第8回日本集団災害医学会総会の話題

(救急医療メーリングリストemlより)

資料作成:2003年 3月 2日、四国がんセンター麻酔科 越智元郎


目次
1.日本集団災害医学会2003の災害訓練

(発信者の敬称は省略させていただきます。)

2.教育講演 「ヒューマンエラー防止への戦略と戦術−エラー防止対策発想手順の試み−」(講演メモ)
Strategy and Tactics for Prevention of Human Errors
東京電力(株)技術開発研究所 ヒューマンファクターグループ主管研究員 河野龍太郎先生


1.日本集団災害医学会2003の災害訓練


長谷川: [eml-tokyo:226] Re: 新幹線の運転手の居眠り
Date: Fri, 28 Feb 2003 11:33:46 +0900

山本さん、皆さんこんにちは。
長谷川@海上保安庁特殊救難隊です。

26日、27日と日本集団災害医学会に行ってまいりました。
一日目に「ヒューマンエラー防止への戦略と戦術」というテーマで東京電力
ヒューマンファクターグループ主管研究員の河野龍太郎氏の教育講演がありました。
「人間ほどいいかげんなものはない」「人間は環境の影響を受けやすく、
間違えやすい環境がエラーを誘発する」ということを前提にエラー対策をするべきで
あるという内容でした。(産業界ではあたりまえのことだそうですね。)
河野氏いわく、「間違えた人よりも、間違えやすい環境が悪い」と仰っていました。
日本では何かミスがあったとき「たるんでいる」「プロ意識に欠ける」などと注意し
たり事故防止に関する「通達」などを出したりするが、人の意識(心理)に訴えるだけで
は意味がなく、(このような対策を「竹やり精神型安全」と表現されていました。)
なぜミスしたのか(起きたのか)これに対する対策を考えることが必要であると仰っ
てました。
今回の新幹線の事例は小池さんが指摘されるように居眠りしやすい環境があったの
かもしれませんね。

海上では核燃料の輸送などが実施されていますが、私が見たことのある核燃料輸送船
(外国船ですが)では操船者の居眠りを防止するために、操船者が操舵室の一ヶ所に
数分間留まっていると音楽が流れるシステムになっていました。また、操舵室には監視カメ
ラがついており、別室にて警備担当者が24時間監視できる体制となっていました。

海難現場はまさに修羅場であり、普段訓練していても慌ててしまうことがあります。
そのため、複雑な操作を要する器材は、現場で誤った操作をしてしまう可能性があり
ます。
ですから、現場で使用する器材のデザインはシンプルなもので、間違った操作が
出来ない又は間違いにくいものが理想だと思います。
我々は器材購入の際、器材選定のポイントとしてその器材の機能はもちろんですが
この点についても検討してから器材を購入しております。

長文となってしまいました。失礼いたしました。

海上保安庁
 第三管区海上保安本部
  羽田特殊救難基地
   長谷川 堤司


Date: Fri, 28 Feb 2003 12:31:18 +0900
越智: [eml-nc3: 0650] Re: eml-tokyo:226 新幹線の運転手の居眠り(災害学会・河野講演)

 海上保安庁 長谷川さん、皆様、四国がんセンターの越智です。

 久しぶりに日本集団災害医学会へ参加したのですが、3年ほど前にくら
べ自衛隊からのご参加者が多かったですね。こういう交流はすばらしいこ
とだと思います(会場が東京だったこともあるのでしょうか)。

 さて河野講演「ヒューマンエラー防止への戦略と戦術」はビデオを撮ら
せていただきました。河野先生から仲間内での共有・回覧について了解を
いただきましたので、救急医療情報研究会(e-media)
http://plaza.umin.ac.jp/~sphere/e-media/
の資料として収載させていただく予定です。すばらしいご講演でした。皆
様ぜひご覧下さい。

 河野先生には名刺をいただきましたので、メールでeml-nc3へのご参加も
お願いしてみます。デザインの視点から安全管理を考えておられる山本百
合子さんや私共と河野先生との交流がeml-nc3で実現したら嬉しいですね。
もしすでに河野先生と個人的に交流しておられる方がおられましたら、ぜ
ひeml-nc3へのご参加をお勧めいただけませんでしょうか。

 それでは。


Date: Fri, 28 Feb 2003 17:43:42 +0900
桜井: [eml-nc3: 0651] Re: eml-tokyo:226 新幹線の運転手の居眠り

 みなさんこんにちは桜井@千葉消防です。

 ヒューマンエラーのお話がでてきましたので投稿させていただきます。
 ヒヤリハット,インシデントリポートといえば医療の世界では当たり前
のように実行されていますが,3年前に千葉市で行われた小児医料学会で
看護師さんの発表に興味を持ち,救急隊にも..とリポート用紙を作成し試行的に
所属(出張所)で実施しました。手法については御存じだと思いますが自分が
経験した危機(アクシデント前)の状況を隊員全員で共有するというところの
説明からスタートして各自からデータ投函してもらい,集計しました。集計後
即廃棄することで年令,勤務年数,在出張所年数,職種,疲労度(自己申告)
等を付けてもらいます。
 実際,交通事故防止(ここは危険,なぜ危険,防止するには),ストレッチ
ャー転倒危険防止(危険な状況,なぜ,どうすれば)等に役立ちました。
 資料ではデータ解析にはKJ法を進めていましたが23件/月では1件,1件
の精査で実施しました。(試行なので1ヶ月:救急隊からのみ)
 せっかくなのでこれを職場全体でと試行データを持って起案しトップ(署長)
へ持っていきましたが手前でNO。理由は,いいことなのはよく分かるがどこの
係に属すのか?交通事故なら装備だし,活動なら救急,職場内は庶務,消防は
警防,さらに自分のマイナス事例を出せないだろう,無記名じゃ組織批判が多く
なる等でした。
 所属が違えば地域で危険度が違います。季節でも,時間帯でもあらゆる状況
が発生します。さらには都市部の危機は地方ではなんでもないことであったり
します。危機管理と騒ぐわりには足元のヒヤリハットが根付かないことのほう
が危機のように感じます。
 もう実施されているところもあるでしょうが,投稿させていただきました。
 このまま終わるのもしゃくなので今後は自主研究で続けて行きたいと思って
います。
 
