■患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムについて
本ページでは、患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムの概要を説明しています。
本ページの内容:
1.患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムの概要
2.患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムとこれまでのパスとの違い
3.患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムが提供する機能とシステム
1. 患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムの概要
患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムは、患者状態適応型パスシステムをより効果的に電子的に運用するためのシステムです。
患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムでは、臨床ガイドラインが組み込まれ、ベストもしくはベターなプラクティスが設計されている「標準診療計画」が準備されています。この標準診療計画から「もれのない個別診療計画」が作成されるため、「質保証されたオーダー」を発行することができます。これらの計画には医療チーム全員の業務が組み込まれているため、チーム医療が見えやすくなります。医療現場では、患者状態の変化によって頻繁に計画変更が起こるため、オーダーのキャンセル・新規オーダー発行が多数発生します。これによって業務に混乱を招きやすくなり、安全が脅かされる状況が起こっています。患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムは、標準的な臨床計画から個別計画の設計・実施と改善を繰り返すことで、頻繁な計画変更による業務の混乱を減らし医療の質安全を保証します。
PCAPSシステムにおける計画・指示・実施・分析・改善の流れ

2. 患者状態適応型パス(PCAPS)とこれまでのパスとの違い
- @準備された標準パスコンテンツを使用します
- パスは作成するのも大変ですが、それを改善していくこと、またその変更管理をし続けていくことが必要となります。それは大変な作業で、それぞれの病院で、 やり続けていくためには、かなりの労力と仕組みと知恵が必要です。作成するだけで精一杯で、改善と変更管理まではきちんとできていない病院が多いのではないでしょうか?もしもみんなが合意できる質のよいパスコンテンツがあれば、それを使った方が楽です。PCAPSでは、各病院でパスを作りません。 PCAPSユーザの各病院は中央から配信されたパスコンテンツを「使う人(ユーザ)」になります。
中央で作成されたPCAPSパスコンテンツが全国のPCAPSユーザ病院に配信(リリース)されます。受信したユーザ病院 は、それを病院システムに取り込んで、登録します。その際、標準パスコンテンツ内の薬剤名称を、当該病院の採用薬へ切り替えるなどの処理・確認・確定をして、日常診療に使えるようにします。同じパスコンテンツを使うのであれば、どこか一カ所で作成・改善・変更管理を、専門的にやってもらう方が、パスコンテンツの質が維持でき、各病院の労力が少なくてすみます。同じパスコンテンツを多数の病院で使うことで、臨床上の課題が発見されやすくなるとともに、地域医療連携が円滑に進められます。 PCAPSは、複数病院から提出された臨床情報を整理して、パスコンテンツの改善をしていきます。改善されたパスコンテンツは、新しいバージョンとして、再度 ユーザ病院にリリースされます。
- A適切でモレのない計画を効率的に作れます(標準計画から個別計画へ)
- 標準は、画一とはちがいます。標準とは、うまくいくことがわかっているやり方(知識)であり、標準化とは、うまくいくことがわかっているやり方をみんなで使うようにすること(知識の再利用)です。PCAPSが目指しているのは標準化であって画一化ではありません。PCAPSでは医療プロセスの標準をある類型、パターンで準備します。
診療計画とは、医療のプロセスを設計したものです。標準診療計画では、前もって十分吟味したよりよいやり方を設計しますから、適切で、もれのない、診療計画が設計されます。これが標準パスコンテンツです。 PCAPSパスコンテンツは、この標準診療計画となっています。疾患や病態や治療毎に、 PCAPSパスコンテンツが整備されています。これら多数の標準コンテンツから、当該患者に適切なものを選択します。患者には個別性がありますので、この 標準診療計画を、個別性に応じて編集し、個別診療計画を作成することができます。適切でもれのない標準診療計画から編集しますので、よりよい個別診療計画を、効率的に作成することができます。
- B状態適応型で実施している自然な医療提供方式を可視化(見える化)しています
- これまでのパスは、スケジュール表でしたが、医療は患者の状態に適応したサービスを提供しなければならないので、スケジュール表通りにすすめなくても対応できるパスが必要です。
