質疑応答
家族の希望により、見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか?

 救急・災害医療ホームページへ寄せられた質問とこれに対するウェブ担当者の回答を紹介します(文責:県立新居浜病院麻酔科 越智元郎。本資料の、著作権などに関する責任はすべてウェブ担当者が負います)。


目次

 質問

 ウェブ担当者の回答

 救急医療メーリングリスト(eml-nc)での意見交換より

  越智 [eml-nc4: 2302] 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか?
  A  [eml-nc4: 2304] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか? 
  中村 [eml-nc4: 2306] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器
  B  [eml-nc4: 2307] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器
  C  [eml-nc4: 2308] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか? 
  D  [eml-nc4: 2309] 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器 
  C  [eml-nc4: 2310] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器
  D  [eml-nc4: 2311] Full fight
  E  [eml-nc4: 2312] Re:家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか? 
  F  [eml-nc4: 2315] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか? 
  越智 [eml-nc4: 2316] 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器を・・ 
  E  [eml-nc4: 2319] Re:家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか?
  F  [eml-nc4: 2320] Re: DNAR 
  E  [eml-nc4: 2321] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか? 
  越智 [eml-nc4: 2323] 「質疑応答:人工呼吸器をはずせますか」のウェブペ−ジ
  E  [eml-nc4: 2332] Re: 「質疑応答:人工呼吸器をはずせますか」のウェブペ−ジ 
  E  [eml-nc4: 2333] DNAR
  中村 [eml-nc4: 2337] Re: 「質疑応答:人工呼吸器をはずせますか」のウェブペ−ジ
  E  [eml-nc4: 2353] Re: DNAR


質問

From: A
Subject: 質問
Date: Tue, 23 Nov 2004 16:49:38 +0900

 入院中の患者が急変して心肺停止状態になっているとき、家族と連絡がつかない場合、蘇生したとして、人工呼吸器を装着した後で、家族が拒否した場合は、人工呼吸器を外す事は可能ですか? それは、安楽死にはならないのですか?


ウェブ担当者の回答

Subject: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか?
From: 越智元郎
Date: Thu, 25 Nov 2004 23:25:55 JST

 Aさん、県立新居浜病院麻酔科 越智元郎です。このたびはご連絡をいただき、有難うございました。ご質問につき、私なりのお返事を書いてみました。

越智の考え:
 わが国において人工呼吸器をはずせる要件はまだ合意が形成されてはいないと思います。現在、人工呼吸器をはずすことを社会から認知されている一つの例はドナーカード(臓器提供の意思表示あり)を持つ患者が脳死判定を受けた場合です。一方ではっきりと死期が早まる形で治療を差し控える場合にも、脳死またはこれに準じる状態であることが前提となるものと思います。

 なお、私たちは入院中の患者さんの急変に対し、適切な蘇生処置を実施する必要があります(本人のDNAR指示がある場合は別)。そのことはご家族の意向を確認できない場合にも同じであり、その結果として人工呼吸を要する形で患者さんが救命された場合、人工呼吸治療をやめることができるのは救命の見込みが全く無い場合(脳死またはそれに準じる状態)ということになるのではないかと思います。


