DISASTER MEDICINE

Application for the Immediate Management and Triage of Civilian and Military Disaster Victims

Burcle FM Jr, Sanner PH and Wolcott BW

翻訳・青野 允、谷 壮吉、森 秀麿、中村紘一郎

(情報開発研究所、東京、1985)


15.神経精神災害

Frederick M Burcle, M.D., M.P.H


はじめに

 災害に対する多くの定義のなかで,一つは“災害とは集団的なストレ スの状態である”ということがいえる1).これは現在ある社会組織の破綻 である.神経精神災害がこのような破綻から引き起こされることは十分 予測できる.あいにく,多くの健康管理者は,このような犠牲者につい ての理解,かかわりについてほとんど準備がなされていない.

 市民の災害への反応に関する最新の知識は,軍事精神医学から一次的 に導きだされた概念や創意を研究することから得ている.第二次世界大 戦の最初の研究は,ストレスによって導かれる精神的異常の過程に焦点 が当てられていた(外傷性戦争神経症2)).戦後の災害の経験は,戦時の知 識と経験からストレスを考えた.戦闘または平時の災害によるものであ っても,ストレス反応は,最初は一時的な状態として考えられていた. 長期間の疾病あるいは予後の悪い疾病と神経症を関連づけ,これらの反 応を神経症であるとした初期の名称は正しくない.外傷性情動反応は, ストレス反応に分類される3).しかしながらある追跡調査によると,最初 の受傷時(傷害後ストレス状態4))から何年にもわたって初発症状が残るこ とがあり,ある研究者たちはこれを外傷性戦争神経症()と名づけている.

 註:この基準9)は,不眠症,悪心,いらいら,はっと目を覚ます,不安,気が滅入る,自尊 心の低下,罪悪感,物事に対する興味や動機がなくなる,自己主張がなくなる,など である.

 著者としては,これはあやまった呼び名であると言いたい.この言葉 は,将来の長期間の評価でそうでないとはっきりするまでは,反応とか 不調とかの言葉(すなわち,戦傷反応)で置き換えておくべきである.災 害時のストレスは,死に至る危機に際して落ち込みやすい人や,たとえ ば遺伝的に性格異常の素質をもつ人,素質または性格異常の人にとって は,慢性的な精神障害となる一つの要因ではある.

 しかし,典型的な精神異常は外的なものによっては誘発されないこと が明らかとなっている.第二次世界大戦の記録によると,軍隊での精神 病発症率は戦時と平時とで同じである10).一時的な情動反応は,そのうち のいくらかは重鷺な精神的異常行動を起こしているが,危険がみせかけ であったり,あるいは本当の危険が去るや否や症状が改善してくる.

 第二次世界大戦や朝鮮戦争のときに,戦闘に関連して発症した精神病 をもつ兵隊たちが,“急性分裂病”の診断のもとに撤退した.しかしこれ らの兵隊たちは回復し,精神的異常行動が完全に消失するので,しばし ば軍医がくやしがるほどであった.だが不幸にも,“分裂病様”という診 断は彼らの記録に永久に残された.

 戦時あるいは平時の災害に際して,情動反応についての知識が増えて くるにつれて,精神管理者はその考えをかえるようになった.現在の 『災害医学用語III11)』では,以前の『災害医学用語II』での急性分裂病のよう に限局したしばしば不正確な分類を,短期間の反応性精神病として包括 している.

 したがって,読者は戦時や平時の災害での強度のストレス反応があら ゆる人に影響を与えることを理解しなければならない.感じやすいとい うことは一般的なことである.戦時あるいは平時でも,神経精神的な障 害はしばしば一時的な“適応不全12)”として理解されている.“反応しない” というものではない.

 早期の状況のもと(すなわち,最初の36時間)では,診断せずにおく ほうが,永久に残るような診断をしてしまうよりもよりよい.臨床的な 印象として,徴候や症状を手短に記述して,いちばん急ぐ特定の症状に 対してのみ治療を行うことをすすめる.


