※ そのカリキュラムは,プロトコルに基づいて行った救急活動の各圏域における事後検証を通じて,逐次改定される
べきものです。
(1)ACLS
(2)外傷初療
2.病院内実習
(1)救急外来における初療を見学する。その際は,緊急度と重症度を頭に置き,限られた時間
の中での診断および治療の優先順位の決定に,特に注意を払う。
(2)見学した後には,救急救命士テキストなどを参照し,症例ごとに復習する。その際,最大
限の質問事項を挙げ,医師から教示を受けるよう努力する。
(3)医師の判断に従って,法的に可能な範囲での手技を医師の監督指導の下に行う。
(4)手術室において,予定手術患者を対象として,医師の監督指導の下に法的に可能な範囲で
の手技を実習する。
(5)手技の習得および見学の細目の具体例を表1に示す。
3.症例検討会
(1)自ら経験した症例の中から,判断・処置に迷ったり,うまくいかなかったと考える症例を
選び,プレゼンテーションを準備する。
(2)他の隊員の発表に対して忌憚のない質問や意見を述べ,討議を行う。
(3)「振り返ってみれば当然のことが,情報の少ない現場ではわからないことがある」という
原則を,全員が理解しあった上で討議する。
(4)医師の医学的評価のコメントを受ける。(隊員が責任を感じていた事象が,医学的にはそ
れほど重要でない場合もある。その逆の場合もある。)
(5)医師や医療体制に対し,現場で活動するものにしかわからない要因については,十分に意
見を述べる。
4.医師同乗実習車およびヘリによる出動
救急車やヘリに医師が同乗する実習の機会を与えられた場合は,現場活動の時点からの重
症度と緊急度の評価,緊急処置,搬送中の診察処置,病着後の経過,ならびに現場から病院
内の処置治療の一貫性を学ぶ。
(1) ACLS と外傷初療の実習の評価には,OSCE をその1つとして用いることが望ましい。
(2) 認定されたコースにおいては,OSCE はその内容に含まれる。
2.実習記録
(1) 病院実習においては実習記録を作成し,検証医・指示医のチェックを受ける。
(2) 手技や見学をした症例数のみならず,症例の経過の報告を盛り込むよう工夫する。
3.症例レポート
救急車やヘリに医師が同乗する実習の機会を与えられた場合は,現場活動から病院内まで
の症例レポートを作成し,検証医・指示医のチェックを受ける。
(附)再教育カリキュラムのクレジットの算定
(1) 病院内実習…… 実習時間1 時間⇒ 1 点
(2) 身体所見の観察(視診,触診,聴診)
(3) モニターの装着(心電図,パルスオキシメータ)
(4) 酸素投与
(5) バッグ・バルブ・マスク人工呼吸
(6) エアウェイ挿入
(7) 喉頭鏡を用いた喉頭展開
(8) マギール鉗子を用いた異物除去(擬似)
(9) 胸骨圧迫心臓マッサージ
(10) 点滴ラインの準備
(11) ナーシング・ケア(体位変換,清拭)
B.医師の介助の下に実施
(13) 気管内吸引
(14) 末梢静脈路確保
(15) 除細動
C.医師の指導・監督のもとに介助
(17) 輸液・輸血
(18) 創傷・骨折処置
(19) 胃チューブ挿入
D.見学
(21) 気管切開
(22) 開胸心マッサージ
(23) 緊急ペーシング,大動脈内バルーンパンピング(IABP),経皮的心肺補助装置(PCPS)
(24) 胸腔ドレーン挿入
(25) 血液浄化法(血液透析,持続的血液濾過透析,血漿交換)
(26) 中心静脈穿刺・スワンガンツカテーテル挿入
(27) 経腸栄養
(28) 尿道カテーテル挿入
(29) 胃洗浄
(30) 12 誘導心電図画像検査(単純X 線,CT,エコー,MRI)
(31) 血液検査(動脈血ガス分析,末梢血,血糖値)
(32) 緊急内視鏡検査・止血術
(33) 緊急血管造影・動脈塞栓術
資料集
資料7.救急救命士の再教育用カリキュラム(標準)(案)
I.GIO(一般目標);
II.SBOs(行動目標);
III.方略;
1.救急救命士のためのACLS コースおよび外傷初療コース
W.評価
1.OSCE
以下の規定に従って,クレジットを算定する。これを集計することにより,当該消防本部や圏
域協議会の活動度の評価の一助とする。点数の多少によって救急救命士個人を評価するのが目的
ではない。
(2) 県単位協議会が認定する講習会などの受講⇒ 2 日コース20 点,終日コース10 点,半日コース5点
(3) 県単位協議会が認定する学会・研究会・シンポジウム等の聴講⇒ 2〜5点
(4) 県単位協議会が認定する学会・研究会・シンポジウム等における発表⇒ 5〜10 点
(5) 県単位協議会が認定する雑誌等への論文の投稿・採用⇒ 20 点
(6) 県単位協議会が認定する医師が同乗した救急車またはヘリによる出場⇒ 2 点
表1 病院内実習において推奨される細目
A. 医師の指導・監視のもとに実施