PS:  ヒヤリハットから...
  ストレッチャーは「同時にあげるともし宙に浮く状態が発生したとき4輪の
 いずれかが接地するとそこを支点に傾きが生じる」ため一旦腰まであげてから
 頭側足側と2段階であげることにしました。おろす時,2段階でいくと
 足側は,ほとんど腰に負担がかからない。


Date: Sat, 01 Mar 2003 00:10:12 +0900
山本: [eml-nc3: 0655] Re: eml-tokyo:226  新幹線の運転手の居眠り(災害学会・河野講演)

みなさま、いろいろありがとうございます。

火曜日は私も四ッ谷で模擬患者の役をさせていただきました。
列車事故で全身打撲の歩ける程の人の役でした。

 
>  久しぶりに日本集団災害医学会へ参加したのですが、3年ほど前にくら
> べ自衛隊からのご参加者が多かったですね。こういう交流はすばらしいこ
> とだと思います(会場が東京だったこともあるのでしょうか)。
> 
>  さて河野講演「ヒューマンエラー防止への戦略と戦術」はビデオを撮ら
> せていただきました。河野先生から仲間内での共有・回覧について了解を
> いただきましたので、救急医療情報研究会(e-media)
> http://plaza.umin.ac.jp/~sphere/e-media/
> の資料として収載させていただく予定です。すばらしいご講演でした。皆
> 様ぜひご覧下さい。

是非!
本当はうかがいたかったのですが、仕事の予定が入っており、時間がとれませんでし
た。私も東京電力のバリアフリーなどの取り組みをされている方は何人か存じ上げて
いるのですが、河野先生は存じません。お会いできなかったのがとても残念です。


Date: Sat, 01 Mar 2003 01:18:35 +0900
山本: [eml-nc3: 0657] 模擬患者のレポート

列車衝突事故のトリアージの模擬患者の役をやりました。

全身打撲で歩ける程の人は私一人。後はもっと痛そうな方や重症の方。
うるさくしゃべれるのは私だけのようなので、ずっとしゃべりまくっていました。
みなさん。列車事故で、私のような患者がいたらどうされますか?以下、私のアドリ
ブと意地悪された方々の反応。



列車の中。ドアから一番近い所に腰椎を骨折した人。その隣に全身打撲の私と、肺に
穴の開いた男性。私の後ろには意識の無い重傷者。

真っ暗な中、懐中電燈を持ってぞろぞろと入ってくる一団。
「救急隊です」と名乗るグループもありましたが、何組みかは、無言。「駅の人です
か?救急車を呼んで下さい。」という私の言葉に「救急隊です。」(テロの犯人かと
思った。。。)

「何があったんですか?」「事故が会ったみたいですけどね。。。。云々」と丁寧に
軽傷の私に5分も費やして下さる親切な方(?)もいらっしゃいましたが、「しゃべっ
て無い人から始めて下さい。」とパシっとリーダーシップを取られる方のいらっしゃ
るグループも。。。

みんなで一人ひとり、丁寧に回診してゆかれる教授回診風一団も。奥の方にいっぱい
死にそうな人いるんだけど。。。

「救急隊です!」と入るやいなや、リーダー格の人がぱぱっと采配をふるい、隊員を
振り分ける鮮やかなグループも。かっこいい。。。
こういうのに当るかどうかは運なのでしょうか。

倒れて動けない人に先にかかっている救急隊。「どうして、その人が先なんですか。
どうして私は後回しなんですか?」
これに引っ掛かってしまった優しい方はまたまた私の説得に時間を取られてしまい。。
。だって、この列車でしゃべれるのは私だけなんですもの。でも、本当の事故だった
ら、こういう人が自己主張して、他の怪我人も巻込んでしまうかも。

「爆弾が仕掛けられてたって、誰かが言ってたんですけど。本当ですか!」のデマを
言う全身打撲者に、「列車のね。事故ですよ。原因はまだ分からないみたいですけど
ね。」という穏便な返答。でも、それでは納得できないです!まさか、もう一度爆発
するなんて事は。。。?
こういう時の口の減らない人のデマって、そのままにしておくと恐いのでは。。。

とってもエネルギッシュにしゃべりまくる私には当然緑の判定がされるのですが、思
いやりのある方は黄色の判定を。でも何組かの方はつけ忘れ。。。


有能な方は、しゃべりまくってうるさい私が、本当は「歩ける」という設定なのを見
抜き、早々に、車外へ。でも、私の他にも、複雑骨折で足から骨がはみだしている方、
なんと腹部から腸が出ている方まで、歩かされて外へ。。。。というグループも。ト
リアージって。。。

