Intenational repatriation(国際患者搬送帰還)の実態と間題点

須崎紳一郎、小井土雄一、冨岡譲二、大泉 旭
布施 明、黒川 顕、山本保博

日本医科大学救命救急センター

(日救急医会誌 1994; 5: 42-50)


目 次

要 旨  はじめに

搬送の実態

1、国際患者搬送帰還させた症例
2、搬送用医療機材
3、症例の搬送経過

考 案

1、Internationl repatriationの位置づけ
2、使用航空機種の選択
3、搬送用医療機材について
4、空路搬送中の medical careと航空搬送の患者に対する医学的影響
5、移送経費について
6、支援の組織と移送体制について

文 献  Abstract



 要旨: Intenational repatriation(国際患 者搬送帰還)を担当実施した自験例19例(邦人帰還12例、外国人送還7例)を報告し 、その実態と問題点を検討した。相手地はアジア、南北米、欧州からなど4大陸13カ 国で、総搬送距離は133,643km、搬送飛行時間は171時問35分に及び、平均搬送距離 は7,034km、平均飛行所要時間も 9時間 2分を要した。最長は Limaからの LosAngels経 由 15,511kmの搬送で、飛行時問だけでも 21時間を超えた。随行医師は当施設から1名 ないし2名を派遣した。原疾患は多岐にわたり、19例のうち意識障害例は 4例、移送経 過中人工呼吸を必要としたものは 2例あった。最近のlO例は国際アシスタンス会社か らの依頼を受けた。航空機は全例民問定期便を利用した。移送経費は平均で300万円 程度を要した。搬送途上の医療面では呼吸管理が最も重要であったが、一般の大型定 期旅客機を利用する範囲では騒音、離着陸加速度、振動などは患者の循環動態には大 きな影響を認めなかった。国際患者搬送帰還は、相手先病院、航空会社、保険会社、 空港当局はじめ諸方面の協力と綿密な準備連絡があれば医療上は必ずしも困難ではな いが、目下のところ本邦は欧米に比べ、これまでこのような医療需要に対する受け入 れや派遣の実績、経験が乏しく、支援体制の整備、組織化が遅れているのが最大の間 題点である。

キーワード:国際患者搬送帰還、 定期旅客便、アシスタンス会社、機内医療処置、医師随行


はじめに

 近年の海外渡航者数の伸び は飛躍的で、年間1,100万人に 達している。これに伴って国際問で患者を搬搬送の実態送する医療需要も少なからず 発生しているが、international repatriation (国際患者搬送帰還)は搬送の 正確な実数も明らかではない1)。またわが国ではこ れまで限られた個別の症例経験2), 3), 4)か、 欧米組織の見学同乗5)が散発的 に報告されているに留まり、international repatriationにつ いてまとめて述べら れたものはない。われわれは1985年から今日まで 19例の international repatriationを担当実施したので、今回その実態を分析し問題点を指摘、検討した。


搬送の実態

1、国際患者搬送帰還させた症例

 1985 年よりこれまでにわれわれは19例に対して 医療を継続実施(doctor escort)しながら国際患者 搬送を行った。うち12例は邦人の帰国帰還(狭義の repatriation)で、7例は外国人の本国送還(evacuation)であった(Table 1)。搬送相手国はアジア、欧 州ほか南北米、豪州など4大陸13カ国にわたった(Fig.1)。19例で延べ航空搬送距離は133,643km、飛行時間は171時間35分に及び、平均飛行搬送距離は 7,034km、平均空輸時間は 9時間 2分であった。最長 は Lima(Peru)からの Los Angels経由 15,511km の搬送で、空路のみでも21時間30分を要した。

 原疾病は外傷8例、脳血管障害3例、消化管出血422 例ほか窒息、熱傷悪性腫瘍などであった。交通事故が多か ったカ、症例2はテロ襲撃の被害者 である。症例10は薬物による反応性精神症状が、言 葉が通じなかったために急性精神障害と誤診された不幸な例であった。また症例16-18は同時に3人の 同一事故外傷症例を、Geneveの医師と共同でParisより搬送したもの である。搬送には医師は1名ないし2 名が随行した。

 19例のうち意識障 害例は4例あり、酸素は3例に使用さ れ、また搬送経過を通して人工呼吸を必要とした者も2例(症例 6、7)あった。航空機は全例民間定期旅客便を利用 した。最近の10例は国際アシスタンス会社からの依頼を受けたものであった。

