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Date: Thu, 29 Apr 1999 12:33:28 +0900 [eml-9: 02342] RE: 研修所のシミュレーションの現実(その1) 竹川さん、皆さんこんにちは、安田@出雲消防です。 竹川さんの研修所でのご苦労は察しております。 私自身研修所での教育に携わっていないので本当の苦労は 分かりませんがII課程教育には少し関与しておりますので あるシミュレーションの事例を例に意見を述べさせて頂きます。 <事例>喉頭鏡・マギール鉗子による異物除去 II課程実習生にはまず喉頭鏡とマギール鉗子の基本的な使用 方法について確認します。彼らの基本とはまず異物を確認すれば その異物から目を離さない、そして隊員に「異物確認、マギール鉗 子」と言い鉗子をもらい受け異物を除去するです。そこで想定を少し 変え実施してもらいました。田舎では救急車を玄関口に付けれない 悪条件は多いです。隊長一人で現場に行き異物除去して下さいと。 隊員は救急車の誘導です。ここからです、隊長は喉頭鏡で異物 確認、その後確認した異物から 目を離しません(基本どおり)おもむ ろに「隊員、マギール鉗子」と隊 員を呼びますがまだ一人です。 この状況が隊員到着まで延々と続きました。 そこで『何故一人で異物除去をする為に始めから自分でマギール鉗 子を持たなかったのですか?』 「いや、基本どおりにせよと言うことだったので」と・・・ 少なくとも始めから現場で3人一緒に活動できる状況はよっぽどの条件 でしかありません。しかしこの一人での方法を行ってもらいましたが他の 救命士から『基本ではない』とクレームが付きました。現場では違うけど 基本を教えろと(彼らの言う基本は研修所でのシミュレーションです) では彼らの言う基本とは何かです。やはり研修所のシミュレーションが バイブルなのです。 |研修所においてのシミュレーションは、あくまで基本行動を習得させ |るための施設でありあて一部のスーパー救命士を作っているのでは |ありません。 その通りだと思います。 |シミュレーションを開始すると、よく研修生が言うことは現場とは違う |と言います。私は、ハッキリ現場とは違うと言います。ここはあくまで |基本手技を習得させるための施設であり、一般社会で言えば自動車 |学校と一緒だ。自動車学校で、片手運転など一般道路走行でやってい |るような行為を教えますか。あれはあくまで応用であって基本ではない。 |基本が出来ていない人は応用を行ってはだめなんだと私は信念を持っ |ています。 基本は大事です。しかし一つ一つの手技の基本は必要ですがシミュレー ションは総合的なもので単に一つ一つの手技の集まりではないと思うので すがどうでしょうか。基本とはどこから生まれて来るのでしょうか。 現場からフィードバックされて基本は変わるのではないでしょうか。
【i】
Date: Thu, 29 Apr 1999 12:33:31 +0900 [eml-9: 02343] RE: 研修所のシミュレーションの現実(その2) 再び竹川さん、皆さんこんにちは、安田@出雲消防です。 竹川さんwrote; |今、議論されている事は、あくまで理想論であって、現実は |修所に入校してくる研修生はほとんどが、救急II課程修了で |できる基本的な手技も出来ていないまま研修所に入校しています。 そうです我々が論じているのは理想論です。研修所の現場にいない 我々が偉そうに理想論を唱えるのもなんですが、やはりこうあって欲 しいという気持ちの現れです。 |消防のシミュレーションを見て、考えさせられることも多いと思い |ますが現場に会わせてやればスクープアンドランで終わりです。 それでいいのでは。現場で無駄な時間を費やすよりスクープアンド ランでなければ助からない。これを教えるのもシミュレーションでは。 ではII課程教育の事例をあげて。 <事例>ショックパンツ ショックパンツの装着の基本はメインストレッチャーに広げておいて 患者観察後スクープストレッチャーで患者をショックパンツの上に そして右足から加圧し血圧測定、左足加圧し血圧測定腹部加圧・・・ こんな感じと記憶しておりますが(違っていたらスイマセン) でシミュレーションをさせるとこのとおり。少なくとも絶対的volume 低下の患者にこれだけの時間を費やす方が患者にとっては明らかに 悪いことは分かっているはずです。ショックパンツそのものの使用が 現在はっきりしていませんが相対的volume 低下の患者には有効 だとは思います。で、橈骨動脈が触れなく総頸動脈が微弱であれば スクープアンドランだ。これも必要ではないでしょうか。 外傷患者を観察し「呼吸・循環・血胸・気胸・タンポナーデ・脊損・骨盤」 血圧低下・呼吸状態の悪化があればスクープアンドランですよ、 あえてショックパンツを使うならズボンの様に履かせてすぐに車内 収容、走りながら加圧(デマンドを使うと早い但し挿管チューブのコネ クターが必要)し病院へ急げと教えたところ、他の救命士から研修所 ではそんなことは習っていない、基本を教えるべきだとまたクレーム。 患者が死んでも基本が大事かねえと・・・・ | また、シミュレーションで使っている人形は言葉をしゃべりません。 |体温もありません。顔色一つ変えません。この人形を使ってただ想定 |だけを与えられた訓練を行った事がありますか。大変難しい事です。 大変だと思いますが、研修生は少なくとも現場活動の経験はあるわけ でその現場を想定できると思うのですが。 実際我々の訓練もダミー相手ですが現場同様声かけ等常に現場を想定 しを行う様にしています。 医療の世界では事実に基づいた医療「エピデンス・ベイスド・メデシン EBM」の理念のもとに医療が展開されていますが、救命士の教育も 同じだと思いますが、余りにも現場の活動が教育にフィードバックされ ていません。 この問題は研修所だけでなく、研修を受け帰ってきた救命士、また 研修を受ける研修生にも大きな問題ありです。ですが研修所が バイブルだと言う救命士がいることも事実です、ですからあえて 苦言を述べさせて頂きました。 長々と竹川さんの本当の苦労も分からず言葉尻をとらえて偉そうな ことを言ってすいません。しかし救命士の教育に少しでもお役に立 てばと思いメールさせて頂きました。
