公開講演会「高脂血症と日常生活」に参加して

奈良県立奈良病院 草尾 恵

平成18年2月19日(日)、なら100年会館中ホールにて「高脂血症と日常生活」と題して公開講演会がありました。当院の菊池英亮副院長が講師でしたので、日頃お世話になっていますし半分サクラのつもりで足を運びました。
 講演会に先立って午後1時からパネル展示、血圧・体脂肪・血管年齢測定が行われており、会場に着くとすでに各コーナーには順番を待つ人が大勢並んでおられました。なにかのついでに立ち寄ったのではなくわざわざ来られた様子で「高脂血症と日常生活」というテーマに対する関心の高さが伺われました。私も加速度脈派による血管推定年齢を測定していただきました。すると実年齢より10歳も高くかなりショックで「えっ?もう一度測ってみて。さっきは緊張していたから」と言いたいところを我慢。心の声が聞こえたのか係りの方が上下10歳の変動幅があると説明してくださいました。本人はまだまだ若いつもりでいたのですが、容姿や脳年齢・運動神経だけでなく血管も確実に老化しているようです。サクラどころか、しっかり講演も聴かないと!
 講演内容は高脂血症の検査、薬、運動・食事と多岐にわたりました。メタボリックシンドロームの診断基準やBMIと疾病合併率についてもわかりやすく説明していただきました。日本人の3人に1人は?3アドレナリン受容体の遺伝子変異があり肥満になりやすい、遺伝子の近いモンゴロイドでも食事習慣により心筋梗塞の発症率が異なる、エスキモーは魚をよく食べるから動脈硬化が少ない、というお話が印象に残りました。
 高脂血症についてはテレビなどでドロドロ血などといってよくとりあげられているからか、フロアの一般の方からの質問は御自分の脂質検査値や薬について把握されたうえでの内容で、よく知っておられるのに感心しました。しかし生活習慣病に関する意識調査では糖尿病や高血圧に比較して高脂血症は恐い病気という意識が低いそうで、今回の公開講演会のような正しい知識の伝達の機会が必要だと感じました。
 実務委員の皆様のおかげで、血圧・体脂肪・血管年齢測定などをしていただいて高脂血症、動脈硬化を自分の問題として身近に感じることが出来たうえで講演が聴けました。ありがとうございました。