 この19例のほかに、当施設で看護婦のみを派遣した3例があるが、今回の対象からは除外した。

2、搬送用医療機材

 搬送中必要となる医療機材も当施設よりすべて持参した。搬送中も医療の継続と患者状態のモニター が行え,また万 一の急変にも対処できるように機材 が準備された。民間定期便を利用するため機材はすべて携行可能な範囲で、 とくに小型軽量になるよう 厳選したが,結果的に機材総重量は12kgないし16kgとなった。電池を使用するモニターや吸引器は, 電池持続時間などあらかじめ十分にチェックされた。

 携行ケース(EK-11;ブルークロス)には,注射輸液類(ソルラクト500ml;テルモ),緊急薬剤(昇圧剤、降圧剤、抗不整脈剤,鎮痛剤, 鎮静剤,利尿剤、他)、挿管蘇生器具 ,小外科セット,衛生材料など 各種の医療器具資材を納め,また移動用小型モニ夕一(Propaq104;Protcol)、電動吸引器(Laerdal)、輸液ポンプなどを携行した(Fig.2)。症例により小型人工呼吸器(Pneupac)、酸素飽和度モニター(パルソックス5;アムコ)なども用意した。これらの機材 は、われわれがこれまでヘリコプターによる島嶼、洋上救急活動を行ってきた経験を 基にし、空輸中患者の状態が変化しても必要な医療対応が機内で可能であるよう配慮 して選択構成された。アンプルカットなど細かなものの用意にも気を配った。輸液類 は重量の負担となるものの、航空搬送では飛行時間ぱかりでなく地上搬送や待機の所 要時問も見込む必要があり、また国際線ではしぱしぼ半日程度の運航の遅延は起こり うることを考慮し、余裕をみて48時問輸液を維持できる量として 5L を用意したが、ガ ラスビンの製剤は避けた。

3、症例の搬送経過

 搬送症例の実際を示す。症例は欧州旅 行中クモ膜下出血で倒れた54歳の女性例で、開頭クリッピング術を受けた後、Wienか ら帰国搬送を要請されたが意識障害を残し、気管切開を施行されていた。本例はMosc ow経由成田まで、さらに国内便に乗り換えて神戸までの搬送で、飛行時間だけで15時 間、移送には2日間を要した(Fig3)。搬送中の患者管理では、巡航高度飛行中のジ ェット機内は相対湿度 0%と極度に乾燥しているため、呼吸ならびに気道管理が最も重要 であった。このため気道が乾燥しないよう搬送中は十分な補液を行い、また紙コップ とガーゼで気管切開孔を覆い、頻回に生理食塩水を垂らすなど、気道の加湿には格別 の配慮と工夫を要した。機内での下痢発生を防ぐため出発前に経管栄養を中止し、さ らに腸管運動抑制のため、口ペミン(大日本)1mg、ブスコパン(べ一リンガー)40 mgを投与した(Fig.4)。

 Wien=成田間での航空搬送 中の経過を図に示す(Fig.5)。騒音、離着陸加速度、振動などが患者の循環動態に 影響を与えることが懸念されたが、血圧、脈拍ともに終始変動はみられず安定してい た。また機内においても10時間以上にわたり心電図および血圧モニターは支障なく安 定して連続使用が可能であった。


考 案

1、Internationl repatriationの位置づけ

 日本人が外国で疾病、傷害に遭い入院した 場合、収容先が発展途上国であれぱ、現地で受ける医療に患者あるいは家族が不満を もち、不安を感じることは少なくない。一方、先進国においては医療レベルは日本と 同等以上であるが、しばしば高額の医療費を請求されることも早期帰国を求める動機 となっている。日本に滞在する外国人にとっても同じことで、いずれにせよ患者や家 族が言葉、習慣の心配のいらない本国で医療を受けることを希望するのは自然な心情 と思われる2)

 本来 medical repatriationは傷病兵の後方移送帰還を意味し、丸川ら5)は、医療帰省と訳している。国際間の患者移送には、本邦からみて邦人の帰国帰 還(狭義の repatriation)と外国人の本国送還(evacuation)の場合があるが、ここ ではその両者を含めてinternational repatriationを「国際患者搬送帰還」としたい

 患者の空路搬送にはヘリコプターなどによる air rescueもあり、本邦でも僻地、離 島を中心に運用されているが、これは主に病院収容 prehospital transportである。これに対して、国際患者搬送帰還は患者移動の見地からは病院間転送 patient hospital transferにあたり、診断・初療が行われた後の医療の移転と継続に重点がある。

