コラム1: AED空を飛ぶ

株式会社ヘルツ 東藤康紀

(LiSA 7: 568, 2000)


 日本全国に FirstSave(弊社のAED)を紹介し始め約1年。仕事で飛行機に搭乗する際も、軽くて頑丈な FirstSave は当然手荷物で機内持ち込みです。

 ある日、普段なら問題なく通過できる搭乗ゲートで呼び止められました。女性検査員さんが AEDを前に、「中を拝見させていただいて宜しいですか?。」

 断る理由も無く、わが FirstSaveの蓋をオープン!。乗客で混雑する搭乗ゲートでいきなり「電極を、患者にセットしてください・・。電極を・・・」

 そうなんです。FirstSave は蓋を開けると勝手に電源が入り、しゃべり始めるのです。混乱した様子の女性検査員さんは慌てて蓋を閉め、「し、失礼しました。どうぞお通り下さい。」昨年夏、航空関係者を震えあがらせたハイジャック事件が起きた直後の出来事でした。

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 患者搬送等で、航空機内で使用することを前提に機内持込を行うには航空会社の許可が必要です。私どもの FirstSave は RTCA/DO-160C を所得済み。電磁波によって航空機の機器に影響を与えたり、FirstSave の動作が影響を受けることはありません。

 先日国内では AED としては初めて?ある航空会社の搭載許可を頂き、母国へ帰る患者さんと付き添いのドクターともに大空へ飛び立って行きました。めでたし!


コラム2: Automatic と Automated

日本メドトロニック 松尾英樹

(LiSA 7: 569, 2000)


参考:「
AED:企業戦士の立場からひとこと(松尾英樹)」

 "It’s automatic …" と言うと宇多田ヒカルさんのヒット曲を思い出しますが、AEDのAは、Automatic? それとも Automated?と、あまりはっきりしません。

 市販されている殆どの装置は日本で言うところの半自動除細動器なので Semi-Automaticとも言えます。AED のご紹介に行くと、「米国では全自動!」とか、「AED は日本で使えるの?」とか言われることがいまだにあり、汗をかきかき説明することになります。

 最近米国で爆発的に普及し始めた PAD(Public Access Defibrillation)に用いられる AEDは、通電操作こそ人手が介入する(だから半自動)ものの、その後は自動的に心電図を再解析し、必要に応じて脈拍の確認や CPR の開始などを "自動的" に指示してきます。さらに、電源を切っていても定期的に自動起動し、装置の自己診断を "自動的に" 行います。自動化(Automated)が高度に進化しているのは、滅多に使用しないけれどもいざというときに専門家でなくても使えることを目指しているからです。AEDと呼ぶよりは、SED(Smart External Defibrillator)のほうが適切かもしれませんね。


LiSA特集:心肺蘇生法2000年の潮流