救急医療メーリングリスト(eml-nc)での意見交換より


From: 越智元郎 Date: Tue, 23 Nov 2004 17:52:38 +0900 Subject: [eml-nc4: 2302] 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか?  eml-ncの皆様、県立新居浜病院麻酔科 越智元郎です。私共の救急・災害医療 ホームページ
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/jp/  に以下のような質問が届いています。皆様でしたらどのように回答されますか?  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 入院中の患者が急変して心肺停止状態になっているとき、家族と連絡がつかない場 合、蘇生したとして、人工呼吸器を装着した後で、家族が拒否した場合は、人工呼吸 器を外す事は可能ですか?それは、安楽死にはならないのですか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Subject: [eml-nc4: 2306] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器 From: 中村利仁 Date: Tue, 23 Nov 2004 23:09:57 +0900  越智さん、・・さん、こんばんは。  中村@東北大医療管理学です。 >> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ >> 入院中の患者が急変して心肺停止状態になっているとき、家族と連絡がつかない場 >> 合、蘇生したとして、人工呼吸器を装着した後で、家族が拒否した場合は、人工呼吸 >> 器を外す事は可能ですか?それは、安楽死にはならないのですか? >> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  状況に依存すると思います。  こういう視点もありますので、ご一読頂ければ幸いです。 医学的無益(medical futility)をめぐって(2) 安楽死との混同 李 啓充
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2004dir/n2605dir/n2605_03.htm#00
Date: Wed, 24 Nov 2004 16:51:32 +0900 From: Subject: [eml-nc4: 2312] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか? 越智 先生へ ・・ 先生へ 皆さんへ Eです。 【答え】そんな「簡単」なものでは無い。 (1) 救急医として重症患者の死に多く遭遇してきた。その度に状況に応      じてさまざまな感想をいだき自省してきた。これらを通じて個人的な    見解として考えてきたことを以下に述べます。 (2) 救急医は、救命困難な患者を全例救いたい欲望がある。そして、     過去に、あらゆる集中治療を積極的に行い、救命の可能性のためには、     数百万円の医療費がかかろうとも、1 日でも延命することをなんの疑い     もなく行ってきた。 (3)超積極的医療を、5 〜10 年と施行するうちに”壁”に直面した。 (4)何十日間も深昏睡で、人工呼吸器を装着、毎日血液浄化法を行い、凍結血    漿を大量に使用、高価薬剤やカテコラミンを大量に使用しても、    意識の回復することなく、外観が損なわれた状態のままで死んでいく    患者を多数みおくった。 (5)看護師から疑問が提起された。   「先生、患者さんがかわいそうです」。「だけど助かるかもしれない患者を    見捨てることはできない」。「でも患者さんも家族も本当に喜んでますか?    負担も大変ですよ、少し考えてあげたらどうです」と言われた。 (6)しかし、時には、奇跡的に( 数百例に1 例?)、医療側が諦めかけた患者が    助かると、" 超積極的治療" を中止するに不安があり、患者の死亡予測を    100 % 完璧に行うことは不可能なため、選択の危険を避けて、全例に" 超    積極的医療" を続けた方が良いとも思われた。 (7)しかし、" 超積極的医療" の問題点として   1)家族の心身への負担と疲弊   2)患者の尊厳が損なわれる:浮腫、悪臭、出血など外観の変化が著しくな     ると、嫌悪感や非難めいた言動により、尊厳が損なわれる。   3)医療側の士気の低下 :膨大な設備と時間、労力を駆使した後の死亡患     者があまりにも多くなると、" 重症患者は何をやっても無駄で、結局は     助からないもの" だ、という合意が医療チ−ムのなかに出来上がり、     医師、看護師に仕事への幻滅感が発生した。   4)医療費の問題 ;多くの人間の負担の上に成り立っている現在の保険機     構では、医療をどこまで行うかは医師、患者のみの問題にとどまらず、     費用負担者の権利にもかかわってくる。 (8)良い解決法を模索した。 1)do not attempt resuscitate order( DNAR) その決定には十分な論議が必要であり、症例は厳選されねばならない。大昔か  ら臨床医は、心肺停止時に心肺蘇生術を行うことがためらわれる症例  にはしばしば遭遇してきた。そして、家族の希望に医師が妥当性を認めた  場合や、医師の説明による家族の了解のもと、また暗黙の了解によりしばしば  DNAR がなされてきた。その判断には一定の基準はなく、各個人の判断にまか  されてきたが、今後は十分な論議を行なわねばならないと思われる。 ただこのDNAR は、治療を中断するorder ではなく、治療はそのまま続行され、  一旦心肺停止になった時に蘇生術を施行しない基準であり、最も軽い医療レベル  を低下させる判断であるともいえる。 DNAR が許される最大の条件は、  そこに到るまでの治療が完璧になされているということであり、なすべき治療  をなさずしては、一切のDNAR を容認することはできない。 (9)cannot reverse data の設定による判断    客観的な検査値により、患者の死亡予測が100%確定できれば、それは医学    的に、no-return point ということになり、治療中止とすることが       可能である。このための値として、Panic Value(即刻治療を行わなければ    患者の生命が危険になる検査値) がある、この値が得られた場合は患者の    状態が緊急状態であるとするものであるが 、これを敷衍させればcannot    reverse data の設定が可能かもしれない。 (10)尊厳死について     尊厳死とは;"dying with dignity" の邦訳であるが、人間の尊厳を傷つ     けるような形だけの延命を拒否し、自己の意志による死期の選択をするものである。     定義としては、    1)死期が目前に切迫している。    2)生命延長が死苦の延長を伴う病態である。    3)患者が生命保持を拒否している。       を満足するものとされる。 (11)これとよく似た言葉で安楽死というのがあり、尊厳死との定義の差が    曖昧であるが、私は、死亡が100%確実ではないが、精神的・肉体的苦痛か    ら逃れたい患者からの死の希求にもとづいて、生命を絶つことと定義して    いる。 これは延命術を拒否し、自己の意志による死期を選択するもので    あり尊厳死とは全く異なる。 (12)現在では、尊厳死決定時にすでに    昏睡等で意志確認が不可能という場合が多いため、本人の同意なしに家族、    医療従事者のみで決定されることには問題が残り、本人のliving will 確    認のために、尊厳死や癌の告知などについて、    家族で話し合うことを浸透させるたり、入院時のlivingwill 聴取のル−チン化が    検討されるべきと思われる。 (13)また、個人の決定は医療者により対象が拡大されたり、意志表現ので     きない人の生死を自由に裁量してしまう危険があるため、複数の医師と     患者家族との討議のうえで決定すべきである。 (14) こういった論議の際に、医師の裁量権の暴走についての不安が        言われるが、救急医が治療の放棄について、暴走するというような心配     は、全く無用であり、" 神ならぬ身" であることは当人が     最もよく自覚しており、特に死に関して関係のある判断は慎重に安全策     をとるのが救急医である。治療のレベルを下げることについては、一大決心が     必要となり、5 % でも救命の可能性があれば全力投球で治療を行い、     1 % でもあればあきらめないのが救急医である。 (15) 医師は1 秒でも延命をはかることを目的として治療を続けてきた。しかし     100%死亡確実な症例では、医師が主導権をもち、患者の自己決定権を尊重して、     医療の限界点を設定してもよいと思われる。しかし、     その対象は科学的に100%死亡確実な症例のみに限るべきであり、     わずかでも治癒の可能性のある症例に対しては全力をつくさねばならない。     従って、医学者が提唱する尊厳死は一般人のそれとは異なり、     いたずらに感傷的に死なせる権利を拡大させるのではなく、科学的な尊厳死のみを     認める方向へと進むべきであると思われる。