私の左には肺に穴のあいた静かな重傷者。結構その存在を無視するグループも。本当
の事故だったら、目立つ所で倒れなければ。。。

順に診ていく救急隊が向こうへ行ったころを見計らって、「助けてくださーい。なん
か、この人変です。死んじゃってるみたい!」呼び戻される救急隊員。一度診た人を
何回も。。。

「さっきから、この人ずっと動かないんですよ。なのにもう、行っちゃうんですか。
助けてあげないんですか?!」と正義の見方の全身打撲患者にはトリアージなんてい
う言葉は辞書にありません。みんな治療しに来てくれたと思っています。

「助けてください。たいへんです。この人!」その人は意識の無い重傷の設定。救急
隊の方はもう一人の方に「その人、もう、いい。死んでる。」
うっそー。生きてる設定ですけど。。。。


実際に自分が事故に会った時には。。。

あまり元気そうにしない。
でも、忘れられないようにアピールする。
緑の判定をされたら、1、2段むしれば黄色か赤になって優遇してもらえる。

など教訓でした。

もうひとつ真面目な教訓。こういう場合、自分がどういう状況の場所にいるのか。テ
ロなのか。たんなる事故なのか。どこが安全なのか、そういう状況が最も知りたいと
思いました。実際の事故では、一人ひとりの個人に最も接近するのは救急隊員なんで
すね。だったら、被害者にとって彼らが唯一の情報ソースになるわけです。「爆弾じゃ
ないんですか?!」という不安も論理的に除いて下さるといいなと思いました。
これは模擬ですので、そういう方の情報も限られているのでしょうけれど、実際はど
うすることになっているのですか?


堀木: [eml-nc3: 0659] Re: 模擬患者のレポート
Date: Sat, 1 Mar 2003 03:01:18 +0900

山本さん、皆さん、こんばんは、堀木@市川市消防局です。
模擬患者おつかれさまでした。
私の所属でも集団災害の対応について議論がされていますが
いまだはっきりとした対応が打ち出せていません。
そこでお伺いしたいことが有ります。

トリアージの方法はどのようにされていましたか。
ご教示願えませんでしょうか。
また、山本さんのリポートの中に、重傷の人を死亡と判定した
人達は、傷病者をどのように観察して居たのでしょうか。
これについてもお願い致します。

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堀木 正明 市川市消防局(市川市南消防署行徳出張所第2大隊 救急隊)
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Date: Sat, 01 Mar 2003 08:49:21 +0900
山本: [eml-nc3: 0660] Re:  模擬患者のレポート

このメーリングリストのメンバーにも、火曜日、四ッ谷のスクワールの日本集団災害
医学会に参加された方はいらっしゃいませんか?

> トリアージの方法はどのようにされていましたか。
> ご教示願えませんでしょうか。
> また、山本さんのリポートの中に、重傷の人を死亡と判定した
> 人達は、傷病者をどのように観察して居たのでしょうか。
> これについてもお願い致します。

患者役の人間には足にいろいろな情報を書いたバンドが巻かれています。意識が清明。
呼吸数、爪が何秒で戻るか。。すみません。私は一般人なのでそのデータの意味、詳
しい方法等に関しては分かりません。・・さんやその他、参加された医療
関係の方はもっとよくご存じとおもいます。
その分、普通の人がどういう素朴な反応をするかをいろいろかんがえました。
ただ、この時殆どのグループが彼女を黒に分類していたようです。でも、看護師の彼
女は「死んで無いわよ。」と後でおっしゃっていました。


> 私の所属でも集団災害の対応について議論がされていますが
> いまだはっきりとした対応が打ち出せていません。
> そこでお伺いしたいことが有ります。
> 

素人の私でも、こういう際の為の方法論がはっきりされているだけで随分と「結果」
は違うと思いました。
素朴に考えても、
「先ず、身分を明らかに言う。」
「采配を振るう人を仮にでも決める。」など。。。他にもたくさんあるのでないでしょ
うか。
そしてもう一つ、救助に入る前に全員の「現在の状況」に対する統一化が重要ではな
いかと思いました。本当の地下鉄事故であったら、現場への到着までに皆それぞれい
ろいろな事を聞いているのでしょうけれど、おそらくこの時点でははっきりした事は
分からないでしょう。すると救命士さんによっては内容が違うことになります。私の
ような患者はいろいろ想像してしまうでしょう。でも、決してそうであってはいけな
いと思うのは、こういう時のお役所の普通のやり方。「状況はまだはっきりした事が
分からないので、分からないと言う事で、それ以外何も言わない事。」これでは私に
デマを流されてしまいます。うそでも、論理的に安心できる説明が必要だと思いまし
た。



堀木: [eml-nc3: 0669] Re: 模擬患者のレポート
Date: Sat, 1 Mar 2003 13:16:21 +0900

山本さん、皆さん ・・さん、堀木@市川市消防局です。
早速参考にさせていただきます。
ありがとうございました。

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堀木@市川市消防局
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田辺: [eml-nc3: 0672] Re: 模擬患者のレポート
Date: Sat, 1 Mar 2003 17:53:49 +0900