A.心理学説

1)精神内過程

a)刺激防壁説13), 14)

 この説は,個々の精神は一つの刺激に対する防壁をもっており,これ は人生における感情的な刺激の蓄積による経験に反映されている.この 刺激防壁は,条件と適応の両者に反応する.この反応はそれぞれ個人の エゴあるいは性格の積み重ねられたものである.

b)相13)

 性格異常は三つの段階に分けられる.すなわち,1)崩壊,2)再構成, 3)再統合である.すべての人は精神的,肉体的な,あるいはその両方か らの障害を受けやすく,刺激防壁の限界を試みている.強度のストレス 下では,すべての人は個々のエゴを大なり小なり崩壊させられている. 反応は一時的であるかもしれないし,長いかもしれないし,また,急性 あるいは慢性であるかもしれない.この反応は犠牲者によって認識され ることもあるし,されないこともある.再構成,再統合は急速に行われ るか,または刺激防壁が再び機能するのが困難であるとエゴが認めるこ とになるかもしれない.一度,刺激防壁の限界を超えてしまうと15),人間 は次のストレスに対して傷つきやすくなってしまう.


B.平時の災害に伴う神経精神障害についての概念

 ショックによる障害は,あるとてつもない経験をするときに起きる1). 地震,洪水,津波などのような自然災害は,通常ショック障害を引き起 こす.広範な荒廃があっても,障害は一時的なものであるという期待か ら希望が生じる.一般的にいって,平時の災害は広範な神経精神状態を 損なってしまうものではない.災害の状況をすばやくとらえることがで きるのは,比較的わずかの人々である.その人々は理解したことをただ ちに適切に建設的活動に振り向けることができる.しかしながら,この 時期はまたたく間に過ぎてしまって,90%以上の人々が回復し,衝撃的 な時期を過ぎたのち,十分な機能を取り戻す16)

 第二次世界大戦における空襲下のイギリスでも,原爆後の日本でも, 世界中の平時の大災害時でも,精神病やそれによる入院の割合は増えて いない10)

 肉体的な被災についての診断や治療において,急性の精神的な問題を 伴っている場合に,災害の精神的な面を取り扱ったり,あるいは他の健 康管理にも携わるようなところは,ごくわずかの民間病院だけである. 結果として,対応に誤りがあったり,不必要な入院や治療が行われたり, トリアージ過程で混乱と遅滞が起きたりする.

 平時での災害経験では 1/3の人はほとんどストレスを示さず,2/3の人 がストレスあるいは軽い抑うつを示し,1%以下の人が重鷺な障害に 悩む17).Tyhurstの報告によれば,災害時には12〜25%の人が冷静で沈着 であり,一方,普通の人の75%が一時的にびっくり仰天してうろた える16)

 平時の災害では次のようなことが強度のストレスとなる.

  1. 突然愛する人を失う
  2. 日常の予定が突然崩れる
  3. 基礎的な生活基盤(家,食物など)が突然なくなる
  4. 肉体的な外傷のために感覚を失う

 人々は平時の災害で次のような症状を現す.

  1. 急激な悲しみ
  2. 激しい不安やパニック状態
  3. 1.も2.も一時的な精神病あるいは精神病様の行動を起こすか,その 素振りを示す.そのために一時的な反応性精神病の診断をくだすことも ある.

 Tyhurstと Glassは,衝撃期では75%の人に災害時症候群がみられる と述べている10), 16).これには次のようなものが含まれる.すなわち,感情の 欠如,活動性の抑制,素直さや反応の欠如,不随意運動や恐怖心の生理 的表現などである.表II-3はこれらの諸相と行動について示してい る.

