頭蓋咽頭腫の骨化

なぜ気にするかというと手術がとても難しくなるからです

石灰化はよくありますし,石灰化が手術で問題となることはありません
骨化は似て非なるものです
石灰化は砕けますが,骨化は砕けないので一塊にして引きずり出すことになります

生涯で最も苦労した例:骨化をなめてはいけない!

craniokf3craniokf1craniokf4

11歳で低身長で発症しました。左のCTでは小さな骨化に見え,この程度の頭蓋咽頭腫なら何とかなると思っていました。しかし手術所見では,視交叉や視床下部底部から剥離できない,ものすごく硬い骨化でした。骨化部分が動かせないために,周囲の穿通枝(動脈)とも容易にははがれませんでした。開頭術だったのでソノペットで骨化を破砕しましたが,視交叉を少し損傷しました。何とか全摘出でき汎下垂体機能低下症の治療しています。でも再発なくて,元気に学校似通って水泳とか吹奏楽コンクールにでているそうです。

鞍上槽の骨化例

8歳の女の子です。学校の検診で両側の視力低下を指摘されて,その4ヶ月後にようやく頭蓋咽頭腫が発見されました。発見されたときは,両耳側半盲で高度の視力低下(左指数弁)でした。

とにかく残った視力を助けなければならないので,まず,熟練した術者に経蝶形骨洞手術でのう胞除圧(のう胞から液体を抜く手術)をしていただきました。下垂体機能は温存されました。なんとか両側の失明は防げたのですが,視力と視野は改善しませんでした。このような頭蓋咽頭腫では一度悪くなった視力と視野は手術しても改善しないことが多いです。

視神経への圧迫はとれたので,今度は腫瘍の本体を摘出しなければならないのですが,トルコ鞍上部に大きな骨化(黄色の矢印)があります。骨化は15mmくらいの大きさがありました。この大きな骨化は砕くことができずに,周囲を全部剥離して一塊にして引きずり出しました。後交通動脈の下側から引っ張りだしたのですが,かなり危険な手術操作でした。結果的には,下垂体柄を温存できて腫瘍を全摘出しました。

摘出した骨化片の病理像です。成熟した骨組織 mature boneです。

鞍内の骨化例


14歳で低身長で発症していますから,かなりゆっくり増大した鞍隔膜下頭蓋咽頭腫です。トルコ鞍内・鞍隔膜下に骨化があります。経鼻的手術で全摘出しました。下垂体柄と下垂体はなんとか形態的温存をしています。


adamantimomatous typeです。mature boneの端には破骨巨細胞が多数見られます。

 

 

Copyright (C) 2006-2017 澤村 豊 All Rights Reserved.