救急医療お知恵拝借:

自動車免許取得時の応急処置の実習が免除される場合は?

(990110、eml-9: 096)


 質問:運転免許取得時の応急処置の講習は、どのような資格を持っ ている場合に免除されるのでしょうか。

 回答:道路交通法33条の6 施行令1項ニとホの規定により、以下の資格取得者については、運転免許取得時の応急処置の3時間の講習会を、免除されることになっています。なお、それぞれの資格の免許証や証明書で確認の上、免除され、講習料の差額は返却されるそうです。

  1. 医師
  2. 歯科医師
  3. 保健婦・保健士
  4. 助産婦
  5. 看護婦・看護士
  6. 准看護婦・看護士
  7. 救急救命士
  8. 救急隊員
  9. 日赤救急法指導員
    (平成9年3月までは、救急法指導員と蘇生法指導員のいずれか)
  10. 応急手当指導員(消防職員でこの資格を有するもの)
    (平成7年7月13日現在)


救命救急センターの要件に関する国の方針が変化しつつあると聞きましたが?

(990117、eml-9: 212より)


 質問:わが国の救命救急センターが備えるべき要件につきましては、救急医療体制基本問題検討会報告書(平成9年12月)に明記されていますが、国の方針がこの基準を緩める方向に変化して 来ていると聞きました。一方で、救命救急センターの責任者が日本救 急医学会指導医でないと、救命救急センターとして認められないとも 聞きました。実際のところはどうなのでしょうか。さらに救命救急セ ンターの評価の方法については、どのような方法が考えられているの でしょうか。

 回答:(厚生省健康政策局指導課 土居弘幸先生)

  1. 救命救急センターの要件については、救急医療体制基本問題検討 会報告書で示された方針を修正することは全く考えられていません。 この点は、全国自治体病院協議会の場でも再確認されたと理解して おります。

  2. 救命救急センターの責任者の要件についても方針に変更はなく、日本救 急医学会指導医であることは必須条件ではありません。

    <上記報告書より>
    救命救急センターの責任者は、重症及び複数の診療科領域にわたる 重篤な救急患者に適切に対応できる三次救急医療の専門的知識と技 能を有し、高度な救急医療及び救急医学教育に精通した医師である との客観的評価を受けている専任の医師とする(例:日本救急医 学会指導医)。

  3. 救命救急センターの評価方法としては、救命救急センターの自己 記入による評価の導入が検討されています。評価項目には、重症 患者受入数、入院患者に重症患者の占める割合、地域の救急隊によ って搬送された重症患者数と、センターが受け入れた救急隊によっ て搬送された重症患者数の割合等が入る予定です。


救急救命士の心電図伝送は必須ですか

(990204、eml-9: 543より)


 質問:

 1999年2月2日のNHKニュースで、救急救命士による電 気的除細動の問題が取り上げられていました。救急救命士が病院 外で除細動を行うには医師の具体的な指示が必要とされています が、その指示を得るために患者の心電図を医師に伝送することが 必須であるという地域と、必ずしも必要ではないとして伝送を省 略している地域があるように思います。厚生省のご担当者のお考えをお聞き したいと存じます。

 回答:(厚生省健康政策局指導課 土居弘幸先生)

 現時点での解釈を明確にお答えしたいので、箇条書きにさせて いただきます。

  1. 救急救命士が病院外で心肺停止患者に電気的除細動を行うに 際して、医師の具体的な指示が必要ですが、「心電図伝送」自 体は必須ではありません。

  2. 救急救命士制度導入当初は、指示する医師と救急救命士との 信頼関係が醸成されていない場合もあることから、指示する医 師が心電図伝送を求めていたという経緯があります。

  3. しかし、制度導入後7年も経過した今日、救急救命士の資質 の高さは、関係者に広く認知され、心電図伝送を割愛した地域 も出て来ています。逆説的に言えば、未だに心電図電送を義務 づけているのは、医師と救急救命士との信頼関係が希薄である との証拠でもあります。

  4. 制度上、心電図伝送が義務づけられていないのであるから、 この問題は現場の医師と救急救命士両者の責任で、対処すべき だと思います。

  5. 心電図伝送を割愛しているある地域の救急救命士と未だに義 務づけられている地域の救急救命士との間に、資質の差は無い もの思います。また両方の地域の医師の間にも、大きな考え方 の相違は無いのではないでしょうか。それゆえ伝送が義務づけ られている地域においても、医師と救急救命士がもっと緊密 に協議さえすれば、解決できる問題であると考えます。

  6. この問題については、両者の信頼関係が増すよう、厚生省も バックアップすべきだと考え、助力させていただきたいと思い ます。

  7. この問題は、平成11年度に設置される「病院前救護体制の あり方に関する検討会」でも討議されることになるでしょう。

以上です。  


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