表II-3 大災害の様相

時期(相)ストレス心理的行動
衝撃前心配拒否あるいは不安
警告ストレスの予感拒否または防御行動
衝撃避けることのできない最大の直接物理的ストレス 12〜25%:落ち着いて、きびきびと働く
75%:一時的に仰天して、うろたえる
12〜25%:不適当な行動、混乱、不安、ヒステリ−
後退ストレス消褪90%:自分を取り戻す、直前の出来事の自覚、はじめて感情を表す
衝撃後第一次、第二次ストレスの後遺症悲しみ、憂うつ、外傷後ストレス症候群、精神身体の異常の訴え、種々の反応

(the Classification of Glass10) and Tyhurst16)より改変)


表II-4 大災害の諸相

時期(相)心理的行動
衝撃前期迫っているストレスの認識
衝撃期刺激防御機構が過度になる
急性混乱期
(通常一時的)
混乱、意識がぼやける、記憶障害、判断力の障害、感情の上下、状況の把握の障害
退行期混乱に抗する利己主義の縮小
再生期利己主義の回復

(the Classification of Titchener and Ross13)より改変)


C.戦闘時の神経精神障害についての概念

 軍隊にとって基本となる生き残るための訓練では,戦時に遭遇するで あろうストレス下に兵隊をさらすように計画されている18).この訓練過程 で戦時のストレスに適応しない人たちを選び出す.ある研究では新兵の 1.8%が精神鑑定に送られた19).US. Military Academyは各隊の4%が ストレス反応者とした20).空軍志願者は訓練中においてさえ,戦時の古典 的な精神異常を示すものがあった21).一般社会でよく適応できない病歴をもつ兵隊は,戦闘状況下ではさらに適応できない危険性が大きい10), 26).第二 次世界大戦で Marshallは,わずか15〜25%の兵隊しか戦闘で適切な攻 撃行動を行わなかったことを報告している22)

 訓練が神経精神の破綻から個人を護る基本的因子であるということが 示されているが,すべての人の刺激防壁機構はそれに勝るものである.

1)戦関的因子の関与12)

  1. 戦闘の全日数:80〜100日間の戦闘後に神経精神的問題の危険性が 箸明に増大する.

  2. 指導性の質31)

  3. 隊のモラル.

  4. 隊の団結力と支え:『ヨムニキップールの戦闘』によると,エリート戦 闘集団と予備軍とでは神経精神的な反応がまったく異なっていることを 示している.エリート戦闘集団はかなりの社会的な支持をもっており, これと対比して予備軍の集団は互いにまったく顔見知りではない.予備 軍では外傷性神経症の割合が高いのを経験している9)

  5. 前線を固定すると神経精神障害の割合が高くなる.前進あるいは後 退などの移動はこの割合を減少させる12)

  6. 各個人にとっての戦闘の意味:戦闘経験やそれへの適応意義だけで は兵士の反応を説明するのに十分ではない.各人がそれぞれ戦闘に対し てもつ意味を認識できれば,多くの異なった反応も理解できる23)

2)非戦闘的因子の関与24)

  1. 孤立,うんざりすること,不十分な食事,長期の肉体的不快,極度 の疲労や身体的病気などがこの問題となる.

  2. 前歴として神経症のある人は神経精神症状をきたす可能性が7〜8倍 も高い25)

  3. 親密な友達がいないことは,もう一つの関与因子である.ベトナム 戦争では戦友制はしばしば存在しなかった.なぜなら,それは戦闘隊が 常に新しい部隊へと動くためであった12)

     以前の戦争で戦争神経精神障害者は23%に達した12), 30).野戦司令官は少な くとも10%台を予想していた27)が,ベトナム戦争での神経精神障害の割合は常に6%以下であった12), 30).この理由として次のようなものがあげられる27)

    1. 義務期間が1年であること
    2. 軍司令部での精神異常に対する認識について改善が行われたこと
    3. 訓練が改善されたこと
    4. 装備が改善されたこと
    5. 指導条件が改善されたこと
    6. 医学的処置が早くなったこと
    7. 戦闘要員のモラルが向上したこと
    8. 移動を行うことによって戦闘が短くなったこと
    9. R&R(休養とレクリエーション)の方針
    10. 軍医士官による精神訓練が改善されたこと

3)分類

 Petteraらは,ベトナム前線での戦闘による情動反応に三つの型がある ことを観察した28)

a)精神的苦痛を伴った戦脇による疲労

  1. 敵との頻回かつ長期にわたる接触による二次的なもの

  2. 肉体的疲労と精神的疲労とが重なる(肉体的疲労が最初に)

  3. 症候としては抑制できない叫び,過換気,極端なふるえ,そして急 激な耐えられない不安(通常,おびえるとか,凍りつくとかいう)

b)戦闘に対する反応

 Petteraらは,この神経症が限られているのを認め,これに反応という言葉を当てはめた.

