救急医療メーリングリスト(eml)より

日本学術会議50周年記念シンポジウム

共催
日本学術会議第7部 救急・麻酔・集中治療医学研究連絡委員会、
財団法人日本救急医療財団

「救急医療体制の向上をめざして」
―救急現場から病院到着まで―

(990218、eml-9: 0867)


日時:平成11年2月26日(金) 13〜17時
場所:日本学術会議講堂(東京都港区六本木 7-22-34, tel 03-3403-6291)

シンポジウム開催にあたって
 日本学術会議の活動
  救急・麻酔・集中治療医学研究連絡委員会委員長 竹下 浩
 シンポジウムの意義
  財団法人日本救急医療財団常務理事 美濃部 嶢

司会 帝京大学医学部救命救急センター教授 小林国男(研連委員)

基調講演 フランスにおける救急医療支援システム
   SAMU国際協力部教授 Miguel Martinez Almoyna

一般講演
1)救急救命士制度の評価と今後の課題
   川崎医科大学救急医学教授 小濱 啓次
2)プレホスピタルケアにおける Medical Control体制と今後の課題
   聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院救命救急センター教授
                山中 郁男
3)救急救命士の教育はいかにあるべきか
   帝京大学医学部救命救急センター教授 小林 国男(研連委員)
4)プレホスピタルケアにおける心肺蘇生法の再検討
   愛媛大学医学部麻酔・蘇生学教室教授 新井達潤
5)行政の立場から
   厚生省健康制作局指導課課長補佐 救急医療専門官 土居弘幸

総合討論(特別発言者)
   帝京大学医学部麻酔学教室教授        岡田 和夫
   横浜市立大学附属浦舟病院救命救急センター長 杉山 貢

シンポジウムのまとめ
   帝京大学医学部救命救急センター教授 小林国男(研連委員)


第8回島根救友会プログラム


開催日 1999年3月6日(土)
会 場 出雲市塩冶有原町 出雲市民会館 301号室

幹事会  11:00〜
受付開始 12:00〜
開会式  13:00〜13:05
救友会会長挨拶
演題1  13:05〜14:45 「搬送」
休 憩  14:45〜15:00
演題2(パネルディスカッション)
テーマ「ヘリ搬送」 15:00〜17:20
閉 会  17:20

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演題1 テーマ:搬送 13:05〜14:45
 座長 安来市能義郡消防組合消防本部 池田志信
 助言  島根県立中央病院救命救急科  松原康博

1.交通事故による傷病者8名の救急搬送事例
  大田市外2町消防衛生組合消防本部 今岡幸治

 事故概要
 4名の男子高校生を乗せ女性が運転する軽乗用車が、国道9号線の長い下り坂を西 進中運転を誤り対向車線にはみ出し、東進中の普通ワゴン車に衝突、さらに道路左側 のガードレールに衝突し道路中央で停止した。

 収容・搬送
 先着救急隊は、路上に投げ出されていた2名の高校生を収容し、応援の救急隊を待 たずに現場出発した。応援救急隊は先着救急隊が現場出発してから4分後に到着し、 救助隊と協力して残った傷病者を収容し搬送した。1名の高校生はパトカーで搬送し た。

 考察

1. 本症例は一度に多数の傷病者が発生した事例であり、やや強い雨と傷病者が約3 0mの間に転々とし、救急隊一隊では観察処置が困難であった。

2. 交通外傷という面から見ると、車外に投げ出された2名は意識レベルも悪いこと から、最優先治療群の中でも最優先と考えた。しかし、結果は軽乗用車を運転してい た43歳女性が病院収容後意識レベルJCSV桁になりこのまま回復することはなかっ た。
 多発外傷という面から見るとこの女性が最優先であり、体表面からの観察にのみでは 重傷度・緊急度を過小評価する危険を感じた。

3. 今回のケースでは、先着救急隊は応援救急隊の到着を待って、その間傷病者を十 分観察し搬送優先順位を決めるべきであった。
4. 少数の救急隊では、一度に搬送できないと判断すれば積極的にトリアージ・タッ クを使い搬送優先順位を決めスムーズに搬送できるようにする必要がある。

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2.精神疾患患者の不搬送になった事例
   平田市消防本部   多久和 正徳

 覚知 平成○年○月○日 22:22
 現着 22:26
 帰署 23:40

 通報者 患者本人

 通報内容
「私が精神の病気を持っているから、両親が冷たくし、叩いたりする。両親の目の届かないところへ行って死んでしまいたい。 尿も出にくいし、とにかく死にたい。」

