地元福岡県から以下の発刊がありましたので、皆様にお知らせいたします。 ************************************************************************************* American Heart Association から 救命法のバイブル 翻訳出版ついに実現! *基礎的救命法(Basic Life Support for Healthcare Providers) 監訳/古賀 俊彦・福山 尚哉 定価/2,000円(税込み) A4版/116頁/3色 アメリカ心臓協会が主に心臓病の基礎的救命法について、長年の経験と多くの基礎的データに 基づいてまとめたマニュアルである。心肺停止患者に対して、気道確保や適正な換気や体外式 心マッサージを介して致命的な臓器に機械的に血液循環を確保しようという初期治療から高度 ケアに至るまでのチーム間の連携プレーの重要性を解説。 <主な内容> ・心臓救急トータルケアシステム(ECC)における医療従事者と地域社会の役割 ・成人と小児の心肺蘇生法(CPR)および特殊な救助事態に必要な情報や手技 ・循環器系と呼吸器系の解剖と生理 ・心臓病及び脳卒中の危険因子と心臓病予防のための生活様式 ・障害を受ける機会を減らし突然死を予防するために患者及び医療従事者が習得 すべき知識と行動 ・小児期の損傷の予防 ・訓練及び実際の救助における安全性 ・CPRにおける倫理的及び法的考察 医療現場に従事しておられる方々、これから医療を志す方々にぜひ一読いただきたい内容です。 *高度循環救命法(Advanced Cardiac Life Support) 訳 古賀 俊彦 定価/4,500円(税込み) A4版/408頁 ACLSはBLSに連続する蘇生行為であり、BLSに換気補助装置の使用、静脈路確保、薬剤投与、心臓 モニター、除細動あるいは他の不整脈のコントロール、さらに蘇生後のケアを加えたものを含む。 本書は脳の蘇生を最重要目標に、心肺救急や突然死をチーム医療で治療する方法を多くのアルゴ リズムやプロトコールを用いて解説。 <主な内容> ・高度循環救命法のエッセンシャルズ ・気道管理、換気、酸素化に関する付属関連器具の説明と使い方 ・不整脈を解釈するための心臓の電気リズムの同定法 ・除細動の重要性とその使用に関すること ・救急心臓ペーシング ・静脈内手技の際の一般的なガイドライン ・循環器薬の薬理学 ・心筋梗塞の臨床症状と治療法 ・脳卒中、低体温、溺水、感電事故、妊娠時などの特殊な病態の蘇生 ・CPRテクニックのための関連器具、機械的CPR装置、CPRを評価するための手段 ・観血的モニタリング手技と観血的治療手技 ・心臓蘇生後の脳の治療 ・CPRとECCの倫理的原則とガイドライン ・ECCに対する地域社会のアプローチ 救急医療に関心をお持ちの医師、看護婦、救急救命士、呼吸療法認定士、臨床工学技士などの コ・メディカルスタッフの方々にぜひお勧めします。 <問合せ先> 株式会社マルコ出版部 担当 伊原 〒839 福岡県久留米市野中町1245-7 TEL:0942-35-4975 FAX:0942-38-1156 E-mail:respira@orange.ocn.ne.jp *************************************************************************************
日英救命救急医療に関するセミナーのご案内
Date: Mon, 25 Aug 1997 19:24:49 +0900 (JST) From: appcc@po.jah.or.jp Subject: [eml:04211] お知らせ セミナータイトル:「救急医療サービスー未来への展望」 EMS−Agenda for the future 主催:英国大使館商務部 共催:英国保健省、英国貿易産業省 後援:厚生省(予定)、消防庁(予定)日本貿易振興会(JETRO) この度日英専門家講師による両国の救命・救急に関する現状報告及び将来に向けての 問題解決、更には協力の模索を目的とするセミナーを下記の通り開催致します。ご多 忙とは存じますが、是非ご参加下さるようご案内申し上げます。尚、セミナーと平行 して英国救急医療サービスに於いて活躍中のパラメデイックモーターサイクル、その 他関連機器、医療材及びノウハウの紹介の為のミニ展示も開催いたします。セミナー の後、同会場において引き続きレセプションを予定しておりますのでこちらの方にも ご出席下さるようお待ち申し上げております。 