新カリキュラム(新臨床検査技師養成課程)の内容と検査研究部門の関わり
天理医学技術学校 藤本 一満
【はじめに】
平成12年3月7日に新「臨床検査技師養成所指導要領」が発せられ、その4月より新「カリキュラムと教育目標」に基づいて、講義および実習が施行された。時をほぼ同じくして各都道府県の各技師会の研究班構成も検査研究部門構成に改編された。
そこで、学校教育における新カリキュラムの教育内容と検査研究部門の関わりについて説明する。
[新カリキュラムの特徴]
教育規制緩和政策の一環として、カリキュラム上で以下のことが変更あるいは改定された。
@単位制の導入:大学への編入学や「学位授与機構」の適用が認められ、それに伴う対応として、時間制指定から単位制指定に変更。
A科目の大綱化および弾力化:詳細に亘る科目指定を止め、大枠を定め、各教育施設がその枠内で内容を設定し、教育することを原則とする。
B臨床実習の弾力化:内容の規定が無く、病院以外の実習も可能。臨床実習から臨地実習に名称変更。
C「検査総合管理学」の設定:総合的精度管理および臨床検査の広範な管理法の習得を目的として設定。
[旧カリキュラムと新カリキュラムの対比]
表1に旧カリキュラムと新カリキュラムの対応表を示した。なお、国家試験は従来の科目名を用いている(但し、臨床病理学総論は臨床検査医学総論に変更)。
[研究班と検査研究部門の違い]
従来の研究班は、旧カリキュラム同様に科目割で設定されており、微生物・血清・輸血・血液・臨床化学・病理・細胞・生理・一般・公衆衛生・情報・遺伝子の12班であったが、検査研究部門では、新カリキュラム同様に科目が大綱化され、形態検査・生物化学分析検査・感染免疫検査・生理機能検査・検査総合管理の5部門が設定され、さらに表2に示すように各部門の中に、従来の研究班が横割りされた形で、共通な技術同士が分野として設定された。
しかしながら、今回の検査研究部門構成はあくまで学校教育内容に合わしたものであり、今後実用的な部門構成に変遷していくものと思われる。
表1.新カリキュラムと旧カリキュラムの対応表
分野 |
新カリキュラムの 教育内容 |
旧カリキュラムの 授業科目 |
基 礎 分 野 |
化学的思考の基礎 人間と生活(14単位) |
人文科学 社会科学 自然科学 外国語 保健体育 |
専 門 基 礎 分 野 |
人体の構造と機能 (7単位) |
解剖学 生理学 生化学 |
医学検査の基礎と 疾病との関連 (5単位) |
病理学 微生物学 |
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保健医療福祉と 医学検査 (4単位) |
公衆衛生学 関係法規 医学概論 |
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医療工学・情報科学 (4単位) |
医用工学概論 情報科学概論 |
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専門分野 |
臨床病態学 (6単位) |
臨床医学総論 臨床病理学総論 |
形態検査学 (9単位) |
病理組織細胞学 臨床血液学 医動物学 |
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生物化学分析検査学 (11単位) |
臨床化学 放射性同位元素検査技術学 臨床検査総論 |
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病因・生体防御検査学 (10単位) |
臨床微生物学 臨床免疫学 |
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生理機能検査学 (9単位) |
臨床生理学 |
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検査総合管理学 (7単位) |
検査管理総論 検査機器総論 |
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臨地実習 (7単位) |
臨床実習 |
表2.検査研究部門と各検査分野
部 門 |
検 査 分 野 |
形態検査部門 |
細胞、病理、一般、血液、染色体、生殖医療 |
生物化学分析検査部門 |
臨床化学、免疫、環境物質、薬・毒物、遺伝子 |
感染免疫検査部門 |
微生物、ウィルス、寄生虫、疫学、輸血・移植 |
生理機能検査部門 |
神経、機能、画像 |
検査総合管理部門 |
検査管理運営、検査精度管理、検査危機管理、検査情報管理 |