救急救命士の特定行為と心電図伝送

―日本救急医学会中国四国地方会(2002年6月1日)の話題―

日本救急医学会ニュースレター 2002年7月


 このほど広島市で開催された第18回日本救急医学会中国四国地方 会の話題を紹介します。

 中国四国地方会前日には、関連行事である第3回中国四国救友会 が開催されました。これは当地方の救急医療関係者が職種を超えた 相互啓発と親睦をはかる催しで、中国四国地方のプレホスピタルケ アの現状分析とその対策について、活発な意見交換が行われました。 その中で注目されたのは、救急救命士活動に関する調査結果、特に 心電図伝送の実態報告でした。

 すなわち当地方では本年4月の段階で、53%の消防本部が特定行 為実施に先立ち必ず指示医への心電図伝送を行っており(うち8% は医療機関の求めによる)、一方伝送は不要としていたのは31%に 過ぎませんでした。

 心室細動患者において、電気的除細動の実施が1分遅れるごとに、 重篤な神経学的後遺症なしに退院できる患者が7〜10%減少すると 言われています。法的に義務づけられていない、特定行為時の心電 図伝送が多数の消防本部で行われていることは、国民の利益に反す ることです。またこのことは地域のメディカルコントロールが、適 切に行われていないことの証左でもあります。

 中国四国地方会ではこの現状を改善するために、特定行為実施時 の心電図伝送に関する要望書 (http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/02/densou.htm)を会長名で、 各消防本部ならびに医師会などに送付することになりました。

 皆様の地域では心電図伝送に関する状況はいかがでしょうか。


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