医療社会システム工学について
医療社会システム工学は、医療の安全・安心・質保証のために、構造化知識工学、ヒューマンファクタエンジニアリング、システム工学、質マネジメント、社会工学アプローチを適用し、医療の質安全保証、医療質経営、組織の持続的成長のために必要な概念、方法論、手法を研究対象とする学問領域です。
なぜ医療社会システム工学というものが存在しなければならないのか。医療は社会が全体として保有すべき社会技術です。ここでいう社会技術とは、経済原理など単純なインセンティブによって健全な発展を望むことが難しく、何よりもその良し悪しが社会に与える影響が大きく、社会全体として何らかの方法論を有していなければならないような思想や方法論の全体を意味します。医療は、この意味での社会技術がなければ質・安全を確保できない難しさを内在した分野であるからです。
医療社会システム工学における研究内容・研究課題は、時代の要請に応えつつ、基盤となる分野の知見の成熟を考慮して設定されます。これら研究課題は社会ニーズに応じて柔軟に設定し遂行されていきますが、現段階においては以下のような課題に焦点が当てられています。
医療システム/医療プロセス設計
・ 患者状態適応型パス統合化システムの設計開発・実装システム開発
・ 医療者の判断プロセスの可視化/構造化
・ 臨床知識の抽出・格納・再利用のための構造と手法の開発
・ 電子カルテに対する,質・安全が保証された医療プロセスの組み込み
医療安全/医療リスクマネジメント
・ 医療事故発生予測
・ 医療事故因子の連鎖に関する知識の構造化
・ 医療事故レポーティングシステムの設計
・ 総合医療安全管理システムの設計・開発
・ 質・安全保証を実現する病床管理システムの設計・開発
医療のTQM(Total Quality Management)
・ ISO9001の医療介護適用/導入プロセス開発
・ 医療の質保証のための用語/プロセスの整備
・ 医療の質中心経営管理システムQMS-H(Quality Management System for
Healthcare)の開発と導入手法の研究
・ 医療社会システム構造モデル(病院・地域・国)の開発
・介護計画/介護プロセス設計
・ ケース分析と個別ケア計画作成支援
・ 医療/介護の地域連携
・ 介護領域のQMS開発研究
疾病管理プロセスモデルの設計
・ 疾病管理プロセスモデルの設計
・ 健診―医療連携,医療連携,医療―介護連携を支援するシステム構造研究
医療・介護ロジスティクス
・ 医療・介護の安全・安心・効率・効果を実現するロジスティックシステムの開発
・ 医療廃棄物の処理モデル(分散型発生源処理・集中型搬送処理)
構造化知識工学
・ 本質知の抽出,再利用可能な知識とする方法論としての知識の構造化の一般理論
・ 医療質・安全保証の基盤としての臨床知識の構造化
・ 医療機関における組織知の構造化
・ 医療安全に関わる構造化知識
医療社会システム工学を主な研究対象とする講座として、東京大学工学系研究科に「医療社会システム工学寄附講座」(寄付者:株式会社ビー・エム・エル、東芝住電医療情報システムズ株式会社、岡谷電機産業株式会社、株式会社竹中工務店、、株式会社ベリサーブ)が設置されています。
「医療安全と質を保証する患者状態適応型パス(PCAPS)統合化システム開発研究」事業は「医療社会システム工学寄附講座」が中心となって進めている研究事業です。
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