記 日時 1997年9月8日(月曜日)午後2時よりセミナー 引き続き6時10分より7時45分までレセプション 場所 キャピトル東急ホテル白真珠の間 お間い合わせ先 英国大使館商務部 直通電話03−5211−1150・1162(担当:石井・吉村) 日英救命救急医療に関するセミナー概要 タイトル:「救急医療サービスー未来への展望」 目的: 日英の救急医療に従事する専門家講師にる両国の救命・救急に関する現状報告を行う ことによって、将来的な協力を模索する足がかりとし、同時に英国救急医療サービス におて活躍中の機器、医療関連材及ぴノウハウを紹介する 日時: 東京1997年9月8目(月曜日) 午後2時より 引き続き6時10分よりレセプション 神戸1997年9月10目(水曜目) 午後2時より 引き続き6時よりレセプション 場所: 東京 キャピトル東急ホテル白真珠の間 (会場において英国救急医療サービス関連の機器、医関連材及ぴノウハウを紹介する 為の展示も同時開催 参加予定:パラメディックモーターサイクル、人工呼吸器、創傷被覆材、小型ベンチ レーター、麻酔器 等) 神戸ポートピアホテル偕楽の間 (会場において英国救急医療サービス関連の機器、医関連材及びノウハウを紹介する 為の展示も同時開催。参加予定同上) 費用:無料 英国側講師:同時通訳がつきます Dr Peter J F Baskett(UKside chairman) Consultant Anaesthetist Frenchay Hospita1,Bristol,UK “Guideline for Resuscitation in Europe”欧州に於ける蘇生法のガイトライン Dr Thomas M Moles Honorary Associate Professor University of Hong Kong “From Chaos to Coherence:Options for the Management of Mass Casualties” 混乱から収拾へ-大量負傷者管理の確立へ Dr David J Baker Chairman Toxic Trauma and HAZMAT International Trauma and Critical Care Society(ITACCS) “Pre一hospital Management of Respiratory Failure Following Toxic Exposure” 中毒による呼吸器系機能不全の病院搬送前看護 Mr Andrew K Marsden Consultant Medical Director Scottish Ambulance Service Ltd “Training for Pre−hospital Care in the United Kingdom”英国に於ける病院搬 送前のケアトレーニング 日本側講師:[東京] 山本保博教授(東京セミナー座長)日本医科大学救急医学科 高度救命救急センター 阪神大震災後の新たな災害予防及び防備策 岡田和夫教授 帝京大学医学部麻酔学科 市民の蘇生法普及への一つのアプローチ一教職員及ぴ中高校生への普及 深沢政富氏 救急指導課長 東京消防庁救急部 東京消防庁における救命救急ヘの取り組み 日本側講師:[神戸] 石井昇教授(神戸セミナー座長)神戸大学医学部災害救急医学講座 日本の救急医療体制の現状と今後の課題 鵜飼卓博士 大坂市立総合医療センター副院長 災害後の救急医療一阪神・淡路大震災時とその後の進展 向田淳氏 神戸市消防局 救急救助課長 神戸市消防救急隊の現状と将来展望
DVAP TIMES 23号より
Date: Sat, 30 Aug 1997 00:10:00 +0900 From: 小島 誠一郎 Subject: [eml:04239] DVAP TIMES vol.23 小島です。 兵庫県こころのケアセンター発行のDVAP TIMES 23号が出ましたので、 転載いたします。m(__)m --------ここから ★2年半後の淡路島から★ 明石海峡大橋も完成間近ですが、海を隔てた被災地の状況は、野島断層が公園とな り永久保存されることが報道されるぐらいで余り伝わってきません。以下の文章は津 名DVAPスタッフが、ある月刊誌に寄稿したものです。 私の仕事場のすぐ近くにある津名町志筑仮設住宅で、この間から解体作業が始まっ た。30軒ほどを残し200もの住宅が壁は壁、柱は柱でまとめられ建材の山と化し ていく。そしてこの山はなんとはるかベトナムに運ばれ、また組み立てられると聞い た。訪問して仮設に上がらせていただいてお話を聞いたあの人この人の顔が浮かんで くる。ベトナムではどんな人たちが住むのだろう。いろんなことを思いつつ、震災か ら時間だけは確実に過ぎていくことを実感する。 (中略)「震災離婚」などという言葉がマスコミによって作られたが、震災で家族関 係が大きく変わってしまった家庭も少なくない。家族の一員を失った家では、深い心 の傷を負うばかりでなく、生活の様式や残った家族の関係まで大きく変わってしまう。 恒久住宅に移るのを機に同居したら、嫁姑問題が顕在化した家もある。淡路では三世 代同居が今でもずいぶん多い。これは、生計の中心になる農業や漁業が家族ぐるみの 仕事であり同居しているほうが実際的なこともあるのかもしれない。