生物化学分析検査部門
猪田猛久
昨年か一昨年に遺伝子分野と合同での勉強会を実施しましたがそれ以来正直生物化学分析検査部門としてはほとんど意識して活動を行っていなかったと思います.しかし分野のまたがる事項はありますしこの辺りは分野長さんと連絡を取り合って企画を考えたいと思います.何か要望があれば気軽に申し出てください.
臨床化学検査分野
猪田猛久
「基礎的な事柄について」を基本に勉強会を継続していきたいと思っています.本当はもっと行いたいのですがこちらの都合で思うように進めることができなくて残念に思っています.そのため時々基礎的な事柄?と思う内容もありますがそのときは新しい事柄として知っておいてもいいかなと思う内容にしています.こんなことをして欲しいとか要望があれば是非企画を考えたいと思います.また勉強会はいくつかの施設にお願いしていますが希望の場所があれば申し出てください.また曜日は週末を原則に企画していますがこれも希望があれば気軽に申し出てください.みなさんの参加を待っています.
免疫検査分野
藪内博史
今年度より三室病院の山口氏から引き継ぐ事になりました奈良医大の薮内博史です。
現在多くの施設で免疫血清検査は、生化学検査等と同じ血清を扱うセクションとして業務が行われているという現状からか、免疫検査分野の勉強会を開いても、参加者がほとんどいつも同じ顔ぶれで、人数も寂しい状況です。
そこで、今年度は臨床化学分野と合同で勉強会を開こうと考えています。
あるひとつの臓器もしくは、あるひとつの疾患について両分野それぞれの角度から取り組んでいけたら良いかと思っています。
それから、自己免疫疾患についての勉強会も独自で行おうと考えています。御意見御要望等がありましたら、どうぞお聞かせ下さい。また、日常の検査で疑問に思っている事、他施設に聞いてみたい事など情報交換の場としてもご利用して頂けたら実りある勉強会になるかと思いますので、どうぞご参加下さい。
環境物質検査分野
萬砂 美都子
会員のみなさまこんにちは、環境物質分野担当の萬砂です。日頃は勉強会などご協力ありがとうございます。活発な活動はできませんが、トピックスや基礎的な事項の勉強会をと考えています。秋に、アスベスト公害と中皮腫について実施予定です。毎回参加が少人数ですが、絶やさず永く続けていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
薬・毒物検査分野
萬砂 美都子
会員のみなさまこんにちは、薬・毒物分野担当の萬砂です。環境物質分野と兼任しています。昨年まで中毒について勉強しました。これからは代表的な薬毒物の簡単な検査方法とその実際を学びたいと考えています。具体的に決まりましたら奈臨技ニュースでお知らせします。
また、分野活動にご協力いただける方、是非ご連絡ください。これらの検査に携わっている方々は少ないと思います技師として興味ある分野ですのでご希望や要望をお聞かせください。
遺伝子検査分野
大峠和彦
自宅でできる遺伝子検査?
“カンタン肥満遺伝子チェックで、ムリ・ムダのない美スリムへ!!
