目 次
■救急医療メーリングリスト(eml)より
(ご発言者の敬称は省略させていただきます)
Date: Thu, 15 Oct 98 19:54:52 +0900
From: "M.Takata"
Subject: [poison:02180] Re: 体液試料の任意提出
高田@能登%麻酔科医です。
こんな事でもないと、発言の機会がないので....
かつて、mhr-mlの方で、この話題を出しました。その時は死体から血液
を採取して良いか、採取した血液を警察に渡して良いか、の例でしたが、
臨床医の方々、法律家も、「ノー」の答えでした。
理由は、「死体損壊罪」「プライバシー権の侵害」に当たるそうです。
守秘義務とかの問題もあるでしょうが、患者から見ての人権侵害が問題
になりそうです。民事として、後日問題が起きる可能性があります。
損害賠償などのトラブルを避けたいならば、警察から協力を求められて
も「令状」がないと提供しない方がよい、というような結論でした。
どうしても必要なものなら、裁判所から令状を貰ってくれば、本人や家
族の承諾がなくても可能になるわけですから、そうしていただいた方が、
民事的なトラブルに巻き込まれなくて良いと思います。
では。
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高田宗明
Date: Fri, 16 Oct 98 10:26:07 +0900
From: Makoto UEKI
Subject: [poison:02190] Re: 体液試料の任意提出
植木@MBCです。
At 10:31 98/10/15 +0900, you wrote:
> ・上記の「任意提出」ですが、「提出」したのは病院だと思いますが、
> 「被疑者の自発的意志」での提出でしょうか、「病院側の自発的意
> 志」での提出でしょうか。
>
> ・上の例から離れて、警察の要請があれば「被疑者」の体液試料など
> を「病院側の自発的意志」で警察に渡してもよいのでしょうか。
> 愛媛大学医学部救急医学 越智元郎
上記のご質問に対して以前、確かもう2年ほど前に、MLでも話題にな
りました。
私は企業で依頼分析を行っている立場なので、情報公開については一定
の基準を持っています。
すなわち、
仮に警察による捜査によるものであっても
1.情報提示が任意の依頼であれば原則として応じない。
(衛生検査技師法の守秘義務による)
2.公開は顧客の同意により、また公開する内容については顧客を通じて
警察に提出する。(個人の覚せい剤事例で適用例あり)
3.証拠提出依頼が捜査令状に基づくものであれば直接対応する。
(サリン事件で適用例あり)
4.裁判に関わる情報公開の場合被告人・検察からの依頼には原則として
応じないが、担当裁判官からの出頭命令であれば応じる。
(個人の覚せい剤事例で適応例あり)
また厚生省の麻薬課の担当官からは、企業が覚せい剤検査を行う場合、
「守秘義務を楯にとって捜査の進展を妨げるのは問題」という旨の事
を言われたことがありますが、この点については当該薬物5法の規定
により、協力する方向につながる規定を優先的に適用して判断してい
ます。
Date: Fri, 16 Oct 98 11:50:08 +0900
From: Toshio NAKATANI
Subject: [poison:02192] Re: 体液試料の任意提出
関西医科大学の中谷壽男です。
試料の提出について、いろんな方のご意見が聞けて大変参考になります。
以下のような場合はどうなのでしょうか。
中毒そのものからは少し話題がそれますが、臨床医は何度も突き当たる問題ですので
よろしく。
採血した注射器に血液を少し残したまま、医療用のごみ箱に捨てる。
それを見ていた警察官がそのシリンジを拾って持って帰る。
この場合、
患者の余った血液を捨てること(には問題はないとは思いますが)
警察官がごみ箱から拾うこと
それが患者の血液であることの証明
等について、どのような問題が生じるのでしょうか?
また、故意に2、3mlの血液を余らせて捨てた場合などは如何でしょうか?
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中谷壽男
関西医科大学救急医学科