ところが、若い 世代の考え方、ライフスタイルというのは核家族の多い都会とそう変わらないように 思う。幼いころからテレビに親しみ、どこか世代としての均一な文化を担っているか らだろう。その分、同居すること自体矛盾をはらんでいて、世代間のトラブルがいっ そう増えている。 淡路の仮設住宅は来るべき高齢化社会が先取りされたかのようでもある。高齢者を 訪問していると、今まで余り考えていなかったが、親の老後、自分の老後はどうする のかと現実的な問題として身にせまってくる。たいていは皆いつかは考えねばと思い つつ、どこか避けて通っているのだろう。体もまずまず健康で住むに困らぬ大きな家 があると、子どもが遠くにいても、まあしばらくはこのまま暮らしていけるだろうと 高齢者本人も子どもも考えてわざわざ話題にもしない。そこへ地震が起こり、家を失 い再建する余力もない。避難所、仮設、恒久住宅・・・・次々住環境は変わるが、年 をとればとるほど変化への適応力は落ちてくる。一人で身の回りのことがこなせてい た人でも震災で加わったストレスで極端に一人暮らしが難しくなった方も少なくない。 淡路は近所付き合いが密接で仮説では軒先でおばあさんたちが座ってしゃべっていた りする光景がよく見られた。訪問して留守であっても近所の人が今どこにいっている か、いつ頃帰ってくるか向こうから声をかけてくれ、孤独死で何日もわからなかった ということはここでは起こりそうにもなかった。ところがマンション形式の恒久住宅 に移られるとドア一枚隔てて外に出ても廊下に誰もいず、一日話すこともなく、外出 するのも億劫になったという老人が多い。どういうわけが複数の人が「監獄に入れら れたみたい」と形容する。こんなこと言うのは贅沢だけどと遠慮がちに前置きしなが ら・・・・。(後略) (月刊「国保ひょうご」より) ★国際シンポの申し込みについて★ 先月号でご案内した当センター主催の国際シンポジウム「災害とトラウマ」について、 申し込み方法をご案内いたします。 ▽国際シンポジウム「災害と心的外傷:長期的影響とケアの方向性」 ▽開催日時 平成9年10月10日 (金)13:00〜18:00 ▽場所 神戸市産業振興センター大ホール。入場無料、同時通訳付(日本語、英語)。 ▽参加申し込み方法 「国際シンポ参加希望」と明記して、郵便、FAX、あるいはE-mailにて氏名、連絡先( 住所と電話)、職種、所属を事務局までお送り下さい。 締め切り:平成9年9月19日(必着)、先着400名まで ▽事務局:〒652 神戸市兵庫区荒田町2-1-17 兵庫県荒田分室内 兵庫県精神保健協会こころのケアセンター 国際シンポ事務局 TEL:078-512-2856 FAX:078-512-2870 E-mail:LDW04367@niftyserve.or.jp J.ハーマン、A.マクファーレン、中野幹三、小西聖子などトラウマ研究の第一人者が 顔を揃えます。是非お見逃しなく。お申し込みはお早めにどうぞ。 ★第四次募集を控えて★ 9月下旬より公的復興住宅の第4次募集が始まります。計15608戸(そのうち 新築10,596戸)の今回の募集は事実上最後の募集となります。また、仮設住宅 の優先枠は概ね80%(県営住宅については一部100%)で、仮設住宅の早期の解 消をより強く打ち出した施策となっています。この新たな募集には「こんどこそ住み 慣れた土地へ」という希望を多くの方が寄せている反面、「今度当たらなかったら・ ・・」という不安を多くの方が抱えているようです。長田区で被災したある老夫婦は 第3次募集では仮当選をもらっていたものの結局入居できませんでした。「やっぱり 長田に帰りたいですわ。住み慣れたところの便利さには代えられませんから・・・今 度も長田の住宅を申し込むつもりですけど、当たるかどうか・・・私らこの年やから 不便なところではとても暮らしていけないんですわ。当たらなかったらどこにもいく とこない・・。」と半ばあきらめ顔で語っていました。 一方でこれまで情報が得にくい、仮設優先でほとんど当選しないとの問題が大きかっ た県外避難者に対して第4次募集に先立ち追加募集が行われます。募集されるのは伊 丹、川西、明石など第3次募集で定数が埋まらなかった234戸(いずれも新築)で す。 ★編集後記★ 一人また一人と転居が進んでいく中で、何となく浮き足立っているというのが最近 の仮設の雰囲気である。残されていく人たちの焦燥もさることながら、自治組織の混 乱と弱体化も目立ってきている。中心人物が抜けた後、それまでの不満が一挙に爆発 してしまい活動を停止してしまったところも多い。様々な問題を抱え行き先の定まら ない人たちが残り、自治組織が形骸化していく中、どのような形で支援を続けていく のか検討していかなければならないだろう。 国際シンポの申し込みは既に始まっています。予想を上回る数の申し込みが寄せら れています。お申し込みはお早めに。 --------ここまで 以上です。m(__)m __________________________________________ SBK Research Institute Research fellow Kojima,Seiichirou 4-5-14,Ojima,Koto-ku,Tokyo 136,JAPAN