今までの苦労は何だったの!? 自分の体質の「設計図」である遺伝子のタイプがわかれば、ダイエットの「的」を外さないから効率的に体重コントロールできる!“などと言う文句がネット上で目にとまる。
自分の爪を切って問診表と一緒に遺伝子検査会社に送れば肥満原因である遺伝子を分析され、生活習慣に関するアドバイスシートが送られてくるらしい。
病院に行かず家で簡単にできることから注目されている。しかし、人気が高まるにつれ、検査結果が正しく解釈されるのかという疑問の声も高まっているとのこと。
このように遺伝子検査は、大学病院と検査会社に集中する傾向がみられ、一般病院では本当に普及していないのが現状です。
遺伝子検査分野勉強会は今年も 大臨技血液、奈臨技染色体・遺伝子合同研修会とし、1.白血病,悪性リンパ腫におけるFISH検査外注の現状と問題点 2.白血病,悪性リンパ腫における外注FISH検査の出し方(プローブの選択法)とデータの読み方と題して、あべのメディックスにて開催しました。講 師は井戸田 篤 氏(大阪府立成人病センター)、細貝 昇氏 (株式会社 三菱化学ビーシーエル) にお願いしFISH検査を外注されている施設の現状や実際のプローブ選択のポイント、データの読み方を講義していただいた。
染色体検査分野と合同でもう1回程度開きたいと思っているが…。
毎年、まほろばに原稿を頼まれますがが、正直ネタ切れです。
遺伝子検査分野、染色体検査分野協力していただける方が少なく、苦慮しています。是非、皆さんの参加を期待しております。
生理機能検査部門
原田 譲
平成18年度も下半期に入り,各分野の勉強会や実習も半分ほど消化されたことと思われます.しかし,まだまだ半分以上残っていますので,できるだけ多くの方々に参加していただくようお願いいたします.例年,次年度の勉強会についての打ち合わせ会を年末に行いますので,新しい企画やテーマなどありましたらそれまでに各分野長までご連絡下さい.(参加されました各勉強会の時でかまいません)
勉強会の会場についても,現在は半固定化されていますが,多くの場所で行うことも検討しますので,いろいろなご意見をお聞かせ下さい.今後,できるだけ勉強会の資料をホームページで公開して行きたいと思っていますので,都合により参加できなかった時などに利用してください.(現状は生理部門では神経分野だけですが,生理全体に広げたいと思っています)
神経検査分野
小林 昌弘
神経検査分野は、本年度は6回の勉強会を予定しています。筋電図などの検査の実技習得を目的とした「きれいにとれるシリーズ」が2回、初心者向けの脳波判読を目的とした「脳波の手習い」が2回、各疾患や脳波の異常波形について勉強する「定期勉強会」が2回という内容で取り組んでいます。
5月 12日(金)「脳波の手習い1」
6月 3日(土)「きれいにとれるシリーズ平衡機能検査編」
7月 14日(金)「脳神経定期勉強会1」
11月 10日(金)「脳波の手習い2」
12月 8日(金)「脳神経定期勉強会2」
2月 3日(土)「きれいにとれるシリーズ筋電図編」
また今年度より奈臨技HPに過去の勉強会で用いた資料を掲載しています。ぜひご覧下さい。
勉強会の内容に関する要望や、日常の検査における疑問点などを気軽に話し合えるような勉強会を進めていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
機能検査分野
吉田 和弘
検査全般に言える事とは思いますが、時として難しい場面に直面した時など、どのように判断するかは経験や持っている知識・技術の有無に左右されることが、日常ルーチンをしているとよく見受けられます。生理検査は生体の電気的・物理的変化を波形等に表して判定しますが、患者さんとはFace to faceにお互いに接し、直接患者さんに触れることによって検査がなされます。その結果は、場合によっては、危険な状態、危険な波形が出ているのかを即座に判断する必要に迫られることも多々あります。いわばいつも前線に立っているようなもので、日常検査にあっては見落としをなくし、難しい症例にあたっても短い検査時間の中で、どのように波形を読んで解釈していくかを余裕を持って出来るように日頃から基礎や知識を蓄積しておく必要があります。
心電図や呼吸機能検査(スパイロとPSGを分担しております)は、担当したからと言って直に出来る検査は少ないと思います。波形をみたり、患者の状態を自分の目で見たり、時には患者と会話をしたりといろいろと情報を集めても、なかなか教科書の通りにはいかず、何年も生理検査をしていて経験があってもそれでも十分に満足できる検査をしているかと言うと意外とそうでもありません。しかしながら、すぐには役に立たなくとも、少なくとも前もって知識と体験はあればあるほど、慌てることなくも日常の検査の助けとなり、生かしていけると思います。
