タバコの無いヨーロッパを目指して行動しよう。 ヨーロッパにおけるタバコ対策報告書1997-2001 http://www.euro.who.int/mediacentre/PR/20020214_1 Moving towards a tobacco-free Europe. The European report on tobacco control policy, 1997-2001 Press release EURO/02/02 Copenhagen and Warsaw, 15 February 2002 WHOのヨーロッパ地域担当のDr Marc Danzonさんによると この報告書は喫煙率調査結果を集めた信用できる報告書です。 この報告書にはヨーロッパのWHO加盟国48カ国における1997 年から 2001年までのタバコ対策の成果が反映されています。 この報告書は予防可能であるタバコ関連疾患を減少させ公衆衛生の向上を 目指すための貴重な資料になるでしょう。 2月18日から19日にかけてポーランドのワルシャワにてヨーロッパ諸国の厚生大臣、 その他の政策決定者が集まりWHOによるヨーロッパタバコ対策閣僚会議が 開催されました。 そして、ヨーロッパでのタバコ問題に関する新しい調査結果が報告され、 タバコ対策に関し、経験を共有しながら協調して更に強力に取り組む ことを再確認しました。 この報告書は、各国々での成人と子供におけるタバコ消費量を明らかにし、 有効なタバコ対策を紹介しています。 この報告書は有効なタバコ対策には広告規制、タバコ税の増税、 喫煙者への禁煙支援、禁煙区域の創設、タバコの有害性警告、タバコの有害成分 の表示と管理などが必要であると結論しました。 さらに、この報告書は有効なタバコ対策と、その科学的根拠についても記載しました。 4つの重要事項 1.タバコ対策は成功しつつあります。いくつかの国々ではタバコ消費量は減少し、  タバコによる健康被害も減少しています。 2.タバコ産業は人々の健康を脅かし続けています。  タバコ産業による積極的な海外進出に伴いWHOのヨーロッパ地域では  喫煙者の数は5年前と比べて増加しています。  西側諸国でのタバコ消費量は減少しましたが、その分、東側諸国での  タバコ消費量が増大しました。  タバコによる健康被害の被害者の大部分は貧しい人々です。 3.ヨーロッパでは若年者における喫煙が流行しており大変危険な状況になりました。  以前は若年者の喫煙はごく少数でしたが現在では若年者の喫煙率は大幅に増加しています。 4.タバコ対策は新しい局面を迎えつつあります。内部告発と内部文書の暴露により  タバコ産業の陰謀が明らかになりました。タバコ産業はタバコ対策を妨害しています。  新しいEU指令とタバコ枠組み条約(New European Union directives and the Framework Convention  on Tobacco Control)はタバコ産業によるタバコ対策妨害に対処することを目的としています。 成功 タバコ対策が進んでいるヨーロッパの10カ国、Belgium, Finland,France, Iceland, Italy, Norway, Poland, Portugal,Sweden and the United Kingdomでの調査によると タバコ関連疾患による死亡が減少している事が明らかになりました。 Finland, Iceland, Italy, Slovenia and Sweden の5カ国では15歳以上における タバコ消費量が25%も減少しました。 最も有効なタバコ対策はタバコ価格の引き上げ、広告規制、禁煙支援・治療、 禁煙区域の創設です。 全ヨーロッパ、その他の国でもタバコ対策を強化する事は可能でしょう。 ヨーロッパの約25%弱の国々ではタバコ消費量を抑えるためにタバコ税を増税し 健康増進に活用しています。 タバコ税を健康増進以外に活用している国々も5カ国ありました。 タバコ産業は人々の健康を脅かし続けています。 ヨーロッパにおけるタバコ対策報告書(The European report on tobacco control policy )によると、ヨーロッパ地域における喫煙率は30%(男性38%、女性25%) で5年前に比べ喫煙人口は上昇しています。 今日、ヨーロッパでは15歳以上の2億1500万人が喫煙しています。 そのうち、1億3000万人が男性で、8500万人が女性です。 