山本さん、皆さんこんにちは
田辺@新津消防です。
行ってきました。火曜日のセミナー、とっても充実したいい訓練になりました。
(本心はひどい目にあった?)
吉田先生のお姿も見えたようですし、このMLの方も何人かいたような気が・・・

山本さん:
> 全身打撲で歩ける程の人は私一人。後はもっと痛そうな方や重症の方。
> うるさくしゃべれるのは私だけのようなので、ずっとしゃべりまくっていました。
> みなさん。列車事故で、私のような患者がいたらどうされますか?以下、私のアドリ
> ブと意地悪された方々の反応。
以下省略・・・

あの会場での訓練が一番難しかったです。
私は看護師さん2人と、ドクターの計4人での組でした。
最初は訓練なので2組に分かれて5人ずつみればいいねと、簡単に考えていまし
たが、患者役の皆さんたちに圧倒されまくって、何がなんだかわからないうちに終了
でした。
職場でする訓練よりも、職種の違う人たちと組んでみると、普段見逃しているような
部分などいろいろ気づいたことがありました。

午後からは机上訓練でお互いに普段とは違った役(私は医療機関役)、看護師さんが
消防機関役など、いろいろな意見があり、こんなことは考えつかないよ〜という意見
もありとても充実した訓練になりました。

------------------------------
〒956−0035
新潟県新津市大字程島1958−1
新津市消防本部
警防課警防係(救急担当)
田辺博之 
------------------------------


Date: Sat, 01 Mar 2003 18:32:08 +0900
山本: [eml-nc3: 0674] Re:  模擬患者のレポート

・・さん
素人の私のフォローありがとうございました。

会場でも他の元救急や看護師で、重傷者になった方たちが同じような事をおっしゃっ
ていました。

(引用部分省略)

でも、私にとっては、「あ、お医者さんが助けに来てくれた。」だと思いました。
「診てる」ではなく、「治療してくれるはず。このギャップに対してはいかがです
か?

田辺さん
> 行ってきました。火曜日のセミナー、とっても充実したいい訓練になりました。
> (本心はひどい目にあった?)
> 吉田先生のお姿も見えたようですし、このMLの方も何人かいたような気が・・・

ではもしかすると私の事もご記憶だったりして。。。
私は声優のような事もやっていたので、とっても高いよーく通る声。。。



田辺: [eml-nc3: 0679] Re: 模擬患者のレポート
Date: Sat, 1 Mar 2003 21:25:34 +0900

山本さん、・・さん、みなさんこんばんは
田辺@新津消防です。

山本さん:
> でも、私にとっては、「あ、お医者さんが助けに来てくれた。」だと思いました。
> 「診てる」ではなく、「治療してくれるはず。このギャップに対してはいかがです
> か?

これについては私もどうしようと思いました。
1人について約2分ほどで、トリアージをして、十分な説明をして次の人へ
とできなかったと思います。


> ではもしかすると私の事もご記憶だったりして。。。
> 私は声優のような事もやっていたので、とっても高いよーく通る声。。。

よく覚えています。
トリアージしないと行けなかったので、あの人が呼んでいるけど
次々とみなければいけない部分があるので、「お願い!それ以上呼ばないで〜」
と思いました。

瓦礫の訓練ですが、私は担当者にあなたはこの中に入れないでしょうから
外側の担当ですねといわれてしまいました・・・(>_<)

来年はぜひ学会の方も参加しなければ・・・
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〒956−0035
新潟県新津市大字程島1958−1
新津市消防本部
警防課警防係(救急担当)
田辺博之 
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Date: Sat, 01 Mar 2003 22:08:45 +0900
山本: [eml-nc3: 0680] Re:  模擬患者のレポート

私本来の性格が活躍してくれまして。。。

> よく覚えています。
> トリアージしないと行けなかったので、あの人が呼んでいるけど
> 次々とみなければいけない部分があるので、「お願い!それ以上呼ばないで〜」
> と思いました。

一回引き下がり、隊員の方が次の患者にかかって、一番大変そうな時を見計らって
「たすけてくださーい。」
でも、本当の列車事故だったら私みたいなのが、もっといっぱいいるかも。。

> 瓦礫の訓練ですが、私は担当者にあなたはこの中に入れないでしょうから
> 外側の担当ですねといわれてしまいました・・・(>_<)

それは外見に関する情報なのでしょうか。


菊池: [eml-nc3: 0682] Re: 模擬患者のレポート
Date: Sun, 2 Mar 2003 01:12:47 +0900

みなさま、こんばんは。
菊池@トレーナーです

私も模擬患者の体験をさせていただきました。

「車内で飛ばされ、腹部に何かが刺さって抜けた」
腸管脱出、苦痛で顔をしかめて腹痛を訴える。
意識レベル 清明、
呼吸数(回/分)24、
爪床圧迫-再充血時間1秒

・・・という傷病者が私の役どころでした。
お腹に腸の腹巻(?)を巻いて、血のりをつけて、準備しているうちに
だんだんウキウキドキドキ・・・
山本さんとは別の列車でしたね。