 また、 国内でも航空機搬送が行われることがあ之が、飛行時間は長くても2時間以内であり 、この間、患者が医学的に搬送に耐えられるかだけが問題である。一方、国際患者搬 送帰還では搬送自体がはるかに長距難・長時間になるばかりでなく、医療制度・体制 が異なる外国との間で搬送を計画し実施するために医学以外に事前に準備調整すべき 手配や手統きが複雑である。医学上も、日本からでは現地の患者の状態を把握するこ とも困難であることも少なくなく6)、この場合は直接現地で担当の医師等と移送の 是非を折衝・協議する必要が生じる2)場合すらあ る。

2、使用航空機種の選択

 歴史の長い欧米の搬送アシスタンス組織(会社)は自ら 患者移送専用機(private jet)を所有する場合が多いが、わが国には現在これに相当 するものはないので、もっぱら民間定期航空便(scheduled commercial flight)を利 用することになる。移送専用機は機内の医療設備には優れているが、航続距離などは 限られ、また実際にはわが国では専用機が国際空港を随時使用することは困難である 。

 一方、定期旅客便は機内医療にはもとより適さないため専用機導入を勧める意見も ある1), 2)。あるいはストレッチャーの患者のような特殊な乗客の搭乗は場合によっ ては乗り合わせた一般の乗客に不快感を与える可能性もあり、サービスを重視する航 空会社にとっては必ずしも歓迎されないかもしれない。しかし大型長距離機がほぽ全 世界を網羅して定時就航している現在の日本の実情では、臓器移植などの特殊な医療 や災書添遣などの場合を除けぱ定期便の利用がより現実的と思われる7)。さらに専用 機を便用すれぱとくに経費がかさみ、定期便利用に比べ数倍(大陸間搬送で移送費用 は約 2,000万円)に達するため、患者、家族には経済的に過大な負担になる。

3、搬 送用医療機材について

 移送時に使用する医療機材については、機材総量の重量、容量 の制約がある。ストレッチャーに機材を一体化した患者搬送用ボートもあるが5)、 総重量は 200kgになり、もっぱら専用機用である。一般旅客機ではキャビン内の数席 のシートを倒した上にストレッチャーが架設される(Fig.4)。旅客機内壁には通常 突起物がないので、点滴バッグはオーバーヘッドストレージ(手荷物入れ)から吊る すといった工夫を要する。

 医療機材は小型軽量なものに限定される。携行する医薬品 、機材を適切に準備するには、現地での患者の状態、現在の治療内容をあらかじめ知 っておく必要がある。出発までに準備期間があれぱ、運航航空会社に交渉して商用 100V電源を機内客室に用意させ ることもできるが、救急車移動もあるので、実際は各種モニター類など電池駆動で十 分に持続可能なものを考慮する方が確実である。われわれの使用したPropaq 104モニター(Protocol)は重量が 2.6kgで 15分間隔の血圧測定で連続 25時問の使用が可能である(Fig. 4, 5)。

 酸素飽和度モニター、血糖測定器、吸引器、ぺ一スメーカー、 輸液ポンプなどの携帯性、持続性は近年非常に向上した(ただし離着陸時の電子機器 の機内使用には、厳密には事前に米国連邦航空局の機器認定を取っておく必要がある 8))。医薬品、医療材料などは先進国からの搬送帰還の場合は現地で入手すること も可能ではあるが、出国の手統き(customs, medical clearance)などで出発前に時間 的余裕のないこともあるので、面倒でも本邦から用意していった方が確実である。

 酸 素投与が必要な場合は慎重に準備を行う。機内で酸素を使用した際には客室全体を禁 煙にする必要があるので航空会社に連絡する。とくに搬送中人工呼吸を要する患者で は、消費する総酸素量も膨大になるので、搬送時間とボンベの容量、使用可能な時間 を周到に計算し、余裕をもつように用意する必要がある(酸素ボンベはほとんどの国 で航空会社を通じで確保できるが、超高圧ボンベの搭載可能な機種は少ない)。

 搬送 航空会社に対しては IATA統一の INCAD(incapacitated passengers handling advice)および MEDIF(medical information sheet)の書式により患者の状態についてあらかじめ通告 し、酸素など必要な準備について事前の協議を行うが、ストレッチャーによる患者搬 送についての航空会社の対応はまちまちというのが現状である。われわれはこれまで 内外11社の便を利用したが、一般的には大手の欧米系航空会社の方が経験が豊富で手 際もよいとの印象は否めない。