タバコ産業は東側諸国に積極的なタバコ販売を行っており、特に若年者、女性、 貧しい人々の喫煙率が上昇しており、西側諸国でのタバコ消費量の減少分を埋め 合わせています。 ほとんどの国々では貧富の差にともない喫煙率は大きく異なります。 いくつかの国々では貧しい人々の喫煙率は裕福な人々の喫煙率に比べて3倍も 高くなります。 1997年から2001年の調査によると、この傾向は豊かな西側諸国のみならず、 ヨーロッパ全域で見られるようになりました。 若年者の喫煙の流行という危険な状況について この報告書によると、成人の喫煙率は減少していますが若年者の喫煙率は 減少していない事が明らかになりました。 若年者におけるタバコ消費量は西側諸国でも東側諸国でも大差がありません。 さらに、ティーンエイジャーの喫煙率は12カ国の国々で男女差なく増加しており ティーンエイジャーでは男性も女性もほぼ同等の喫煙率でした。 Dr Danzonによると、「ヨーロッパの西側諸国でも東側諸国でも15歳から18歳の ティーンエイジャーの喫煙率は男女ともに30%を超えています。」 「これは非常に危険な状態です。我々はタバコの危険性について十分に周知する ための対策を講じる必要があります。」 ヨーロッパ地域における13カ国の調査によると、ティーンエイジャー女性の喫煙率は 25.3%で成人女性の喫煙率21.5%を上回っている事が明らかになりました。 5年前まではティーンエイジャー女性の喫煙率はごく少数か、または成人女性と ほぼ同等でした。 タバコ対策の新たな局面 1997年から2001年にかけて行われた調査により、タバコ産業が公然と、 あるいは隠密に公衆衛生行政を中傷・妨害していることが明らかになりました。 先ほど紹介したタバコ産業の内部文書が訴訟や内部告発により明らかにされました。 それによると、タバコ産業は利益を追求するために過去50年間にわたり科学的事実を 否定し、行政やメディアを操作してきた事が明らかにされました。 これらの暴露された事実により、ヨーロッパ地域の政策決定者達は タバコ対策に対し真剣に取り組む必要があることを確信しました。 タバコ産業の活動を管理し、タバコ産業の影響力を抑える必要があります。 1997年から 2001年にかけてヨーロッパ地域の75%の国々でタバコ対策が強化されました。 WHOヨーロッパ地域事務所の技術支援部門の Dr Roberto Bertolliniによると、 「これらの新しい情報はタバコ対策が新たな局面に入ったことを明白に示します。 多くの国々でタバコ対策が進むにつれて、タバコ産業も反撃を開始しました。 タバコ産業は新たな企業戦略の展開、市場拡大、新たな喫煙者の獲得、 タバコを社会に広めるための販売促進活動を増加させています。」 ヨーロッパにおけるタバコ対策報告書1997−2001によるとタバコ産業の戦略には 次の内容が含まれています。 a.新たな国々にタバコ市場を開拓すると、次に、タバコと健康問題を混乱させます。  そして、タバコ規制を遅らせるために有効なタバコ対策の提案を妨害します。 b.厳しい広告規制を回避するために、未成年者喫煙防止キャンペーンを行います。 c.タバコの健康問題から論点をそらすため、個人の生き方への干渉は人権侵害であると主張します。 d.国際的なタバコ取引の規制や広告規制、タバコ税増税に関しては異議を述べます。 Dr Bertolliniさんによると、 「国際的なタバコ産業の戦略により国々でのタバコ対策は効果を失いつつあります。 タバコ対策は国境を越えて世界的な規模で行わねばなりません。 Warsawでの会議の後、ヨーロッパの政策決定者は国際的なタバコ規制案を作成します。 大臣はWHO加盟の191カ国が推進するタバコ枠組み条約(FCTC)を成功させるため 強力なリーダーシップを発揮するでしょう。 タバコ枠組み条約はWHO事務局主導による世界初の健康に主眼を置いた多角的条約です。 この条約は世界的なタバコ消費量の増加と流行を抑制するために規制を設けるでしょう。 その条約はさまざまな問題を取り上げるでしょう。広告や販売促進活動、葉タバコ農家問題、 密輸、タバコ税、そして、タバコ資金問題などです。 Warsaw に集まった政策決定者らはワルシャワ宣言(Warsaw Declaration )を採択するでしょう。 そして、ワルシャワ宣言はタバコ枠組み条約を支援し、次のヨーロッパタバコ行動計画を支援するでしょう。