心肺蘇生法の標準化と医学生・研修医教育2

愛媛大学医学部救急医学 越智元郎(資料制作:2002年7月)


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 AHAの心肺蘇生法指針 策定の流れを示します。AHAは推奨提案を世界に 向けて公募し、2回の全体会議と小委員会で3000編を越える論文を検討し、 新指針を作成しました。この作業を貫く合い言葉は「Show Your Data!」 であり、根拠に基く指針策定を目指しました。


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 日本医師会と関連機関が策定した旧指針にはいくつかの問題点が指摘さ れおり、また団体間の指導内容の不一致が指摘されています。例えば、 日本蘇生学会は頬を叩いて意識確認をさせ、日赤の指導では119番通報の 強調が不十分と言われています。消防本部はルチーンに、指交差法による 口腔内異物確認をさせています。またCPR終了の基準もAHAの方針とは 異なっています。


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 このほど発表された新指針には幾つかの変更点があり、これらについて はわが国の関係諸団体が一致して採用することになりました。主要な変更 点には、

  1. 口腔内の異物を確認することなく気道を確保して人工呼吸。
  2. 人工呼吸の呼気吹き込み量は約10 ml/kgとする。
  3. 2人で行う心肺蘇生法でも、心臓マッサ−ジと人工呼吸の比率を15:2とする。
  4. 意識のない傷病者に対しては、異物除去の方法としてハイムリック法は行わない。
  5. 心停止の観察・判断には、頸動脈の拍動を触れる必要はない。
  6. 心臓マッサ−ジは毎分100回の速さで行う。
  7. 口対口人工呼吸ができない場合や、電話で指示する場合は心臓マッサ−ジだけでもよい
    などがあります。


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 成人における一次救命処置の流れを追ってみますと、


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 AHAによる一次救命処置指導ビデオをご紹介します。


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 ここで、愛媛大学医学部4年次に行っております救急医学系統講義につい てご紹介します。テーマは


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 次に最近の医学教育の方法論の話題として、参加型教育への転換と題して お話をします。すなわち、受け身の講義よりも討議・発表の方が教育効果が 高く、実習やシミュレーションが重視されています。また能力試験について もペーパーテストよりも、臨床場面を模した客観的臨床能力試験(OSCE)に より、高い教育効果が得られます。また、このような機会に教える側で参加 すること自体に「学びの効果」があると言われています。


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 具体的には、講義においては一方的な知識伝授の連続を避ける必要があり ます。そのためには、大講義の場合、

 模擬体験型講習においては、受講者による即席のチームを作り、心肺停止 患者との遭遇場面から始まる、蘇生シミュレーションを行います。任意の心 電図波形が出せる人形や実物の除細動器などを使用、参加者全員が各役割を 体験し、救命処置の行動や思考を身につけます。


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 一昨年より愛媛大学医学部で実施している、客観的臨床能力試験について ご紹介します。

 臨床系の系統講義終了後の学生が対象で、医療面接、バイタルサインや呼 吸・循環・神経系などの診察を模擬患者において行います。学生は異った想 定のステーションを順次回り、スタッフによる評価とフィードバックを受け ます。

 さらに一連の蘇生手順をグループごとに実施させるステーションを設け、 救急医学および麻酔学教官により評価と指導を行っています。


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