機能検査分野では、主に心電図、スパイロとPSG(睡眠時無呼吸症候群の検査)を扱っておりますが、今年度は、「心電図定期勉強会」として、基礎的な内容を各回毎にテーマを揚げて9回/12回、実際の業務の中で体験したことがなくとも、色々な症例を会員どうし共有できる場として各施設で経験した身近な症例を解説を加えて説明しています検討会を3回/12回と、合わせて月1回のペースで実施しております。また、昨年度まで実習として「きれいにとれるシリーズ心電図編」で、心電図上のアーチファクトを取り除く方法やアーチファクトの原因を知る方法などを実施しておりましたが、今年度は趣向を変えて電子カルテ・オーダリングシステムを採用している施設での見学を予定しています。一つの狙いとしては、ルーチン・スタッフや患者さんの流れ、日常業務の理想や効率性を求めて具現化したシステム設計の思想など参考になることがたくさんあると思いますので、各会員には見たことや参考になった事を持ち帰ってもらえればと考えております。呼吸器定期勉強会では、前年度まではスパイロを中心に実施しておりましたが、技師会のアンケート結果の集計からも睡眠時無呼吸症候群が県内の大半の施設で行われるようになってきております。これに対応するために今年度は、PSG検査に関して、講義として「呼吸器定期勉強会」を3回、終夜PSGの取り付け方法等を内容にした実習を「きれいにとれるシリーズPSG」で実施していきます。スパイロについては、今年度はお休みにしておりますが、日常検査でお困りの事があれば随時、質問等を受け付けております。また、来年度には今まで以上にリフレッシュした講義・実習等を考案しておりますので、今しばらくお待ち願います。「呼吸器定期勉強会」の年間回数の枠組みも、必要に応じて増枠することも検討したいと考えております。
心電図・スパイロ・PSGと勉強会を重ねておりますが、内容は、「基礎レベルの向上」を中心にしております。いづれも特段に難しいことをするつもりはありませんし、初心者にも分かるような内容で、日常検査時に遭遇しても困らないように、勉強会で出た同様な症例があれば自ら解析できるようになればと思っています。また、疑問点などがあれば気軽に質問をして解決して頂き、会員同士の情報交換ができ、実際の業務に役立てることが出来るように努めていきたいと考えております
画像検査分野
画像検査分野では 昨年度と同様に,隔月各1回の心臓・腹部超音波定期勉強会ときれいにとれるシリーズの頚部動脈超音波検査篇をはじめ,計18回の勉強会を計画しています。本年度のMRの勉強会は、臨床を中心に超音波など他の画像とも比較した内容として進めています。7月に実施した頭頚部領域のお話では、手術症例を中心にMR・アンギオ・超音波の画像を対比した、興味深いものでした。超音波の実技講習会は、今回はじめて下肢の血管をテーマにしたものを開催し、多数のご参加をいただきました。また、腹部の定期勉強会では、新たな試みとして担当施設による症例呈示も進めております。
定期勉強会は平日の夕方の開催にもかかわらず、いつも熱心にご参加いただいています。今後も会員・分野員の方とともに、すこしでも日々の検査の参考になる勉強会となるよう取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
形態検査部門
細胞検査分野
辻野秀夫
本年度の細胞検査分野の活動予定は、今年も病理検査分野と合同で実施していこうと企画しています。4月にはHER―Uについての講演会を開催させて頂きました。今後も勉強会や講演会、そしてコントロールサーベイの解析検討会等を企画していますので皆さまの多数のご参加をお待ちしています。
奈良県内で病理と細胞診の検査を行っている施設数は少なく勉強会を開催しても参加人数が少ないのが現状です。それを打破すべく新しい企画や他分野の方々でも参加できる様な企画、又、細胞診検査と関連が深い一般検査や血液検査との合同での企画等もできないものかと考えている次第です。そのためにも皆さまのご協力をこれからもよろしくお願いします。私も、この4月から初めての分野長で何かと不都合やご迷惑をおかけすると思いますが何とぞよろしくお願いします。
病理検査分野
小野喜雄
