シンポジウムーZ

「診断への関わり方 一新しい取り組み−」

福塚 勝弘


 ‘診断への関わり方新しい取り組み’というタイトルで、キーワードをチーム医療、新しい取り組み、情報の共有化、他の医療チームの対応および臨床検査技師の役割として、診療の質を高めるためのチーム医療について討論することとした。
 最先端の事ができる施設の取り組みだけでなく、中小規模の病院でもここまでならできるという内容を報告していただいた。その内容は、個々の分野の話ではなく診断から治療への流れを話すと共に、検査室の取り組み、特徴を討論した。
 中規模施設での取り組みをその1、その2、心臓移植における臨床検査技師の役割、乳癌医療における臨床検査技師の役割の計4題を予定していたが、事前にお願いし検査センター側としての取り組みとして。日本医学臨床検査研究所の原嶋氏に‘検査センターのPFI事業への関わり’について話してもらった。
 中規模施設での取り組みその1は、ブランチラボ体制になり、院内技師と委託派遣職員との連携をとり、検体検査は委託派遣職員が主に、院内技師は生理検査が主になった。院内技師は生理検査に関しては、事前に患者さまに検査内容等を説明することにより、不安を取り除き検査協力も得やすくなった。耳鼻科検査等の支援業務で検査業務の拡大に取り組むことにより、各医療スタッフとの情報交換が容易になったなどの成果があった。検査技師は、各医療スタッフや患者さまとコミュニケーションをとることでさらにチーム医療に参画できると考えられた。
 中規模施設での取り組みその2では、3人技師で、データはすべて検査技師が各現場に行き看護師に手渡し、極端な異常値がある場合には、必ず口頭で異常値であったことを伝え、主治医にもできる限り直接口頭で伝えに行く。疥癬、救急医療、院内感染防止対策等について取組んでいた。
 検査センターのPFI事業は病院の経営にも参加出来るシステムであり、全国初であり、そういった意味での新しい取り組みも含め、輸血業務を全面的に検査センター側が受け入れていく等の取組みがあった。
 心臓移楢における臨床検査技師の役割では、主に心エコーについてであった。移植後の生着の確認法として心筋生検が行われているが、侵襲的で患者様の負担になる。そこで、何種類か検討した結果、経胸壁心エコードプラ法で求めた冠血流予備能は拒絶反応の予測、診断、治療後の効果予測に有用である可能性が示唆された。この例はどこ
の施設でも出来ることではなく、最先端の医療、そこでの臨床検査技師の役割として、このような仕事があるという事を知りえたことだけでも十分に価値があった。乳癌医療においては、当施設にとっては新しい取り組みではないと前置きしたが、乳癌医療に携わるスタッフが集まり、診断会を実施し、それぞれの結果意見を出し合い、食い違いがあれば、新たな検査を実施し診断するということであった。診断会に参加することにより、今まで以上に検査に対する責任感、緊張感が増し、お互いにより良いチーム医療として充実していくと考えられる。このことを他の疾患等に応用できれば良いと感じた。

最後に総合的にまとめると、
1.臨床検査技師は、患者さまに対してあるいはチーム医療の一員として自分たちは何が出来るか考え、新たに様々な事に取組んでいく事が重要である。

2.ディスカッションの時間は30分間とっていたが、事前にお願いした事もあり多数の活発な意見がフロアーから出て良かった。しかし、逆に、こちらから準備していた質問があまり出す時間が足りなくなった。

3.中小病院と大病院では、内容的に取り組みが異なるテーマであったのでまとめにくい点はあった。

4.他の会場の内容とのからみがあるかも知れないが、参加人数は前半約50人、後半約100人と参加人数の割に会場が大きすぎた。

 今回の内容を部屋に持って帰り、自分たちの新たな取り組みのきっかけ、参考になればと考えている。