  1. 戦闘要員にのみ起きる

  2. 反復する激しい精神的ショックによって起きる

  3. 長期間にわたって進行する

  4. 症状の進行を図II-6に示した28).それは,悪夢,意気消沈,罪の意 識,戦闘時の精神的衝撃を迫体験することを含んでいる.他人はそうで ないのに自分だけが倒れたとか,戦闘で友達を失ったことなど,すべて が進行の因子となる.戦闘に向かないということが,同僚の兵士や部隊 長によって認められる.戦闘について考えることが,あるいは戦闘その ものが深い恐怖を引き起こす28)

c)一時的な不安反応

  1. 急激に,中等度に耐えられなくなる
  2. ほとんどあるいはまったく原因が認められない

 Eisemanは,ストレスによる不安を募らせるような一人きりの夜間歩 哨の役割について研究し,その結果,このような状況では幻覚の傾向が あることを強調した27)

 Blockは,前線撤退して神経精神鑑定のために入院した人々を観察し, 急性の診断的分類を行った29)表II-5).その結果,はじめ精神病と診断された人の56%が現役に復帰し,28%が急性の状況反応と新しく診断され た.戦闘による過労を示したものは100%が現役に戻った.治療計画は, その最終目標が早期の現役への復帰であり,精神病の内面よりも 兵士の人間関係のほうがたいせつであると強調している29)

表II-5 入院治療と関連した診断的分類

診断入院期間
精神病44.0%14日
非精神病性急性状況反応17.5%6日
精神神経症12.3%8日
性格行動異常11.2%8日
アルコ−ルや薬物常習 6.8%2日
戦闘による疲弊5.7%3日

 他の研究では,性格や行動の異常は他の分類に属し(40%32)),わずか13%の人が精神病,神経症として分類された33).Tischlerは,4か月に満たないベトナムでの研究で,神経精神病のほとんど半数が17歳から20 歳の若者であり,核家族の育ちであり,両親と親密に関係があり,高校生活 ではしばしば孤独であったことを示している33).これと逆に,Schramel は,ベトナムから退役した100人の神経精神病患者を研究した.これら の患者は志願兵ではなく,既婚者であり,年をとっており,家族は分裂 していて不幸な結婚生活の経験をもち,80%がアルコール中毒であっ た.Schramelの知見は朝鮮戦争でみられたのと同じであった34).Strange は,海軍での病院船でみられる患者を三つのカテゴリーに分けて記した35)

  1. 性格・行動異常:69%(
  2. 精神神経症:23%
  3. 精神病:8%

    註:性格、行動異常は非戦闘員の精神病にも同様にみられる。

 戦闘のストレスは,性格・行動異常の49%,精神神経異常の47%に みられるほど大きな誘因となるものである.これらのうちの多くの人々 は戦闘によるストレスの経験がなかったとしても,病院から逃亡するで あろうということも確かめられた.したがってこれら精神病患者にとっ ては,戦闘経験は発症に関与する重要な因子とは考えられない35)


D.治療方法

1)非薬物治療方法

 あらゆる患者は次のことを必要とする.

  1. できるだけ経験や感情をおもてに表すように勇気づける.

  2. 彼らの反応は正常であり,健康管理者によく理解できることを保障 する.ストレスがある線を超えると,感情を制御することができないと いうことは誰にでもある.

  3. 彼らの反応はけっして恥ずかしいことではない.

  4. 目的にかなった活動とか軍の仕事に早期に戻れるように勇気づける.