私が感じたこと・・声をかけられること、触れられることがどんなに
心強いかと言うこと。そして、10分間叫びつづけることがとても疲れること。

「では、スタート!」の声で開始されますが、「痛いーっ!助けてーっ!お腹が痛い
!」と、腸が出てるのにこんなに大声を出せるもんなのかなあ・・と思いつつ頑張り
ました。
5分、6分、誰も来てくれないと、演技とはいえ涙が出そうでした。
淡々と処理されていく声が聞こえ、「性別、たぶん女性!」・・・えっ!?た、たぶ
ん?
私は女ですぅー! 「意識清明だ、大丈夫!」・・・って、ちょっと!腸が出てるの
にぃー!手に血がついてるよー!隣にいた模擬患者役の救命士さんが、「ねえねえ、
この人血も出てるしお腹から何かでてるよ!ソーセージか?」なんて助けたりして・
・・。座席の下に頭が入っているのに、その上をドカドカ飛び回り、ヒールで傷病者
の手を踏みつける女性の看護師さんもおられました。冷静に思い返してみれば、てん
やわんやでしたね。

声かけは、殆どの方が「名前言える?住所は?どこが痛いの?立てる?」と言った質
問でした。トリアージする側の立場から言えば、当たり前なのかもしれませんね。
でも、そんな中で、肩を叩いて背中をさすって、顔の近くで励ましの声をかけてくだ
さった方が!!椅子の下にもぐりこんで叫んでいた私にはまさに王子様!!
苦痛に顔をしかめていなくてはならず、でも、ひと目みたいと思いまして、次の人に
対応されている時に薄目をあけて名札をチェック!・・・救命士の方でした。
わざわざジャンバーを脱いで、着ていたセーターを私のお腹に当てて、列車から
外に運び出してくださったドクターもおられました。(重いのに、ありがとうござい
ました)

状況が把握できない中で、やはり今どうなっているのか、救急隊が到着したのか、そ
の辺でなにが起きているのか・・井上先生も仰っていましたが、到着したこと・これ
から何が行われるかを知らせることは倒れている人にとって、とても欲しい情報だと
思いました。

帰り道、1人の救命士さんの励ましがとても心に残り、「私もあの思いやりを持って
生きていこう!」と思いました。とても良い体験でした。
また機会があったら参加したいです。

長文になってしまい、すみません。失礼しました!
菊池加奈子


棒田: [eml-nc3: 0683] 模擬患者のレポート
Date: Sat, 1 Mar 2003 23:36:04 +0900

 山本 百合子さん ・・さん こんにちは
 棒田@松任石川(石川県)です。

> このメーリングリストのメンバーにも、火曜日、四ッ谷のスクワールの日本集団災害
> 医学会に参加された方はいらっしゃいませんか?

 私を含めの管内から7人が参加させていただきました。
 まず参加させていただいた感想ですが、大変有意義なセミナーであり受講し
て本当に良かったです。
 ただ、勤務の都合もあり翌日の学会には出席せず、セミナーが終了した日に
飛行機で帰宅しました。
 内容については
 8:40〜10:50までが講義、
 11:00〜15:10までがシュミレーション(3種類の現場トリアージ、救護所ト
リアージ)、昼飯、机上訓練
 15:20〜16:30までが反省会、講評、終了式です。

> 列車衝突事故のトリアージの模擬患者の役をやりました。
> 全身打撲で歩ける程の人は私一人。後はもっと痛そうな方や重症の方。
> うるさくしゃべれるのは私だけのようなので、ずっとしゃべりまくっていました。

 4人1チーム(医師・看護師2名・救急救命士)で2名1組で、開始箇所は
一番奥から入り口方向へ順次トリアージを開始、山本さんのようなうるさく喋る女性は、
たぶん無視したような気がします。

> 真っ暗な中、懐中電燈を持ってぞろぞろと入ってくる一団。
> 「救急隊です」と名乗るグループもありましたが、何組みかは、無言。

 私のグループも無言の隊です。
 普段わかっているつもりでも「まず何から?」と戸惑ってしまいます。
 「救急隊です。歩ける人はこららにお願いします」なんて、後で考えるとそ
のとおりなんですが、その場ではまったく???
 
> 倒れて動けない人に先にかかっている救急隊。「どうして、その人が先なんですか。
> どうして私は後回しなんですか?」
> 。だって、この列車でしゃべれるのは私だけなんですもの。でも、本当の事故だった
> ら、こういう人が自己主張して、他の怪我人も巻込んでしまうかも。

 山本さんと反対の部屋だったんでしょうか?
 入り口付近で「痛い!その人より私を運んでくれ」といううるさい男性は居たような、
女性も多くいましたが話せる方は一人ではありませんでしたよ。でもうるさくはなかっ
たですが。
 同じチームなんですが、意思の疎通がなくて同じ人をトリアージをしたり、胸につけ
たNoを呼吸数と勘違いし、トリアージタックへは1からとし順番にに記載し、後で搬
送順位を決定するためのチェック表を見たときに初めて気がつき、慌てて胸のNoを確
認したり、決して自慢できるものではありませんでした。
 

> 「助けてください。たいへんです。」

 現場ではこんな人をどう扱えるか大変です。
 病院の外来なんかでは、「朝1番に来ているのに、いったいいつになったら診てもら
えるんですか」などと看護師さんに文句いう方がおいでますよね、こんな患者さんの扱
いは看護師さんのほうが得意なんでしょうか?