本年度は6月に病理・細胞検査分野合同研修会を「HERCEP Testの実際」というテーマで実施しました。この検査は今まで乳癌の再発症例にのみ保険が適用されてきましたが、今年4月の保険点数改定に伴い乳癌を疑う全症例に適用されることになりました。その上から益々普及される検査として紹介させていただきました。これからも最近の話題や病理技術の基礎的なテーマについても業者等の協力を得て研修会をおこなっていきたいと思います。関心のある話題等を提供していただけたら幸いです。
前年度のテーマとして、内部精度管理調査を予定しましたが結局実施できず、皆さんにご迷惑をかけました。引き続き検討して各施設の優れた点や改善点を見出し精度管理の向上に結び付けたいと考えていますのでご協力の程よろしくお願いいたします。
なおコントロールサーベイの検討会も今年中に実施する予定です。
会員は一部の施設を除き細胞検査と両方に携わっている方が多いことから、今後も病理・細胞検査分野合同で研修会をおこなっていきたいと思います。会場もできるだけ皆さんの参加されやすいよう、計画するつもりでおります。多数ご参加の程、お願いいたします。
一般検査分野
吉田恵三子
検査の認定試験が始まりました。日臨技が母体となって初めて行われます。先日特例の試験が行われましたが、尿検査、寄生虫、髄液,胸腹水、精液と幅広く、奥深いものでした。
来年からは公募での試験がはじまりますが、奈良からも大勢の人に受験して頂きたいと思っております。勉強会も今までと違い、各施設で症例を持ち寄りカンファレンス方式でやってみようと思っております。皆様にお願いすることになりますので、御協力、宜しくお願い致します。
血液検査分野
梅木 弥生
冒頭をお借りして御礼申し上げます。2006年2月開催の近畿血液研修会ではお忙しいなか多くの方々のお力添えにより、約180名の参加をいただき盛会に終えることができましたことを感謝いたします。ありがとうございました。なお次回の研修会は滋賀県が担当県であり、奈良で行いました動画方式を取り入れた研修会になるようですので、ふるってご参加ください。
奈良県の血液検査分野活動は積極的に勉強会、講習会、を取り入れ幅広い内容で活動していきたいと考えております。2006年の活動は、2006年2月Sysmex社学術 本居先生による「血液細胞観察の着眼点」のご講演。2006年2月近畿血液研修会(奈良県文化会館)。2006年6月には昨年に引き続き「フロ−サイトメトリ−の基礎と実際A 実技編」。2006年9月第一化学の学術 須永氏による、凝固・線溶(特にDIC DVTについて)のご講演。2006年11月 奈臨技サーベイ報告会・・・技師あるいは講師の先生方を招き勉強会を開催してきました。勉強会・講演会の開催場所も奈良医大病院・天理よろづ病院・県立奈良病院と3箇所を順次使わせていただいて開催しております。今後も多彩な先生方をお招きして講演、研修会等を積極的に開催し皆様のスキルUPに貢献で出来ればと考えております。奈臨技ニュースをご覧いただいて、是非ご参加ください。また、皆様方のご要望に出来るだけそえるように考えておりますので、どんどんご意見をおよせ下さい。お待ちしております。
染色体検査分野
今年の春より,全国では染色体検査分野と遺伝子検査分野が再び一緒になり染色体・遺伝子検査分野は生物化学分析部門に入ることとなった.当初は染色体・遺伝子検査分野は一つでしたが,全国の再編成により,染色体検査分野と遺伝子検査分野に別れそれぞれ形態検査部門,生物化学分析部門に分かれていました.それが再編成され元に戻り,全国には振り回されっぱなしで困っております.今年度は,奈良県は全国のやり方を無視し,従来どおり遺伝子は生物化学分析部門,染色体検査分野は形態検査部門で行うことに決定しました.例年通り遺伝子と合同で実施する予定です.まず,大臨技血液と奈臨技染色体・遺伝子合同研修会
を7月に実施した.1.白血病,悪性リンパ腫におけるFISH検査外注の現状と問題点.2.白血病,悪性リンパ腫における外注FISH検査の出し方(プローブの選択法)とデータの読み方について講
師をそれぞれ,井戸田 篤 会員 (大阪府立成人病センター),細貝 昇氏
(株式会社 三菱化学ビーシーエル)にお願いし行った.近畿圏では造血器腫瘍の染色体・FISH検査を自施設で実施しているのは,天理よろづ相談所医学研究所のみであり,ほとんどの施設が外注である.そのため,外注FISH検査の出し方における問題や注意点について,今まで自施設で行っていたが,今は外注している大阪府立成人病センターの井戸田氏にお話して頂き,FISH検査の出し方と臨床的意義について株式会社 三菱化学ビーシーエルの細貝氏にお話して頂いた.出す側と検査する側の意見を聞きどうすればよいかがわかり有意義であった.今後は遺伝子関係で定量PCRの勉強会を実施する予定である.