  5. 再確認の過程で,激しい感情の反応(すなわち,取り除けないような 精神的な考えや,急速には回復を見込めないような行動)が残っているか どうかを評価し、取り除く.

  6. 注意深く診察して,精神状態の変化や不安の原因として存在するか もしれない衝撃後症候群や脳内出血や,早期の低血圧などを完全に除外 できるまでは薬物治療は避けるべきである.

 メリーランド州の Montgomeryでの大災害計画に盛られたような精神 救急処置は,大災害犠牲者にみられる無数の反応に対して実際的応用が 利く36)表II-6).

 犠牲者の10%以上がかなりひどくて,追加の休養とか,現場からの移 動とか,身体的拘束とか,鎮静薬あるいはまた抗精神病薬,抗不安薬な どを必要とした.

表II-6 大災害時の精神救急処置

反応症状すべきことしてはいけないこと
正常震え,筋緊張,発汗,悪心,軽度の下痢,頻尿,心悸亢進,呼吸促迫,不安保障を与える,団体でいるようにする。動機づけをする,よく話し合う。みな落ち着いていることをみせる怒ってはいけない。過度に同情しない
個人的パニック状態
(逃走反応)
理由もなく逃げ出そうとする。公正な判断を欠く。とめどもなく泣く。あたりをかけずり回る 最初は親切にしっかりせよという。飲み物とか食物で少し暖かくしてやる。必要ならば隔離する,やさしくする。話すように勇気づける(対応者)。自己の限界を心得ておく。厳しく制止しない。なじらない。水をかけて静めようとしない。鎮静薬を投与しない
抑うつ
(低活動的反応)
何もせずに立ったり座ったりする。表現がうつろ。感情表現に欠ける できるだけ早く対応する,感情交流をする。何が起きたかを語らせる,やさしくする。患者および対応者自身での怒りの感情を認識する。単純な決まった作業をみつける。温かい食物や飲み物を与える元気をだせといってはいけない。過度の哀れみをかけない。鎮静薬を投与しない。怒ってはいけない
表現過多議論しすぎる。早くしゃべる。不適当な冗談をいう。たえず何かをいう。一つの行動からほかの行動に移りすぎる。 話をさせる。肉体を使うような作業をみつける。温かい食物や飲み物を与える。十分監視すること。自分の感情を知っておくこと。話をやめさせない。過度に同情しない。鎮静薬を投与しない。議論しない
取り乱す激しい悪心,瞳吐。体の部分を動かせない興味を示すこと。忘れさせるためにごく軽い作業をやらせる。慰めるようにする。必要なら医学的補助手段を使う。自分の感情をよく知っておくことまちがっているとはいわない。責めない。馬鹿にしない。無能であることをあからさまに無視しない。

(M51-400-603-1: Triage P1an: Montgomery County, Maryland. Dept.of NM-Resident Instruction, Med. Field Man., U.S.A. Med. Cntr., Fort Sam Houston, TXより改変)

2)薬物療法

a)急性不安反応

(1)ペンゾジアゼピン類

(a)クロルジアゼポキシド(リブリウム)
 胃腸管からの吸収がよく,2〜4時間で血中濃度が最高となる.静注は 即効的で効果的である.筋注は効果が遅く,吸収が悪いので禁忌である. 使用量は, 5〜 25 mgを経口で1日 4回,あるいは 50〜100 mgを静 注.

(b)ジアゼバム(ヴァリウム)

 吸収や剤型はクロルジアゼボキシドと同じである.半減期は長い(20〜50 時間).呼吸循環の抑制がある.静注での使用は十分注意する.
 使用量は,2〜5mgを経口で1日4回,あるいは 5〜10mgを静注.

(c)フルラゼバム(ダルメーン)

 抗不安を望むときの睡眠補助薬である.REM睡眠にはほとんど影響 がない.
 使用量は,15〜30mgを経口.

(2)抗ヒスタミン薬

 抗不安薬としてはほとんど効果がない.ペンゾジアゼピン薬が得られ ないときにかわりとして用いる.