From: 越智元郎 Date: Wed, 24 Nov 2004 22:35:16 +0900 Subject: [eml-nc4: 2316] 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器を・・  eml-ncの皆様、県立新居浜病院麻酔科 越智元郎です。「家族の希望により 見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか?」についての皆様のご 意見を読ませていただき、私が意識せずに大きな問題を提示させていただいた ことに気づきました。今回、確定的な回答にたどりつくことは難しいかも知れ ませんが、皆様からいただいたご意見をもとに回答を書いてみようと思ってい ます(が、まだまとまりません)。  わが国において人工呼吸器をはずせる要件はまだ合意が形成されてはいない と思います。現在、人工呼吸器をはずすことを社会から認知されている一つの 例はドナーカード(臓器提供の意思表示あり)を持つ患者が脳死判定を受けた 場合です。一方ではっきりと死期が早まる形で治療を差し控える場合にも、脳 死またはこれに準じる状態であることが前提となるものと思います。  なお、私たちは入院中の患者さんの急変に対し、適切な蘇生処置を実施する 必要があります(本人のDNAR指示がある場合は別)。そのことはご家族の意向 を確認できない場合にも同じであり、その結果として人工呼吸を要する形で患 者さんが救命された場合、人工呼吸治療をやめることができるのは救命の見込 みが全く無い場合(脳死またはそれに準じる状態)ということになるのではな いかと思います。  以上、引き続き皆様のご意見をよろしくお願い申し上げます。