Date: Sat, 30 Aug 1997 06:21:00 +0900 From: 小島 誠一郎 Subject: [eml:04241] RE:DVAP TIMES vol.23 [eml:04239]で転載したDVAP TIMES vol.23に関しての続報です。 この国際シンポジウム「災害とトラウマ」ですが、現在ほぼ満席のようです。(^^;) 先着順ですので、もし参加を希望される方は、すぐに連絡をしてみて下さい。m(__)m __________________________________________ SBK Research Institute Research fellow Kojima,Seiichirou 4-5-14,Ojima,Koto-ku,Tokyo 136,JAPAN
インターネットを活用した「被災者支援広域情報通信実験」
―1997年9月1日実施―From: Manami Shimazaki
Date: Sat, 30 Aug 1997 20:59:45 +0900 To: a1shima@hi-ho.ne.jp Subject: [eml:04248] wide proj. life-line task-force 東京都の防災訓練に合わせ、WIDEプロジェクトが主催する情報通信訓練の プレス発表分です。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ インターネットを活用した「被災者支援広域情報通信実験」の実施について 9月1日「防災の日」における訓練会場において、下記の内容で「被災者支援 広域情報通信実験」を実施しますので、お知らせします。 記 1. 名称 「被災者支援広域情報通信実験」 2. 目的 被災者支援情報とは、被災者の安否情報、すなわち「生きているのかどうか」 「けがはしているのか」「どこにいるのか」といった被災者の安否・所在地等に 関する情報やライフラインや交通基盤の被害・復旧状況などに関する情報を指し ています。 今回の実験では、インターネットを活用し、被災者と想定される人達から、こ れらの情報をどのように収集し、提供していくのかという課題について、地上回 線の遮断や輻そうを想定して、衛星通信、携帯電話・PHS やポケットベル等の多 様な通信手段を用意し、手書入力など容易な入力方法にも配慮した実証的な実験 を行い、その運用・技術面の検証を行うことを目的としています。(詳細別紙) なお、今回の実験を契機に「被災者支援広域情報ネットワーク推進協議会」で 継続的な検証を行っていくこととしています。 3. 主催者 (株)東京テレポートセンター/WIDE プロジェクト (代表: 村井純 慶應義塾大学教授) 4. 後援 東京都 5. 期日 平成9年9月1日(月) 6. 場所 ○ 東京都・立川市合同総合訓練会場 大蔵省関東財務局保留地 (東京都立川市緑町) ○ 千代田区総合防災訓練会場 秋葉原駅前広場 (東京都千代田区外神田 1-17-16) 7. インターネットによる実験紹介・参加について インターネットを通じて、今回の実験内容をご紹介しています。また、9月1日 と2日には、お手元のパソコンから、実験に参加することも可能です。 多くの皆さんのアクセスをお待ちしています。 アドレス名 http://www.tokyo-teleport.co.jp/saigai/ * 今回実験の協力先 東京大学大型計算機センター、東京工業大学大野研究室、情報技術開発(株) 、 日本電信電話(株)、三菱電機(株)、宇宙通信(株)、ハイウェイ・トール・ システム(株)、三菱商事(株)、NTT移動通信網(株) (順不同) (問い合わせ先) (株) 東京テレポートセンター 施設管理部都市管理課 土渕・野口 TEL: 5500-0075 ==================================
防災の日「フェニックス中継」(970901実施)について
Date: 30 Aug 97 14:08:33 JST Subject: [eml:04246] 防災の日「フェニックス中継」 阿部@NTT北海道法人営業本部です。 さて、9月1日「防災の日」 「札幌市総合防災訓練の模様をフェニックス中継!!」 というホームページがありましたので紹介します。 http://www.snowspr.isp.ntt.co.jp/ ついでに「フェニックス(Phoenix)」とは、 http://www.tokeidai.co.jp/ntthokkaido/ 弊社のPRになってしまいましたが、僻地医療に ご従事されている方々は私よりも知っているので はないでしょうか? (^^;
二酸化炭素、実は毒ガス?
