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pneumatic vest,PCPSは装置が複雑かつ高価で,セットアップに時間がかかる,interposed-abdominal-counterpulsation CPRは3人の術者が必要であるなどの欠点があり,緊急時にどこでも容易に施行できない。一方,ACD- CPRは,1)装置を持ち運べる,2)操作法がシンプル,3)セッツアップが短かい,4)CPRパフォーマンス度が判る,4)肋骨骨折の頻度が少ない?,などの利点があり,当施設でも症例によって使用している。
ACD-CPRは用手的に胸郭を能動的に圧迫し(compression:30kg〜50kg),また能動的に拡がらせる(decompression:〜−15kg)ことによるCPR法で,decompression時に大きな胸腔内陰圧となり,心臓への還流血液量が増加する。そのため,標準CPRより心拍出量の増加(1.0l/min),動脈収縮期血圧の上昇(通常10〜25mmHg上昇),平均動脈圧の上昇,拡張期圧の上昇,圧冠動脈灌流圧の上昇(>10mmHg),重要臓器血流量の増加,心筋血流量の増加,脳血流量の増加,PETCO2の上昇がえられる。短期的予後としての心拍再開率,24時間生存率は向上し,ACD-CPRの有効性が見いだされているが,長期生命予後,社会復帰率,脳神経予後に関しては統計学的に有効な結果が得られていないため,AHAのCPRガイドライン2000では2bとランクされた。
しかし,ACD- CPRなどの各種CPR法は心肺停止を来した原因疾患の治療法でなく,循環動態を良好にし,心拍再開率を高める治療法,と捉えるべきである。心拍再開が得られてはじめて,次の原疾患治療へとつながり,さらに救命率の向上がえられることになる。それゆえ,心拍再開率を高めるACD-CPRや簡便な新たなCPR法は積極的に試みるべきであると考える。
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抄録
−特にACD-CPRは施行すべき−
兵庫医科大学 救命救急センター
切田 学,丸川征四郎,吉永和正,久保山一敏,山内順子,小谷穣治,細原勝士,平田淳一,米田雅洋,安井大雅