中山 章文
<シンポジスト>
@島川 宏一(天理よろづ相談所病院)
A山下 亘 (大阪市大医学部附属病院)
B山下 知成(ファルコバイオシステムズ総合研究所)
C水谷 哲 (大阪警察病院)
<司会>
吉田 弘之(国立神戸病院)
中山 章文(奈良県保健環境研究センター)
今回のシンポジウムでは、臨床と微生物(感染症)検査室の間でやりとりされる様々な感染症情報に着目し、感染症診断および治療における情報の収集(In
put)と報告(Out put)について、@伝票受付によって対応している施設、Aオーダーリングシステムによって対応している施設、B院外検査室の検査センターのそれぞれの施設における現状紹介と問題提起およびC臨床側の必要とする感染症情報について検討した。@の伝票対応施設からは、実例を提示しながら臨床側からの情報収集のあり方について報告があり、日頃からの臨床側と検査側のコミュニケーションの重要さが指摘された。Aのオーダーリングシステム対応施設からは、院内感染対策を充実させるための感染症システムの概要について報告があり、院内感染対策にシステムを活用することによって迅速な院内感染防止の支援が可能であるが、あくまでもシステムは支援するものである事が指摘された。Bの検査センターからは、臨床との距離が院内検査室の場合以上に大きな壁となっている現状の紹介があり、検査センターにおける臨床とのコミュニケーションの問題点と改善に向けての取り組みと展望についての報告があった。
最後に、@からBの施設における現状および問題点を踏まえて、臨床医の立場から細菌検査側に何を求めているかの実例を交えた解説があり、臨床医と検査室のパートナーシップについての報告があった。4題のプレゼンテーションを踏まえた討論では、感染症検査に必要な情報(In
put)の臨床からの効率的な提供を実現するためには、臨床の必要とする検査結果および情報の提供(out
put)が重要であり、感染症に関する情報(臨床側と検査側のお互いのIn
putとOut put)のスムーズな流れを構築することが重要であるとの認識に至った。
最後に、今回の微生物検査シンポジウムには近畿各地より多数の会員に参加頂いたことを心より感謝いたします。また、このシンポジウムにおけるプレゼンテーションおよび討論いただいた内容が今後の感染症検査業務に役立つことを願っています。