Date: Thu, 25 Nov 2004 08:04:01 +0900 From: Subject: [eml-nc4: 2319] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか? ・・先生へ Eです。 > DNARの最大の条件は医師が決める > べきものでは無いと認識しておりました. (1)医療方針について、患者の意志を最大優先して、    患者側が、最終決定を全て行う。    医療側は、それに”唯々諾々”と服従することは、    良くないと思っています。 (2)良く見る手術説明風景で、”説明と同意”という美名のもとに、    後のトラブルを避けるために、か?    医者「えーと、手術の危険性は高く、施行しても死ぬ確率高いです、      でも、しない時の、死亡確率も非常に高いです、どっちにしますか?      決めて下さい、その通りにします....」   が、ありますが、 (3)やはり、医療の”プロ”として、責任とリスクを背負ってやって   「私はした方が良いと思います、私に任せて下さい」と、公平、客観的な判    断で、医療方針を”推薦”するのが良いと思っています。   (これを言った後はキツイですがね....) (4)DNAR も同じで、病態、治療、予後、転帰確率等の”アマチュア”の患者    側のみに、決定権を”委ねて”は、誤謬が生じると思っています。    「医療側主導の協同作業」が良いでしょう(これは、完全に”派”論です)。 (5)そして、医療側の”唯我独尊””独断専行”を防止するために、    「個人の決定は医療者により対象が拡大されたり、意志表現ので     きない人の生死を自由に裁量してしまう危険があるため、複数の医師と     患者家族との討議のうえで決定する。」(既述)。    と、思っています。 (6) そして、    「こういった論議の際に、医師の裁量権の暴走についての不安が        言われるが、救急医が治療の放棄について、暴走するというような心配     は、無用であり、" 神ならぬ身" であることは当人が     最もよく自覚しており、特に死に関して関係のある判断は慎重に安全策     をとるのが救急医で、治療のレベルを下げることについては、一大決心が     必要となり、5 % でも救命の可能性があれば全力投球で治療を行い、     1 % でもあればあきらめないのが救急医。 」(既述)。 (7) そして、     「医師は1 秒でも延命をはかることを目的として治療を続けてきた。しかし     100%死亡確実な症例では、医師が主導権をもち、患者の自己決定権を尊重して、     医療の限界点を設定してもよいと思われる。しかし、     その対象は科学的に100%死亡確実な症例のみに限り、     わずかでも治癒の可能性のある症例に対しては全力をつくさねばならない。     従って、医学者が提唱する尊厳死は一般人のそれとは異なり、     いたずらに感傷的に死なせる権利を拡大させるのではなく、科学的な尊厳死のみを     認める方向へと進む方が良い。」(既述)。    と、繋がるわけです。   因みに、今回の御質問の症例は、上記に合わないために(文面からのみでは)、   (1)尊厳死でもなく、(2)安楽死でもなく、(3)DNAR でもなく、    「殺人」になると思います。    

From: Subject: [eml-nc4: 2321] Re: 家族の希望により見込みのない蘇生後患者の人工呼吸器をはずせますか? Date: Fri, 26 Nov 2004 20:39:51 +0900 ・・先生へ Eです。 「DNAR は患者のものか、医師のものか?」 についての、追加です。 私は、「医療者主導 ”派”」ですが、 全くの「患者主導 ”派”」も存在します。 (1)DN(A)R の概念は、1974年のJAMA に発表された   アメリカ医師会が提唱したところの、例えば、救命不能の末期癌で   延命操作は苦痛を増すだけである患者等に対しては、   (死が予想外でない不可逆性疾患末期状態)では、心肺停止時に   医師、家族の判断で蘇生術を施行しない(適応はない)。   から始まりました。 (2)これを受けて、本邦でもその論議が、学会等で少しずつ、    行われるようになりました。 (3)私も、1992年に、ICUとCCU、17(4)、391−398,   で、「集中治療患者におけるDNAR 決定の問題点ー市民、医師、看護婦の   アンケート調査を含めてー   で、医師と家族の合意、新しい容認基準の設定、   適応の厳正化、それまでの治療の重要性、等に   ついて、報告を行いました。 (4)1994年には、麻酔、43,600−611、で、    「終末期患者に対するDNAR指示はどうあるべきかー日本蘇生学会、    日本集中治療学会、日本麻酔学会評議員に対するアンケート調査ー」    427名での、DNR 指示容認97%、DNR 指示に患者の意志が不可欠    11%、不可欠でない85%、DNR 指示を実行したもの69%でした。 (5)1997年には、治療、79(6)、1521−1526,で、   「尊厳死を考えるー科学的な尊厳死を求めてーDNR指示ーと題して、    DNR には、医療側の科学的な判定が不可欠であるとする    論説をはりました。 (6)「入院患者の権利の法的保障について、ニューヨーク州の場合」    星野一正    では、    「患者はDNR 指示をする前に医師とよく相談し、DNRの利点と    欠点について医師の意見を聞いてから決定すべきである、医師はかならず    それを守る。もし、その医師がDNR指示を受け入れないのであれば、    別の医師に患者を引き継ぐ」    という文章がありました。

