(エマージェンシー・ナーシング Vol.12 (7): 648-9, 1999)
お子様の突然の死は、ご家族をはじめ周囲の皆様の人生にも大きな影響をおよぼし ます。それだけにSIDSでお子様を亡くされたご家族、保育者が深い悲しみを乗り越えな がらこれからの人生を生きていくために医療関係者のお言葉や対応は大きな支えとな ります。
しかし、逆に医療関係者が何気なく使われたお言葉やちょっとした対応でご家族、 保育者のお気持ちを深く傷つけてしまうこともあります。 それぞれの気持ちを充分に配慮した対応が必要なのです。
ご家族の対応についてはSIDS家族の会が発行されている「あなたがSIDSに 出会ったら・心のサポートのためのガイドライン」に詳しく書かれておりますので是 非参考にして下さい。そしてご家族へSIDS家族の会が作成されたパンフレットをお渡し頂き、あわせ て会のこともお伝え頂けることを願っております (SIDS家族の会 総合窓口 母子衛生研究会内 電話 03-3499-3111)。
保育施設で突然死が起こった場合、保育者がお子様に付き添って病院に来られます。 その時の保育者の気持ちはご家族と近く、周囲の何気ない言葉や対応にも大きく傷つ きます。 もし保育施設からお子様が搬送された場合は、側にいる保育者に対しても配慮して接 して頂きたいです。
保育者はお子様に対する愛情、お子様、ご家族に対しての申し訳ない思い、悲しみ、 不安からとても辛い気持ちで付き添っております。 病院でお子様の保育施設での様子を保育者に尋ねられると思いますがSIDSの場合、 保母が同室しておりましても信じられないぐらい、とても静かにお子様の呼吸が止ま られますので、保育者自身もその時の状況をしっかりと把握できておりません。 そのため保育者が十分に受け答えができないからといからといって決して責めるよう な言葉はかけないで下さい。
保育者はこれから病院でどのようなことが展開していくのか分からず、不安感も増 していきます。 すべては無理かもしれませんが、できる範囲で保育者へもお子様のことをご説明して 頂ければありがたいです。保育者は後から改めて色々な疑問等が出てきます。「もし何か分からないことが あれば、いつでも病院に聞きに来て下さい」とお話していただければ、どんなにか安 心することでしょう。
日本ではSIDSについて保育者が相談できる機関はありません。更に突然死が起こ った直後から保育施設では色々な判断や対応を迫られます。 又、お子様の担当保母の心のケアも急を要します。しかし、保育施設や保育者自身は今後どのような対応をすればよいのか、何がこれ から起こるのか情報がほとんどないため不安感だけがどんどん膨らんでいきます。 そのために対応を誤ったり、不安感のために日常の生活や健康面にも大きな支障を来 してしまいます。
私は相談窓口を開設しておりますので保育者に私の連絡先をお伝えいただけること を願っております(電話:082-878-9219、フアックス:082-878-7923、e-mail mammy@alles.or.jp)。
また、保育施設でお子様を突然亡くされたご家族も、保育者が何を考えているのか、 これからどのように展開していくのか知りたいと望んでおられます(現在、保育者よ りご家族からのご相談が多いです)。 それはご家族と保育者との溝を埋めていくためにもとても必要なことです。 ですからご家族には、SIDS家族の会と併せて私の連絡先もお伝えいただけました ら有り難く思います。
ご家族と保育者の心を癒すためには、周囲のSIDSに対するご理解と配慮ある対 応が欠かせません。そしてご家族、保育者が相談できる窓口へ早急に連絡をとられる ようご協力して頂くことが必要です。
お子様の突然死に対する医療現場での精神的サポートなどについて述べさせて頂き ましたが、医療関係者の皆様にご家族、保育者への接し方について改めて考えて頂け るきっかけとなりましたら幸いです。
著者連絡先
託児ママ マミーサービス
TEL 082-878-9219、FAX 082-878-7923
E-mail:mammy@hbs.ne.jp
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