4、空路搬送中の medical careと航空搬送の患者に対する 医学的影響

 架設ストレッチャーは狭く、機内では体位交換ができないなど医療行為は物理的に制約を受けるもの の、補液および呼吸循環の維持管理は基本的には 難しくない。呼吸管理が最も重要で あるので3), 9)、意識障害者は気管内 挿管を行っておくが、気道加湿と気 管吸引がボイントである。CAPDなどの継続も可能 である2)。また搬送中だけでも膀胱留置カテーテルを使用した方が便利である。大量に下痢をした場合の処置は難渋するので、出発前 に止痢(腸管運動抑制)を行うこ とを勧める。

 万一、搬送中に機内で患者が急変した 場合は、救急ICUでのような万全の対処ができるは ずはない。しかし事前にリスクの検 討を加えたうえで必要な医療器材 を携行すれば、相応の対応は可能である。患 者の状態が、、criticalな場合は移送の是非の判断は難 しいが、最終的には搬送にあたる同行医師の経験と 判断によるであろう2)。幸い、 今回の国際患者搬送帰 還の19例 では搬送途上大きな医療上の間題を経験しなかった。しかし、偶然にわれわれはこれまで航空機内で、心肺停止状態に2度遭遇した経験があり、 いずれも蘇生救命できた10)(ち なみに、1993年10月 より国際線旅客機内 に鎮痛剤・冠動脈拡張剤・子宮 収縮剤 など11種の医薬品、注射器・気道確保器具な で,日本人が外国で医療を受けるようなど15種の医療器材の搭載が日本の各航空会社に義務づけられた。これらは乗り合わせた医師が乗客に使用するものである)。

 航空搬送時の身体的影響については、航空医学領 域で研究されているが、一般の旅客便を利用する限りその影響は顕著なものではない。われわれの症例の記録でも離着陸加速度、振動、騒音なども循環動態にはほとんど変化は認められなかった。搬送 MEDIFには飛行中の低酸素、低気圧、振動が患者に 医学的に影響を及ぽしうると注意 を促しているが、高空飛行中にお いても旅客機客室は準平圧に加圧(0.9−O.95気圧)されていて、医学的にみて列車 など他の交通機関利用の場合と同等の配慮を行えば十分であろう。

5、移送経費について

 ス トレッチャーによる国際間航空移送では、費用負担は大きな間題 になりうる1)。患者の状態にもよるが,民間定期便を利用して座席を6席ないし9席占有してストレッチャーを架設した場合、移送経費は航空運賃を中心に概ね200万円ないし300万円を 必要とする。本人がこれをカバーす る保険(海外旅行傷害保険など )に加入していなければ、これらはすべて患者家族の負担となる。救援費用を無制限に担保する保険保障もあるが,一般旅行客にはあまり知られておらず普及していない。

6、支援の組織と移送体制について

 国際患者搬送帰還を実施するには受入先病院を選定し,派遣医師(または看護婦)を確保したうえで航空会社、相手先病院(医師),保険会社など関係機関に連絡、綿密な事前協議が必要になる。欧米では以前よりこのような搬送運営に旅行保険や航空会社が関与してきたし11)、また国際間で救援の手配を行うアシスタンス会社も発達している7)。こ れは本国(宗主国)に移送して医 療を行うような植民地時代からの経緯や、人の移動の国際化が早くから発達してきたことなどの歴史的事情があろう12)

 わが国では健康保険制度が国民にゆき渡る一方収で,日本人が外国で医療を受けるような事態を深刻に考慮してこなかったた めに,近年,海外渡航者が急速に増大するまで搬送帰国などの問題が表面化しなかった。 この ため現在でも、いざ実際日本人が外 国で疾病傷害に遭い,日本への帰国を希望しても,しぱしば患者本人も家族も移送の手立てが分からず,途方に暮れていることは少なくないようである 。最近は日本でも国際アシスタン ス会社が進出し,カ一ド会社や損害保 険会社を通じて照会が始まっているが,まだ直接の知名度は低く周知されていない。さらにアシスタンス会社が介在したとしてもわが国の受入病院,派遣医師の組織化は欧米に比べ明らかに遅れており1), 2), 13)、まして大 規模災害などにおいて十分な移送 経験をもった医師はきわめて少ない2), 5)。また派遣された医師あるいは 医療行為に対す制度面での保護も考慮されるべきである。