話は変わるが,今年平成18年8月18日-19日の2日間にわたり,天理よろづ相談所において,第24回 日本染色体遺伝子検査学会総会・講演会を実施する.
テーマ:「診療に貢献する最新の染色体・遺伝子検査」で,講演会,一般演題および公開講演「遺伝子と生活習慣病」も実施する.会費は会員・非会員共に3000円であり,また,奈良県で実施するのは初めてであり,奈良県の方にはぜひとも参加して頂きたい.よろしくお願いします.詳細はhttp://www.jacga.jp/を御覧下さい。
感染制御検査部門
小泉 章
今年度より、部門長をさせていただくことになりましたが、歴代の名立たる研究班長(旧部門編成)の諸先輩と比して、私のような未熟者が引き継がしていただくことに大変、恐縮しております。各分野長さんや世話人と会員の皆様に助けて頂きながら、何とか責務を果たせれば思っておりますので何卒、御協力の程、宜しくお願い申し上げます。
当部門は、ご存知とおり微生物検査分野、寄生虫検査分野、ウイルス検査分野の感染症に関連する3分野で構成されております。 それぞれの検査の特色として微生物検査は、細菌検査を中心に他の微生物および一部のウイルス検査、院内感染対策に関する業務を担当し、寄生虫検査は、虫卵を中心とした原虫検査で一般検査一部として位置づけられております。ウイルス検査は、主に血清を検体とし、抗原、抗体を種々の手法を用い検出する検査が中心であり、言い換えると前の二者は、形態学的検査で最後の一者は、免疫血清学的検査と呼ばれ、三者まとめて起因微生物を推定または特定する為の感染症検査と言えましょう。中でも、免疫血清学的検査は、ウイルスを筆頭に抗原抗体検出法が精度を高め、検査の意義、特徴なども幅広く臨床医が理解している検査法でありますが、一方、微生物検査と寄生虫検査は、検査の重要性は認識されつつありますが全体的な認知度、理解度いう面では十分でない様に思われます。特に寄生虫感染症においては、微生物検査と寄生虫検査の狭間で検査体制が不明瞭になっている場合があり、しばしば臨床医が混乱する事もあるようです。例えば、虫卵検査は一般検査室で検査を行い、クリプトスポリジウムや一部の原虫類は微生物検査室で、アメーバやトリコモナスなどは双方で検査しているケースが見られ、臨床医や検査室同士の情報の連携がうまくいっていないと、診断に時間を要したり、一感染症が見逃されたりする可能性は無いでしょうか? この問題は、組織の規模や感染症に対する臨床医の意識レベルにも左右されましょうが、各施設の現状を検証する必要があると以前から考えておりました。この機会に、当部門では、個々の分野(感染症)だけでなく、感染制御と言う観点から、卒の無い感染症検査体制、臨床医にとって理解しやすい感染症検査体制について一つのテーマとして取り上げ、会員の皆様と考えて参りたいと思っております。
微生物検査分野
小泉 章
本年度の微生物検査分野は、『感染症診療と我々に直面した諸問題』と題し、様々なテーマで研究班を企画しております。また、臨床と共通した問題(院内感染、院内発生の結核症対策、DPCと感染症など)については、積極的に感染症専門医に参加していただき、臨床医と技師間で意見交換やディスカッンョンを行えればと思っております。