 概要及び活動状況
患者は○○病院精神科へ2週間に1回通院治療を受けている両親ともに住む独身〇性 である。救急隊長は、通報内容から患者を刺激してはならないと判断し、通信員 には自殺を思い止まらせるよう指示するとともに普通走行で現場に到着した。患者宅 は全て施錠してあり、通信員からの開錠の指示にも従わなかったため、救急隊から通 信員にカギを開けるように、また自殺をしないように説得を続けるよう指示をした。
 消防署では、市内の精神科医であるS医院院長に来署願い患者と話をしてもらい、 その後患者宅へ医師搬送を行った。なお、万が一に備え警察官の出動を要請した。現 場での院長の説得により、家のカギが開けられその後院長によりカウンセリング及び 通院治療している〇〇病院医師、父親との話合いにより、明日から入院し治療に専念 することとなり不搬送にて帰署となった。また院長の話では、薬の大量服用により排 尿困難、言語障害等があるが緊急的な胃洗浄等は必要がないとのことであった。

 反省点
1.通信員により自殺を止るよう諭すように説得したのは間違いであり、話を聞く程 度にすべきではなかったか。
2. 精神疾患患者の搬送は、救急搬送の業務として現在位置づけられている以上、精 神疾患についてもっと勉強すべきだと痛感した。

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3.救急搬送における特定行為気道確保器具の選択についての考察
     松江地区広域行政組合消防局  秦 明弘

特定行為気道確保器具の選択についての考察
 最も確実な気道確保とされる気管内挿管が救急隊に許されていない今、私達は与え られた資器材(LM、EGTA、コンビチューブ、スミウエィWBなど)を駆使しな がら、より安全な気道確保をしていかなければならない。

気管内挿管の認可後気道確保はどう変わるのか
 気管内挿管の認可後高規格救急車積載の特定行為気道確保はどのようになっていく のか?気管内挿管は今積載しているすべての気道確保器具をカバーしてくれるのか? 今ある器具は下ろされるのか?

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4.磯釣り転落事故におけるヘリを要請した事例
     大社町消防本部 片岡富吉

事故概要
49才男性。磯釣り中に海中に転落。救急車停車可能位置から徒歩で約1時間の搬送 ため、救助隊及び防災ヘリコプターを要請し患者搬送した。

考察
 ヘリコプター要請にあたり要請手順等について不慣れであった。各機関間で連絡体 制を強化しておく必要性を感じた。また患者のヘリ搬送の不安や死に直面した事への 精神的なケアについての必要性を感じた。

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演題2 テーマ:ヘリ搬送 15:00〜17:20
 座長 出雲市外4町広域消防組合消防本部 安田康晴
 助言 県立広島病院救命センター部長   石原 晋
    島根県立中央病院救命救急科部長  松原康博

1.管外転院搬送、ヘリ搬送の状況と課題について
  浜田地区消防本部 原 一 誠

 管外転院搬送の状況
 ヘリ搬送の状況
 管外転院搬送の課題

2.隠岐島ヘリ搬送の現状
  隠岐島町村組合消防本部 鷺野鉄也
資料において説明

3.島根県防災航空隊の活動状況
  島根県防災航空隊 幸村卓己

経緯
 昭和51年9月25日、 松江消防、出雲消防、鳥取西部消防、隠岐消防の四者間 で隠岐島の救急業務共同処理に関する覚書を交換。同年10月1日から実施し、平成 6年防災ヘリを導入、 平成8年10月島前地区に限って本土側専門医師によるドク ターヘリを試行、 平成9年4月隠岐当地区全域の本土側専門医師によるドクターヘ リを実施している。

島根防災の組織及びヘリ「BK-117」について
隠岐島急患搬送の流れ
急患搬送の状況
救急隊との受入れ、引き渡し要領、機内での収容状況
急患搬送の問題点
1. 機内での処置の充実について
2. 現場での応急処置について
3. 患者収容の選定について

4.松江赤十字病院におけるドクターヘリ搬送のこころみ
  松江赤十字病院救急部長 田窪健二

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特別講演 自治体ヘリコプターによる患者搬送の課題
          県立広島病院救命センター部長  石原 晋


■救急・災害医療ホームページ/  全国救急医療関係者のペ−ジ

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