学会長 増谷 喬之
第44回近畿医学検査学会は、会員皆様の協力によりまして盛会のうちに終了することが出来ました。学会準備段階から開催当日まで、長期間にわたる奈臨技会員皆様のご協力に対し衷心より感謝申し上げます。今回、会誌「まほろば」に学会総括として、実行委員会各部局から本学会運営まとめ集を作成していただき、次期学会開催の参考資料集として報告させていただきます。
平成15年7月28日に数回の準備委員会を経て、第1回実行委員会が天理医学技術学校で開催され、学会テーマおよび近臨技・学術部会基本方針に基づくシンポジウム・スケジュール案が学会事務局より提案、実行委員会のスタートとなりました。実行委員会各部局の皆様には業務多忙の中、学会成功に向けご協力をいただきましたこと誠に有り難うございました。また本学会運営は奈臨技会員総力による開催、出来うる限り多くの会員施設の参加を下に開催することにあり、総勢160余名の学会実務委員のご協力によりまして開催することが出来ました。ここに改めまして会員施設ならびに会員皆様のご協力に対し深謝申し上げます。
本学会の特徴としては、オープン化を前提とした学会開催と機器展示会に代わる正会員外企画であります。オープン化は正会員のみならず賛助会員、学生および他職種団体等非会員の方々の本学会参加、いわゆる正会員外参加方式の採用であります。賛助会員、臨床検査養成施設学生の皆様から一般演題、プレゼンテーションなど多くの演題発表をいただき、本学会を盛り上げていただきました。また機器展示会に代わる正会員外企画では、賛助会員の方々に当初より学会実行委員としてイブニング、ランチョンセミナー企画に運営委員として企画担当いただいたことであります。本学会が掲げました「診療と健康の一翼を担う臨床検査」は、チーム医療を前提としたテーマであり医療を取り巻く環境の厳しい状況においてこそチーム医療の重要性を認識し、診療と国民・県民の健康づくりに如何に貢献するかを論議していただくことが本学会ねらいでありました。
シンポジウムでは、チーム医療の一員として診断・治療のみならず、様々な分野からのキーワードで企画していただきました。予防医学では、食生活に起因する肥満を取り上げ、高血圧、糖尿病、高脂血症、内臓脂肪型肥満と言われる死の四重奏への予防的アプローチ、また低栄養による合併症を未然に防ぐため栄養状態を評価し、栄養管理を担当する栄養サポートチーム(NST)、感染症コントロールチーム(ICT)、各種検査相談室等の活動状況、また施設規模に応じた取り組みのなかで臓器移植、乳癌医療における役割などでありました。医療の安全性では良質な医療を提供するものとして、輸血医療における輸血過誤防止へ様々な取り組み、各種感染症検査における患者情報収集と報告方法、医療貢献に重点をおいたチーム医療への取り組みなどでありました。特別企画・教育講演では、ほぼ満席のなかで大阪府立泉州救命救急センターの福田篤久先生にチーム医療の原点『救命救急検査室24時!!』“熱き技師たちの闘い”と題し、救命救急センター初療室における緊急検査体制や患者情報収集等について職域を越えたチーム医療、最前線の講演を、いただきました。今後、臨床検査技師が多くの分野においてチーム医療の一員として益々重要なポジションとして認知されてゆく中、職場における他職種との交流を念頭に置いた検査室運営方針を進めてゆくことが重要課題として、改めて認識していただいたと考えます。
本学会が他職種との交流を前提としたオープン学会として開催されましたことは、今後、本学会活性化に
繋がることを願う次第であります。