第3回てんかん治療の明日を考える会シンポジウム
-清水弘之先生退官記念講演-
会長 東京医科歯科大学 脳神経外科 前原健寿
第3回てんかん治療の明日を考える会シンポジウムの会長を務めさせていただくことになり、光栄に感じています。
この会は、てんかん治療を受けた患者、家族およびてんかん治療、特に外科治療を専門にしていた医者が中心になって立ち上げた手作りの会です。
第1回目の会は2007年12月に東京大学脳神経外科川合謙介会長により東大安田講堂で開催され、約700人の方が参加した盛大な会となりました。
第2回は2009年の2月に大阪市立大学脳神経外科森野道晴会長のもと大阪で開催され、てんかんの外科治療をテーマに活発な議論が展開されました。
今回のシンポジウムでは、てんかん診療の実情と、新しいてんかん治療という2つのテーマを選びました。まずてんかん診療の実情として、前回大阪の会を振り返った上で,さまざまな地域でのてんかん診療の実情、手術を受けた患者の体験等を話していただく予定です。
実際、我々が普段行っているてんかん治療は情報手段、交通手段の比較的発達した大都市での治療です。医療行政に必ずしも恵まれていない地域での診療の実態はどのようなもので、どのような問題をかかえているのでしょうか。また最近ではインターネットを通して、さまざまなてんかん治療法を知ることができます。
我々が最善の治療として行っている治療は、諸外国と比べても最善の治療なのでしょうか。最初のシンポジウムでは、手術という治療法に巡り会った患者の方の体験も交え、これらの問題について深く考えてみたいと思います。
次に、会の名称にもなっている「てんかん治療の明日」についてのシンポジウムを組ませていただきました。御存知の方も多いと思いますが、日本のてんかん治療は欧米の先進国だけではなく、アジア諸国と比べても限られた治療しか行うことができませんでした。
しかしこの数年で、今まで日本で使うことのできなかった新しい抗てんかん薬が承認され、今後もさらに新しい抗てんかん薬、さらには迷走神経刺激療法という特殊な治療法が承認される可能性もあります。
欧米やアジア諸国で普段行われている治療が、新しい治療法として我が国のてんかん患者にも施行できることを願って2番目のシンポジウムを組ませていただきました。
実は、皆様にひとつ残念なことをお伝えしなければなりません。それは我々の恩師であり、長らく日本のてんかん外科治療の第一人者として活躍してこられた清水弘之先生が、
2010年の3月をもって都立神経病院を退官されるということです。清水先生は過去30年に渡り、てんかん診療の第一線で手術を中心とした治療を行うと同時に、てんかんの外科治療を志す医師であれば分け隔て無く受け入れ教育、指導してくださいました。
今回、不肖の弟子の一人である私が、清水先生の退官記念講演を開催させていただけることは非常に名誉に感じています。清水先生からは「てんかんの治療法をどのように選択するか」という講演をしていただく予定です。
最後になりますが、今回の会がなんらかのかたちで「てんかん治療の明日」につながることを祈ってやみません。多くの方の御参加をお待ちしています。
平成21年2月28日午後1時より大阪市立大学医学部学舎4階大講義室において「第2回てんかん治療の明日を考えるシンポジウム」を開催いたしました。「てんかん治療の明日を考える会」の世話人および参加者の温かいご協力のおかげで、プログラムにそって滞りなく、シンポジウムを行えたことを厚く御礼を申し上げます。
このたびは約180名の参加者があり、川合先生、前原先生のご協力によりてんかん外科治療について密度の濃い説明が行えたと確信しております。シンポジウムを開催するまでは形式的なことにとらわれ、非常に不安な点もありましたが、「とにかく“てんかん治療の明日を考える”ことが大切だ!」と思い直し、会全体の事務から講演、司会まで一人三役くらいをこなしました。
非常に心地よい達成感を得ることができましたが、これに満足せず、これからもさらにてんかん外科治療の普及に努力する所存であります。
今回のシンポジウム後、新しい患者様の来院が増えていますが、その方々に次回のシンポジウムで喜びの声をお聞かせ頂けるよう、我々外科医はさらなる手術技術の向上を目指す必要があることを実感しています。
シンポジウムで患者様に外科治療について説明していくことも大切ですが、同時に若いてんかん外科医の育成にも力を注がなければならないと思います。第3回てんかん治療の明日を考えるシンポジウムも盛会となるよう祈願し、私の御礼の挨拶とさせていただきます。
「第2回てんかん治療の明日を考えるシンポジウム」
会長 森野道晴
「第2回てんかん治療の明日を考えるシンポジウム」の開催にあたって
会長 森野道晴
2007年12月1日に東京大学内 安田講堂にて第1回の「てんかん治療の明日を考えるシンポジウム」が開催されてから、早1年余りの月日が流れました。前回は第1回ということで、まずは「てんかん治療の明日を考える会」自体の設立・発足、およびこの会の存在を周囲の人々に理解して頂くことが必要でした。発起人の方々のご尽力により、多数の参加者に恵まれ、盛会でありました。第1回会長である川合謙介先生から「第2回は関西で。」と依頼されましたので、何とか皆様のご期待に応えられるよう準備をすすめて参りました。
第1回開催時のアンケートから、「もっと外科治療の内容を詳しく聞きたい。」という参加者の皆様の声が多かったため、今回のシンポジウムはてんかん外科治療の適応になりやすい前頭葉てんかんおよび側頭葉てんかんの手術法と小児の難治性てんかんに対して、よく行われる脳梁離断術にスポットを当て、手術適応、必要な検査・入院期間あるいは手術費用などを詳しく講師の先生方にお話して頂きます。もちろん、前回と同様にてんかん外科治療に貢献して頂いています記銘力検査担当者、看護師さん、あるいは実際に手術を受けられた患者さんの保護者の方にもご講演を頂き、参加者の皆様と密な質疑応答の時間を多くとる予定です。今回は本会の参加者を募る手段として、てんかん患者の薬物治療を行っている小児科・精神科・神経内科を標簿している病院に呼びかけるのではなく、てんかん患者さんが日頃、通われている大阪府内の支援学校や作業所に会の趣旨を説明して案内状を配布させて頂き、さらに「大阪手をつなぐ育成会の保護者会」や「大阪市支援学校の養護教諭の勉強会」に押し掛け、本シンポジウムの説明をいたしました。このシンポジウムの準備をしながら、私は10年前にてんかん外科治療を始めたとき、一生懸命になって患者さんを集めていたことを思い出し、初心に戻ることが出来たことが何より自分にとって有意義でありました。さらに「今回のシンポジウムに多数の参加者を集めること、すなわちてんかん治療の明日を本当に考えるのなら、自らが自分の足で参加者を集めないと形だけのシンポジウムになってしまう」ということを肝に銘じて頑張りました。しかしながら、まだまだ大阪府においてもほんの一部の患者さんにしかアナウンスできていないと思います。これを機会に今回のシンポジウムに参加できなかった患者さんのために今後、大阪で定期的に「てんかん治療の明日を考える会」の小会を開ければと考えています。
さてシンポジウムの講演では手術治療の最も良い適応となる側頭葉てんかんの外科治療についてお話させていただきます。このパンフレットの後半部には当施設のホームページに載せているてんかん外科治療についての説明文を掲載しました。講演を聴きながら参考にして頂ければ、幸いです。
最後に今回のシンポジウムにより、てんかん外科治療に対する認識がさらに深まり、いままで治らないと諦めていた患者さんに発作緩和あるいは消失という希望の灯りがともされることを祈ってやみません。
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