術中MRI

  • 腫瘍が手術でとれているかどうか,手術中に確認します
  • 全身麻酔で開頭手術している最中にMRIを撮影することです
  • 手術室とMRI室が併設されている限られた施設しかできません
  • とくに,脳と腫瘍との境界がわからない,グリオーマの手術で有効です
  • 欠点は,MRIは超強力な磁石ですから,磁性体(鉄とか)の金属類が持ち込めないので,手術道具に制限がでたりします
  • MRI装置の中に患者さんの頭部を入れるので,手術ベッドの移動とかとても面倒で,手術時間も長くなります

覚醒下手術と術中MRIで症状が出やすい領域のグリオーマを摘出する

Motomura K, et al.: Surgical benefits of combined awake craniotomy and intraoperative magnetic resonance imaging for gliomas associated with eloquent areas. J Neurosurg. 2017
名古屋大学からの報告です。”eloquent area ものを言う領域”(目立つ症状が出てしまう脳の部分)にできたグリオーマの患者さん25人を,覚醒下手術と術中MRIを応用して手術しました。9例でMRIの前に腫瘍が摘出できていて,16例ではMRIで残存腫瘍がみられたために追加切除がなされました。この16例中の7例では,EOR(切除割合)が15%増えました。術中MRIは,島葉グリオーマ insular gliomaで特に有用だったそうです。

術中MRIで摘出割合が上がる

Olubiyi OI, et al.: Intraoperative Magnetic Resonance Imaging in Intracranial Glioma Resection: A Single-Center, Retrospective Blinded Volumetric Study. World Neurosurg 2015
ハーバード大学の関連施設で2人の執刀医が164例のグリオーマの手術を行いました。グリオーマの摘出割合はMRIを用いると97%,用いないと90%でした。全摘割合は,それぞれ49%と21% でした。5年生存割合が改善したというのですが,いろいろな組織型の混じった後方視的解析ですから分析結果の統計解析はあてになりません。

手術中にMRIを使用すること

Mohammadi AM, et al.: Use of high-field intraoperative magnetic resonance imaging to enhance the extent of resection of enhancing and nonenhancing gliomas. Neurosurgery 74: 339-348, 2014
手術中に1.5テスラMRIを用いて102人のグリオーマ患者さんの手術が行われました。手術中のMRIの所見で約半数の患者さんで追加切除を行ったとあります。ガドリニウム増強されないT2強調画像でみえるグリオーマでMRIの使用によって切除率が上がったとの報告です。一般的に,低悪性度グリオーマ low-grade gliomaでの有用性が高いと言えます。しかし問題は,low-grade gliomaは機能を有している脳に浸潤するので,T2強調画像で見える腫瘍を摘出するということは脳の機能を損傷しながら手術を遂行するという大きな矛盾をはらむことです。術後の画像がきれいでも,患者さんの高次脳機能が温存できるかという二律背反が旧来からの命題として残ります。


もともと脳の解剖を熟知する経験ある脳神経外科医と,手術中MRIの,どちらが有用だという議論は,しなければならないような,してはいけないような   (;¬_¬)

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