シンポジウム−U

『チーム医療への臨床検査技師の取り組み』

大峠 和彦

 私の担当したシンポジウムUチーム医療への臨床検査技師の取り組みでは畑中徳子氏(天理よろづ相談所病院)に栄養サポートチーム、山本剛氏西神戸医療センター)に感染制御チーム、大杉まり子氏(三菱京都病院)に糖尿病療養指導、杉山昌晃氏(市立岸和田市民病院)に患者さんを対象とした検査相談、河野好恵氏(田附輿風会医学研究所北野病院)にスタッフ対象の検査相談、富仲正丈氏(石田病院)にエンブリオロジストの6つのテーマについてチームの立ち上げの経緯、活動状況、問題点などについて発表して頂き、司会は森島祥之氏(近畿大学医学部附属病院)と大峠が担当した。
 チームの立ち上げは病院からの要請、必要性に迫られて、医師からの要請、検査室から提案し病院のコンセンサスを得て、自然発生的になどであった。活動状況は1人から数人の兼任が多く、勤務時間外にも活動している場合が多い。特にカンフアレンスや勉強会、資料作りの殆どは時間外に行われているようでボランティア的であると述べられていた。栄養サポートチームではチ−ムの連携、バイパス役になると良い、知識獲得、人員確保の努力怠らないことが大事と述べられ、感染制御チームでは病棟ラウンド、サーベイランス、感染対策マニュアル作成などの業務が多岐で多く、専任の担当者も必要と述べられていた。検査相談は患者さんの要望に応えたもので、満足度のアップ、検査室の認知につながるが、医師とのコンセンサス、情報の一本化、責任の明確化が必要と述べられた。糖尿病療養指導では自己血糖測定の指導、測定機器の精度管理、疑問点への相談、医療への信頼関係の修復など幅広い活動を行っておられた。
 全体的にはチームを構成しているのは医師、看護師、薬剤師、栄養士、事務など多職種が参加しており、各スタッフの知識や技術を高いレベルに保つためには勉強会、実技指導などの必要性、そして、これらはボランティア的活動になることが多いと述べられていたが、それでも前向きに捉えて活動していることが伺われた。しかし、これらは問題点としても提言された。今の時代では増員は望めないため活動時間および人員確保の困難さ、検査技師が高いレベルで教育・指導に当たることが望まれるが知識を得る場として研修会、養成機関等が必要であると述べられ、日臨技、近臨技レベルでの研修会などの開催が必要という意見であった。認定資格についても問題提示され、エンブリオロジストは2つの学会認定が存在し、一本化が必要だがほど遠い現状であるようだ。各演者の共通したキーワードは教育、指導と知識であり、チーム医療に当たる技師には幅広い知識、特に検査以外では薬の知識が必要と言うような意見であった。
 会場からは検査相談は病院側に評価されにくいのではないかと言う意見が出されたが、これに対し評価されることを目的としている訳ではなく、検査のことは臨床検査技師が技師の立場を明確にして、その範囲内で患者さんの疑問に答えてあげるのが自然なことではないかと言うような意見が出された。検査室(検査技師)の専門性をアピ−ルし、認知してもらうことが1つの目的であり、それが検査室の将来性にプラスになると言う意見であった。
 本シンポジュウムでは演者が6人と多く、討論の時間が少し不足の感がありましたが、近臨技でもチーム医療推進委員会が発足することになり、まず出来るところから一歩を踏み出すことが大事と感じる手がかりの1つにはなったのではないかと思う。