(a)ヒドロキシジン(ビスタリル,アタラックス)

 使用量は,はじめ 50〜100 mgを筋注,その後 10〜 25 mgを1日 4回.

(b)べナドリール

 使用量は,はじめ 50〜100 mgを筋注,あるいは静注,その後 25〜50 mg を経口で1日4回.

(3)バルビツレート

 ベンゾジアゼピンが発見される以前には,バルビツレートは抗不安薬 として考えられた.中枢神経系の抑制と鎮静が得られる.ペンゾジアゼ ピンが手にはいらないときにかわりに用いる.

(a)フェノバルビタール

 使用量は,はじめ65〜135 mgを筋注.

(4)麻薬

 メベリジン(デメロール)やモルフィンは強力な抗不安薬である.しか し通常は,中毒性があり,乱用されると危険なため用いない.しかしな がら,大災害時に通常の抗不安薬が手にはいらない状況下で,その使用 を制限することが必ずしも正当でないと判断された場合は,手に負えな い場合の処置としてむしろ緊急に必要なことである.呼吸や循環の抑制 の危険性のために,重症者などには禁忌である.このような場合には, 不穏はショックの前兆でもある.

(a)メベリジン(デメロール)

 使用量は,50〜10o mgを筋注,皮下注あるいは経口.

(b)モルフィン

 使用量は,5〜10mgを筋注.

b)恐怖反応

 恐怖反応は急性の不安発作と同じものである.しかしながら,患者は 妄想,幻想,幻覚や奇妙な行動を伴ったり,伴わなかったりして,混乱 状態に極度の恐怖を現す.これらの人々は破壊的になったり,自分をめ ちゃくちゃにしたりする.混乱状態とか思考が定まらない状態などは痛 ましい状況であり,遅滞なく治療されなければならない.

(1)抗不安薬

 不安の要素が強ければ急性の不安発作に適用される薬物を使うべきで ある.精神的に行動異常があったり,経口での摂取に難点があれば,抗 精神病薬が用いられなければならない.

(2)抗精神病薬

 強力な神経遮断薬が,鎮静効果でなく抗精神病効果をねらって使用さ れる.筋注の75%が30分以内に吸収される.30分ごとに血圧測定を行 うこと.

(a)ハロベリドール(ハルドール)

 使用量は,はじめ5〜10 mg を筋注,激しい興奮が続くようであれば, 30分〜1時間で追加投与する.5〜10 mgを症状が治まるか眠るまで,毎 時繰り返す(全量60mgまで).血圧を30分ごとに測定する.

(b)ベルフェナジン(トリラフォン)

 使用量は,ハロベリドールと同量を用いる.

(c)その他

 トリフルオベラジン(ステラジン)やフルフェナジン(ブロリキシン)の ような強力な神経遮断薬も使用する.

c)神経遮断薬の急速な筋注による作用

 急速な神経遮断薬の筋注は次のような状態を惹起する37)

  1. 静穏作用
  2. 気分を変化させる
  3. 精神症状が軽快し始める

 これらがみられれば,経口投与に切り換える.混乱に伴うこれらの精 神異常行動の回復が速く,睡眠障害がなければ抗不安薬のみでよい.も し,行動や睡眠状態が精神病の急性期の状態であれば経口抗精神病薬を 投与する.経口薬投与は最初の24時間に症状を軽減させるのに必要とし た筋注量の2倍量とする.

 (1)副作用

 強力な神経遮断薬でよくみられるが,薬物によるバーキンソニスムは 筋注後すぐに現れ,また,若年者や老年者,外傷者に普通にみられる. 静坐不能(アカシジア,すなわち強度に落ち着きがなくて,じっとしてい られない,そわそわする,動きまわる)は,薬物性バーキンソニスムの間 中,あるいは,その少しあとに起きる.これらの錐体外路反応は次のよ うにしてただちに処置すべきである.
  1. ジフェンヒドラミン(ベラドリール):50mgを筋注または静注
  2. コゲンチン:2mgを筋注または静注
  3. ジアゼパムム(ヴァリウム):5〜10 mgを静注

d)短期の反応性精神症

 上記のような強力な神経遮断薬を使用することは,通常人道的に必要 である.睡眠障害が因子となっているときには,あまり強力でないフェ ノチアジン(クロルプロマジン,チオリダジン)が鎮静に使われる().