> 実際に自分が事故に会った時には。。。
>
> あまり元気そうにしない。
> でも、忘れられないようにアピールする。
> 緑の判定をされたら、1、2段むしれば黄色か赤になって優遇してもらえる。
> など教訓でした。

 これは教訓かも、でも以前トリアージタックを作成するとき、自分でむしらないよう
に緑が一番内側になるようにすると(どこかの講習会で受講したとき)聞いたことがある
んですが、実物は現状のトリアージタックになっていました。

> 実際の事故では、一人ひとりの個人に最も接近するのは救急隊員なんで
> すね。だったら、被害者にとって彼らが唯一の情報ソースになるわけです。「爆弾じゃ
> ないんですか?!」という不安も論理的に除いて下さるといいなと思いました。

 机上訓練でも病院、消防、警察、保健所、一般住民と普段と違う職種の立場で意見を述
べましたけど、どの立場の方でも第1番に到着するであろう消防に情報を求めておいでて
ます。先着する消防がどれだけ情報を集約して現場を把握できるか、後からくる他の機関
へどれだけ情報提供できるか、小さな消防本部にとって大規模な災害では対応できないで
しょう。
 ですが、このようなセミナーに参加させていただいて現場で活動する個人としてのレベ
ルは上げれるのではないかと感じております。
 ただ、化学救助隊にも籍があるものでNBC災害の話も聞けると期待していたんですが、
まったく無かったのが残念でした。まぁ1日の講習会でこれでもかというくらいいろいろ
なプログラムが用意されておりますからしかたがないのかもしれませんが、できたら2日
間ぐらいにしてもらって、NBC災害もプログラムにいれてもらえると嬉しいんですが、
とにかく大変有意義訓練に参加させていただきありがとうございました。
 セミナーを開催していただいたスタッフの皆さんや、山本さんをはじめ模擬患者の皆様
ご苦労様でした。
 来年の北海道の雪まつりの後のセミナーへも、今度は患者役でお手伝いできればと考え
ております。
 これからもよろしくお願いします。

♯‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐♪
 松任石川広域消防本部
  美 川 消 防 署
      棒 田 康 司
♭‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐♪


堀木: [eml-nc3: 0684] Re: 模擬患者のレポート
Date: Sun, 2 Mar 2003 11:44:57 +0900

山本さん、・・さん、棒田さん、こんにちは
堀木@市川市消防局です。
棒田さん、ごぶさたして申し訳ありません。
報告ありがとうございます。

皆さんのレポートの中で、トリアージする人で無言の組が
あったと報告されています。
残念なことだと感じました。
傷病者はただでさえ不安なのに、無言で行うのどうかと
思います。
自分たちは何者で、これから何をするかを簡潔にわかりやすく
周知させ、トリアージをすることが必要ではないかと思います。
また、傷病者から離れる場合にも、次に救助する人がきます
頑張って下さい等と言い置く必要もあると思います。
また、歩行可能な人を安全確保の上、速やかに車両から
移動させ、車両内はY、Rだけにしても良かったのではと感じました。
その際はGの人たちに必ず1名貼り付けで、アンダートリアージ防止
を図ることも大切と思います。

----------------------------------------------------------
堀木@市川市消防局
----------------------------------------------------------


Date: Sun, 02 Mar 2003 12:44:01 +0900
山本: [eml-nc3: 0685] Re:  模擬患者のレポート

だれもがいつかは来ると思っている関東大震災。列車事故もあったばっかり。
恐いと思っています。一般人の私はみなさまが頼りです。どうぞいっぱい勉強なさっ
てください。
> 
>> 「助けてください。たいへんです。」
> 
>  現場ではこんな人をどう扱えるか大変です。
>  病院の外来なんかでは、「朝1番に来ているのに、いったいいつになったら
> 診てもら
> えるんですか」などと看護師さんに文句いう方がおいでますよね、こんな患者
> さんの扱
> いは看護師さんのほうが得意なんでしょうか?

後でみなさまのいろいろなメールを見て思いました。
この時、私はどうせ演技よ、と思っていたので、、、


> 帰り道、1人の救命士さんの励ましがとても心に残り、「私もあの思いやりを持って
> 生きていこう!」と思いました。とても良い体験でした。

こういう心をこめたような、演技には感動しなかったのですが、、、

そういう心のこめた優しい思いやり演技、後で「方便」としても良かったのかもと思
いました。阿鼻叫喚の車内で、きれいな慰めも励ましもそれどころでは無いはず。で
も、しゃべりまくって、いじわるな私も、そういう方には、逆らえず、二の句も告げ
ず、黙ってしまいました。「黙らせるテクニック」としては有効かもしれません。


>  これは教訓かも、でも以前トリアージタックを作成するとき、自分でむしら
> ないよう
> に緑が一番内側になるようにすると(どこかの講習会で受講したとき)聞いたこ
> とがある
> んですが、実物は現状のトリアージタックになっていました。

学会の講演内容にもあったというエラーを回避するためのデザイン。
こういう所にも工夫の余地があるのでしょうね。意地悪患者としてはタッグには着け
られた人向けのメッセージはありませんでした。「これはどうすればいいのでしょう
か?」「後で来る人たちに見せて下さい」というやり取りをしましたが、タッグに書
いておく事ができ、しかも待ち時間に読めるのですから、患者さんの「心構え」やパ
ニックを防ぐ為のメッセージなど書けるのではないでしょうか?