コントロールサーベイについては、従来のフォトサーベイ、同定、薬剤感受性試験に加え、『臨床からの情報収集を適切に行い、微生物検査に有効利用で出来ているか』、また、検査結果を基に、『適切に付加情報(コメント)を臨床医に伝達できているか』をテーマに各設問を作成しました。
従来の出題形式は、典型的症例と十分な臨床情報や他の検査情報をベースに、起炎菌を推定(特定)する手法でありましが、今回は、検査に活用できる臨床情報が不足している実情を考慮し、あえて臨床情報が不十分ある状況を想定し、『状況に応じ有用な臨床情報を入手できるか』を意図に設問を作成しました。また、情報提供においても、新興再興感染症など多様、複雑化する感染症を背景に、我々に対し付加価値の高い検査情報が求められている現状を踏まえ、『臨床医が容易に検査情報を理解でき、且つ感染症全般に配慮した情報提供が行われているか』を意図した設問を作成しました。サーベイ同様、今後の勉強会についても、臨床とのコミュニケーションを重要視した企画を中心に検討中ですので、積極的に参加していただきます様、宜しくお願い申し上げます。
ウイルス検査分野
藪内博史
ウイルス検査分野は、各施設、肝炎、HIV等と梅毒検査を含めた術前及び輸血前後の検査と、インフルエンザ等の検査が実施されている現状と思われます。又、毎年の様に新型ウイルスの流行も見られます。
今年度の勉強会ではこれらをふまえ、よりタイムリーな内容で開催したいと考えております。それから、特別な分析器を必要としないPOCTがかなり普及して来ていますが、POCTの長所、短所、注意点等についてもう一度整理し、正しく理解するための勉強会を開催しようと考えています。
大きな施設で自動分析器を用いて検査を実施している方も、小さい施設で一人であれもこれもマニュアル検査で頑張っておられる方も、いろんな意見交換の場として勉強会を活用してもらえる様に一人でも多くの参加をお願いします。
輸血・移植検査部門
輸血・移植検査分野
藤原 美子
本年度の一番のイベントは、日臨技の特別事業である「輸血検査実技研修会」を平成19年1月21に計画し、ただいま準備を進めています。安全な輸血血液製剤の適正使用のためにもぜひ参加していただき、各施設の輸血管理をする上で参考にしていただきたいと思います。
本年度の活動は、「会員の皆様のニーズに答える勉強会」をモットーに企画しています。皆さん、ご要望がありましたら遠慮無く連絡してください。
生殖医療分野
福塚勝弘
1つめとして,今回,初めて生殖医療検査分野・輸血移植検査分野合同で移植の勉強会を7月に実施した.テーマは,「もっと知ろう造血幹細胞移植」で,講師は中村
文彦先生(天理よろづ相談所病院 血液内科),佐治
博夫先生(HLA研究所 理事長)にお願いして行った.中村先生には,「造血幹細胞移植の臨床(現況と展望)」というタイトルで,実際の造血幹細胞移植の現場について症例を交えてわかりやすくお話して頂き,佐治先生には「HLA/non-HLA適合性と造血幹細胞移植の成績」について最近の知見を含めてお話して頂けた.参加者は他府県からの参加もあり,質疑応答も活発に行われ有意義であった.今後も年に一度程度は移植関係の勉強会を企画したいと考えている.