(1)クロルプロマジン(トラジン)

 使用量は,50〜75mgを筋注,その後1日 4回経口で 100 mgを投与.

註: これらの薬物は鎮静作用が強く,強力な神経遮断薬よりもより血圧低下を招く.長時 間睡眠(24〜48時間)がこの反応を治療するのに必要である.REM睡眠を促進するために, できるだけ早く神経遮断薬を中止し, フルニトラゼバムに切り換える.

(2)チオリダジン(メラリール)

 使用量は,50〜75mgを筋注,その後経口で1日 4回100 mgを投与.

 生命の危険がある場合や童篤な疾病となるような場合で,しかも神経 精神的障害のためにその治療をするのに遅れるか,妨げになるようなと きはハロベリドール(ハルドール)を緊急に静注する38). 投与は1分間5mgの割合で行い,効果が現れるまで10〜40分かかる.使用の上限は30秒に5mgまたは1分間10mgである.この割合だと血圧や脈拍には影響が ないが,特に多発外傷では頻回に測定すべきである.経鼻胃カテーテル から高濃度のハロペリドール2〜5mgを投与する方法は急速で確実に鎮 静が得られ,特に多発外傷で経消化管投与が好まれるか,または鎮静を 得るのに呼吸抑制の恐れがないことが望まれるときには,この方法がと られる(たとえば胸部,腹部外傷者など)39)

e)戦闘に関係した異常

(1)戦闘による疲労(疲弊)

 これらの犠牲者は長時間の睡眠(24〜48時間)が必要である.それによ って完全な回復とすみやかな現場への復帰が期待できる28).推奨する薬物 はセコバルビタール(セコナール)200 mg,クロルプロマジン(トラジン) 100mg,フルラゼバム(ダルナリン)30mg,チオリダジンで,投与時間は 必要に応じて行う.
 自然のREM睡眠が早晩みられるのは童篤な場合である.

(2)戦闘反応(神経症)

  1. 抗不安薬と睡眠薬の両方を慎重に使うことがすすめられる.
  2. 犠牲者のほとんどは3日以内に現場に復帰する.
  3. 積極的な強化方法は,長時間の睡眠,規則正しい食事,レクリエ− ションによる気分転換など,平均して行う必要がある.
  4. 15%は戦闘に影響されたものではない28)


E.特殊な年齢層の反応

1)小児

 グループとしては,小児は短期あるいは長期の神経反応が記録されて はいるけれども,回復しやすい.しかし,以前から情緒的問題,たとえ ば両親と離れているとか,両親の精神病的症状が反映されているなどを 抱えている場合には危険が大きい40), 41)

2)高齢者

 高齢者では自己固有感覚や時間感覚の喪失を経験する.高齢者は衝撃 後の時期に子供と一緒に行動することが有益である41)

3)精神病者

 ある精神病者は大災害に際して一時的に改善傾向を示す.そして,救 援者や他の患者の手助けをすることができる42).神経症,抑うつ者,性格 問題患者については,正確な予見をするに十分なデータはない.もし, 精神病用のベッドを重症者に明け渡さなければならないとしたら,精神 病患者をこういった症例に詳しい精神科医によって病院の外に出しても よいかどうかのスクリーニングをするか,または一時的に看護できると ころか,集団管理所などに移さなければならない.