>> 皆さんのレポートの中で、トリアージする人で無言の組が
> あったと報告されています。
> 残念なことだと感じました。
> 傷病者はただでさえ不安なのに、無言で行うのどうかと
> 思います。


これが、もし、映画なんかであるように、毒ガスマスクなんかをしてる一団だったと
したら、重症でも目が覚めてしまいますよね。パニックでしょう。


> また、傷病者から離れる場合にも、次に救助する人がきます
> 頑張って下さい等と言い置く必要もあると思います。
> また、歩行可能な人を安全確保の上、速やかに車両から
> 移動させ、車両内はY、Rだけにしても良かったのではと感じました。
> その際はGの人たちに必ず1名貼り付けで、アンダートリアージ防止
> を図ることも大切と思います。
> 
でも、この時思いましたが、地下鉄事故の場合、トンネルの中はとっても危なそう。
「安全の確認」があっても「ここで待ってくだささい」は不安。待ってる間にだんだ
ん不安はつのり。。。小人は閑居して不善を成してしまいそうです。人員がたくさん
取れれば解決する問題なのでしょうけれど。
さっきのトリアージタッグではないですが、待っていても大丈夫という確認済みの場
所に「安全確認ゾーン」のシールでも貼れるのではと思いました。(シールなら大し
た荷物ではなく、安全で無くなったら、剥がせます)待たされる方も安心しますし、
救助隊の良い目印にもなるのではありませんか?

情報に関する課題の解決策の一つにならないでしょうか?


棒田: [eml-nc3: 0719] 模擬患者のレポート
Date: Tue, 4 Mar 2003 11:32:34 +0900

 山本さん 堀木さん こんにちは
 棒田@松任石川です。
 堀木さんご無沙汰しております。

> だれもがいつかは来ると思っている関東大震災。列車事故もあったばっかり。
> 恐いと思っています。一般人の私はみなさまが頼りです。どうぞいっぱい勉強なさっ
> てください。

 消防って頼られているんですよね。安全確保を確実に、そして、一般住民の
ために頑張らないといけないですね。
 来年は患者役で出席したほうがいいみたいですね。

> 学会の講演内容にもあったというエラーを回避するためのデザイン。
> こういう所にも工夫の余地があるのでしょうね。意地悪患者としてはタッグには着け
> られた人向けのメッセージはありませんでした。「これはどうすればいいのでしょう
> か?」「後で来る人たちに見せて下さい」というやり取りをしましたが、タッグに書
> いておく事ができ、しかも待ち時間に読めるのですから、患者さんの「心構え」やパ
> ニックを防ぐ為のメッセージなど書けるのではないでしょうか?

 横浜で開催された救急シンポジウムでも、訓練などを行った結果でタックの2枚目を
赤で囲むなど独自にアレンジしている方がおいでましたが、私自身もちょっとアレンジ
してみます。
 暗闇では蛍光でメッセージなどがあってもいいですね。

> >> 皆さんのレポートの中で、トリアージする人で無言の組が
> > あったと報告されています。
> これが、もし、映画なんかであるように、毒ガスマスクなんかをしてる一団だったと
> したら、重症でも目が覚めてしまいますよね。パニックでしょう。

 化学救助隊として現場に入るときはオレンジ色の防護服で進入します。
 この場合は無言ですね。おまけに宇宙人のように集団が検知装置を手にうろうろして
励ましの言葉も無く黙々とした活動になるでしょう。

> > また、傷病者から離れる場合にも、次に救助する人がきます
> > 頑張って下さい等と言い置く必要もあると思います。

 一人でも多数でも同じですよね、何も出来なくても声をかけることは励みに
なりますね。
 ただ、時と場所によっても声のかけ方など注意が必要ですね。

> > また、歩行可能な人を安全確保の上、速やかに車両から
> > 移動させ、車両内はY、Rだけにしても良かったのではと感じました。
> > その際はGの人たちに必ず1名貼り付けで、アンダートリアージ防止
> > を図ることも大切と思います。

 そのとおりです。
 今回の訓練でも開始直後に口頭で軽症者を車両から速やかに移動させればいいのです
が、自力で移動した人が1名しかいない場合はやはり先着救急隊(例えば4名)での初
期トリアージをしなくてはなりませんよね。やはり、マンパワーも必要です。
規模の大きな消防本部(集団災害が発生して救急隊25隊、消防隊10隊、指揮隊・・
・など)では対応できるでしょうが、地方の本部には全部で救急隊が2隊という本部も
あるはずです。応援協定などもあるでしょうから時間をかければ大丈夫でしょうが、出
来れば早期にマンパワーがあると隊員の精神的な負担も軽減されるんではないでしょう
か。
 

> でも、この時思いましたが、地下鉄事故の場合、トンネルの中はとっても危なそう。
> 「安全の確認」があっても「ここで待ってくだささい」は不安。待ってる間にだんだ
> ん不安はつのり。。。小人は閑居して不善を成してしまいそうです。人員がたくさん
> 取れれば解決する問題なのでしょうけれど。
> さっきのトリアージタッグではないですが、待っていても大丈夫という確認済みの場
> 所に「安全確認ゾーン」のシールでも貼れるのではと思いました。(シールなら大し
> た荷物ではなく、安全で無くなったら、剥がせます)待たされる方も安心しますし、
> 救助隊の良い目印にもなるのではありませんか?
>
> 情報に関する課題の解決策の一つにならないでしょうか?