2つめとして,生殖医療関係についてであるが,例年大阪府の技師会と合同で年に一度講演会を実施している.今年も実施する予定である.奈良県下で体外受精,顕微受精を実施している施設は2−3ありますが,臨床検査技師会に登録している施設は無く,私自身もその業務に携わっているわけではありませんが分野長をさせていただいております.大阪府においては生殖医療を実施している施設は多数ありますが,臨床検査技師会に登録している施設は少ないのが現状です.この事は,顕微受精等で胚を扱うエンブリオジストは臨床検査技師出身と大学の農学部出身が約半数ずつであるという事にも起因しています.それゆえ,体外受精,顕微受精を実施しているような高度なことで無く,精子の数,奇形率,運動能等を検査している施設だと奈良県下にもあると思われますので,そういった方が手を上げて一緒に協力していただけるとありがたいです.どんなことが問題であるとか色々と見えてくるかと思いますので,ご協力お願いします.私の方に連絡してください.よろしくお願いいたします.
検査総合管理部門
高部 弘司
嶋田昌司 長谷川正行
枡尾 茂 三谷典映
この夏、イギリス国内でテロの未遂事件があった。米国行きの旅客機の爆破を狙ったものであった。この影響で、旅客機の持ち込み荷物の警戒が強化され、とくに液体物(ジュース、水も例外なく)禁止となった。夏のバカンスシーズンでもあり、関係機関で相当の打撃があったようである。これは、危機管理、クライシスマネージメント機能が有効に働いた結果、大惨事が免れた例である。しかし、わが国においては、エレベーターの整備不良、ガス瞬間湯沸器の不完全燃焼および公営流水プールの給排水口の不備などによる人身事故が相次いで発生し、企業、自治体の安全管理体制のもろさが露呈された。また、鉄道、航空機関係の安全神話も過去のものとなりつつある。また、社会生活全般においても安全とはいえなくなってきた。
リスクマネージメント、クライシスマネージメントの重要性とその迅速な対応は、今日、誰しも異論のないところである。
さて、医療における安全管理については、どうであろう。(財)日本医療機能評価機構医療事故防止センターでは、医療事故情報収集等事業により、定期的に報告書を発表している。平成17年度年報によると、医療事故は1,265件の報告がある。このうち検査に関連するもの63件、実際に臨床検査技師が当事者となったもの8件で、うち19件が死亡、高度障害残存となっている。事故の内訳では「検査手技・判定技術の間違い」「検体採取時のミス」「患者取り違え」の順に多い。医療事故全体の発生要因としては、「確認を怠った」「観察を怠った」「判断を誤った」「連携ができていなかった」「技術、手技が未熟だった」の順である。また、検査部門におけるヒヤリ・ハット事例30,871件のうち、10,938件が、確認を怠ったことが原因であった。この他、発生当事者の勤務状況や心理的要因も事故発生の大きな要因となっていることがわかった。当事者の職種分類では、医師、看護師が約90%を占めている。臨床検査技師は、薬剤師と同率(0.5%)であり、多くはない。しかし、間接的に事故に関与している事例は、決して少なくない。安全の確保は、医師、看護師などの職種だけで実現できるものではなく、患者自身をも巻き込んだチーム医療の確立により実現できる。
そこで、本年度は、「臨床検査の安全を考える―リスクマネージメント入門―」として、これまで観念的に捕らえがちであったな安全対策を、合目的にどう対応していけばよいのか、基礎から学習し、実際に応用していきたいと考え、本研修を企画した。研修テキストは、(社)奈臨技学術部検査総合管理部門が独自に作成し、研修登録者へ電子メールを利用し、月1回、計3回にわたり配信、リポート回収という自宅研修制度を採用した。電子メールを利用した目的は、研修中の質問、意見等を受講者全員で共有し、討論しあうことが可能であること、時間、場所を選ばず、広範囲の研修参加が図れることなどである。
今回も、早くから他府県より問い合わせがあり、福岡、富山等から数名の方が参加されている。内容は、第1回「リスクマネージメントとは」、第2回「臨床検査のTQM」、第3回「安全のための規格」とした。なお、第4回として、医療情報システムにおける安全管理をテーマに、システムエンジニアや医療情報技師を交えた会場研修を予定している。今後も、インターネット技術を活用し、研修を企画していきたいと考えている。多くの方々にご協力、ご参加いただき、より有用な研修会としたい。