4)健康管理者

 一つの大掛かりな経験から,医療救助の心構えや予想,機構などは短 期のためのものであることがわかる.災害を引き起こす事件の性質によ って緊急医療の予想というものは異なる.在来の医療従事者は状況がい ったん固定してはじめて予想できる.救援者はこの現状から適当な精神 的距離をおくような観察者を残すことができる.医師,特に外科医はこ ういうことに動揺せず,かつ沈着であるかもしれない.ある程度の距離 をおくことは,医師にとっては災害中のいろいろな要求を満たすために も必要なことである.しかしながら,健康管理者は感情的な衝撃に免疫 されていない.Edwardsは,看護婦が短期間の市民災害中に活動するに あたって,ストレスとなるものの要因をあげている41)

  1. 自分自身の安全性についての心配
  2. 自分の家族の安全性についての心配
  3. 救助機構や補給の欠如についてのこと
  4. 増大する責任について
  5. 過大な要求について
  6. 他の救助者との役割争いを避ける必要について
  7. 小児の犠牲者での看護婦と患者との関係について
  8. 何かたいせつで必要なことがあるのではないかという心配 犠牲者を抱え込みたいという感情

 戦争中にみられるような,医師が一定の距離をおいて行動するような 客観性は,彼らが教育を受けた医療センターのようなところでは必要と されたが,社会の完全な一員となった今ではそれが失われてしまってい る.もし基本的な生物的,社会的要求が満たされない場合,健康管理者 はその役割や自分自身の面倒をみる機能をなくしているだろう.このこ とは広島で起きており,24万5千人のうち7万5千人が死亡し,10万人 が原爆により障害を負った.150人の医師のうち,わずか30人が生き残 った43).1,780人の看護婦のうち,わずか126人が生き残ったのみである.


F.予防

 大災害の状況下では,医師は精神科医がのちになって治療するよりも もっと多くの精神障害者を予防できる,と Tyhurstは述べている.

 Edwardsは,神経精神的看護には次のようなことが含まれるとしてい る.

  1. 遭遇する広範囲な種々の反応に対しては感情細やかな,鷹揚な態度 で接する.

  2. 傷つき恐怖心をもった生存者には常にそばにいて看護し,一人きり にしないことを保障する.

  3. 適当な休息,毛布や温かい飲み物を供給する.

  4. 時には経験による感情的な要素を交えて勇気づける.

  5. 被暗示性が高まっているときに確信をもたせたり,暗示にかけたり する.

  6. 指示に忠実に容易に従うようにして,また目的のある行動で勇気づ けるようにして指導的な役割を与える.

  7. 生存者や家族や報道機関や噂などに対しては,正確な責任のある情 報をわかりやすく提供する.

  8. 障害者や障害が進行しつつある患者を,特別な治療センターに移送 する.

  9. 抗精神病薬を一時的に投与するが,それも決定的に必要とするとき のみ使用する.

  10. 精神病的評価あるいは治療を行うに際して,情緒的な後遺症を残す であろうというような患者には十分注意をはらう4)


G.神経精神災害のトリアージ

1)原則

  1. 神経精神災害は数としては比較的少ない.

  2. これら少数の犠牲者の混乱し動揺した行動は,トリアージをしたり, 重症患者を看護するのに妨げになる.

  3. 情緒反応は臨機応変に処置しなければならない.なぜなら精神科医 たちは他の救急患者あるいは外科的処置に手を取られるからである.

  4. 精神科医,あるいは一般医は,より危機に瀕した症状を示す患者を 評価して治療しなければならず,また犠牲者を看護婦や救助者や医学生 に渡して,精神科医の監督のもとで,より高度の評価,治療を行う.

  5. 野外の現場ではトリアージ担当者は,情緒反応を示す犠牲者を,看 護や移送や器具担当などの必要とする役割に割り当て(義務を与える)て やらねばならない.

  6. 神経精神異常として選別されるべき犠牲者とは,多くの場合,心を 取り乱してしまった配偶者とか,極度に疲労した救助者とか,子供を失 った者とか,怒りで訴えると喚いている親たちなどである44)

  7. 一般地区病院の防災計画は,基本的な設備はもちろん神経精神災害 のトリアージについての計画も含んでいなければならない44)

    a)精神病救急外来ユニット
    b)危機情報ユニット
    c)関係者待期ユニット
    d)精神異常者救助チーム
    e)精神災害者ユニット


引用文献

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――訳 森 秀麿 


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