Date: Sun, 31 Aug 1997 15:26:09 +0900 To: eml@m.ehime-u.ac.jp Subject: [eml:04253] 二酸化炭素、実は毒ガス? CO2、ドライアイスでおなじみですが… 実はこわーい中毒も 97.08.29 朝日新聞夕刊 9頁 科学 写図有 (全1439字) 青森・八甲田山のくぼ地で7月12日夜、訓練中の自衛隊員三人が死亡する事故が 起きた。原因として、火山性の二酸化炭素(CO2)ガスが有力視されている。コー ラやビールの気泡やドライアイスなど、身近な存在でもある二酸化炭素。実は、人間 や動物をあっという間に倒す怖い一面を持っている。しかし、毒性の仕組みは、まだ よく分かっていない。どんな条件のとき、二酸化炭素の中毒は起きるのか。 東京工業大草津白根火山観測所が事故の翌日、現地のガス成分を調べた報告書によ ると、くぼ地での二酸化炭素濃度は15―20%だった。大気中の二酸化炭素濃度は 0・032%(理科年表)なので、このくぼ地では、通常の約五百倍もの濃度があっ たことになる。三人の死因はまだ確定していないが、現場で検出された高濃度の二酸 化炭素が原因、との見方が強い。 二酸化炭素が原因とすると、自衛隊員らが倒れたのは、酸素が欠乏したせいか。そ れとも高濃度の二酸化炭素そのもののせいだろうか。 兵庫医科大学の吉永和正講師(災害・救急医学)によると、命にかかわる酸素欠乏 は、空気中の酸素濃度が12%を下回った時という。空気中の酸素濃度と二酸化炭素 濃度には、図のような関係がある。このグラフから二酸化炭素濃度が二〇%のときの 酸素濃度は16・7%で、致命的な酸欠状態とはいえない。 一方、一般的に二酸化炭素を、三十分間吸い続けても後遺症がない「脱出限界濃度」 は5%とされている。10%の二酸化炭素を吸うと、耳鳴りやふるえが起き、一分間 で意識を失う。30%になると、即座に意識不明の状態になる。吉永講師によると、 酸素20%、二酸化炭素80%の気体を犬に吸わせたら、一分で呼吸が止まり、数分 で死亡した、という報告があるという。この実験は、大気と同じぐらいの酸素(大気の酸 素濃度は21%)があっても、二酸化炭素が一定量以上あれば、中毒を起こすことを示し ている。 1986年8月、西アフリカ・カメルーンでは、湖から火山性の二酸化炭素ガスが 大量に噴出、湖の近くで、村人千二百人のほぼ全員が死亡する事故が起きている。 火山性ガス以外では、車でドライアイス運搬中に、ドライアイスが気化して、中毒 を起こした例や、二酸化炭素消火装置による例などがある。ドライアイスは、ビデオ テープ二本分程度の大きさで重さ2キログラムになる。室温だと一時間で約350グ ラムが気化。約二百リットルの二酸化炭素になる。車内空間が約2立方メートルの軽 自動車の場合、濃度は約10%になり、密室状態にしておくと中毒を起こす。ドライ アイス会社は「車で持ち帰るお客さんには、窓を開けて運転するよう呼びかけていま す」と言う。 二酸化炭素ガスに、すばやく意識を奪う作用があることは、十八世紀にはすでに分 かっていたが、なぜそのような効果があるのか、仕組みはいまだに解明されていない。 大阪大学医学部の吉矢生人教授(麻酔学)は「二酸化炭素ガス以外にも、笑気ガスや エーテルなど麻酔効果を持つ気体はいろいろありますが、肺から吸入して脳に作用す るメカニズムは、どれもわかっていません」という。 <呼吸や飲み物の二酸化炭素> 人間は、呼吸で酸素を取り込み、二酸化炭素を放 出している。呼気中に含まれる二酸化炭素は約4%なので、口移しで空気を送り込む 人工呼吸では、二酸化炭素中毒を起こす心配はない。 炭酸飲料やビールの泡に含まれる二酸化炭素は、肺でなく胃に入る。胃酸で気体に なり、ゲップとして排出されるので、こちらも中毒の心配はない。