Date: Mon, 29 Nov 2004 14:09:17 +0900 From: Subject: [eml-nc4: 2333] DNAR Eです。 さて、議題についてですが、 【答え】DNAR:そんなに「簡単」なものではない。     との、私の答えの追加です。 以前に、第19回の「日本救急医学会総会」(於東京) の「フリートーキング:DNR」のセッションで、 以下の演題で発表、討論しました。 (私)「集中治療におけるDNR 決定の問題点」  相方の講演は、「・・大学の・・先生(嗚呼!)」で、   「搬入時心肺停止例におけるDNRについて」でした。 ここで、確認された事のひとつが、 (1)(長期)入院中の患者のDNARの決定と施行は容易である。    これらは、線としての経過の繋がりの中の事項であり、    家族との話し合いも多く持たれ、予後予測や病態も判明している。 が、 (2)ER 搬入患者のDNAR 決定は、非常に難しい。   初めて出会う患者であり、家族の意向、主治医の意見、病態も不明で   かつ、その情報収集への時間が限られている。 ” (3)【例】乳癌/転移有り患者”で、医療者と本人の合意の基に   「DNAR」が決定していても、予後良好な”別の”原因の”心室細動”のため    に発生した心肺停止には対応しないのか!? (4)現在でも、外来通院中の、癌患者のCPA ないしは、    near CPA搬入には、しばしば出会います。    このとき我々が”必死”で行うのが、病態の確認、DNARの有無、    主治医、本人、家族のliving will です。    やみくもに、挿管なんてしない、でも、待てる時間は数分なので、    必死で情報を収集します。

From: 中村利仁 Subject: [eml-nc4: 2337] Re: 「質疑応答:人工呼吸器をはずせますか」のウェブペ−ジ Date: Tue, 30 Nov 2004 11:23:00 +0900  越智先生、こんにちは。  中村@東北大医療管理学です。  下記資料もご参考になるかも知れません。ご一読頂ければ幸いです。 終末期医療に関する調査等検討会報告書 −今後の終末期医療の在り方について− 平成16年7月
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/s0723-8.html -- Toshihito"rijin"Nakamura MD 中村 利仁
Date: Wed, 01 Dec 2004 10:24:10 +0900 From: Subject: [eml-nc4: 2353] Re: DNAR 皆さんへ Eです。 【答え】DNAR:そんな「簡単」なものではない。     についての、     私の行った、アンケート調査の一部の結果を提示します。 (1)対象は、医師(一般、救急)、看護師(救急、一般)、市民(夫妻)、    22名、21名、45名、52名、97名です。 (2)DNARの決定者は、医療者と患者側の合意によるものが93%で、    医療者のみ、患者側のみは、少なかった。 (3)付帯条件付きでのDNARの容認。    92%の容認率であった。救急部医師は100%であった。 (4)医療の限界点の設定は、やむをえないか?    もうけて良いが全体で69%であった。 (5)尊厳死の容認、    81%であった。 (6)安楽死の容認、    全体で76%で、一般市民の容認が90%と高いが、一般医師は    57%と低い。  (7)DNAR 反対者の意見    * 無駄と思われる努力から医学は進歩する    * 可能性の追求をすべき    * 生命の尊厳のため    * 無秩序に走るのが怖い    * 人が決められる事ではない    * 他人の判断すべき事ではない    * どんな状態でも生きていて欲しい    * 最善をつくすべきである    * 医師にその権利はない    * 本人の意志を尊重すべきである    * 小児は無条件で全力投球を    * 蘇生をせずにはいられない   (8)参考資料    救命センターである時期に死亡した75名の医療費の平均は、    1日!    31±23.2万円 であった。    最高金額は、1798万円であった。

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