http://www.who.int/director-general/speeches/2001/english/20010510_iarc42council.en.html Dr Gro Harlem Brundtland Director-General World Health Organization Lyon, France 10 May 2001 42nd Governing Council, International Agency for Research on Cancer WHO長官 グロ・ハーレム・ブルントラント博士  リヨン、フランス 2001年5月10日 42nd Governing Council, International Agency for Research on Cancer (IARCでの演説より) タバコ癌(tobacco-induced cancer)対策は全ての国々が優先的に取り組むべき課題です。  癌による死亡者の約30%はタバコが原因です。 タバコは喫煙者自身への明白な悪影響に加えて、受動喫煙・環境中のタバコの煙は、 屋内の空気汚染の非常に深刻な原因です。 非喫煙者は喫煙者と同じ有毒化学物質の中での呼吸を強いられます。 米国では、大気汚染により引き起こされる肺癌死亡は1年当たり100人未満ですが、 受動喫煙による肺癌死亡は年間3000人にものぼります。 受動喫煙は、特に子供達の、喘息等、呼吸器疾患を悪化させます。 タバコは乳幼児突然死症候群の重要な原因です。 さらに、受動喫煙の影響に関する研究の結果、受動喫煙は肺癌と心臓疾病をも引き起こします。 20年間に及ぶ研究の結果、受動喫煙には許容範囲が存在しない事が明らかになりました。 WHOは受動喫煙の危険性を喚起し、かつ受動喫煙の有害な影響から非喫煙者を保護する努力を強く推進します。 今年の世界禁煙デーは、世界中の人々の健康を脅かす受動喫煙の害を知っていただくため、 声を大にして警告します。5月31日にジュネーブ、ニューヨーク、大阪、東京で大規模な イベントを行います。 一方、タバコ産業側は受動喫煙は安全であると主張します。例え、受動喫煙が肺癌を起こす と言う事実を否定しても、それ以外の多くの疾患を引き起こしている事実があります。 IARCが1990年代にヨーロッパで受動喫煙と肺癌の関連について調査を行っていた時、 タバコ会社はタバコ規制が加速され、タバコの売上が減少することを恐れました。 このため、タバコ会社は1993年から1998年のIARC報告書を否定する活動を開始しました。 タバコ会社はメディアを利用して「受動喫煙は安全である」と宣伝しており、現在も継続されています。 私はIARCを賞賛します。IARCが1987年に報告した「受動喫煙の危険性」は正しい内容であり、 私達はIARCに強力な支援を行います。