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Subject: [eml-9: 02349] RE: 研修所のシミュレーションの現実(その1) Date: Thu, 29 Apr 1999 18:10:12 +0900 安田さん皆さんこんにちは竹川@北九州市です。 >外傷患者を観察し「呼吸・循環・血胸・気胸・タンポナーデ・脊損・骨盤」 >血圧低下・呼吸状態の悪化があればスクープアンドランですよ、 >あえてショックパンツを使うならズボンの様に履かせてすぐに車内 >収容、走りながら加圧(デマンドを使うと早い但し挿管チューブのコネ >クターが必要)し病院へ急げと教えたところ、他の救命士から研修所 >ではそんなことは習っていない、基本を教えるべきだとまたクレーム。 >患者が死んでも基本が大事かねえと・・・・ 私はスクープアンドランがだめだと研修生に言った事は、一度もありません。 私は、一番頭の良い救命士は模擬試験の成績が良い人でも、シミュレーション がうまくできる人でも無いと、一番頭の良い救命士は「現場に出て今、何をしな ければこの患者が救えないのか考えられる、救命士になることだ。」と言っていま す。 ずっと先でもかまわない処置に時間をかけることなく、今その処置を行わない と助けられない処置を考えられる救命士を育てるのが研修所の役目です。 最善の手がスクープアンドランだったら早急に搬送すべきです。 しかし現実は、先のメールで述べたとおり、II課程の手技の出来ていない 研修生が大半であり、ある消防本部ではショックパンツを積んでいない 救急隊もあります。到達目標まで行くのが至難の技です。 私の言っている基本とは、一つ一つの資器材の取り扱いあ方を知らない 研修生に基本の取り扱い方から指導しなくてはいけない事です。 安田さん達が議論している事は、一つも二つも上のこれらの事が出来ている人を 対象とした議論なのです。信じられないでしょうがこれが現実です。 ショックパンツにしても例外ではありません。研修所に入校するまでショックパンツ を見た事はあっても触った事がない研修生が多くいる現実から多くのことが 指導できません。取り扱った事がある研修生に取り扱いを実施させてみると なんとなく形になっていますがよく見るとでたらめです。 喉頭鏡マギール鉗子の取り扱いも例外ではありません。多くの時間を喉頭展開 に割いています。大切な手技だからおろそかに出来ません。 >基本は大事です。しかし一つ一つの手技の基本は必要ですがシミュレー >ションは総合的なもので単に一つ一つの手技の集まりではないと思うので >すがどうでしょうか。基本とはどこから生まれて来るのでしょうか。 >現場からフィードバックされて基本は変わるのではないでしょうか。 出来ればそうしたいと思っています。しかし研修所でのシミュレションの 時間は多くはないのです。また、入校してくる研修生が安田さんのように 向学心に燃え、一つでも多くj吸収して帰って現場に生かそうと思っている 研修生も少ない事もネックになっています。6割がた業務命令で研修所 に派遣されてきています。motivationを持たせる事からがシミュレーショ ンの始まりです。 研修所のシミュレションは上記に述べたとおり一つ一つ確実に救急車 に積載している資器材を使いこなす訓練が必要なのです。 研修生に卒業して現場に帰ったらここで習った基本的な手技を踏まえ 地域にあった救急活を行い「今、何をしなければこの患者が救えないの か考えられる、救命士になることだ。」と言っています。
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From: "安田 康晴" Subject: [eml-9: 02350] RE: 研修所のシミュレーションの現実(その1) Date: Thu, 29 Apr 1999 19:23:15 +0900 竹川さん皆さん今晩は、安田@出雲消防です。 いやいやメールを書きつつ7年前の私も何も分からず 研修所に入校し一つ一つ教えてもらったことを思い出し ました。そこまで現在の状況がひどいとは、思いもしません でした。今までのメールお気に召さなかったと思いますがお 許しください。まだ島根の方がいいのですね。 さてこの問題は単に研修所というよりは国が救命率を上げよう と取り組んでいる現状に今だ対策を講じない消防本部に問題 ありですね。せっかくこの論議が繰り広げられているのであれば 是非この現状を国の機関、そう自治省消防庁あたりが全国でこの 体制に対策を講じない消防本部に一括を入れる必要があると思 います。 竹川さんを始め研修所の皆さんの努力を無にしてはいけないと 思います。この論議を是非上層部につたえなければいつまでた っても国民が期待する救命率の向上はあり得ませんよね。 |一つでも多く吸収して帰って現場に生かそうと思っている |研修生も少ない事もネックになっています。6割がた業務命令で |研修所に派遣されてきています。motivationを持たせる事から |がシミュレーションの始まりです。 業務命令だろうがなんだろうがやる時ゃやる。命令であれば特にその 気持ちを持って欲しいもんです。It’s my job 仕事ですから。