 災害現場では、進入隊員の安全確保も重要な要素の一つです。
 大阪では活動中の救急隊員が列車に跳ねられた痛ましい事故がありました。
この事故があってから活動する隊員の安全確保については、より重要なものになっており
ます。
 二次災害の発生危険箇所で活動するよりも安全な場所へいかに早く移動させ
れるか、また現場でいかに安全に活動するかも重要なものとなっています。

 今回の講習会については、いろいろな自分にたりないものを発見させていた
だいた有意義なセミナーでした。これからも講習会に参加して頑張ろうと思っています。
山本さん患者役お手やかに、でも大胆に頑張ってください。
 
♯‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐♪
 松任石川広域消防本部
  美 川 消 防 署
      棒 田 康 司
♭‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐♪


山口: [eml-nc3: 0724] Re: 模擬患者のレポート
Date: Tue, 4 Mar 2003 18:01:19 +0900

堀木さん、山本さん、棒田さん、田辺さん・・みなさんこんばんわ
山口明@新潟糸魚川消防です。雪穴からやっとのこのこ出てき
ました。

集団災害セミナーほんとうにご苦労様でした。
二宮さん、山口さんほかスタッフの皆さん、模擬患者役のみなさん
ありがとうございました。

山本さんwrote
> 私の所属でも集団災害の対応について議論がされていますが
> いまだはっきりとした対応が打ち出せていません。

私たちの所属も同じで、「絵に描いたもち」すら「もち」あわせていま
せん。

棒田さんwrote
> 消防って頼られているんですよね。安全確保を確実に、そして、一般住民の
> ために頑張らないといけないですね。

まさしくそうなんですよね。セミナー、学会そしてこのレポートから改めて感じて
います。
今回、このセミナー、学会への参加の動機も、初期トリアージの重責にある先着
救急隊の救急救命士、隊長として高速道路バス事故など現実に発生している集
団災害に対応するすべもなく、訓練ですら暗中模索状態(ガレキの下ではありま
せん)の中でSTARTの機会を得たいという気持ちでした。
北陸高速道を走っている皆さんには空恐ろしいことでしょうが、少なからず今回のセ
ミナー以降、二宮さんの「地元に帰って、伝えて・・」の激により、微力ですが
STARTさせますので現状よりは前に進む事ができると思います。

山本さんwrote
>素人の私でも、こういう際の為の方法論がはっきりされているだけで随分と「結果」
>は違うと思いました。

いわれるまでもなく・・・です。このことを職としているものにとって恥ずかしい限
りです。
方法論も、現場もはっきりさせて行きます。

長くなりましたが、救急救命士の処置の拡大、ACLS、PTEC、などなど大きな波が
動き出しました。ともに極めなければならない重要な知識、技術ですが、日常の急病や
外傷への対応を基本として集団災害にまで展開してゆきたいと思います。そこに苦しみ
病んで居られるのは個々の人なのですから。常にその人の気持ちになって活動したい
と思います。

----------------------------------
  山 口  明 (akira yamaguchi)
 糸魚川地域広域行政組合消防本部
 救急救命士
 新潟県糸魚川市大町2-12-1
---------------------------------- 



2.教育講演
「ヒューマンエラー防止への戦略と戦術−エラー防止対策発想手順の試み−」
(講演メモ)

Strategy and Tactics for Prevention of Human Errors

東京電力(株)技術開発研究所 ヒューマンファクターグループ主管研究員
  河野龍太郎先生

講演メモ

竹やり精神型安全 「ちゃんと注意しろ」
 エラーに関する見方・考え方を変える
表示の原則:重要なことを一番最初に大きく目立つように
墓石安全:多くの人の命が奪われないと安全対策がとられない
ヒューマンエラーは結果である
エラーを誘発する環境が問題
エラー誘発要因に着目
状況や環境への対策
いろいろなエラー防止策がばらばら
→体系的に考える

エラー防止のための戦略strategy
1)エラー発生防止Prevention
エラー発生件数/エラー発生可能作業遭遇数
→エラー発生件数を減らす、エラー発生可能作業遭遇数を減らす
ヒューマンエラー発生可能性のある作業をなくす
 自動化、全体の作業工程の見直し→システムとして考える
 人間の介在が多くなるとシステムは脆弱になる
やめる:予薬行為そのものが危険行為!

2)エラー拡大防止Mitigation
エラー確率を低減
 (1)人間要因
 ・ベストな身体状況の維持
 ・自分の感覚感度の認識
 ・予測させる
 ・経験の共有化
 ・日常におけるしつけex.コードの絡み
 ・記憶を外に置く(?)
 ・作業を中断しなければならない状況
 ・職業的正直Professional Honesty -「分からない事は分からない」という
 (2)環境要因
 ・エラーを誘発しにくい環境を作る:人間中心のシステム設計
  重要なことは管理職自ら参加する!
  ---言葉ではなく行動で示す
システムが目的を達成するための条件
・器械の品質保証
・人間の品質保証
管理の重要性
タスク遂行に必要な身体的機能をチェック
タスク遂行に必要な技能のチェック

3)多重のエラー防止対策
自分のエラーに気づく
エラー発生を検出する仕組みを作る

4)エラー発生への備え
影響緩和(?)
備える

問題点
1エラー要因が多い
2多重防護壁が弱い
3管理が不十分
情報伝達媒体に人間系を用いている
記憶慣性への対策(?)

タイム-標準化が更に必要(?)

       (?)は聞き取りが曖昧な所です。皆様のご意見をお願い致します。

★公開資料へ/  ■ News from GHDNet/ □ 救急・災害医療ホームページ