 実際の移送計画を実施するには,まず 搬送途上の 医学的危険と移送判断の決定などの医療上の問題を解決したうえで、迅速正確な医療情報の把握に努め、さらに受入病院、派遺医師を手配し、先方病院、移送車両、航空会社など に対し密に連絡をとる必要がある。これらはこれまでは個々のケースごとに家族や同僚らの努力によって一切が処理されてきた。しかし、今後は国際的に医療を提供する必要がいっそう増大してくるのは明らかであり,もはや国際患者搬送帰還も少数の特殊な事例とはいえなくなるだろう。わが国においても医療専用機の確保1), 2)あるいは国際患者搬送帰還の組織化、体制造り4), 13)が提唱されているが、国際ア シスタンス組織との提携、協力を含めて真剣な議論と具体的な取り組みがされるべき時期がきたと考えられる。

(本論文の要旨は第20回日本救急医学会総会(盛岡)および第7回日本国際保健医療学会総会(松本)で 発表した。)


文 献

1) 滝口雅博:International repatriation service 組織の必要性. 救急医 1988; 12; 781-4

2) 三井香児:International repatriation service の必要性と問題点. 救急医 1988; 12: 785-8.

3) 森本裕二,松原泉、梅田美知恵、他:International repatriationの間題点―ロサンゼルスまでの患者搬送経験を通して―. 救急医 1990; 14: 391-3.

4) 加藤啓一:カメルーン→パリ repatriationの経験―. 日救急医会誌 1991; 2: 906.

5) 丸川征四郎, 加藤啓一:フランスにおける医療帰省(repatrition)の現状. 麻酔 1990; 39: 1711-6.

6) 田熊清継、相川直樹、堀進悟、他:International repatriation 10例の検 討. 日救急医会誌 1991; 2: 877.

7) Edelstein S: Experiences in the use of scheduled flights for the ill and injured. Proceedings of Asian-Pacific Conference on Disaster Medicine, Osaka, 1988, pp 89-91.

8) 加藤啓一、岡田和夫:定期航空機便による重症患者長距離搬送(repatriation)の留意点. 日救急医会誌 1992; 3: 281.

9)磯崎泰伸、神山洋一郎、白石正治、他:ジェット旅客機による頸髄損傷 患者の移送。日救急医会関東誌 1990; 11: 648-9.

10) 須崎紳一郎、布施明、黒川顕、他:国際線機内で発生し40分間のCPRにより蘇生された心肺停止救命例―救急医による bystander-CPR―. 救命救急医療研会誌 1993; 7: 87-94.

11)Lavernhe JP, Ivanoff S: Medical assistance to travelers: A new concept in insurance-cooperation with an airline. Aviat Space Environ Med 1985; 56: 367-70.

I2)Jefferies NJ, Ramage C, Bristow A: lnternational repatriation following overseas disasters. Archiv Emerg Med 1991; 8: 92-6.

13)滝口雅博:Repatriation sirvice 組織化の必要性. 救急医 1988: 12: 785-8, 655−6。


Abstract

The Present Status and Problems of International Repatriation in Japan

Shinichiro Suzaki, Yuichi Koido, Joji Tomioka, Akira Oizumi, Akira Fuse, Akira Kurokawa and Yasuhiro Yamamoto

Department of Emergency and Critical Care Medicine, Nippon Medical School

Nineteen cases of international repatriation were reviewed in terms of organizing a support system in japan. Twelve patients were inbound repatriated Japanese and 7 were outbound evacuated foreigners. The destinations ranged over 13 countries on the Euroopean, North and South American, Asian, and Oceanian continent. The average flight mileage and flight hours were 7,034 km and 9:02, respectively. The longest transport was a mission from Lima in Peru, via Los Angeles, which took more than 21 flight hours. In all cases, scheduled commercial flights were employed. All repatriation s were conducted uneventfully and no obvious medical obstacles were encountered on the way. Neither jet noise, take off acceleration and landing deceleration, nor flying vibration affected the physical condition of the patients remarkedly. Thec transfer cost around 3 million yen per case on average. Arrangements and support by international assistance companies were beneficial in lO cases. In addition to proper medical judgment, cooperation and liaison with counterpart doctors, ambulance services, flight carrier companies, insurance companies and attending physicians were also crucial in planning and executing international repatriation. While the international repatriation service is well estab1ished in European countries, it remains to be organized in japan and warrants consideration in this regard.

(JJAAM 1994; 5: 42-50)

Key Words: International repatriation, scheduled flight, assistance company, in-flight medical care, doctor escort


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