PCV化学療法

  • PCV化学療法(プロカルバジン,ロムスチン,ビンクリスチン)は,日本では使用できません
  • 国際的にグリオーマに広く用いられる併用化学療法です
  • オリゴ(乏突起膠腫と退形成性乏突起膠腫)への有効性は証明されています
  • テモゾロマイドとの優劣の決着はついていません
  • 日本では,中心となる薬剤ロムスチン(CCNU)が保険診療認可されていません
  • 安い薬なので日本で獣医さんが犬に使用しています U^エ^U
  • グリオーマが再発した時の,セカンドライン化学療法としても用いることができるのですが,2017年時点では,ネット通販でロムスチンを購入して,混合診療で行うしかありません

PCV chemotherapy regimen

Procarbazine 60 mg/m² orally, days 8–21 
Lomustine 110 mg/m² orally, day 1 
Vincristine 1·4 mg/m² intravenously (maximum 2 mg), days 8 and 29 for 6–8 weeks

PAV化学療法は使わない

  • ニドランをロムスチンの代わりに使うPAV化学療法の有効性は証明されていません
  • PAV化学療法はマガイモノと言えます
基盤となる文献

グレード3グリオーマ:PCV化学療法単独と放射線治療単独の初期治療の効果は同様

Wick W, et al.: Long-term analysis of the NOA-04 randomized phase III trial of sequential radiochemotherapy of anaplastic glioma with PCV or temozolomide. Neuro Oncol 2016
グレード3のグリオーマ(主として退形成性星細胞腫,退形成性乏突起膠腫)318例が,放射線治療のみ,PCV化学療法,テモゾロマイド化学療法の3群に分類されて治療を受けました。この研究では,化学療法を単独効果をみていますので,first lineで放射線化学療法は行われていません。観察期間中央値9.5年の段階で,放射線治療単独と化学療法単独群に差はありませんでした  TTF (4.6 y vs 4.4 y), PFS (2.5 y vs 2.7 y), and OS (8 y vs 6.5 y)。テモゾロマイドとPCVの間には若干の差があって,CIMPかつcodelつまり,IDH mutationと1p/19 co-deletionのある退形成性乏突起膠腫では,PCV の有効性が高かったとされていますが少数比較です。

グレード2に対するPCV化学療法の長期成績(10年以上の経過を見た場合)

Buckner JC, et al.: Radiation plus Procarbazine, CCNU, and Vincristine in Low-Grade Glioma. N Engl J Med 2016
グレード2の乏突起膠腫,乏突起星細胞腫,星細胞腫の患者さん251人が対象です。追跡期間中央値12年で55%の患者さんが亡くなりました。10年無増悪生存割合はPCV化学療法と放射線治療を受けた患者さんで51%,放射線治療のみで21%でした。全生存割合だと60%と40%です。乏突起膠腫の患者さんの生存割合が高いと結論されています。

 乏突起膠腫へのPCV化学療法の効果

van den Bent MJ, et al.: Adjuvant procarbazine, lomustine, and vincristine chemotherapy in newly diagnosed anaplastic oligodendroglioma: long-term follow-up of EORTC brain tumor group study 26951. J Clin Oncol 31:344-350, 2013
グレード3オリゴ (AO, AOA) に対して,59.4グレイの放射線治療にPCV化学療法6コースの上乗せ効果があるかどうかをみた臨床第3相試験です。368人の患者さんが治療され,追跡機間中央値は140ヶ月でした。生存期間中央値は,放射線単独では30.6ヶ月,放射線とPCVでは42.3ヶ月で有意な差がありました。1p/19q coleletionがあった患者さん80人の生存期間中央値は,放射線単独では112ヶ月,放射線とPCVでは7年以上で有意な差がありました。IDH1変異があった例でも生存期間が長かったそうです。
解説:グレード3オリゴには化学療法を加えた方が良いことが明白となりました。1p/19q欠失があるグレード3のオリゴの生命予後は短くとも7年以上ということになり,治癒が期待される腫瘍であると言えます。一方で,その欠失が無い例での生命予後は数年以内と推定されます。とても大きな違いです。

 

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