PCAPSでは、小さな目標状態を設定して、その目標状態に達したら、次の目標状態に向かう診療フェーズに移ります。患者毎に目標達成までの日数が変化しても対応できます。PCAPSには、各フェーズがどのようにつながっているのかを俯瞰するツール(臨床プロセスチャート)があり、この俯瞰図の中で、今いる位置を確認でき、これからどこに行くかも想定できます。PCAPSでは、各患者状態に応じた診療フェーズでやるべき医療業務が一覧でき、また当該フェーズで管理すべき患者状態の異常発生を監視し、即時対応できるように、設計されたツール(ユニットシート)があり、目標状態に達すると、記載されている移行ロジックにしたがって次のユニットシートに移行します。患者状態に適応したユニットシートを次々と選択しながら、診療プロセスを進めていくことができます。
- C医療チーム内で、診療計画の共有化が可能可能となります
- PCAPS標準診療計画があると、各診療フェーズで各専門職がやるべき医療業務と注意すべき患者状態を共有できます。 異常時の即時対応がチームで素早くできる診療計画であることから、安全な診療を展開可能です。今の診療フェーズの目標状態と達成条件・達成状況をチームで共有することができ、チームメンバーの誰もが、遅れることなく、次の目標状態を目指す診療フェーズに移れます。患者状態の変化によって発生する計画変更を、医師がすばやく提示できます。PCAPSにより、計画の変更処理と、その変更内容のチーム内共有が、効率的に実現できます(安全性の向上)。
- D良質な医療記録が少ない労力でできる
- PCAPSでは、各診療フェーズが俯瞰的に可視化された標準診療計画の中で、当該患者に適応させる診療プロセスにあたるユニットだけを使います。今の診療フェーズを示すユニットで実施すべき医療業務は個別計画上にあり、それを実施したという記録だけをします(チェック・実施入力)。チェックや実施入力だけで、実施したことの意味づけは、も との標準計画の中に記述されている関係構造から理解することが可能です。当該業務を実施した理由やその妥当性を証明するために必要とする情報を記録する必要はありません。記録業務が、チェックや実施入力だけというふうに簡略化されるのですが、記録されている情報は以前よりも格段に質の高いものとなります。必要な関係構造と雛形情報はすでに個別計画上に準備されているためです。これらのデータが電子的に記録されることで、記録の後利用が確実に容易となります。
- Eより良い臨床分析・組織経営分析が可能
- PCAPSでは、臨床評価や組織経営評価をして、改善に結びつけやすいよりよい分析手法の開発をしていきます。これらの定型分析手法をシステムに組み込んで、院内で分析・評価・改善がすすみやすくすることを支援します。
標準計画ですので、異なる病院間でのベンチマーキングができます。そのためより早く自院の問題を特定することや、改善方法について他の病院から情報収集することもでき、参考になる情報として使えます。PCAPSでは、標準化の恩恵を、十分に享受することができます。
3. 患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムが提供する機能とシステム
患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムは、以下の機能を提供することで医療の質安全を保証します。
・標準的臨床計画から個別計画までの設計図作成・提供機能
・医療チームと患者への計画・オーダー・実施情報を提供機能
・患者状態に適応した医療サービスの提供支援機能
・臨床および経営改善を目的とするデータ分析支援機能
患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムは次の3つのサブシステムから構成されます。
・PCAPS-Builder : 「PCAPS標準コンテンツ」作成支援システム
・PCAPS-Administrator : 運用支援システム
・PCAPS-Analyzer : 分析支援システム
本事業では、この3つのサブシステムを統合した患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システムの研究・開発・実装および導入支援をしています。
2008年3月8日(土)に開催された「医療安全と質を保証する患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システム開発研究 2008年度最終成果報告シンポジウム」で展示された各システムの紹介ポスターは下記を参照して下さい。
<ただいま準備中です>
Copyright (c)since2005 PCAPS-IMT All Rights Reserved.
当サイトに掲載されている画像及び文章等の著作権はPCAPS-IMT 2005-2008に帰属します。無許可転載・転用を禁止します。
All rights of materials
on this site are reserved by PCAPS-IMT.
To reprint, republish
and/or distribute this material in whole or in part for any other purposes
without permission is forbidden.